28 / 117
入学編
ep27 ルームメイト③
しおりを挟む
*
翌朝。
個室からリビングに行くと、ライマスが本を読んでいた。
「ほう。朝から読書か」
イナバが声をかけた。
「余のルーティンだからな......て、ひぃぃぃ!!」
ライマスは飛び上がって本を投げ捨てた。
俺は床に開かれた本に目をやると「あれ?」となる。
「これって、マンガ?」
オリエンスにも漫画があるんだ~と思いながら手に取って見てみた。
日本で読んでいたものと比べるとアレだけど、ついそのまま読んでしまった。
「ん?ヤソガミ氏はコミックが好きなのか?」
「まあ好きだよ」
「ほ、ホントかぁー!!」
「そんなに驚くこと?」
「や、ヤソガミ氏は、コミックが好きな同志、すなわちオタクの同胞なのだな!?」
「はらから??」
「ち、ちょっと待ってろ!」
急にライマスはぴゅーっと自分の部屋へ戻っていったと思ったら、すぐに何かを持ってぐいんとUターンしてきた。
「こ、これなんだが!」
そう言って差し出された彼の手にあるのは、一冊のスケッチブック。
よくわからないけど、これを見てくれということなのだろうか?
とりあえず俺はスケッチブックを受け取ってページをめくってみる。
「こ、これは......」
そこには、様々なキャラクターのイラストが描かれていた。
「......」
無言でゆっくりとページをめくっていく......思わず見入ってしまった。
お世辞抜きに、上手い。
「何を見とるんじゃ」
イナバが肩に乗ってきた。
「ほう?これはライマス少年が描いたものなのか?中々よく描けておるじゃないか。なあ小僧」
「ああ、すごく上手いよ。びっくりした」
「ライマス少年には絵の才能があるんじゃな」
白兎に怯えながらもライマスは照れくさそうに頭を掻きながら嬉しさを滲ませた。
俺は素直に感心しながら見進めていく。
すると、ふと気になる絵が目に飛び込んできた。
それは下着姿の美少女のイラスト。
「誰かに似ているような......」
どこかで見たことがあるような気がする。
というより会ったことがあるような気がする。
うーんと記憶をめぐらせていくと......はたとした。
「ジークレフさん!?」
ライマスを見ると、奴は不敵にニヤリとする。
「ユイミ・テレジア・ジークレフ嬢(推定美乳)だ。一年生の中でも一、二を争う美少女を余が見逃すはずがない」
思わず俺は再度イラストを凝視した。
た、たしかに、あの学級委員長だ......しかも下着姿の!
「どうした小僧?顔が赤いぞ?」
イナバの言葉にハッとした俺はスケッチブックをばたんと閉じた。
ここでなぜかライマスはうーんと腕を組む。
「やはり足りないのだ」
「?」
「当然ながら実際の下着姿など見たことはない。だからそれはあくまで想像。しかし、せめて下着そのものだけでも見ることができれば、もっと素晴らしい絵が描ける気がするのだ」
コイツは真剣な面持ちでなにを言っているんだ?と思った次の瞬間、ハッとした。
「ま、まさか、ジェットレディの下着を求めてきたのも......」
「同じ理由だ」
「お、お前は......なにを目指しているんだー!?」
「そんなの決まっているだろう。萌え絵師だ!」
「なんで魔法学園にいるんだ!!」
「そんなの決まっているだろう。魔法少女がたくさんいると思ったからだ!」
ばんっ!と見栄を切るライマス・ループレイク。
俺は呆気に取られながら、もはや百八十度まわって「逆にスゴイな......」とすら思った。
「わっはっは!お主は愉快な奴じゃな!わっはっは!」
イナバはまるで相手を認めたかのように陽気な高笑いを上げた。
翌朝。
個室からリビングに行くと、ライマスが本を読んでいた。
「ほう。朝から読書か」
イナバが声をかけた。
「余のルーティンだからな......て、ひぃぃぃ!!」
ライマスは飛び上がって本を投げ捨てた。
俺は床に開かれた本に目をやると「あれ?」となる。
「これって、マンガ?」
オリエンスにも漫画があるんだ~と思いながら手に取って見てみた。
日本で読んでいたものと比べるとアレだけど、ついそのまま読んでしまった。
「ん?ヤソガミ氏はコミックが好きなのか?」
「まあ好きだよ」
「ほ、ホントかぁー!!」
「そんなに驚くこと?」
「や、ヤソガミ氏は、コミックが好きな同志、すなわちオタクの同胞なのだな!?」
「はらから??」
「ち、ちょっと待ってろ!」
急にライマスはぴゅーっと自分の部屋へ戻っていったと思ったら、すぐに何かを持ってぐいんとUターンしてきた。
「こ、これなんだが!」
そう言って差し出された彼の手にあるのは、一冊のスケッチブック。
よくわからないけど、これを見てくれということなのだろうか?
