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番外編
番外編SS
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『ライバル宣言』
「実誠さんを私にください」
ダイニングテーブルに腰を下ろした瞬間に頭を下げた龍崎を見て、母と明宏さんはポカンと口を開けて驚いてしまった。
母がお茶を注ぎすぎて茶碗から溢れてしまい、みんなハッと気がついて慌てたほどだった。
ウチに遊びに来てちょっとご両親に挨拶したいと言い出してから三分だ。
ストレートすぎだろうと隣で俺は頭に手を当てた。
「いきなりで申し訳ございません。実は私は実誠さんとお付き合いさせていただいておりまして、結婚をしたいと思っています」
胸に手を当てて熱く語る龍崎は、いつもに増してキラキラ全開で二人の前で微笑んだ。
二人は眩しそうに目を細めて明らかに魅入られていた。
部屋に入ってきた時からいかにもアルファのオーラが満ち溢れていたので、母も明宏さんも萎縮しているのが分かった。
特に龍崎のような濃いアルファ性の者は、存在だけで圧倒されて周りは小さくなってしまう。
しかし龍崎はその強すぎる存在感を、人好きのする微笑みと優しげな王子様の雰囲気で上手いこと中和させてきた。
今回もその通りに二人は龍崎を見て顔を赤くしながら、それは驚いたと言いながらも笑ってくれた。
さすがに生徒会長まで務めた男だ。
自分がアルファで家族のことや、一人で暮らしていること。卒業後のことなども全て完璧にスラスラと話して、母も明宏さんも口を挟むことなどできずに最後まで頷きながら聞いていた。
「ここは…、あれなのかな。父親だったら、許さないーとかいう場面なのかな。俺は本当、役立たずで……」
「もう、アキくん」
ついにパニックになった明宏さんが、自虐めいた冗談を言い始めたので母が止めた。
「実誠から聞いているわ。二人は運命の番だってね。私も昔は憧れたわ。……反対するワケじゃないけど、まだ卒業もしていないし……その……」
「ええ、もちろん。その辺りは節度を持って接するつもりです」
龍崎の口からにこやかに出てきた言葉に、飲んでいたお茶を噴き出しそうになった。
「結婚は卒業後に。大学は学部が違いますがそのまま上がるので、一緒に暮らしながら通いたいと思います。もちろん学業を途中で辞退するようなことがないようにします。よろしいでしょうか?」
「そ…そうね、突然で驚きだけど……、いつかは実誠が巣立っていくことも覚悟していたから……貴方のような素敵な方が来てくれて良かった」
「母さん……」
目尻に涙を浮かべながら母が笑って、明宏さんもつられたのかハンカチで目を押さえていた。
突然今日挨拶するからと言われて驚いたが、龍崎が俺の両親を大切に思ってくれたことが嬉しかった。
お茶と甘いものを食べながら、学校のことなどを話して和やかな雰囲気に包まれた。
しかし、それを奪う小さな足音が聞こえてきた。
「あれ? お客さん? みーちゃんのお友達?」
別の部屋で遊んでいた優斗がひょっこりと顔を出してきた。
「優斗、この前、劇を見に来てくれただろう。その時に王子様をやっていた……」
「ああ、あの時のね」
いつも無邪気な顔の可愛らしい優斗が、一瞬やけに鋭い表情をしたような気がした。
気のせいかと目を擦ったら、優斗がパタパタと走ってすぐ隣まで来ていた。
「ねー、みーちゃん。ぼく眠くなっちゃった。いつもみたいに、みーちゃんにくっ付いて寝るー」
「ゆっ…優斗」
「みーちゃんにヨシヨシしてもらって寝るの大好き。今日もいっぱい好きって言ってね」
優斗は俺の足にピッタリとくっ付いて腰に手を回して抱きついてきた。
「あ……ええと……」
可愛い義弟にキュンキュンしていたら、すぐ横から禍々しいオーラを感じてゾクっと寒気がした。
「君が、優斗くんだね。話は聞いているよ」
「ぼくのこと知ってるの? へぇ、でもぼくお兄ちゃんのことしらなーい。ただの、がっこうのお友達だからかな」
極寒の冷風を背後から感じて恐ろしくて振り返ることができない。
まさか子供相手に本気で怒るとは思えないが、絶対に笑いながらイラついているはずだ。
「優斗くん。悪いけど、今日実誠は俺と遊ぶんだ」
「えーーやだぁーーー」
「優斗、ほら来なさい。今日はパパとねんねしよう!」
怖いもの知らずだからか、サラリと油を注いでいく優斗に、慌てた明宏さんがやっと間に入ってきた。
「実誠、そろそろ部屋に行こう」
「あ、うん。ごめんな、優斗」
ごく自然に立ち上がったが、明らかに目が笑っていない龍崎に腕を掴まれて、俺も笑って立ち上がるしかなかった。
「えー、みーちゃんがいい」
「だめだよ。みーちゃんは俺のだから」
優斗に見せつけるように、龍崎は俺を後ろから抱きしめて大人気ない発言をした。
真っ赤になって慌てる俺と、またポカンとした顔の母と魂が抜けている明宏さん。
いかにも怒っていますという顔の優斗に向かってにこやかに手を振る龍崎を見て、これは急いで出なくてはと背中を押してリビングを出た。
俺の部屋に龍崎を押し込んだ後、ムクれた顔の龍崎にひとこと言うことにした。
「ちょっ、龍崎、おまっ…、子供相手に大人気ないぞ」
「まだ子供だけど、あの子はアルファだ。将来敵になる可能性が高い。いや、すでにライバル宣言されたからね」
「は? いつ?」
「今日は泊まるつもりなかったけど、泊まるから」
「ええ!?」
「ヨシヨシして実誠に寝かしてもらう」
「お前なぁ………」
頬を膨らませて子供の真似をしながら怒っている龍崎が、呆れながらも可愛いと思ってしまった。
「……ったく、しょうがないな」
大きな子供だと笑いながら、俺は自分の部屋のドアを閉めた。
□□□
『心配』
「どうした?」
窓の外を見ながら小さく漏らしたため息を聞き取ったのか、和幸が俺に話しかけてきた。
「んー、ほら、あそこ見て」
和幸が俺の指差す方を見て、すぐに事態を理解したようで、ああと声を出した。
校庭の隅、木々が立つ一角はあるスポットになっている。
好きな人を呼び出して告白する。
雰囲気たっぷりのそこは、告白場所として有名だった。
そこにいま、龍崎が立っている。
その前には一年のオメガの女子生徒が立っていた。
「今週何人目だ?」
「三人目……」
卒業が近くなった今のうちにということもあるのだろう。
