102 / 167
魔剣使いの闘い~サンダース編
ep102 もうひとりの者
しおりを挟む
「魔法剣士カレン。提案がある」
「なんだと?」
「簡潔に言う。敵の敵は味方だろ?」
「〔フリーダム〕は共通の敵と言いたいのか?」
「俺が〔フリーダム〕に与することはありえないし、あんたたちもそれはありえない。ならやることはひとつだ。共闘してヤツを倒す」
「......」
「それが街や市民への被害を最小限に抑えることにもつながる。違うか?」
「それはそうだが......わかった。いいだろう」
「よし。じゃあ今のうちにひとつ情報を共有しておく。キラースと魔物以外にも一人、強力な敵がいる。おそらくそろそろここへ来るだろう」
「他にも強力な敵?」
ちょうどその時だ。
「!!」
俺とカレンは同時にピクッとして上空を見上げる。
「あれは!」
カレンが声を上げた時、それは俺たちに向かって一斉にバババババッ!と降り注いできた。
闇の魔力を纏いし黒き矢の暴雨が!
「特殊技能〔ニュンパグレイズ〕」
俺は少しも慌てない。
もはやこの攻撃は完全に見切っている。
さも当たり前のように、あたかもそれが事前にわかっていたかのように、俺は技を発動した。
「シィィィィィッ!!」
斬閃の弾幕が黒矢の雨あられをひとつ残らず斬り消した。
が、まだ敵の攻撃の手は緩まない。
「!」
今度は背後から俺たちへ迫り来る脅威を察知する。
即座にバッと振り返った俺は再び技の体制に入ろうとするが、すでにカレンが一歩踏み出して動作に入っていた。
「......給へ。
〔アルカーナ・フランマ〕
固有技能〔魔動炎閃〕」
炎剣が唸る。
それは炎のうちに俺たち二人を狙った黒き矢をゴァァァッ!と薙ぎ払った。
「はやい!」
スピードにはとりわけ自信があった俺も素直に認めざるをえない疾さ。
くわえてさらに彼女は放つ。
「固有技能〔魔炎発閃〕」
それは炎の魔力を帯びた見事な〔発閃〕。
炎光ほとばしる衝撃波が敵に向かいゴォォォォッ!と風を切って疾る。
「!」
敵をとらえたかに見えた。
しかし、炎の〔発閃〕は一瞬の流れ星のように彼方へと消えていってしまう。
すなわち、躱されたということ。
「......なかなか危なかった。はやいな」
視線の先、数十メートル隔てた建物の屋根上に、闇を纏った女がゆらりと現れた。
「今さっきお前が言った強力な敵とやらはあれか?」
カレンが尋ねてきた。
「ああ。あのダークエルフだ」
俺はここからの展開を考えつつ答えた。
「魔剣使い。オマエ、いったいどうやったんだ?」
今度はダークエルフか俺に訊いてきた。
「〔空間転移〕のことを言っているのか?まっ、それ以上のことは企業秘密だが」
「......闇の結界内に閉じ込めたはずなのに、それをあたかも布を切く裂くかのように剣で斬り開いて...そのうえ空間転移......オマエは本当に何者なんだ?」
「俺からすればお前のほうがよくわからないが」
「は?」
「お前は〔フリーダム〕とどういう関係なんだ?」
俺が逆にダークエルフへ質問を投げかけた時。
「オイ!エレサ!オメーはなにチンタラお喋りしてんだぁ!?」
上空からキラースの怒鳴り声が降ってきた。
「き、キラース。す、すまない。仕留めることも、足止めすることもできなかった」
ダークエルフは途端にびくんとしておずおずと彼を見上げて返事した。
「それでもダークエルフなのかぁ?オメーはよ。役立たずの出来損ないエルフが」
「す、すまない」
「いいか?もう一度だけチャンスをやる。今ここで魔剣使いを殺せ。それと魔法剣士のほうは半殺しでいい」
「わ、わかった」
「オメーにゃ荷が重いか?なんなら市民の虐殺で許してやってもいいぜ?」
「いや!魔剣使いと魔法剣士を倒す!必ず!」
「ならさっさとやれ、クソエルフ」
二人のやり取りを見るに......やはりダークエルフはキラースの部下のようだ。
だが、ダークエルフは〔フリーダム〕ではないと言っていた。
それは、ちょうどシヴィスとトレブルたちの関係と同様のものだろうか。
いや、どうもそれとも違う、もっと悪質な何かを感じるが......。
「なんだと?」
「簡潔に言う。敵の敵は味方だろ?」
「〔フリーダム〕は共通の敵と言いたいのか?」
