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第2章
26話 アリティアの怒り
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アリティアの怒り
アリティアは今王宮に来ていた。
「ステレミオ侯爵に用があってきたの。入ってもよろしいかしら。」
ステレミオ侯爵とは、エドモンド・ステレミオといいアリティアの実の親であり、この国の重鎮である。アリティアは、ドアの前にいる騎士にそう告げノックをして返事があったため入室した。
「ステレミオ侯爵。お話がありますわ。」
「なんだ。アリティアか。どうした。今日は休みではなかったか。」
エドモンドは先ほどあった出来事のせいで仕事に追われており、アリティアに一瞬目を向けたもののすぐに書類に目を戻した。
「ステレミオ侯爵?私は、今貴方の娘としてではなく公爵夫人としてきているのだけど。」
父親に対する態度ではないが爵位的には公爵家であるアリティアの方が上にあたるためこの態度は別段おかしいことではない。
「はぁ、どうされました?エヴァンズ公爵夫人。」
エドモンドは、機嫌の悪そうにそう聞いた。
「こちらにも届いていると思いますけど、王家が襲われたあの魔物の事でいろいろ聞きたくて来たのだけど教えていただいてもいいかしら。そうねぇ、出来れば騎士のとこの責任者も含めて。」
有無を言わせないといった態度に仕方なく頷くエドモンドであった。
「それじゃあ、私の仕事部屋に移りましょうか。その前に、騎士団の宿舎によりますがよろしいですよね。」
これも嫌といえるものではなく、ついていくことしかできなかった。
「かしこまりました。ただいま伝えてまいります。」
「お願いね。私の部屋まで来るように。」
アリティアは、騎士の1人にそうお願いして自室へと向かって歩き出す。もちろん、エドモンドも一緒に。
アリティアとエドモンドが部屋に着き少しするとノックの音がした。
「入ってかまわないわよ。」
「失礼いたします。」
そう言って、1人の騎士と思われる男が入室した。
「本日は、どのようなご用件で。」
「陛下たちが襲われたのは知っているわよね。」
アリティアの目が鋭くなる。この最後に入室した男は、近衛騎士団団長のローガンであり、この国の騎士のナンバーツーであった。
「それは、緘口令が敷かれていたはずでは?なぜそれをアリティア夫人がご存じなのでしょう。」
ローガンは、探るような視線をアリティアに向ける。その向けられた視線に不快感を覚えたアリティアは、ローガンに冷たい視線をおくり答える。
「貴方たち騎士が失態を犯してしまったからね。そのせいで、エミリアの息子が...いえ、私の息子に被害が出たのよ。意味がお分かりで?」
「!?」
「ま、まさか...」
エドモンドとローガンは、開いた口が塞がらなかった。
「聞いていないわけないわよね。陛下たちを助けたのが息子のシオンよ。騎士達も全員助けたみたいじゃない。そのせいで本人は、MPが枯渇。倒れて目を覚まさない状態よ。理解できるわよね。どう責任を取ってくれるのかしら?」
2人は、何も発することが出来ない。アリティアは社交界で高い発言力を持っており、王妃とも旧知の仲で知られている。それに加えて、アルフレッドとエミリアの間に生まれた子がそんな状態になっている。そんな現状に、何を言えるだろうか。
「まぁ、今貴方方を咎めたところで何も変わらないから話を変えましょうか。ステレミオ侯爵?最近貴族派が動き出していることはわかっていたのではなくて?それが分かっていたのにこのような事態になることは考えていなかったのかしら。それから、騎士団長。騎士たちの練度が低いのではないかしら。誰が、護衛に決めたのか知らないし興味もないけど人選ぐらいはしっかりした方がいいのでは?」
何も言い返すことが出来ずただただうつむいているだけであった。
「それで、こんな状態になっているけど貴方たちはどのように考えているのかしら。教えてくださる?」
この場は、アリティアの独壇場である。2人ともいろいろな経験をしていて場数を踏んでいるのにも関わらず何も発することが出来ない。それほど、アリティアが本気になっている証拠だった。
「はぁ、もういいわ。ここにいるだけ時間の無駄のようね。これだけは、覚えておいて、もしあの子に何かあった時貴方たちはこの国どころかこの大陸にある国には住めないようになると思うから覚悟しておくといいわ。それから、今回の件は全部調べ上げて報告して頂戴ね。」
そう言って、アリティアは部屋から出ていった。出ていった後も、2人はちかく動くことが出来なかった。
アリティアは今王宮に来ていた。
「ステレミオ侯爵に用があってきたの。入ってもよろしいかしら。」
ステレミオ侯爵とは、エドモンド・ステレミオといいアリティアの実の親であり、この国の重鎮である。アリティアは、ドアの前にいる騎士にそう告げノックをして返事があったため入室した。
「ステレミオ侯爵。お話がありますわ。」
「なんだ。アリティアか。どうした。今日は休みではなかったか。」
エドモンドは先ほどあった出来事のせいで仕事に追われており、アリティアに一瞬目を向けたもののすぐに書類に目を戻した。
「ステレミオ侯爵?私は、今貴方の娘としてではなく公爵夫人としてきているのだけど。」
父親に対する態度ではないが爵位的には公爵家であるアリティアの方が上にあたるためこの態度は別段おかしいことではない。
「はぁ、どうされました?エヴァンズ公爵夫人。」
エドモンドは、機嫌の悪そうにそう聞いた。
「こちらにも届いていると思いますけど、王家が襲われたあの魔物の事でいろいろ聞きたくて来たのだけど教えていただいてもいいかしら。そうねぇ、出来れば騎士のとこの責任者も含めて。」
有無を言わせないといった態度に仕方なく頷くエドモンドであった。
「それじゃあ、私の仕事部屋に移りましょうか。その前に、騎士団の宿舎によりますがよろしいですよね。」
これも嫌といえるものではなく、ついていくことしかできなかった。
「かしこまりました。ただいま伝えてまいります。」
「お願いね。私の部屋まで来るように。」
アリティアは、騎士の1人にそうお願いして自室へと向かって歩き出す。もちろん、エドモンドも一緒に。
アリティアとエドモンドが部屋に着き少しするとノックの音がした。
「入ってかまわないわよ。」
「失礼いたします。」
そう言って、1人の騎士と思われる男が入室した。
「本日は、どのようなご用件で。」
「陛下たちが襲われたのは知っているわよね。」
アリティアの目が鋭くなる。この最後に入室した男は、近衛騎士団団長のローガンであり、この国の騎士のナンバーツーであった。
「それは、緘口令が敷かれていたはずでは?なぜそれをアリティア夫人がご存じなのでしょう。」
ローガンは、探るような視線をアリティアに向ける。その向けられた視線に不快感を覚えたアリティアは、ローガンに冷たい視線をおくり答える。
「貴方たち騎士が失態を犯してしまったからね。そのせいで、エミリアの息子が...いえ、私の息子に被害が出たのよ。意味がお分かりで?」
「!?」
「ま、まさか...」
エドモンドとローガンは、開いた口が塞がらなかった。
「聞いていないわけないわよね。陛下たちを助けたのが息子のシオンよ。騎士達も全員助けたみたいじゃない。そのせいで本人は、MPが枯渇。倒れて目を覚まさない状態よ。理解できるわよね。どう責任を取ってくれるのかしら?」
2人は、何も発することが出来ない。アリティアは社交界で高い発言力を持っており、王妃とも旧知の仲で知られている。それに加えて、アルフレッドとエミリアの間に生まれた子がそんな状態になっている。そんな現状に、何を言えるだろうか。
「まぁ、今貴方方を咎めたところで何も変わらないから話を変えましょうか。ステレミオ侯爵?最近貴族派が動き出していることはわかっていたのではなくて?それが分かっていたのにこのような事態になることは考えていなかったのかしら。それから、騎士団長。騎士たちの練度が低いのではないかしら。誰が、護衛に決めたのか知らないし興味もないけど人選ぐらいはしっかりした方がいいのでは?」
何も言い返すことが出来ずただただうつむいているだけであった。
「それで、こんな状態になっているけど貴方たちはどのように考えているのかしら。教えてくださる?」
この場は、アリティアの独壇場である。2人ともいろいろな経験をしていて場数を踏んでいるのにも関わらず何も発することが出来ない。それほど、アリティアが本気になっている証拠だった。
「はぁ、もういいわ。ここにいるだけ時間の無駄のようね。これだけは、覚えておいて、もしあの子に何かあった時貴方たちはこの国どころかこの大陸にある国には住めないようになると思うから覚悟しておくといいわ。それから、今回の件は全部調べ上げて報告して頂戴ね。」
そう言って、アリティアは部屋から出ていった。出ていった後も、2人はちかく動くことが出来なかった。
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