龍崎は俺との交際をオープンにしている。
あの文化祭での告白は本当で、それから付き合うようになったと宣言した。
しかし、そのことによって比奈川と噂のあった時は諦めていたやつらが、俺が相手ならと急に勢いづいて龍崎に告白し始めたのだ。
龍崎は呼び出されたらとりあえずは顔を出して、告白をキチンと断っている。
その様子を見て他の人も諦めて欲しいと願っているが、気持ちだけ伝えたいと次から次へと後を絶たない。
「大丈夫だよ。アイツはちゃんと断るだろう」
「それは……もちろん、信じてるし……分かってるけど……」
けど、こんな光景を日常ですとは軽く思えない。
きっと、これからもこんな風に誰かに告白される龍崎を見て心配になるのだろうなと思って、一生懸命話している様子の女の子の背中を眺めていた。
「だってさ、俺は龍崎以外のフェロモンを感じないし、俺のフェロモンには龍崎以外反応しない。俺は龍崎だけだけど……アイツは違うじゃん。他のオメガの匂いも感じるし……フェロモンだって周りを惹きつけちゃうし……」
ずっと心に引っかかっていたことを、ポロリと和幸に話してしまった。
俺の特異体質は龍崎以外を感じないし寄せ付けない。
そのこと自体に不満はないが、アルファとして輝いている龍崎を見ると、ときどき不安になってしまうのだ。
あんな人を好きになってしまったのだから仕方がないことなのだろうけど……。
「……実誠、お前はまだ翔吾の恐ろしさを分かっていないな」
頑張れよと慰めてくれると思っていたのに、和幸が明後日の答えをしてきたので、何を言うのかと目をパチパチと瞬かせた。
「見てみろ、ほら」
龍崎は手を胸の前で振ってどうやら断っているようだが、女の子の方が龍崎に向かって走り出した。
まさか抱きつこうとしているのかと、俺は体がサッと冷えて青くなったが、龍崎は女の子のタックルをひらりとかわした。
手が空を切って変な格好で唖然としながら立ち尽くす女の子に向かって、龍崎は何か声をかけてから校舎の中へ戻ったようだった。
何が起きたのか、女の子は呆然と一人で立っていたが、とぼとぼと歩き出して一年の校舎へ消えていった。
しばらくして、一般クラスの住人のように龍崎が普通に入ってきて、入り口付近にいた生徒と何か話をした後、包みを手渡していた。
「ただいまー、あー疲れた」
「お……おかえり。また、あれだったの?」
「ああ、そこから見てた? 嫌になるよね。毎日毎日」
当然のように椅子を持ってきて俺の横に並べた龍崎は、いつものように俺に抱きついてクンクン匂いを嗅いできた。
「あー、生き返る。死ぬかと思った。あの女臭すぎ」
「ちょっ…龍崎」
「翔吾、さっき持ってた包みは?」
「ああ、あれ? いらないって言ったのに鞄にねじ込まれた。手作りクッキーだってさ。その場で捨ててやろうと思ったけど、泣かれると面倒だから教室で捨てようかと思って。そしたら、さっきのやつが食べたいっていうから渡してきた。よく食べられるよね、俺なら絶対吐くよ」
「龍崎……」
毒を吐きまくりの龍崎にクラリとして俺は頭に手を当てた。最近王子様の仮面が剥がれつつあるのだが、本人はそれでもいいらしい。
だんだん隠さなくなっているし、それ以上に毒づいている龍崎を周りの生徒も驚いた顔で見ていた。
そこにパタパタと足音がして、隣のクラスの比奈川が顔を出してきた。
龍崎を見つけるといたいたと言ってうちのクラスに入ってきた。
「ちょっと、翔吾。アンタ、一年の女子になんかした? 会長に死ねブスって言われたって下で大騒ぎしてたよ」
仮面剥がれすぎだろうと俺は机に頭をぶつけそうになった。
「言ったよ。だってあの女、実誠のことをバカにしたんだ。あんな地味なのと付き合うなって」
龍崎や比奈川と比べたら地味なことくらい自分でもじゅうぶん自覚している。今さらそんなことを他人に言われるのなんてどうでもいい。
それくらいでと言おうとしたら、比奈川がドンと机を叩いてきた。
「それは……聞き捨てならないな。さっきの一年、B組の子だったよね。ちょっと行ってくる」
「ええっ、比奈川…、別にいいって」
「よくない! それに最近調子に乗ってるみたいだから、久々に雷落として来ようかな」
天使のような美青年のくせに、めいっぱい悪い顔をして比奈川がニヤリと笑った。
その破壊力は強烈で俺も他の生徒も見ていて震え上がった。
ちょっとヤキ入れてくると謎の言葉を残して比奈川は颯爽と教室を出て行ってしまった。
「……比奈川は昔ちょっと荒れていたらしい。興奮するとたまに出るんだ、あれについては見なかったことにした方がいい」
「わ…分かった」
和幸には日常なのか、本を開きながら平然と解説してくれたので、俺は素直に従うことにした。
「翔吾、実誠が心配していたぞ。だいたいわざわざ見える位置でやるのは、嫉妬させたいからだろう。見え見えだ」
「えーごめんね。だって、もっと俺のことで頭がいっぱいになって欲しくて、四六時中…眠れないくらいになって欲しい」
「ばっ…こんなところで……」
和幸の指摘は本当だったらしい。
俺に嫉妬して欲しいがために、あの場所で告白を受けるなんて、龍崎の行動はまた全然理解できない。
「実誠、この男の恐ろしさが分かっただろう」
「ううっ…」
まったくその通りだ。
龍崎はいつも俺の考えを飛び越して、違う方向から顔を出してくる。
「ねー、実誠。俺は他のやつの匂いなんて気持ち悪くて嗅ぎたくもない。欲しいのは実誠だけなんだよ」
「うん……」
「変な心配なんかしないで、俺の愛をドンと受け止めてよ」
胸を張って愛なんて語る男に、今までモヤモヤしていたものが全て吹き飛ばされた。
何を悩んでいたのだろう。
龍崎だって俺と同じ、俺だけしか感じないのだ。
心配なんてする必要はない。こんなに愛されているのだから。
「うん……。あのさ、俺も翔吾って呼んでいい? 急に…呼びたくなっちゃって……」
「実誠……、もちろん! 嬉しい」
胸に熱が込み上げてきて俺は龍崎を名前で呼びたくてたまらなくなった。
龍崎は嬉しそうに笑って頷いてから、俺をぎゅっと抱きしめてきた。
「……本当、恐ろしい男だよ」
「なんか言った? 和幸」
「いんや、何も」
それから比奈川の雷が効いたのか、龍崎に告白する者はいなくなった。
照れくさくてタイミングが分からなかったが、俺もやっと翔吾と呼べるようになった。