とりあえず俺はスケッチブックを受け取ってページをめくってみる。
「こ、これは......」
そこには、様々なキャラクターのイラストが描かれていた。
「......」
無言でゆっくりとページをめくっていく......思わず見入ってしまった。
お世辞抜きに、上手い。
「何を見とるんじゃ」
イナバが肩に乗ってきた。
「ほう?これはライマス少年が描いたものなのか?中々よく描けておるじゃないか。なあ小僧」
「ああ、すごく上手いよ。びっくりした」
「ライマス少年には絵の才能があるんじゃな」
白兎に怯えながらもライマスは照れくさそうに頭を掻きながら嬉しさを滲ませた。
俺は素直に感心しながら見進めていく。
すると、ふと気になる絵が目に飛び込んできた。
それは下着姿の美少女のイラスト。
「誰かに似ているような......」
どこかで見たことがあるような気がする。
というより会ったことがあるような気がする。
うーんと記憶をめぐらせていくと......はたとした。
「ジークレフさん!?」
ライマスを見ると、奴は不敵にニヤリとする。
「ユイミ・テレジア・ジークレフ嬢(推定美乳)だ。一年生の中でも一、二を争う美少女を余が見逃すはずがない」
思わず俺は再度イラストを凝視した。
た、たしかに、あの学級委員長だ......しかも下着姿の!
「どうした小僧?顔が赤いぞ?」
イナバの言葉にハッとした俺はスケッチブックをばたんと閉じた。
ここでなぜかライマスはうーんと腕を組む。
「やはり足りないのだ」
「?」
「当然ながら実際の下着姿など見たことはない。だからそれはあくまで想像。しかし、せめて下着そのものだけでも見ることができれば、もっと素晴らしい絵が描ける気がするのだ」
コイツは真剣な面持ちでなにを言っているんだ?と思った次の瞬間、ハッとした。
「ま、まさか、ジェットレディの下着を求めてきたのも......」
「同じ理由だ」
「お、お前は......なにを目指しているんだー!?」
「そんなの決まっているだろう。萌え絵師だ!」
「なんで魔法学園にいるんだ!!」
「そんなの決まっているだろう。魔法少女がたくさんいると思ったからだ!」
ばんっ!と見栄を切るライマス・ループレイク。
俺は呆気に取られながら、もはや百八十度まわって「逆にスゴイな......」とすら思った。
「わっはっは!お主は愉快な奴じゃな!わっはっは!」
イナバはまるで相手を認めたかのように陽気な高笑いを上げた。
0
お気に入りに追加
7
あなたにおすすめの小説
前世で処刑された聖女、今は黒薬師と呼ばれています
矢野りと
恋愛
旧題:前世で処刑された聖女はひっそりと生きていくと決めました〜今世では黒き薬師と呼ばれています〜
――『偽聖女を処刑しろっ!』
民衆がそう叫ぶなか、私の目の前で大切な人達の命が奪われていく。必死で神に祈ったけれど奇跡は起きなかった。……聖女ではない私は無力だった。
何がいけなかったのだろうか。ただ困っている人達を救いたい一心だっただけなのに……。
人々の歓声に包まれながら私は処刑された。
そして、私は前世の記憶を持ったまま、親の顔も知らない孤児として生まれ変わった。周囲から見れば恵まれているとは言い難いその境遇に私はほっとした。大切なものを持つことがなによりも怖かったから。
――持たなければ、失うこともない。
だから森の奥深くでひっそりと暮らしていたのに、ある日二人の騎士が訪ねてきて……。
『黒き薬師と呼ばれている薬師はあなたでしょうか?』
基本はほのぼのですが、シリアスと切なさありのお話です。
※この作品の設定は架空のものです。
※一話目だけ残酷な描写がありますので苦手な方はご自衛くださいませ。
※感想欄のネタバレ配慮はありません(._.)
