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最終章

30、炎の剣

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 ミケーレに家族の話をされたリカルドは、油断をしてしまった。
 振り向いたリカルドに向かって、ミケーレの卑劣な刃が迫ってきた。
 
 終わりだ。
 どうして信じたのか……
 戦意を失ったと思い込んでしまった。
 最後に残した温情が、命取りになった。
 剣を抜いて受け止める時間はない。
 終わったと思って下を向いた時、轟音を立てて、炎が地を這う雷のように足元を駆け抜けていった。
 残った炎がバチバチと音を立てて、地面を焦がしているのが見えて、リカルドはハッとして顔を上げた。

「え……」

 目の前に迫っていたミケーレは、信じられないという顔をして、小刻みに震えていた。
 その手から剣がスルリと落ちて地面に突き刺さった。

「う…………ゔ…………ゔうっ……」

 喉から搾り出すような呻き声。
 口の横から血がこぼれて、線になって顎へ流れた。
 ミケーレの胸には、背中から剣が突き刺さり、胸まで貫通していた。
 その剣は真っ赤に燃え上がっていて、辺りに煙と焦げる臭いが立ち込めてきた。
 瞳孔が開き、口から泡を吹いて、ミケーレは膝から崩れ落ちた。
 ミケーレが目の前から消えて、その後ろに見えたのは、待ち焦がれていたセイブリアンの姿だった。
 目は赤く光り、腕を前にした姿勢から、走ってきたセイブリアンが、ミケーレに向かって剣を投げたのだと分かった。
 それはリカルドも初めて見た、セイブリアンの剣気を帯びた炎の剣だった。
 セイブリアンの内部から精製されるもので、一度使うと消滅するが、通常の火よりも熱く、触れただけで激しい痛みを感じると言われている。
 恐ろしい攻撃を目の当たりにして、リカルドは震えたが、それは恐怖ではなく、歓喜だった。

「リカルド……ハァハァ……まに……あった」

「せ……セイブリアンさま!!」

 リカルドが走り出すと、セイブリアンも走り出した。
 死を覚悟して、もう二度と会えないと思っていたくらいだ。
 嬉しくて、嬉しくてたまらなかった。
 セイブリアンの近くまで来ると、リカルドは地面を蹴って飛び上がり、セイブリアンはしっかりとリカルドを受け止めて、力強く抱きしめた。

「遅くなって悪かった。離れるべきではなかった。もう……もう二度と……離しはしない」

「私も、離れません……ずっと……お側にいます」

 抱き合って再会を喜びあった二人は、確かめるようにお互いの顔を確認した。
 セイブリアンは急いで駆けつけてくれたのか、心臓の音が速くて息が上がっていたが、傷は一つもなかった。

「よかった……お元気そうですね」

「よくない」

 セイブリアンはリカルドを抱き上げたまま、ムッとした顔をしていた。
 リカルドが目を瞬かせると、フゥと息を吐いた。

「ミケーレを追い詰めたのはよくやった、と言いたいところだが、ヤツの演技に騙されて背中を見せるなど、悪手もいいところだ」

「あの……それは……」

「分かっている。あいつは、お前の若さや純粋さを知っていて利用した。殺しても、殺しても足りないくらいだ」

 地面に転がっているミケーレを見ると、炎の剣が体を燃やし尽くして、すでに変わり果てた姿になっていた。
 リカルドが呆然と、その様子を見ていると、セイブリアンの手がわずかに震えていることに気づいた。
 慌てて地面に降りたリカルドは、セイブリアンの手を取った。

「手が……震えて……どうされたのですか?」

「炎の剣は、一撃必殺の最終攻撃。確実に相手を仕留めるほどの強大な攻撃力ですが、その反動でセイブリアン様は、しばらく剣を握ることはできません」

「あっ、ルーセントさん!!」

 いつの間にか隣にルーセントが来ていて、涼しい顔をして話しかけてきた。
 皇宮騎士団長のラノックとの戦いはどうなったのか、辺りを探して見ていると、ルーセントはあっちだと言って指をさしてきた。
 すると、すでに騎士達に取り囲まれて、ロープで体を巻かれているラノックの姿が見えた。
 どうやら、ルーセントが倒して、生かしたまま取り押さえたようだった。

「リカルド! お前、心配させるなよ!!」

 ルーセントの後ろからボロボロに泣いているアルジェンが出てきて、リカルドに抱きついてきた。
 涙を流して、心配してくれてたアルジェンに、リカルドはありがとうと言って抱きしめ返した。

「ユリウス様は馬車の中で手当てを受けています。怪我を負っていますが、命に別状はないと思われます。ベイリーの騎士はそれぞれ重傷でして、陛下の指示で、先に搬送しております」

「そうかみんな、よくやってくれた。第三皇子の宮はすでに取り囲んでいるが、まだ残党の襲撃があるかもしれない。急ぎ、陛下を皇宮までお連れする。よし、みんなもう一踏ん張りだ!」