何となく全て計算されているような気がするが、翔吾と呼ぶと龍崎の嬉しそうなニヤニヤとふやけた新しい顔が見えたので、まあいいかと思うことにした。
□□□
「番う」
「あっ……ちょっ……だめだって……」
「こんなに匂いを振りまいて……我慢できるわけない」
体がぶつかってガタンと椅子が倒れた。
そんなことはどうでもいいと、俺の制服のズボンをさっさと下ろしてしまう龍崎は止めても全然聞いてくれない。
だってここは教室で、今は卒業式の真っ最中だ。
全員体育館に集まっているので、誰一人としてここにはいないが、卒業式で俺と龍崎の席が空いていたら、みんなどういうことか想像できてしまうだろう。
俺はタイミングが悪く、卒業式の日に発情が来てしまった。
龍崎と恋人になってから、ヒートはかなり強いものになった。薬で抑えなければ一週間は激しい性衝動で体が満たされなくて苦しむことになる。
しかし今はオメガに優しい世の中。
副作用なしの抑制剤で強い薬が多数あり、それに体が合えば上手いこと抑えることができる。
俺の場合、ぴったり合うものがあって、発情期でも普通の生活を送ることは可能だった。
今朝その薬を飲んで登校したが、さすが運命の番だけあって、龍崎にはすぐに発情期だということがバレてしまった。
「実誠、今日、番うから」
「えっ……だって……」
「卒業まで待ったよ。もう我慢できない。ここに俺の実誠だって印を刻み込みたい」
「あっ……翔吾」
もう少しせめて卒業式が終わるまで待てないのかと思うのだが、俺の溢れたフェロモンにあてられて、龍崎はすっかりヒート状態に入ってしまったらしい。
はぁはぁと荒い息をしながら、目をギラつかせて俺を机の上にうつ伏せにしてきた。
「実誠、もうトロトロじゃないか。いやいや言いながら、こんなにして……」
「だっ……今、発情期だし。翔吾……触れてきたらすぐ……」
「ああ…食いたい。実誠、実誠……」
「ぬっ、はぁっぁぁ…、ほ…本当に……挿れて……」
普段なかなか準備に時間がかかるそこも、ヒート中はすぐにトロけてしまう。
それをいいことに、龍崎はいきなり後ろからぶち込んできた。
「挿入ってるよ。分かる? ここはもう、俺の形になっちゃったからね。ほら、どんどん飲み込んで……ああ……最高、熱くて気持ちよくて……すぐに出そう」
ズブズブと飲み込んだら、龍崎はゆっくりと抜き挿ししてきた。
浅いところばかり擦るので、奥が疼いてきてたまらなくなってしまった。
「はぁ…あ、あっ…、しょ…ご、きもちい……もっと、おく……ほし……」
「いい…よ、実誠は、奥好きだよね。ここ? この辺がいいの?」
「んんっ、あぁぁっ! い…いいっ、そこぉ……すき……すき」
「はっ…締めすぎっ、どっちが食べられてるのか……。実誠、噛むよ、も……噛みたくて…たまらない」
お互いの両親には付き合いを報告して、とりあえず卒業するまでは番にはならないと約束していた。
ちょっとフライングだが、まあ、これが俺達のタイミングだったのだろうと俺も心を決めた。
「んっ……、いいっ、いいよ。来て、噛んで、いっぱいいっぱい」
龍崎の熱い息がうなじに当たったと思ったら、皮膚に歯が突き立てられて容赦なく入ってきた。
「あああっ…ああ…あっ……あつい…とける……あっあああああっっ」
とてつもない快感だった。
今まで肩や背中を噛まれていたが、そんなものとは比べ物にならないくらいの快感。
そのまま達してしまい白濁を机の上にぶち撒けたが、そんなことはもうどうでもいいくらい、絶頂の波がずっと押し寄せてきた。
「おわらな……ずっと……イって……とまら……いよ……」
龍崎もまた同じだった。俺の中でビクビクと揺れていて、熱いものを放っているが、それがいつまで経っても終わらない。
どくどくと注ぎ込まれ続けて腹の中がいっぱいになりそうだ。
「実誠……まだだよ。まだ……」
「んっあああっ……」
一度口を離した龍崎だったがまたうなじにガブリと噛み付いてきた。
出し尽くしたのか俺のはビクビクと揺れて射精しているはずだが、もう何も出てこない。
熱で溶けている頭だが、やっとこれで翔吾と番になれたのだと実感して、嬉しくてたまらなくなった。
「しょ…ご……しょうご……うれしい……」
「実誠……ずっと……実誠だけだ。ずっと…愛してる」
「俺も……愛してる」
卒業式の終了を知らせる校舎の鐘が鳴った。
二人だけの卒業式をしたみたいだねと言って龍崎と笑い合った。
この後、卒業式不参加だった俺と龍崎は、教師から怒られつつ証書をもらって無事卒業が認められた。
□□□
『いつかの街角』
「すごい雪だな……これじゃ今夜は無理そうだなぁ」
「せっかく手作りケーキまで用意したのに、遅れるなら連絡くれればいいのにね。そういうところ気が利かない」
「仕方ないよ。飛行機が飛ばなかったら帰れないって言ってたから」
空から次々と落ちてくる雪があっという間に世界を白く染めていく。
夜遅くから降ると聞いていたのに、昼前には落ちてきてすぐに歩道は真っ白になってしまった。
この分だとかなり積もりそうだと思いながら、俺は雲に覆われた遠くの空を見つめた。
「だいたい恭弥も誕生日までに帰らせてあげればいいのに、こういう時まで仕事入れるんだから」
比奈川はぷくっと頬を膨らませながら怒った顔をしていた。
そんな幼い仕草も嫌味がなくて、可愛らしく見えるのは比奈川だからだろう。
華やかな色のロングコートを着こなしている比奈川は明らかに一般人には見えない。一緒に歩いていると誰もが振り返って見てくるのはもう慣れた。
比奈川はデザインの才能があり、大学卒業後、自身のアパレルブランドを立ち上げてあっという間に大人気になった。今では雑誌でも特集が組まれて、自身もモデルとなりバンバン売り上げを伸ばしている。
比奈川のパートナーである恭弥は、もともとバース性登録制の出会いアプリの会社をやっていたが、今やそれは政府公認の事業となっていた。
アプリ開発には俺のパートナーである翔吾が関わっていて、翔吾は大学を卒業後、開発チームに入ることになった。
若者の結婚離れや少子化対策として、出会いアプリは地方にも広がっていて、翔吾は日本全国忙しく駆け回って説明会や公演に引っ張りだこになっている。
何しろあの見た目なので、広告塔にはバッチリで、恭弥は何かと翔吾を利用してバンバン稼いでいる。
