俺の彼氏

ゆきの(リンドウ)

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俺の彼氏がバースデイ

(2)-1

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 そもそも、俺が俺の誕生日祝いが苦手だと思ったのは、小学生の頃からだ。
 けれど、それが顕著になったのは高校生の頃。

「雪くん、誕生日何が欲しい?」
 そう決まって聞くのはいつも女子で、俺は少々うんざりとしていたと思う。
 当時から俺の周りには何故か人が絶えなくいて、それがいわゆる陽キャ認定されているせいだと知ったのは中学にあがってからだった。
 学校に行けば必ずと言っていいほど囲まれ、周りからはハーレムだのなんだの言われるが、当の本人は望んでもいない環境に疲れていたのだろう。
 クラスメイトが受験する確率が低い高校をさり気なくリサーチし、どこの高校に行くのかと聞かれればどこだろうね?と上手く誤魔化し、ようやく心機一転できると入学した高校。

 俺の夢の学園生活は早々にして失われることになった。
 甘く見ていたのだ、隣のクラスメイトが受ける確率をすっかり見落としていた。

「俺、同じ中学だった小野!南沢だよな?」
 まるで数年前に流行ったオレオレ詐欺かというように、俺、俺のオンパレード。
 正直なところ、絶望しかなかった。
 俺という人間は明るそうに見えて本当は、それなりに静かに過ごしたいタイプなのだ。

 この赤茶色の無駄にふわふわした祖父譲りの髪の毛のせいなのか、無駄に場を盛り上げてしまいがちな性格のせいなのか、いずれにしても自分という存在を恨んだのはその時が初めてだった。
 けれど、榊と出会って高校で再開して、ベタだがこれは運命だと思ったあの頃から少しずつ俺の日常が変わっていっていた。
 まさかの祭りは俺のテンションを上げたり下げたりと忙しくはあったが、それでも榊と二人で花火を見上げられたことは涙が滲むほどに嬉しかった。

 それからの夏休みも、物静かな榊との時間はまるで世界に二人だけが取り残されたようで、もうこのままここで死んでもいいと思ってしまうほど、心から幸せというものを感じていた。
 なのに結局、と自傷気味に笑うしかない現実を俺は今、目の前にしていた。
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