百談

壽帝旻 錦候

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建物

第七話【鉄塔】

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誰だっけ?

「幽霊なんてプラズマだ!」とか「微弱な電波」だとか。
そんな事言ってた研究者、いたよね?

あれ。
マジかもよ?

だってさ。
ほら!
見てごらんよ!

電波塔や送電線鉄塔!

あそこに溜まっている“蠢く物”。

あれって……
まさしく“アレ”でしょう?

やっぱ、幽霊も個々に違う電磁波とか電波とか持ってるのかなぁ?

だってさぁ……
あ!
ほら!
今、いくつかが離れて、他のヤツがくっついた!

ね?
見たでしょ??
流れる電圧。
流れる電流。
流れる波長によって、集まって来るものが違うもん!

ね!
よく見てごらんよ!
え?
そんなの見えない?
まさかぁ。
ほら。
私の手を握ってよ。

あら?
何震え出してるの?

あぁ。
そうか。
人間にも微弱に電気が流れてるんだっけ?

あなたの電流と、アレらとの相性が悪いから今まで見えなかったんだ!

ちょっとぉ!
いきなり手を振りはらわないでよ!
乱暴ねぇ。

あぁ!
また、あの鉄塔に群がってきたわぁ。
下手なマジックショーや、イル―ジョンを見ているよりも、よっぽどか面白いのに……

なんていうの?
あ!
幽霊がいるージョン!
なぁんちゃって!

ちょっとぉぉ!
何、変な顔で見つめてんのよ!
下手なダジャレ言って、悪かったわね!

はぁ??
あそこの送電線鉄塔を見ろぉ?

おぉぉぉぉ!
霊が沢山居る見ネーション!

って。
あなたも見れるようになったの?

あぁ。
そっか。
電波塔や送電鉄塔の近くって、かなりの電磁波を浴びる事になるもんねぇ。
あなたの体質も変わったって訳か。

ほんと。
電磁波で頭が痛くなったり、アレルギーが出たり、ノイローゼになったり……色々言われているけれど、この“体質変化”が一番キテるんだよねぇ。

ねぇ。
今まで見えなかった物が、見えるようになるのってさ……





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