俺は恭弥に広報の一人として席を用意してもらったので、苦手なパソコンと格闘しながらせっせと日々の業務をこなしている。
俺と翔吾は大学入学とともにすぐに籍を入れた。
二人とも派手なことが苦手なので、少人数で結婚式をしてみんなにお祝いしてもらった。
それからずっと二人で一緒に暮らしている。
今年で結婚して七年目、今日は翔吾の誕生日。
夕方にはこっちに戻ってくると聞いていたが、この雪だ。
おそらく飛行機は欠航で帰りは明日になるだろう。
誕生日は毎年一緒に祝ってきたが、今年は特別なものになる予定だった。
「体、大丈夫? 買い物なんて付き合ってくれなくてもよかったのに……」
「大丈夫、大丈夫。まだ分かったばかりだから。一人で家にいるとソワソワしちゃうから、気が紛れて良かったよ。誘ってくれてありがとう」
「アイツ、どんな顔するかな。ただでさえうるさいのに、もっとうるさくなる気がする」
「はははっ、同感。春物のコレクション、落ち着いたらウチにも遊びに来てよ」
「うん、行く行くー。あっ、きたきた」
比奈川が道路を見ながら手を挙げた。
向こうから近づいて来た車がスッと比奈川の横で止まった。
「悪い悪い、この雪でさ、混んでて時間かかったわ」
運転席からいそいそと出てきたのは恭弥だった。今日も派手なシャツがトレードマークで、比奈川と並ぶとお互い主張が強すぎて目がチカチカしてしまう。
「送っていくよ。すぐそこじゃん」
「あー、大丈夫。ちょっと寄るところがあって。歩きでも帰れるから」
恭弥と比奈川に乗って行けと言われたが、俺は断って二人に手を振った。
車のテールランプが小さくなっていくまで見た後、俺はくるりと向きを変えて歩き出した。
朝から興奮が冷めなくて、このままだと眠れそうにない。
本当は翔吾にすぐにでも伝えて大騒ぎしたいのに、それが出来ないなら少し頭を冷やしながら落ち着こうと思っていた。
まだ信じられなくて、歩きながら色々と考えたかった。
結婚して七年、ここまで色々あった。
何度も喧嘩して仲直りして、二人でいっぱい泣いて笑って、俺にはもったいないくらいの人で、毎日が幸せで溢れていた。
そして、また一つ、新しい幸せが雪とともに舞い降りてきた。
「実誠!」
幸せ過ぎて幻聴まで聞こえてきたかと思ったら、雪をサクサクと踏みしめながら前から翔吾が走ってきた。
「え? 翔吾!? どうして……」
「一本早い便で帰ってきたんだ。実誠に早く会いたくて」
驚いて俺も駆け寄ったが、翔吾はどこから走ってきたのか息を切らしていた。
「驚かせようと思って家に帰ったのに、実誠いないから。今ドコで探しちゃった」
「あー、あれか。そういえばお前、勝手に入れてたな……」
翔吾が開発した今ドコは迷子用の対策アプリだ。これなら、実誠がどこにいるかすぐに分かると言って翔吾が笑っていたのを思い出した。
若干思うところはあるが、雪の中、急いで帰ってきてくれたので、俺は翔吾の胸に抱きついてお帰りなさいと言った。
「ただいま。あー、実誠の匂いだぁ、癒される」
「早く帰れてよかった。ケーキ作ったんだ、一緒に食べよう」
「うん、楽しみだな。チョコレートケーキで中はベリーソース、ナッツを入れてくれた?」
「あーはいはい。注文のうるさい翔吾向けのスペシャル作ってあるから」
やったぁと言って飛びながら喜ぶ翔吾を見て、おかしくて笑ってしまった。
「まったくいつまでも子供なんだから、そんなんでちゃんとパパになれるのか?」
「そりゃもちろん! 世界で一番カッコいいパパって呼ばれるように……」
得意げに胸を張っていた翔吾がピタリと動きを止めた。
大きく目を開いて俺を見てきたので、俺は分かりやすくニッと歯を見せて笑った。
「実誠……それって……」
「今朝…、検査してみて分かったんだ。ちゃんと直接伝えたくて……」
お腹に手を当てて笑った俺を見て、感極まった表情になった翔吾は目を潤ませながら俺に抱きついてきた。
「実誠……嬉しい……嬉しいよ。最高の誕生日なんだけど……」
「はははっ、泣きすぎ。ほら、ハンカチ」
早く子供が欲しいと言っていたのは俺だった。
翔吾はいつも、ゆっくりでいいよと言ってくれたけど、なかなか恵まれなかった。
街を歩く子供にすら、全く興味を見せることがなかった翔吾。
喜んでくれるかどうか、実は不安だった。
「大丈夫、世界一カッコいいパパになれるよ」
「ううっっ、頑張る」
泣き続ける翔吾を抱きしめてトントンと背中を優しく叩いた。
空からどんどん雪が落ちてきて、俺と翔吾を白く染め始めた。
「早く帰ろう」
翔吾と手を繋いで歩き出した。
降り積もった雪の上に、二人の足跡が残っていく。
小さな足跡が増えるまではあともう少し。
□end□
「実誠さんを私にください」
ダイニングテーブルに腰を下ろした瞬間に頭を下げた龍崎を見て、母と明宏さんはポカンと口を開けて驚いてしまった。
母がお茶を注ぎすぎて茶碗から溢れてしまい、みんなハッと気がついて慌てたほどだった。
ウチに遊びに来てちょっとご両親に挨拶したいと言い出してから三分だ。
ストレートすぎだろうと隣で俺は頭に手を当てた。
「いきなりで申し訳ございません。実は私は実誠さんとお付き合いさせていただいておりまして、結婚をしたいと思っています」
胸に手を当てて熱く語る龍崎は、いつもに増してキラキラ全開で二人の前で微笑んだ。
二人は眩しそうに目を細めて明らかに魅入られていた。
部屋に入ってきた時からいかにもアルファのオーラが満ち溢れていたので、母も明宏さんも萎縮しているのが分かった。
特に龍崎のような濃いアルファ性の者は、存在だけで圧倒されて周りは小さくなってしまう。
しかし龍崎はその強すぎる存在感を、人好きのする微笑みと優しげな王子様の雰囲気で上手いこと中和させてきた。
今回もその通りに二人は龍崎を見て顔を赤くしながら、それは驚いたと言いながらも笑ってくれた。
さすがに生徒会長まで務めた男だ。
自分がアルファで家族のことや、一人で暮らしていること。卒業後のことなども全て完璧にスラスラと話して、母も明宏さんも口を挟むことなどできずに最後まで頷きながら聞いていた。
「ここは…、あれなのかな。父親だったら、許さないーとかいう場面なのかな。俺は本当、役立たずで……」
「もう、アキくん」
ついにパニックになった明宏さんが、自虐めいた冗談を言い始めたので母が止めた。
「実誠から聞いているわ。二人は運命の番だってね。私も昔は憧れたわ。……反対するワケじゃないけど、まだ卒業もしていないし……その……」
「ええ、もちろん。その辺りは節度を持って接するつもりです」
龍崎の口からにこやかに出てきた言葉に、飲んでいたお茶を噴き出しそうになった。
「結婚は卒業後に。大学は学部が違いますがそのまま上がるので、一緒に暮らしながら通いたいと思います。もちろん学業を途中で辞退するようなことがないようにします。よろしいでしょうか?」
「そ…そうね、突然で驚きだけど……、いつかは実誠が巣立っていくことも覚悟していたから……貴方のような素敵な方が来てくれて良かった」
「母さん……」
目尻に涙を浮かべながら母が笑って、明宏さんもつられたのかハンカチで目を押さえていた。
突然今日挨拶するからと言われて驚いたが、龍崎が俺の両親を大切に思ってくれたことが嬉しかった。
お茶と甘いものを食べながら、学校のことなどを話して和やかな雰囲気に包まれた。
しかし、それを奪う小さな足音が聞こえてきた。
「あれ? お客さん? みーちゃんのお友達?」
別の部屋で遊んでいた優斗がひょっこりと顔を出してきた。
「優斗、この前、劇を見に来てくれただろう。その時に王子様をやっていた……」
「ああ、あの時のね」
いつも無邪気な顔の可愛らしい優斗が、一瞬やけに鋭い表情をしたような気がした。
気のせいかと目を擦ったら、優斗がパタパタと走ってすぐ隣まで来ていた。
「ねー、みーちゃん。ぼく眠くなっちゃった。いつもみたいに、みーちゃんにくっ付いて寝るー」
「ゆっ…優斗」
「みーちゃんにヨシヨシしてもらって寝るの大好き。今日もいっぱい好きって言ってね」
優斗は俺の足にピッタリとくっ付いて腰に手を回して抱きついてきた。
「あ……ええと……」
可愛い義弟にキュンキュンしていたら、すぐ横から禍々しいオーラを感じてゾクっと寒気がした。
「君が、優斗くんだね。話は聞いているよ」
「ぼくのこと知ってるの? へぇ、でもぼくお兄ちゃんのことしらなーい。ただの、がっこうのお友達だからかな」
極寒の冷風を背後から感じて恐ろしくて振り返ることができない。
まさか子供相手に本気で怒るとは思えないが、絶対に笑いながらイラついているはずだ。
「優斗くん。悪いけど、今日実誠は俺と遊ぶんだ」
「えーーやだぁーーー」
「優斗、ほら来なさい。今日はパパとねんねしよう!」
怖いもの知らずだからか、サラリと油を注いでいく優斗に、慌てた明宏さんがやっと間に入ってきた。
「実誠、そろそろ部屋に行こう」
「あ、うん。ごめんな、優斗」
ごく自然に立ち上がったが、明らかに目が笑っていない龍崎に腕を掴まれて、俺も笑って立ち上がるしかなかった。
「えー、みーちゃんがいい」
「だめだよ。みーちゃんは俺のだから」
優斗に見せつけるように、龍崎は俺を後ろから抱きしめて大人気ない発言をした。
真っ赤になって慌てる俺と、またポカンとした顔の母と魂が抜けている明宏さん。
いかにも怒っていますという顔の優斗に向かってにこやかに手を振る龍崎を見て、これは急いで出なくてはと背中を押してリビングを出た。
俺の部屋に龍崎を押し込んだ後、ムクれた顔の龍崎にひとこと言うことにした。
「ちょっ、龍崎、おまっ…、子供相手に大人気ないぞ」
「まだ子供だけど、あの子はアルファだ。将来敵になる可能性が高い。いや、すでにライバル宣言されたからね」
「は? いつ?」
「今日は泊まるつもりなかったけど、泊まるから」
「ええ!?」
「ヨシヨシして実誠に寝かしてもらう」
「お前なぁ………」
頬を膨らませて子供の真似をしながら怒っている龍崎が、呆れながらも可愛いと思ってしまった。
「……ったく、しょうがないな」
大きな子供だと笑いながら、俺は自分の部屋のドアを閉めた。
□□□
『心配』
「どうした?」
窓の外を見ながら小さく漏らしたため息を聞き取ったのか、和幸が俺に話しかけてきた。
「んー、ほら、あそこ見て」
和幸が俺の指差す方を見て、すぐに事態を理解したようで、ああと声を出した。
校庭の隅、木々が立つ一角はあるスポットになっている。
好きな人を呼び出して告白する。
雰囲気たっぷりのそこは、告白場所として有名だった。
そこにいま、龍崎が立っている。
その前には一年のオメガの女子生徒が立っていた。
「今週何人目だ?」
「三人目……」
卒業が近くなった今のうちにということもあるのだろう。
龍崎は俺との交際をオープンにしている。
あの文化祭での告白は本当で、それから付き合うようになったと宣言した。
しかし、そのことによって比奈川と噂のあった時は諦めていたやつらが、俺が相手ならと急に勢いづいて龍崎に告白し始めたのだ。
龍崎は呼び出されたらとりあえずは顔を出して、告白をキチンと断っている。
その様子を見て他の人も諦めて欲しいと願っているが、気持ちだけ伝えたいと次から次へと後を絶たない。
「大丈夫だよ。アイツはちゃんと断るだろう」
「それは……もちろん、信じてるし……分かってるけど……」
けど、こんな光景を日常ですとは軽く思えない。
きっと、これからもこんな風に誰かに告白される龍崎を見て心配になるのだろうなと思って、一生懸命話している様子の女の子の背中を眺めていた。
「だってさ、俺は龍崎以外のフェロモンを感じないし、俺のフェロモンには龍崎以外反応しない。俺は龍崎だけだけど……アイツは違うじゃん。他のオメガの匂いも感じるし……フェロモンだって周りを惹きつけちゃうし……」
ずっと心に引っかかっていたことを、ポロリと和幸に話してしまった。
俺の特異体質は龍崎以外を感じないし寄せ付けない。
そのこと自体に不満はないが、アルファとして輝いている龍崎を見ると、ときどき不安になってしまうのだ。
あんな人を好きになってしまったのだから仕方がないことなのだろうけど……。
「……実誠、お前はまだ翔吾の恐ろしさを分かっていないな」
頑張れよと慰めてくれると思っていたのに、和幸が明後日の答えをしてきたので、何を言うのかと目をパチパチと瞬かせた。
「見てみろ、ほら」
龍崎は手を胸の前で振ってどうやら断っているようだが、女の子の方が龍崎に向かって走り出した。
まさか抱きつこうとしているのかと、俺は体がサッと冷えて青くなったが、龍崎は女の子のタックルをひらりとかわした。
手が空を切って変な格好で唖然としながら立ち尽くす女の子に向かって、龍崎は何か声をかけてから校舎の中へ戻ったようだった。