 ルーセントの報告を聞いて、セイブリアンはテキパキと指示を出した。
 後から駆けつけてきてくれた仲間達によって、森に放たれた火は消火されていた。
 バリケードになっていた木々はどかされ、次々と馬車が入ってきて、負傷している者はそれに乗せられて行った。

 ラノックの移送を手配しているうちに、神殿に攻め込んできた貴族の反対派は制圧され、神殿内にいた賓客達は、誰一人として怪我もなく無事だと連絡が入った。
 あっという間に事態が収束していくのを、リカルドは口を開けたまま眺めてしまった。
 手伝いたいが、腕の怪我を心配されて、動くなと言われてしまった。
 腕に布を巻いた状態で、傷口を押さえて立っていたリカルドの元に、セイブリアンが戻ってきたのは、ミケーレを倒してからそれほど時間が経っていない。
 ベイリーの騎士達の連携がとれた動きに、見事としか言いようがなかった。

「皇宮までの道の安全が確認できた。リカルドは、俺と、ユリウスの乗る馬車に」

「はい!」

 やっと自分が役に立てそうだと、リカルドは張り切って馬車に向かった。
 しかし、セイブリアンを手伝おうとしたのに、お前を持ち上げる力くらいあると言われて、子供のように抱っこされて中に押し込まれてしまった。

「……ん、リカルド、怪我は……大丈夫か?」

「ユリウス様、気が付かれたのですね」

 馬車の中で寝ていたユリウスは、人が乗り込んで来たので目覚めたようだ。
 ぼんやりした目をしていたが、リカルドのことを見つけると、すまないと謝ってきた。

「こんなの、怪我のうちに入りません。陛下は、しっかり休んで、怪我を治してください」

「ああ、ありがとう。他の者はみんな、手当を受けたか?」

「大丈夫だ。重篤な者は先に運んでいる。俺達もそろそろ行こう」

 準備ができたからか、セイブリアンが乗り込んできて、リカルドの隣に座った。
 ユリウスは座席で横になっていたが、セイブリアンの姿を見て、起き上がろうとしていた。

「ユリ、無理はするな。聖水を飲んだからと言って、すぐに治るわけではない」

「寝ていたら話ができん。血は止まったし、だいぶ、楽になった。ああ、リカルド、ありがとう」

 体を起こしたいと言うユリウスのために、リカルドが横から支えて、やっと背もたれに体を預けることができた。

「私が死んだら、第三皇子派とセイブリアン派で、そうとうな争いになっていたな。それを考えると、生きていてよかったと思う」

「当たり前だ。こんなに早く、死なれちゃ困る。リリーだって、悲しむだろう」

「ああ、そうだな……リリーに早く、会いたい」

 ユリウスが穏やかな顔でリリーローズの名前を呼んだので、セイブリアンは何か気がついたようだった。

「その気持ち、ちゃんとリリーに伝えてやれよ。いつまでも子供のように見ていないで」

「ああ、分かっている。リカルドに教えられたからな」

「え……」

 聞き役に徹していたら、話を向けられて、リカルドは驚いてしまった。
 セイブリアンが何かあったのかという目で、見てきたので、リカルドはごまかすように、はははっと笑ってみせた。

「この忙しい時に悪いが、しばらく動けそうにない」

「分かっている、安静にしていろ。代行は任せてくれ。全快したら、帝国民の前での表明式が待っているからな」

「ああ、よろしく頼む」

 帝国では即位式とは別に、国民の前で即位を報告する表明式というものが行われる。
 こちらに関しては、期限は決められていないが、表明式を行った日が、祝日になると聞いていた。
 
「それと、とりあえず、皇宮騎士団が機能できるように、早急に人手が必要だ。代行者として、まともなやつを選んでみるが、しつこいくらい相談に行くから、覚悟しておいてくれ」

「ははは……、確かにそうだな。幼い頃から相談役になってくれた、ラノックを信用しすぎた私がバカだった。人望の厚いお前が羨ましい」

 リカルドはユリウスを支えるために隣に残っていたが、クスッと笑ったユリウスは、リカルドの手を掴んできた。

「特にこのリカルドだ。良い拾い物をしたな。優しい目をしているが、うちに秘めた強さは、私達以上だ」

「そ、そんな……恐れ多いです」

「この髪も、目も、リリーと同じだ。そう考えると、二人は似ているように見える。特にこの可愛らしい鼻とか……」

 ユリウスが顔を近づけてきたが、怪我人を押し返すことができなくて、リカルドが焦った時、二人の間にヌッと手が伸びてきた。
 がっしりと腕を掴まれて、気がつくとセイブリアンの隣に戻っていた。

「これはこれは……、嫉妬するリアンを見られるなんて、生きていて良かった。二人が付き合っていることは聞いているから心配するな」

「なっ、いっ、いつの間に!?」

「森の入口までは同じ馬車に乗っていたんだ。リカルドは、なかなか有能だ。そばに置いておきたいくらいだ」

「それはダメだ。リカルドはベイリーの騎士で、俺の専属護衛騎士だ」

「そうか……ベイリーの騎士ね」

 そう言ったユリウスは考えるように目線を上げた後、リカルドの方を見て、ニコッと笑った。
 セイブリアンもじっと見てくるので、顔も体型もよく似た二人に見られてしまった。リカルドは、獅子に睨まれたネズミになったような思いになって、心臓がバクバクと跳ね上がってしまった。