「俺が〔フリーダム〕に与することはありえないし、あんたたちもそれはありえない。ならやることはひとつだ。共闘してヤツを倒す」
「......」
「それが街や市民への被害を最小限に抑えることにもつながる。違うか?」
「それはそうだが......わかった。いいだろう」
「よし。じゃあ今のうちにひとつ情報を共有しておく。キラースと魔物以外にも一人、強力な敵がいる。おそらくそろそろここへ来るだろう」
「他にも強力な敵?」
ちょうどその時だ。
「!!」
俺とカレンは同時にピクッとして上空を見上げる。
「あれは!」
カレンが声を上げた時、それは俺たちに向かって一斉にバババババッ!と降り注いできた。
闇の魔力を纏いし黒き矢の暴雨が!
「特殊技能〔ニュンパグレイズ〕」
俺は少しも慌てない。
もはやこの攻撃は完全に見切っている。
さも当たり前のように、あたかもそれが事前にわかっていたかのように、俺は技を発動した。
「シィィィィィッ!!」
斬閃の弾幕が黒矢の雨あられをひとつ残らず斬り消した。
が、まだ敵の攻撃の手は緩まない。
「!」
今度は背後から俺たちへ迫り来る脅威を察知する。
即座にバッと振り返った俺は再び技の体制に入ろうとするが、すでにカレンが一歩踏み出して動作に入っていた。
「......給へ。
〔アルカーナ・フランマ〕
固有技能〔魔動炎閃〕」
炎剣が唸る。
それは炎のうちに俺たち二人を狙った黒き矢をゴァァァッ!と薙ぎ払った。
「はやい!」
スピードにはとりわけ自信があった俺も素直に認めざるをえない疾さ。
くわえてさらに彼女は放つ。
「固有技能〔魔炎発閃〕」
それは炎の魔力を帯びた見事な〔発閃〕。
炎光ほとばしる衝撃波が敵に向かいゴォォォォッ!と風を切って疾る。
「!」
敵をとらえたかに見えた。
しかし、炎の〔発閃〕は一瞬の流れ星のように彼方へと消えていってしまう。
すなわち、躱されたということ。
「......なかなか危なかった。はやいな」
視線の先、数十メートル隔てた建物の屋根上に、闇を纏った女がゆらりと現れた。
「今さっきお前が言った強力な敵とやらはあれか?」
カレンが尋ねてきた。
「ああ。あのダークエルフだ」
俺はここからの展開を考えつつ答えた。
「魔剣使い。オマエ、いったいどうやったんだ?」
今度はダークエルフか俺に訊いてきた。
「〔空間転移〕のことを言っているのか?まっ、それ以上のことは企業秘密だが」
「......闇の結界内に閉じ込めたはずなのに、それをあたかも布を切く裂くかのように剣で斬り開いて...そのうえ空間転移......オマエは本当に何者なんだ?」
「俺からすればお前のほうがよくわからないが」
「は?」
「お前は〔フリーダム〕とどういう関係なんだ?」
俺が逆にダークエルフへ質問を投げかけた時。
「オイ!エレサ!オメーはなにチンタラお喋りしてんだぁ!?」
上空からキラースの怒鳴り声が降ってきた。
「き、キラース。す、すまない。仕留めることも、足止めすることもできなかった」
ダークエルフは途端にびくんとしておずおずと彼を見上げて返事した。
「それでもダークエルフなのかぁ?オメーはよ。役立たずの出来損ないエルフが」
「す、すまない」
「いいか?もう一度だけチャンスをやる。今ここで魔剣使いを殺せ。それと魔法剣士のほうは半殺しでいい」
「わ、わかった」
「オメーにゃ荷が重いか?なんなら市民の虐殺で許してやってもいいぜ?」
「いや!魔剣使いと魔法剣士を倒す!必ず!」
「ならさっさとやれ、クソエルフ」
二人のやり取りを見るに......やはりダークエルフはキラースの部下のようだ。
だが、ダークエルフは〔フリーダム〕ではないと言っていた。
それは、ちょうどシヴィスとトレブルたちの関係と同様のものだろうか。
いや、どうもそれとも違う、もっと悪質な何かを感じるが......。
0
お気に入りに追加
21
あなたにおすすめの小説
嫌われ者の悪役令息に転生したのに、なぜか周りが放っておいてくれない
AteRa
ファンタジー
エロゲの太ったかませ役に転生した。
かませ役――クラウスには処刑される未来が待っている。
俺は死にたくないので、痩せて死亡フラグを回避する。
*書籍化に際してタイトルを変更いたしました!
