百談

壽帝旻 錦候

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体験談

第四話【絶叫マシーン探知機】

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私は絶叫マシーンが死ぬほど好きだ。
いや。
これは言い過ぎだ。

肉、酒、美しい物……
それらの次に、絶叫マシーンが好きだ。

何故かって?
吹き抜ける風。
フワリと浮かぶ体。
そして、周りの“絶叫”

なんとも面白いではないか!

そんな私は、絶叫マシーンに乗っている最中、時々“変”な音を聞く。



“ギィィィィィィィィィィ”という歯ぎしりのような奇妙な音を……


最初にその音を聞いたのは、M県にある遊園地での事。
まだ小学生だった私は、その音が耳触りで、ようやく乗れるようになったジェットコースターだったのに、一回乗っただけで駄々をこねて帰った。

その一週間後。
そこでジェットコースターが脱線し、落ちて、死亡者も出た。

それからまた、同じ遊園地で、違うジェットコースターを乗った時、またもや、同じような出来事があり……

前回同様、一週間後、事故が起こる。


K県のパラダイス
T県の夢の国
M県の別の遊園地でも、その音が聞こえる乗り物は、必ず事故を起こした。

そして、社会人になってからは海外でも……


その時は家族全員が同じ音を聞き、その時点で、“ここは絶対何かある……”と思い、その遊園地では、あまり楽しめずに違う観光地へと移動し、そして帰国した。
帰国した当日の夕方のニュースで、その遊園地の例の乗り物は半壊し、やはり死亡者が出ていた。

それ以来、私はあの音を聞いていない。

それもその筈。
ここ数年は忙しすぎて、休みの日は専ら、癒し旅が中心になり、中々遊園地に行く機会も無いのだが……

多分、来年か再来年辺り、大きな休みを取って行こうと思っている所がある。

もし。
もしもだ。

世界的にも有名なアソコで、あの“音”が聞こえたら……


その時は……



そう思うと私が乗る絶叫マシーンは、ある瞬間に、絶命マシーンへと変わるのだろう。


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