「可愛いなぁ。リアンはこうやって、いつも遊んでいるのか?」

「バカなことを言っていないで、少し寝ていろ。着いたら起こしてやる」

 ムッとしたセイブリアンを見て、ユリウスは笑いながらも、眠気がきたのか、今度は素直に横になった。
 その後は、ユリウスを起こさないように、二人は目と口を閉じて、ただ馬車の音を聞いた。
 セイブリアンとの出会いから、今までの思い出を瞼の裏に浮かべて、静かな時間は過ぎていった。
 

 
 皇宮に到着すると、表玄関にはリリーローズの姿があった。
 騎士や侍女に止められながら、必死に振り解こうとしている姿を見て、到着前に目が覚めていたユリウスは、早く止めろと指示を出した。
 馬車が止まり、リカルドがドアを開けて降りると、次にセイブリアンが降りてきた。
 二人で手を伸ばしてユリウスを支えると、ユリウスは、ふらつきながらも自分の足で馬車を降りた。

「ユリ!! ユリウス様!!」

 リリーローズが叫びながら、護衛の手を振り払って走り出した。
 ユリウスは歩くことなどできないはずだが、リリーと名前を呼んで、足を引き摺りながら歩き出した。

「り……リリー、リリー」

 リカルドとセイブリアンは、途中まで支えていたが、ユリウスは大丈夫だと言って二人を下がらせた。
 走ってきたリリーローズは、傷ついてボロボロのユリウスを見て、足を止めた後、口に手を当ててポロポロと涙を流した。
 やっとリリーローズの側までたどり着いたユリウスは、会いたかったと言って、リリーローズを抱きしめた。

「すまない……悪かった……」

「ど……どうして、謝るのですか?」

「ずっと言えなくて、悪かった」

「え……」

「愛している、リリー。出会った時からずっと……君のことが好きだった」

 リリーローズの喉元が上下して、息を呑む音が聞こえてきた。
 涙で顔を濡らしていたリリーローズは、驚いたように目を開いて、ユリウスを見つめた。

「怖かったんだ……。私は自分に自信がなくて、いつもこっそり君を眺めていた幼い頃から変わらない。君がいつか、私の元を離れていってしまうんじゃないかと……」

「そんなっ、そんなこと……あるはずがありません! 私が愛しているのは、ユリ、あなたです」

「こんな時になって、やっと気づいたんだ。もうダメだと思った時、浮かんできたのはリリーの笑顔だった。君に会いたくて……愛を伝えたくて……その前に死ねないと。やっと……伝えられてよかった」

 見つめ合った二人は、目を潤ませて、しっかりと抱き合った。
 二人の間にあった雪が溶けていくように見えた。
 同じように心配していたのか、騎士や使用人達も温かい目で二人の様子を見つめていた。

「ユリ、怪我がひどいように見えるわ。体は大丈夫なの?」

「治療は必要だが、命に別状はない。神殿から治療用の聖水を取り寄せて飲ませたところだ。安静が必要だから、しっかり看護してやってくれ」

 セイブリアンが、ユリウスの状態をリリーローズに伝えると、リリーローズはもちろんよと言って力強く頷いた。
 そこに屈強な護衛騎士が走ってきて、ユリウスが歩かなくていいように両側から支えた。
 事態の収束をセイブリアンに任せて、ユリウスは部屋に戻り、治療を受けることになった。
 
 ユリウスは先に運ばれて行ったが、リリーローズは残ってセイブリアンの方に近づいてきた。

「リアン、ありがとう。ユリを守ってくれたのね」

「俺は遅れをとって役に立たなかった。礼はリカルドに言ってくれ。ユリを守って、襲撃してきた敵を倒したのはリカルドだ」

「まぁ、それじゃあ。リカルドは、皇帝を守ったのね」

「そ、そんなっ、他の騎士も戦っていますし、俺は、できることだけ必死に……」

 ミケーレを倒したが、油断して殺されそうになった立場なので、とんでもないとリカルドが両手を振っていると、ツカツカと歩いてきたリリーローズは、リカルドの手を掴んだ。
 そして、その手を自分の方に引き寄せた。

「ベイリーの騎士、リカルド。それだけではないわね。貴方は皇帝の命を守った、これは大きな功績よ」

「皇后陛下……」

「貴方は立派なアルカンテーゼ帝国の騎士よ」

 私が認めると言って、リリーローズは、リカルドの手の甲に祝福のキスをした。
 リカルドが顔を上げると、微笑んで頷いているセイブリアンと目が合った。
 
「ありがとう……ございます」

 感動して唇が震えてしまったリカルドは、上手く話せなかったが、何とかお礼の言葉を伝えた。

 神殿から、即位が完了したことを知らせる鐘が、改めて鳴らされた。
 その音は風に乗って皇宮まで届き、リカルドの胸にも響いた。



 
 
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