蘇生魔法を授かった僕は戦闘不能の前衛(♀)を何度も復活させる
フルーツパフェ
大衆娯楽
転移した異世界で唯一、蘇生魔法を授かった僕。
一緒にパーティーを組めば絶対に死ぬ(死んだままになる)ことがない。
そんな口コミがいつの間にか広まって、同じく異世界転移した同業者(多くは女子)から引っ張りだこに!
寛容な僕は彼女達の申し出に快諾するが条件が一つだけ。
――実は僕、他の戦闘スキルは皆無なんです
そういうわけでパーティーメンバーが前衛に立って死ぬ気で僕を守ることになる。
大丈夫、一度死んでも蘇生魔法で復活させてあげるから。
相互利益はあるはずなのに、どこか鬼畜な匂いがするファンタジー、ここに開幕。
転生したら脳筋魔法使い男爵の子供だった。見渡す限り荒野の領地でスローライフを目指します。
克全
ファンタジー
「第3回次世代ファンタジーカップ」参加作。面白いと感じましたらお気に入り登録と感想をくださると作者の励みになります!
辺境も辺境、水一滴手に入れるのも大変なマクネイア男爵家生まれた待望の男子には、誰にも言えない秘密があった。それは前世の記憶がある事だった。姉四人に続いてようやく生まれた嫡男フェルディナンドは、この世界の常識だった『魔法の才能は遺伝しない』を覆す存在だった。だが、五〇年戦争で大活躍したマクネイア男爵インマヌエルは、敵対していた旧教徒から怨敵扱いされ、味方だった新教徒達からも畏れられ、炎竜が砂漠にしてしまったと言う伝説がある地に押し込められたいた。そんな父親達を救うべく、前世の知識と魔法を駆使するのだった。
フリーター転生。公爵家に転生したけど継承権が低い件。精霊の加護(チート)を得たので、努力と知識と根性で公爵家当主へと成り上がる
SOU 5月17日10作同時連載開始❗❗
ファンタジー
400倍の魔力ってマジ!?魔力が多すぎて範囲攻撃魔法だけとか縛りでしょ
25歳子供部屋在住。彼女なし=年齢のフリーター・バンドマンはある日理不尽にも、バンドリーダでボーカルからクビを宣告され、反論を述べる間もなくガッチャ切りされそんな失意のか、理不尽に言い渡された残業中に急死してしまう。
目が覚めると俺は広大な領地を有するノーフォーク公爵家の長男の息子ユーサー・フォン・ハワードに転生していた。
ユーサーは一度目の人生の漠然とした目標であった『有名になりたい』他人から好かれ、知られる何者かになりたかった。と言う目標を再認識し、二度目の生を悔いの無いように、全力で生きる事を誓うのであった。
しかし、俺が公爵になるためには父の兄弟である次男、三男の息子。つまり従妹達と争う事になってしまい。
ユーサーは富国強兵を掲げ、先ずは小さな事から始めるのであった。
そんな主人公のゆったり成長期!!