何が起きたのか、女の子は呆然と一人で立っていたが、とぼとぼと歩き出して一年の校舎へ消えていった。
しばらくして、一般クラスの住人のように龍崎が普通に入ってきて、入り口付近にいた生徒と何か話をした後、包みを手渡していた。
「ただいまー、あー疲れた」
「お……おかえり。また、あれだったの?」
「ああ、そこから見てた? 嫌になるよね。毎日毎日」
当然のように椅子を持ってきて俺の横に並べた龍崎は、いつものように俺に抱きついてクンクン匂いを嗅いできた。
「あー、生き返る。死ぬかと思った。あの女臭すぎ」
「ちょっ…龍崎」
「翔吾、さっき持ってた包みは?」
「ああ、あれ? いらないって言ったのに鞄にねじ込まれた。手作りクッキーだってさ。その場で捨ててやろうと思ったけど、泣かれると面倒だから教室で捨てようかと思って。そしたら、さっきのやつが食べたいっていうから渡してきた。よく食べられるよね、俺なら絶対吐くよ」
「龍崎……」
毒を吐きまくりの龍崎にクラリとして俺は頭に手を当てた。最近王子様の仮面が剥がれつつあるのだが、本人はそれでもいいらしい。
だんだん隠さなくなっているし、それ以上に毒づいている龍崎を周りの生徒も驚いた顔で見ていた。
そこにパタパタと足音がして、隣のクラスの比奈川が顔を出してきた。
龍崎を見つけるといたいたと言ってうちのクラスに入ってきた。
「ちょっと、翔吾。アンタ、一年の女子になんかした? 会長に死ねブスって言われたって下で大騒ぎしてたよ」
仮面剥がれすぎだろうと俺は机に頭をぶつけそうになった。
「言ったよ。だってあの女、実誠のことをバカにしたんだ。あんな地味なのと付き合うなって」
龍崎や比奈川と比べたら地味なことくらい自分でもじゅうぶん自覚している。今さらそんなことを他人に言われるのなんてどうでもいい。
それくらいでと言おうとしたら、比奈川がドンと机を叩いてきた。
「それは……聞き捨てならないな。さっきの一年、B組の子だったよね。ちょっと行ってくる」
「ええっ、比奈川…、別にいいって」
「よくない! それに最近調子に乗ってるみたいだから、久々に雷落として来ようかな」
天使のような美青年のくせに、めいっぱい悪い顔をして比奈川がニヤリと笑った。
その破壊力は強烈で俺も他の生徒も見ていて震え上がった。
ちょっとヤキ入れてくると謎の言葉を残して比奈川は颯爽と教室を出て行ってしまった。
「……比奈川は昔ちょっと荒れていたらしい。興奮するとたまに出るんだ、あれについては見なかったことにした方がいい」
「わ…分かった」
和幸には日常なのか、本を開きながら平然と解説してくれたので、俺は素直に従うことにした。
「翔吾、実誠が心配していたぞ。だいたいわざわざ見える位置でやるのは、嫉妬させたいからだろう。見え見えだ」
「えーごめんね。だって、もっと俺のことで頭がいっぱいになって欲しくて、四六時中…眠れないくらいになって欲しい」
「ばっ…こんなところで……」
和幸の指摘は本当だったらしい。
俺に嫉妬して欲しいがために、あの場所で告白を受けるなんて、龍崎の行動はまた全然理解できない。
「実誠、この男の恐ろしさが分かっただろう」
「ううっ…」
まったくその通りだ。
龍崎はいつも俺の考えを飛び越して、違う方向から顔を出してくる。
「ねー、実誠。俺は他のやつの匂いなんて気持ち悪くて嗅ぎたくもない。欲しいのは実誠だけなんだよ」
「うん……」
「変な心配なんかしないで、俺の愛をドンと受け止めてよ」
胸を張って愛なんて語る男に、今までモヤモヤしていたものが全て吹き飛ばされた。
何を悩んでいたのだろう。
龍崎だって俺と同じ、俺だけしか感じないのだ。
心配なんてする必要はない。こんなに愛されているのだから。
「うん……。あのさ、俺も翔吾って呼んでいい? 急に…呼びたくなっちゃって……」
「実誠……、もちろん! 嬉しい」
胸に熱が込み上げてきて俺は龍崎を名前で呼びたくてたまらなくなった。
龍崎は嬉しそうに笑って頷いてから、俺をぎゅっと抱きしめてきた。
「……本当、恐ろしい男だよ」
「なんか言った? 和幸」
「いんや、何も」
それから比奈川の雷が効いたのか、龍崎に告白する者はいなくなった。
照れくさくてタイミングが分からなかったが、俺もやっと翔吾と呼べるようになった。
何となく全て計算されているような気がするが、翔吾と呼ぶと龍崎の嬉しそうなニヤニヤとふやけた新しい顔が見えたので、まあいいかと思うことにした。
□□□
「番う」
「あっ……ちょっ……だめだって……」
「こんなに匂いを振りまいて……我慢できるわけない」
体がぶつかってガタンと椅子が倒れた。
そんなことはどうでもいいと、俺の制服のズボンをさっさと下ろしてしまう龍崎は止めても全然聞いてくれない。
だってここは教室で、今は卒業式の真っ最中だ。
全員体育館に集まっているので、誰一人としてここにはいないが、卒業式で俺と龍崎の席が空いていたら、みんなどういうことか想像できてしまうだろう。
俺はタイミングが悪く、卒業式の日に発情が来てしまった。
龍崎と恋人になってから、ヒートはかなり強いものになった。薬で抑えなければ一週間は激しい性衝動で体が満たされなくて苦しむことになる。
しかし今はオメガに優しい世の中。
副作用なしの抑制剤で強い薬が多数あり、それに体が合えば上手いこと抑えることができる。
俺の場合、ぴったり合うものがあって、発情期でも普通の生活を送ることは可能だった。
今朝その薬を飲んで登校したが、さすが運命の番だけあって、龍崎にはすぐに発情期だということがバレてしまった。
「実誠、今日、番うから」
「えっ……だって……」
「卒業まで待ったよ。もう我慢できない。ここに俺の実誠だって印を刻み込みたい」
「あっ……翔吾」
もう少しせめて卒業式が終わるまで待てないのかと思うのだが、俺の溢れたフェロモンにあてられて、龍崎はすっかりヒート状態に入ってしまったらしい。
はぁはぁと荒い息をしながら、目をギラつかせて俺を机の上にうつ伏せにしてきた。
「実誠、もうトロトロじゃないか。いやいや言いながら、こんなにして……」
「だっ……今、発情期だし。翔吾……触れてきたらすぐ……」
「ああ…食いたい。実誠、実誠……」
「ぬっ、はぁっぁぁ…、ほ…本当に……挿れて……」
普段なかなか準備に時間がかかるそこも、ヒート中はすぐにトロけてしまう。
