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【第二章・叛 逆 の 双 星】

Ж-36 漠 た る 光 芒 ~Darker Than Darkness~ ③

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「慧眼なる御明察、 真に感服の至り。
その可能性は少なく見積もっても3割以上だと推察されます。
流石に目立ち過ぎましたし冒険者の中には実力差も顧みず
襲い掛かって来る者が後を絶ちません。
この “深淵” なら尚更の事でしょう」

 前置きと解っているが若干早く喋ろうとし過ぎだな、
意見を統合するまで結論は出さぬというのを仕草で伝える。
聡明な者は疎通が速いので助かる。

「故に、我等を 「野放し」 にするのは、 アナタにとって不利益となりましょう。
情報を漏らすつもりは毛頭ありませぬが、
仲間の命が掛かったらソレは絶対ではなくなります。
コレは 「威し」 でも 「取り引き」 でもなく明確なる事実です。
アナタも冒険者の 「動向」 を探る為に集落から出てきたのでしょう」

「まさかと想うが、 Aランのヤツとか来るとマジィな。
ハーフ・エルフは寿命も長いし、
『特性』 が無い分、 何でも器用にソツなくこなす。
奴隷としちゃあ最適だ。 一回のクエスト仕事と考えるなら
相当な 「稼ぎ」 だってのは間違いねぇ。
闇ルートとのコネも出来るだろうしよ」

 カリム氏が推論に補足した。
 正直口中を軋らせるには充分な理由だったが
私情に走っても何にもならぬ。
 しかしそうなると 「選択肢」 は限られてくるか。
 取り込むか、 切るか、 現実的に後者にせざる負えないようだが。

「よって、 完全に情報を遮断したいのならば、
私達もその 「集落」 に身を寄せるしか現状すべが無いかと想われます。
場所が解らないモノの情報を、 場所が解らない所に居る者から得ようとしても
不可能でしょう。 不本意でありましょうがソレが確実かと存じます
故に――」

 その 「要求」 を私が呑む事は在り得ない、
解っているが故に意表を突いた、
魔道具 “泡沫サッズ” から彼女が取り出したモノは。 

「 “隷属の首輪” です。 小規模ですがハーフ・エルフ以外の奴隷商人を討伐する
クエストの際に手に入れました。
使っている素材や込められている魔導を解析してみたかったからです」

 所々赤錆びた、 粗雑な造りの金属製の首輪。
 犬の首輪でももう少しマシであろう。
中央部に付けられた鎖を通す輪が、
擦れて摩耗した痕と相俟って底知れぬ悪意を感じさせる。


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