百談

壽帝旻 錦候

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家具

第四話【勉強机】

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うちのママは、学校から帰ったら、おやつよりも何よりも先に、「宿題しなさい!」「予習しなさい!」とガミガミうるさい。
だから、すぐに階段を駆け上がり、勉強机に向かうの。

でもね。
わたしは、自分の勉強机が嫌い。

何故かって?
ほら?
みてみて!
これが、私の勉強机。

え?
高そうな机?

そうみたいね。
なんだか、見栄っ張りのママが、アンティーク家具屋で買ったみたい。

そんな事より……
これ!
ここ見て!
ほら!
机の前!
机の前に棚がくっついているんだけど、その棚に鏡までついてるの。

え?
その方が実用的?
なんでよ!
別に、髪の毛なんてママがやってくれるし、鏡なんて、こんな所に必要ないじゃない!

あぁ。
まぁ、高校生にでもなれば、必要なのかもね。

でも、そうじゃないんだって!

この鏡のせいで、なんか、勉強していても、その様子を覗かれているような……
視線を感じるような……

で、思わずバッ! と顔を上げると、鏡のお陰で、自分と、ごた~いめ~ん。

その度にガックリ拍子抜け。

でも、また、下を向いて、真剣に勉強していると……感じるのよ。


“視線”を。


ま!
結局はこの、“備付の鏡”のせいなんだけどね。

あれ?
どうしたの?
顔色が悪いわよ?

は?
視線?

だから!
その視線は、鏡に映った自分の顔のせいなんだってば!

……え?
あぁ。
そうか……
そうだよね……
考えてみたら……
そうなんだよね……

私、視線を感じている時は……下を見ているよね……

鏡に、私の顔が映ってる筈……ないじゃん……ね……



じゃぁ。



あの“視線”は……誰のもの?


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