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第3章

81話 決着

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決着


魔族の男は、走りながら前進を霧状の何かに変える。きっとこれが疫病なのだろう。固体として存在しないものなのでオルフェウスが得意とする物理攻撃は全く効かない。その上、ディアーナのように浄化の魔法が使えるわけでもない。
完全に不利にも思える状況だがそれはいい意味で裏切られることとなる。

「“侵蝕”」
オルフェウスがそう呟いたと同時に男の霧のような体が黒く何かに侵されていった。
「何をした。」
男の声と表情には、さっきまでの自信満々な様子はなく何かに必死に耐えるそんな状態であった。

「敵に、教える必要はないですがいいでしょう。お教えしますよ。これは悪魔法の1つ“侵蝕”です。あなたの体は今少しずつ私に侵蝕されています。力も命も何もかも蝕まれている状態です。残り数分の命をごゆっくりどうぞ?」
オルフェウスは確かに物理攻撃を得意としている。だが、決して魔法が使えないわけではない。そして、不得意というわけでもなかった。魔法を使うより動いた方が早く敵を倒せるただそれだけのことだった。その事を一度対峙しただけなのに勘違いしていた男は、とても哀れなものだろう。

「こうなったら、ここら辺一帯を病原体だらけにしてやる。」
男は、そういうとものすごい音と勢いで破裂した。

「あぁ、やられてしまいましたか...
ですが、そんなことしたって全く意味ないんですよ?主のことをナメすぎですよ。それに、病というのは一時的なもの。恐怖し、恐れる者も多いのが事実です。見えない何かに侵蝕されているのと同じですからね。でも、人間というのは儚く哀れで醜い生き物なんです。だれかを犠牲にして誰かを土台にして今を生きているんです。そんな人間たちが病ごときにやられるはずがないでしょう。まぁ、聞こえてないでしょうけど。...さて、残りの疫病シリーズも消しに行きますか。」
オルフェウスは、ディアーナに現在地を伝え浄化をしてもらう。
そのまま、夜の闇へとまた消えていった。


ディアーナside

「全く、オルフェウスは人使いが荒いわね。まぁ、シオン様のために働きますか。」
疫病が発生した村の真上までやってきたディアーナはすぐさま浄化をする。
さすがに、村といえど大きさはそこそこのもので魔力を思ったより持っていかれてしまった。
「一人じゃ厳しいか。」
【みんな、集いなさい。】
ことばに魔力をのせ発すると次の瞬間にはたくさんの天使たちが現れた。
「「「「「只今参りました。」」」」」

ディアーナを囲むように天使たちは首を垂れる。
「楽にしてちょうだい。この国で今疫病が発生しているみたいなの。だから、見つけ次第浄化をかけてほしいの。お願いしてもいいかしら?」
神級天使からのお願い、それはすなわち命令である。

「「「「「かしこまりました。」」」」」
一糸乱れ動きは見る者たちを魅了していくだろう。見ている者がいるのであればの話だが。
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