それをいいことに、龍崎はいきなり後ろからぶち込んできた。
「挿入ってるよ。分かる? ここはもう、俺の形になっちゃったからね。ほら、どんどん飲み込んで……ああ……最高、熱くて気持ちよくて……すぐに出そう」
ズブズブと飲み込んだら、龍崎はゆっくりと抜き挿ししてきた。
浅いところばかり擦るので、奥が疼いてきてたまらなくなってしまった。
「はぁ…あ、あっ…、しょ…ご、きもちい……もっと、おく……ほし……」
「いい…よ、実誠は、奥好きだよね。ここ? この辺がいいの?」
「んんっ、あぁぁっ! い…いいっ、そこぉ……すき……すき」
「はっ…締めすぎっ、どっちが食べられてるのか……。実誠、噛むよ、も……噛みたくて…たまらない」
お互いの両親には付き合いを報告して、とりあえず卒業するまでは番にはならないと約束していた。
ちょっとフライングだが、まあ、これが俺達のタイミングだったのだろうと俺も心を決めた。
「んっ……、いいっ、いいよ。来て、噛んで、いっぱいいっぱい」
龍崎の熱い息がうなじに当たったと思ったら、皮膚に歯が突き立てられて容赦なく入ってきた。
「あああっ…ああ…あっ……あつい…とける……あっあああああっっ」
とてつもない快感だった。
今まで肩や背中を噛まれていたが、そんなものとは比べ物にならないくらいの快感。
そのまま達してしまい白濁を机の上にぶち撒けたが、そんなことはもうどうでもいいくらい、絶頂の波がずっと押し寄せてきた。
「おわらな……ずっと……イって……とまら……いよ……」
龍崎もまた同じだった。俺の中でビクビクと揺れていて、熱いものを放っているが、それがいつまで経っても終わらない。
どくどくと注ぎ込まれ続けて腹の中がいっぱいになりそうだ。
「実誠……まだだよ。まだ……」
「んっあああっ……」
一度口を離した龍崎だったがまたうなじにガブリと噛み付いてきた。
出し尽くしたのか俺のはビクビクと揺れて射精しているはずだが、もう何も出てこない。
熱で溶けている頭だが、やっとこれで翔吾と番になれたのだと実感して、嬉しくてたまらなくなった。
「しょ…ご……しょうご……うれしい……」
「実誠……ずっと……実誠だけだ。ずっと…愛してる」
「俺も……愛してる」
卒業式の終了を知らせる校舎の鐘が鳴った。
二人だけの卒業式をしたみたいだねと言って龍崎と笑い合った。
この後、卒業式不参加だった俺と龍崎は、教師から怒られつつ証書をもらって無事卒業が認められた。
□□□
『いつかの街角』
「すごい雪だな……これじゃ今夜は無理そうだなぁ」
「せっかく手作りケーキまで用意したのに、遅れるなら連絡くれればいいのにね。そういうところ気が利かない」
「仕方ないよ。飛行機が飛ばなかったら帰れないって言ってたから」
空から次々と落ちてくる雪があっという間に世界を白く染めていく。
夜遅くから降ると聞いていたのに、昼前には落ちてきてすぐに歩道は真っ白になってしまった。
この分だとかなり積もりそうだと思いながら、俺は雲に覆われた遠くの空を見つめた。
「だいたい恭弥も誕生日までに帰らせてあげればいいのに、こういう時まで仕事入れるんだから」
比奈川はぷくっと頬を膨らませながら怒った顔をしていた。
そんな幼い仕草も嫌味がなくて、可愛らしく見えるのは比奈川だからだろう。
華やかな色のロングコートを着こなしている比奈川は明らかに一般人には見えない。一緒に歩いていると誰もが振り返って見てくるのはもう慣れた。
比奈川はデザインの才能があり、大学卒業後、自身のアパレルブランドを立ち上げてあっという間に大人気になった。今では雑誌でも特集が組まれて、自身もモデルとなりバンバン売り上げを伸ばしている。
比奈川のパートナーである恭弥は、もともとバース性登録制の出会いアプリの会社をやっていたが、今やそれは政府公認の事業となっていた。
アプリ開発には俺のパートナーである翔吾が関わっていて、翔吾は大学を卒業後、開発チームに入ることになった。
若者の結婚離れや少子化対策として、出会いアプリは地方にも広がっていて、翔吾は日本全国忙しく駆け回って説明会や公演に引っ張りだこになっている。
何しろあの見た目なので、広告塔にはバッチリで、恭弥は何かと翔吾を利用してバンバン稼いでいる。
俺は恭弥に広報の一人として席を用意してもらったので、苦手なパソコンと格闘しながらせっせと日々の業務をこなしている。
俺と翔吾は大学入学とともにすぐに籍を入れた。
二人とも派手なことが苦手なので、少人数で結婚式をしてみんなにお祝いしてもらった。
それからずっと二人で一緒に暮らしている。
今年で結婚して七年目、今日は翔吾の誕生日。
夕方にはこっちに戻ってくると聞いていたが、この雪だ。
おそらく飛行機は欠航で帰りは明日になるだろう。
誕生日は毎年一緒に祝ってきたが、今年は特別なものになる予定だった。
「体、大丈夫? 買い物なんて付き合ってくれなくてもよかったのに……」
「大丈夫、大丈夫。まだ分かったばかりだから。一人で家にいるとソワソワしちゃうから、気が紛れて良かったよ。誘ってくれてありがとう」
「アイツ、どんな顔するかな。ただでさえうるさいのに、もっとうるさくなる気がする」
「はははっ、同感。春物のコレクション、落ち着いたらウチにも遊びに来てよ」
「うん、行く行くー。あっ、きたきた」
比奈川が道路を見ながら手を挙げた。
向こうから近づいて来た車がスッと比奈川の横で止まった。
「悪い悪い、この雪でさ、混んでて時間かかったわ」
運転席からいそいそと出てきたのは恭弥だった。今日も派手なシャツがトレードマークで、比奈川と並ぶとお互い主張が強すぎて目がチカチカしてしまう。
「送っていくよ。すぐそこじゃん」
「あー、大丈夫。ちょっと寄るところがあって。歩きでも帰れるから」
恭弥と比奈川に乗って行けと言われたが、俺は断って二人に手を振った。
車のテールランプが小さくなっていくまで見た後、俺はくるりと向きを変えて歩き出した。
朝から興奮が冷めなくて、このままだと眠れそうにない。
本当は翔吾にすぐにでも伝えて大騒ぎしたいのに、それが出来ないなら少し頭を冷やしながら落ち着こうと思っていた。
まだ信じられなくて、歩きながら色々と考えたかった。
結婚して七年、ここまで色々あった。
何度も喧嘩して仲直りして、二人でいっぱい泣いて笑って、俺にはもったいないくらいの人で、毎日が幸せで溢れていた。
そして、また一つ、新しい幸せが雪とともに舞い降りてきた。
「実誠!」
幸せ過ぎて幻聴まで聞こえてきたかと思ったら、雪をサクサクと踏みしめながら前から翔吾が走ってきた。
「え? 翔吾!? どうして……」
「一本早い便で帰ってきたんだ。実誠に早く会いたくて」
驚いて俺も駆け寄ったが、翔吾はどこから走ってきたのか息を切らしていた。
「驚かせようと思って家に帰ったのに、実誠いないから。今ドコで探しちゃった」
「あー、あれか。そういえばお前、勝手に入れてたな……」
翔吾が開発した今ドコは迷子用の対策アプリだ。これなら、実誠がどこにいるかすぐに分かると言って翔吾が笑っていたのを思い出した。
若干思うところはあるが、雪の中、急いで帰ってきてくれたので、俺は翔吾の胸に抱きついてお帰りなさいと言った。
「ただいま。あー、実誠の匂いだぁ、癒される」
「早く帰れてよかった。ケーキ作ったんだ、一緒に食べよう」
「うん、楽しみだな。チョコレートケーキで中はベリーソース、ナッツを入れてくれた?」
「あーはいはい。注文のうるさい翔吾向けのスペシャル作ってあるから」
やったぁと言って飛びながら喜ぶ翔吾を見て、おかしくて笑ってしまった。
「まったくいつまでも子供なんだから、そんなんでちゃんとパパになれるのか?」
「そりゃもちろん! 世界で一番カッコいいパパって呼ばれるように……」
得意げに胸を張っていた翔吾がピタリと動きを止めた。
大きく目を開いて俺を見てきたので、俺は分かりやすくニッと歯を見せて笑った。
「実誠……それって……」
「今朝…、検査してみて分かったんだ。ちゃんと直接伝えたくて……」
お腹に手を当てて笑った俺を見て、感極まった表情になった翔吾は目を潤ませながら俺に抱きついてきた。
「実誠……嬉しい……嬉しいよ。最高の誕生日なんだけど……」
「はははっ、泣きすぎ。ほら、ハンカチ」
早く子供が欲しいと言っていたのは俺だった。
翔吾はいつも、ゆっくりでいいよと言ってくれたけど、なかなか恵まれなかった。
街を歩く子供にすら、全く興味を見せることがなかった翔吾。
喜んでくれるかどうか、実は不安だった。
「大丈夫、世界一カッコいいパパになれるよ」
「ううっっ、頑張る」
泣き続ける翔吾を抱きしめてトントンと背中を優しく叩いた。
空からどんどん雪が落ちてきて、俺と翔吾を白く染め始めた。
「早く帰ろう」
翔吾と手を繋いで歩き出した。
降り積もった雪の上に、二人の足跡が残っていく。
小さな足跡が増えるまではあともう少し。
□end□
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こちらにも飛んで参りました。新説どたばたシンデレラ、大爆笑させていただきました。もう映像化してほしいです❣️そしてどんどんヤンな人になる翔吾に、意外に気の良いお兄さんな、恭吾、意外性のヒナくん(素の姿大好きです)そして愛でられる実誠ちゃん。脇役陣もいい動きしてくれて、舞台ラストは皆と一緒に呆気にとられました。そこまでするか、と(笑)
そして卒業式、皆「あー…」と呆れつつ、やっぱり。と思ったでしょうね。先生もお説教だけとはある意味寛大?でも、皆に祝福されたでしょうね。
唯一の懸念。優斗くん、みーちゃん番出来たから、α触ると拒絶反応出るのでは?と心配に。救済してあげてください。彼だけの愛する人を、と願ってしまいます。やっぱりめでたしめでたし、で大団円希望なので。でないと、実誠ちゃん、ベッドの住人になりそうで不安が残りますf(^_^;
でも、大好きな作品にまた出会えました。ありがとうございます。
四葩様
こちらもお読みいただきありがとうございます(^^)⭐︎⭐︎
どたばたシンデレラで遊びつつ、メイン二人のラブと脇役陣も気に入って楽しく書けた作品です。
番外編のその後では、ほっこりエンドになれたかなと思っております。
優斗に関しては、その後が気になるというお声も頂いていまして、確かに番外編からも抜けていました^^;(汗)
彼に関しては、義兄への恋心を拗らせつつ成長します。大学生になった頃、ずっと相談相手だった幼馴染のベータくんから、俺にしなよと告白され(笑)付き合うことに。一途に想ってくれていたベータくんに絆されて、やっと結ばれることに。
という設定で考えていました。いつかそのお話も書いてみたいなと思います。
優斗のおかげで私の中で義兄弟ブームがきて、テイストが違いますが、義兄弟のお話を書いたりしています。
よかったらぜひ(^^)
素敵な感想ありがとうございました。
もう素晴らし過ぎてイッキ読みしてしまった!二人が幸せそうなのが、こっちにも伝わってきて、私も幸せな気持ちになりました(*´ω`*)読んでるうちに、私も「この人と一緒にいたい」思える人に出逢いたいなと羨ましくもなってきちゃって、本当に楽しく読ませてもらいました!とても良い作品をつくって頂きありがとうございました(≧∇≦)b
銀之丞様
お読みいただきありがとうございます⭐︎⭐︎
イッキ読み嬉しいです(^^)
こちらはオメガバースの二作目でして、色々と設定を変えて楽しく書かせていただきました。
運命や愛に関して、第一話で和幸くんの言葉が全てをまとめていますが、それでも求め続けた実誠が幸せになれるのかをテーマにしております。
こちらこそ、最後まで読んでいただき本当にありがとうございます(≧∇≦)
ほっこりと幸せな気持ちになれるような作品を目指して頑張ります。
感想を残していただき、ありがとうございました。
素敵な2人のお話に夢中になりながら一気に読ませて頂きました!
運命を強く感じる2人でしたね……!
もう、これからも絶対に幸せになって欲しいです!
そして2人のお子ちゃまが生まれたあとの話もぜひぜひ読んでみたいです♪
何気に良い友人たちのキャラも大好きです´-`)
gd19880818様
お読みいただきありがとうございます。
一気読みいただき嬉しいです(^^)⭐︎⭐︎
甘酸っぱい学生編と番外編のその後まで読んでいただけて嬉しいです。
お互い思い合って幸せなエンドを目指しました。
脇役メンバーズも個性が出せていたら嬉しいです。
ほのぼの子育て編も楽しそうです。
イベントなどに合わせて書けたらいいなと思っています。
感想ありがとうございました(^^)☆彡