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ep9 π(パイ)
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と思いつつも家に戻ると、ネーコと部屋で二人っきりになる俺。
「ネーコ。あの......自分の部屋には行かないのか?」
俺は勉強机に向かいながら肩越しに、しれっと部屋に居座るネーコに尋ねた。
「部屋に行く?」
ネーコは座布団に正座しながら他意なさそうに聞き返してきた。
「いや、だから、部屋...」
「部屋に、イク?」
「はい?」
「部屋で、イク?」
「へ、変な言い方やめてもらえますか...」
「仕事ですから」
「セクシープログラムとかいうやつか」
「それな」
俺は頭を抱える。
ネーコは仕事だとか言っているが、俺からすればただの悪フザケとしか思えない。
「どうしましたか?フミヒロ様」
ふいにネーコが立ち上がって俺の後ろへ寄ってきた。
「な、なあ」
「なんですか?」
「ふと思ったんだけど、もし俺が、理性を保てずネーコに手を出してしまったら......どうなるんだ?」
俺はある意味でもっとも基本的な質問をぶつけた。
基本的だけど、とても大事なこと。
「フミヒロ様」
ネーコは俺の肩に手を添えた。
「なんだよ?」
「私の目を見てください」
「?」
「さあ」
「う、うん」
俺は振り返って、ネーコの目をじ~っと見上げた。
「フミヒロ様。私の目にはカメラがついています」
「アンドロイドだもんな」
「そしてフミヒロ様が私に手を出した場合、このカメラは自動的に録画モードとなります」
「えっ」
「つまり、私にイヤラシイことをするフミヒロ様の映像がバッチリおさめられるというわけです」
「は?」
「簡単に言えばハメ撮りですね。私からするとハメられ撮りですが」
「ちょっ!!」
「ちなみに録画データはリアルタイムでクラウドに保存されるのでバックアップも完璧です」
「そんなもんバックアップすな!」
「フフフ。ただし、例外があります」
「例外?」
「もしフミヒロ様と私が、お互いに〔愛〕をもってそのような行為に臨む場合は録画モードにはなりません。あくまでヒメゴトとして処理します」
「なんだそれ!?そんな例外ないだろ!俺はともかく、アンドロイドのネーコが愛をもってなんてありえないじゃないか!」
「そんなことはありません。私にも〔愛〕はプログラムされています」
「はぁ?意味わかんねーよ!」
「とはいっても、〔愛〕とは育むもの。フミヒロ様が私との〔愛〕を育んでくだされば、の話ですが」
「そ、そんな、いきなり愛とかなんとか言われても...」
「フフフ。まあ、ゆっくりいきましょう。フミヒロ様はまだ中学二年生。しかも不登校の問題児」
「不登校だが問題児ではない!」
「おっと失礼しました。クスクス」
ネーコは悪戯っぽく笑いながら再び座布団にすわった。
俺はひとつ大きくフーッと息を吐いて気持ちを落ち着かせてから、机に向き直って勉強を始める。
「集中集中......」
俺は不登校のくせに勉強はちゃんとしていた。
自分で言うのもなんだけど、頭も良いと思う。
しかしいくら勉強ができたからといって、中学を卒業するには出席日数が必要。
このままじゃダメなのはわかっている。
(登校すればネーコとヤレる......)
ちがーう!
そうじゃないだろ!
くそっ!
ネーコのやつが余計なことを言ったせいで雑念が!
「フミヒロ様?どうかなさいましたか?」
無言でウガーッと煩悶する俺にネーコが敏感に反応した。
「ど、どうもしてない!ちょっとわからない問題があっただけ!」
「それでは、私がお教えいたしましょうか?」
「えっ?」
ネーコはすっくと立ち上がって俺の隣まで来るとピッタリとくっついてきた。
(こ、これは......家庭教師モノでよく見るシチュエーション!)
ネーコの髪の毛がゆれて俺の顔にさらりと触れる。
それよりも......ちょうど俺の目の高さのすぐ横にネーコの横胸が肉薄する。
(数学の π とは、オッパイのことだったのか?)
じゃないわ!
心の中でなにを言ってるんだ俺は!
「フミヒロ様」
「ななななに?」
「問題、解けてますよ?」
「あ、そ、そうだっけ?」
「ひょっとして、私に近づいてきてほしくて、わざと言ったのですか?」
「ちちち違うよ!」
「可愛いですね」
「だから違うって!」
「可愛いフミヒロ様にはこうして差し上げましょう」
「!」
ネーコは俺の頭を掴むとグイッと引き寄せた。
俺の横っ面はネーコの豊満な胸部にむぎゅっと埋まった。
「ネーコ。あの......自分の部屋には行かないのか?」
俺は勉強机に向かいながら肩越しに、しれっと部屋に居座るネーコに尋ねた。
「部屋に行く?」
ネーコは座布団に正座しながら他意なさそうに聞き返してきた。
「いや、だから、部屋...」
「部屋に、イク?」
「はい?」
「部屋で、イク?」
「へ、変な言い方やめてもらえますか...」
「仕事ですから」
「セクシープログラムとかいうやつか」
「それな」
俺は頭を抱える。
ネーコは仕事だとか言っているが、俺からすればただの悪フザケとしか思えない。
「どうしましたか?フミヒロ様」
ふいにネーコが立ち上がって俺の後ろへ寄ってきた。
「な、なあ」
「なんですか?」
「ふと思ったんだけど、もし俺が、理性を保てずネーコに手を出してしまったら......どうなるんだ?」
俺はある意味でもっとも基本的な質問をぶつけた。
基本的だけど、とても大事なこと。
「フミヒロ様」
ネーコは俺の肩に手を添えた。
「なんだよ?」
「私の目を見てください」
「?」
「さあ」
「う、うん」
俺は振り返って、ネーコの目をじ~っと見上げた。
「フミヒロ様。私の目にはカメラがついています」
「アンドロイドだもんな」
「そしてフミヒロ様が私に手を出した場合、このカメラは自動的に録画モードとなります」
「えっ」
「つまり、私にイヤラシイことをするフミヒロ様の映像がバッチリおさめられるというわけです」
「は?」
「簡単に言えばハメ撮りですね。私からするとハメられ撮りですが」
「ちょっ!!」
「ちなみに録画データはリアルタイムでクラウドに保存されるのでバックアップも完璧です」
「そんなもんバックアップすな!」
「フフフ。ただし、例外があります」
「例外?」
「もしフミヒロ様と私が、お互いに〔愛〕をもってそのような行為に臨む場合は録画モードにはなりません。あくまでヒメゴトとして処理します」
「なんだそれ!?そんな例外ないだろ!俺はともかく、アンドロイドのネーコが愛をもってなんてありえないじゃないか!」
「そんなことはありません。私にも〔愛〕はプログラムされています」
「はぁ?意味わかんねーよ!」
「とはいっても、〔愛〕とは育むもの。フミヒロ様が私との〔愛〕を育んでくだされば、の話ですが」
「そ、そんな、いきなり愛とかなんとか言われても...」
「フフフ。まあ、ゆっくりいきましょう。フミヒロ様はまだ中学二年生。しかも不登校の問題児」
「不登校だが問題児ではない!」
「おっと失礼しました。クスクス」
ネーコは悪戯っぽく笑いながら再び座布団にすわった。
俺はひとつ大きくフーッと息を吐いて気持ちを落ち着かせてから、机に向き直って勉強を始める。
「集中集中......」
俺は不登校のくせに勉強はちゃんとしていた。
自分で言うのもなんだけど、頭も良いと思う。
しかしいくら勉強ができたからといって、中学を卒業するには出席日数が必要。
このままじゃダメなのはわかっている。
(登校すればネーコとヤレる......)
ちがーう!
そうじゃないだろ!
くそっ!
ネーコのやつが余計なことを言ったせいで雑念が!
「フミヒロ様?どうかなさいましたか?」
無言でウガーッと煩悶する俺にネーコが敏感に反応した。
「ど、どうもしてない!ちょっとわからない問題があっただけ!」
「それでは、私がお教えいたしましょうか?」
「えっ?」
ネーコはすっくと立ち上がって俺の隣まで来るとピッタリとくっついてきた。
(こ、これは......家庭教師モノでよく見るシチュエーション!)
ネーコの髪の毛がゆれて俺の顔にさらりと触れる。
それよりも......ちょうど俺の目の高さのすぐ横にネーコの横胸が肉薄する。
(数学の π とは、オッパイのことだったのか?)
じゃないわ!
心の中でなにを言ってるんだ俺は!
「フミヒロ様」
「ななななに?」
「問題、解けてますよ?」
「あ、そ、そうだっけ?」
「ひょっとして、私に近づいてきてほしくて、わざと言ったのですか?」
「ちちち違うよ!」
「可愛いですね」
「だから違うって!」
「可愛いフミヒロ様にはこうして差し上げましょう」
「!」
ネーコは俺の頭を掴むとグイッと引き寄せた。
俺の横っ面はネーコの豊満な胸部にむぎゅっと埋まった。
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