1×∞(ワンバイエイト) 経験値1でレベルアップする俺は、最速で異世界最強になりました!
マツヤマユタカ
ファンタジー
23年5月22日にアルファポリス様より、拙著が出版されました!そのため改題しました。
今後ともよろしくお願いいたします!
トラックに轢かれ、気づくと異世界の自然豊かな場所に一人いた少年、カズマ・ナカミチ。彼は事情がわからないまま、仕方なくそこでサバイバル生活を開始する。だが、未経験だった釣りや狩りは妙に上手くいった。その秘密は、レベル上げに必要な経験値にあった。実はカズマは、あらゆるスキルが経験値1でレベルアップするのだ。おかげで、何をやっても簡単にこなせて――。異世界爆速成長系ファンタジー、堂々開幕!
タイトルの『1×∞』は『ワンバイエイト』と読みます。
男性向けHOTランキング1位!ファンタジー1位を獲得しました!【22/7/22】
そして『第15回ファンタジー小説大賞』において、奨励賞を受賞いたしました!【22/10/31】
アルファポリス様より出版されました!現在第四巻まで発売中です!
コミカライズされました!公式漫画タブから見られます!【24/8/28】
よろしくお願いいたします。
マツヤマユタカ名義でTwitterやってます。
見てください。
45歳のおっさん、異世界召喚に巻き込まれる
よっしぃ
ファンタジー
2月26日から29日現在まで4日間、アルファポリスのファンタジー部門1位達成!感謝です!
小説家になろうでも10位獲得しました!
そして、カクヨムでもランクイン中です!
●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●
スキルを強奪する為に異世界召喚を実行した欲望まみれの権力者から逃げるおっさん。
いつものように電車通勤をしていたわけだが、気が付けばまさかの異世界召喚に巻き込まれる。
欲望者から逃げ切って反撃をするか、隠れて地味に暮らすか・・・・
●●●●●●●●●●●●●●●
小説家になろうで執筆中の作品です。
アルファポリス、、カクヨムでも公開中です。
現在見直し作業中です。
変換ミス、打ちミス等が多い作品です。申し訳ありません。
勇者一行から追放された二刀流使い~仲間から捜索願いを出されるが、もう遅い!~新たな仲間と共に魔王を討伐ス
R666
ファンタジー
アマチュアニートの【二龍隆史】こと36歳のおっさんは、ある日を境に実の両親達の手によって包丁で腹部を何度も刺されて地獄のような痛みを味わい死亡。
そして彼の魂はそのまま天界へ向かう筈であったが女神を自称する危ない女に呼び止められると、ギフトと呼ばれる最強の特典を一つだけ選んで、異世界で勇者達が魔王を討伐できるように手助けをして欲しいと頼み込まれた。
最初こそ余り乗り気ではない隆史ではあったが第二の人生を始めるのも悪くないとして、ギフトを一つ選び女神に言われた通りに勇者一行の手助けをするべく異世界へと乗り込む。
そして異世界にて真面目に勇者達の手助けをしていたらチキン野郎の役立たずという烙印を押されてしまい隆史は勇者一行から追放されてしまう。
※これは勇者一行から追放された最凶の二刀流使いの隆史が新たな仲間を自ら探して、自分達が新たな勇者一行となり魔王を討伐するまでの物語である※
スキル運で、運がいい俺を追放したギルドは倒産したけど、俺の庭にダンジョン出来て億稼いでます。~ラッキー~
暁 とと
ファンタジー
スキル運のおかげでドロップ率や宝箱のアイテムに対する運が良く、確率の低いアイテムをドロップしたり、激レアな武器を宝箱から出したりすることが出来る佐藤はギルドを辞めさられた。
しかし、佐藤の庭にダンジョンが出来たので億を稼ぐことが出来ます。
もう、戻ってきてと言われても無駄です。こっちは、億稼いでいるので。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる