22 / 105
俺の彼氏がバースデイ
(2)-1
しおりを挟む
そもそも、俺が俺の誕生日祝いが苦手だと思ったのは、小学生の頃からだ。
けれど、それが顕著になったのは高校生の頃。
「雪くん、誕生日何が欲しい?」
そう決まって聞くのはいつも女子で、俺は少々うんざりとしていたと思う。
当時から俺の周りには何故か人が絶えなくいて、それがいわゆる陽キャ認定されているせいだと知ったのは中学にあがってからだった。
学校に行けば必ずと言っていいほど囲まれ、周りからはハーレムだのなんだの言われるが、当の本人は望んでもいない環境に疲れていたのだろう。
クラスメイトが受験する確率が低い高校をさり気なくリサーチし、どこの高校に行くのかと聞かれればどこだろうね?と上手く誤魔化し、ようやく心機一転できると入学した高校。
俺の夢の学園生活は早々にして失われることになった。
甘く見ていたのだ、隣のクラスメイトが受ける確率をすっかり見落としていた。
「俺、同じ中学だった小野!南沢だよな?」
まるで数年前に流行ったオレオレ詐欺かというように、俺、俺のオンパレード。
正直なところ、絶望しかなかった。
俺という人間は明るそうに見えて本当は、それなりに静かに過ごしたいタイプなのだ。
この赤茶色の無駄にふわふわした祖父譲りの髪の毛のせいなのか、無駄に場を盛り上げてしまいがちな性格のせいなのか、いずれにしても自分という存在を恨んだのはその時が初めてだった。
けれど、榊と出会って高校で再開して、ベタだがこれは運命だと思ったあの頃から少しずつ俺の日常が変わっていっていた。
まさかの祭りは俺のテンションを上げたり下げたりと忙しくはあったが、それでも榊と二人で花火を見上げられたことは涙が滲むほどに嬉しかった。
それからの夏休みも、物静かな榊との時間はまるで世界に二人だけが取り残されたようで、もうこのままここで死んでもいいと思ってしまうほど、心から幸せというものを感じていた。
なのに結局、と自傷気味に笑うしかない現実を俺は今、目の前にしていた。
けれど、それが顕著になったのは高校生の頃。
「雪くん、誕生日何が欲しい?」
そう決まって聞くのはいつも女子で、俺は少々うんざりとしていたと思う。
当時から俺の周りには何故か人が絶えなくいて、それがいわゆる陽キャ認定されているせいだと知ったのは中学にあがってからだった。
学校に行けば必ずと言っていいほど囲まれ、周りからはハーレムだのなんだの言われるが、当の本人は望んでもいない環境に疲れていたのだろう。
クラスメイトが受験する確率が低い高校をさり気なくリサーチし、どこの高校に行くのかと聞かれればどこだろうね?と上手く誤魔化し、ようやく心機一転できると入学した高校。
俺の夢の学園生活は早々にして失われることになった。
甘く見ていたのだ、隣のクラスメイトが受ける確率をすっかり見落としていた。
「俺、同じ中学だった小野!南沢だよな?」
まるで数年前に流行ったオレオレ詐欺かというように、俺、俺のオンパレード。
正直なところ、絶望しかなかった。
俺という人間は明るそうに見えて本当は、それなりに静かに過ごしたいタイプなのだ。
この赤茶色の無駄にふわふわした祖父譲りの髪の毛のせいなのか、無駄に場を盛り上げてしまいがちな性格のせいなのか、いずれにしても自分という存在を恨んだのはその時が初めてだった。
けれど、榊と出会って高校で再開して、ベタだがこれは運命だと思ったあの頃から少しずつ俺の日常が変わっていっていた。
まさかの祭りは俺のテンションを上げたり下げたりと忙しくはあったが、それでも榊と二人で花火を見上げられたことは涙が滲むほどに嬉しかった。
それからの夏休みも、物静かな榊との時間はまるで世界に二人だけが取り残されたようで、もうこのままここで死んでもいいと思ってしまうほど、心から幸せというものを感じていた。
なのに結局、と自傷気味に笑うしかない現実を俺は今、目の前にしていた。
2
お気に入りに追加
85
あなたにおすすめの小説
孤狼のSubは王に愛され跪く
ゆなな
BL
旧題:あなたのものにはなりたくない
Dom/Subユニバース設定のお話です。
氷の美貌を持つ暗殺者であり情報屋でもあるシンだが実は他人に支配されることに悦びを覚える性を持つSubであった。その性衝動を抑えるために特殊な強い抑制剤を服用していたため周囲にはSubであるということをうまく隠せていたが、地下組織『アビス』のボス、レオンはDomの中でもとびきり強い力を持つ男であったためシンはSubであることがばれないよう特に慎重に行動していた。自分を拾い、育ててくれた如月の病気の治療のため金が必要なシンは、いつも高額の仕事を依頼してくるレオンとは縁を切れずにいた。ある日任務に手こずり抑制剤の効き目が切れた状態でレオンに会わなくてはならなくなったシン。以前から美しく気高いシンを狙っていたレオンにSubであるということがバレてしまった。レオンがそれを見逃す筈はなく、シンはベッドに引きずり込まれ圧倒的に支配されながら抱かれる快楽を教え込まれてしまう───
平凡な男子高校生が、素敵な、ある意味必然的な運命をつかむお話。
しゅ
BL
平凡な男子高校生が、非凡な男子高校生にベタベタで甘々に可愛がられて、ただただ幸せになる話です。
基本主人公目線で進行しますが、1部友人達の目線になることがあります。
一部ファンタジー。基本ありきたりな話です。
それでも宜しければどうぞ。
いっぱい命じて〜無自覚SubはヤンキーDomに甘えたい〜
きよひ
BL
無愛想な高一Domヤンキー×Subの自覚がない高三サッカー部員
Normalの諏訪大輝は近頃、謎の体調不良に悩まされていた。
そんな折に出会った金髪の一年生、甘井呂翔。
初めて会った瞬間から甘井呂に惹かれるものがあった諏訪は、Domである彼がPlayする様子を覗き見てしまう。
甘井呂に優しく支配されるSubに自分を重ねて胸を熱くしたことに戸惑う諏訪だが……。
第二性に振り回されながらも、互いだけを求め合うようになる青春の物語。
※現代ベースのDom/Subユニバースの世界観(独自解釈・オリジナル要素あり)
※不良の喧嘩描写、イジメ描写有り
初日は5話更新、翌日からは2話ずつ更新の予定です。
【完結】運命さんこんにちは、さようなら
ハリネズミ
BL
Ωである神楽 咲(かぐら さき)は『運命』と出会ったが、知らない間に番になっていたのは別の人物、影山 燐(かげやま りん)だった。
とある誤解から思うように優しくできない燐と、番=家族だと考え、家族が欲しかったことから簡単に受け入れてしまったマイペースな咲とのちぐはぐでピュアなラブストーリー。
==========
完結しました。ありがとうございました。
愛を注いで
木陰みもり
BL
拗らせ系喫茶店マスターとちょっと冴えないサラリーマンのラブストーリー
ある夏のはじめ、いつもの道に、新しい喫茶店を発見したサラリーマンは、喫茶店に引き寄せられるまま扉を開ける。そこにはとても可愛らしい青年がいて…
愛されたい、愛したい
過去の言葉に縛られた2人の、不器用な恋模様
空っぽのカップに、愛を注いでーー
★続きは書いている途中です
倫理的恋愛未満
雨水林檎
BL
少し変わった留年生と病弱摂食障害(拒食)の男子高校生の創作一次日常ブロマンス(BL寄り)小説。
体調不良描写を含みます、ご注意ください。
基本各話完結なので単体でお楽しみいただけます。全年齢向け。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる