ビジョン

7

村上ミライと斉藤ヒロは、二人でカフェにいた。
｢タイムスリップしよう｣
突然の村上の言葉に斉藤はびっくりした。
｢どうして？｣
｢過去に戻れば、さえを助けられるかもしれない。｣
｢たしかにな。
でも、先生の話だと希望の場所に行けるかどうかはわからないっていってたじゃねーか｣
｢場所じゃなくて時間な。
たしかにそうかもしれない。
でも、体内の成分と記憶が関係してるんだ。
俺は何度もあの時の夢を見る。思いが強い記憶とは結び付きが強いんじゃないかな｣
｢じゃ、あのときに戻れると？｣
｢たぶんな｣
｢でも、先生の仮説がどれだけ信用できるかわからない。しかも、"今"に戻れるかもわからないんだよ？｣
｢でも、救わないと｣
斉藤は首を振る。
｢もう終わったことだ。
もうあの事件は過去なんだよ。
前に進めっていってるじゃねーか。
忘れろよ｣
｢いや...｣
｢そんな余計なこと考えてないで、前に進めって。これから先の未来で、誰も傷つけないようにしろ。｣
｢そうだけど｣
｢これから先だれか傷つけたら許せねーよ？
タイムスリップはたしかにちょっと興味ある。
でも、そっちはまず練習が必要だ｣
｢わかったよ｣
斉藤の前で事件を起こしたらただじゃ済まなそうだな。
｢とりあえず、お前は先の事だけ考えてろ。それが優先だ。
タイムマシンについてはゆっくり進めよう｣
｢OK｣

そして、二人はタイムマシンについての作業を始めることにした。
斉藤はいった。
｢とりあえず、あのマシンを盗みだそう｣
｢わかった。それは、俺がやる。
お前は空の注射器を用意してくれ。
俺が血を抜けるようなやつだ｣
｢了解｣

村上は何か嫌な予感がした。
先がはっきり読めるわけではないが、
妙な胸騒ぎがするのだ。
何かが、起こる。