噂好きのローレッタ
水谷繭
恋愛
公爵令嬢リディアの婚約者は、レフィオル王国の第一王子アデルバート殿下だ。しかし、彼はリディアに冷たく、最近は小動物のように愛らしい男爵令嬢フィオナのほうばかり気にかけている。
ついには殿下とフィオナがつき合っているのではないかという噂まで耳にしたリディアは、婚約解消を申し出ることに。しかし、アデルバートは全く納得していないようで……。
※二部以降雰囲気が変わるので、ご注意ください。少し後味悪いかもしれません(主人公はハピエンです)
※小説家になろうにも掲載しています
◆表紙画像はGirly Dropさんからお借りしました
(旧題:婚約者は愛らしい男爵令嬢さんのほうがお好きなようなので、婚約解消を申し出てみました)
最強無敗の少年は影を従え全てを制す
ユースケ
ファンタジー
不慮の事故により死んでしまった大学生のカズトは、異世界に転生した。
産まれ落ちた家は田舎に位置する辺境伯。
カズトもといリュートはその家系の長男として、日々貴族としての教養と常識を身に付けていく。
しかし彼の力は生まれながらにして最強。
そんな彼が巻き起こす騒動は、常識を越えたものばかりで……。
(アルファ版)新米薬師の診療録
織姫みかん
ファンタジー
王都で育ての親で師匠と慕う薬師と暮らすソフィア・ローレン(愛称:ソフィー)は薬師試験に落ちて目標だった薬師の夢を一度は諦める。だが実技試験にミスがあったことが判明し、筆記試験の成績を考慮した救済措置でソフィーは追加合格となり念願だった薬師になる。
晴れて薬師にになれたソフィーだが規則で5年間は自分の薬局を持つことはできずしばらくは師匠の店で修業をつもりだった。しかし田舎の小さな村に新規出店するという師匠から『僕の店に雇われた薬師』と言う体で新規開設する薬局を任されることになる。
師匠が新たに薬局の開設を決めた場所は薬局のない小さな村。ソフィーはその村に赴き、村長の孫であるエドや薬草採集者のアリサと共に薬局経営を始める。
他サイト様(カクヨム・小説家になろう)で公開済作品になります。
婚約解消して次期辺境伯に嫁いでみた
cyaru
恋愛
一目惚れで婚約を申し込まれたキュレット伯爵家のソシャリー。
お相手はボラツク侯爵家の次期当主ケイン。眉目秀麗でこれまで数多くの縁談が女性側から持ち込まれてきたがケインは女性には興味がないようで18歳になっても婚約者は今までいなかった。
婚約をした時は良かったのだが、問題は1か月に起きた。
過去にボラツク侯爵家から放逐された侯爵の妹が亡くなった。放っておけばいいのに侯爵は簡素な葬儀も行ったのだが、亡くなった妹の娘が牧師と共にやってきた。若い頃の妹にそっくりな娘はロザリア。
ボラツク侯爵家はロザリアを引き取り面倒を見ることを決定した。
婚約の時にはなかったがロザリアが独り立ちできる状態までが期間。
明らかにソシャリーが嫁げば、ロザリアがもれなくついてくる。
「マジか…」ソシャリーは心から遠慮したいと願う。
そして婚約者同士の距離を縮め、お互いの考えを語り合う場が月に数回設けられるようになったが、全てにもれなくロザリアがついてくる。
茶会に観劇、誕生日の贈り物もロザリアに買ったものを譲ってあげると謎の善意を押し売り。夜会もケインがエスコートしダンスを踊るのはロザリア。
幾度となく抗議を受け、ケインは考えを改めると誓ってくれたが本当に考えを改めたのか。改めていれば婚約は継続、そうでなければ解消だがソシャリーも年齢的に次を決めておかないと家のお荷物になってしまう。
「こちらは嫁いでくれるならそれに越したことはない」と父が用意をしてくれたのは「自分の責任なので面倒を見ている子の数は35」という次期辺境伯だった?!
★↑例の如く恐ろしく省略してます。
★9月14日投稿開始、完結は9月16日です。
★コメントの返信は遅いです。
★タグが勝手すぎる!と思う方。ごめんなさい。検索してもヒットしないよう工夫してます。
♡注意事項~この話を読む前に~♡
※異世界を舞台にした創作話です。時代設定なし、史実に基づいた話ではありません。【妄想史であり世界史ではない】事をご理解ください。登場人物、場所全て架空です。
※外道な作者の妄想で作られたガチなフィクションの上、ご都合主義なのでリアルな世界の常識と混同されないようお願いします。
※心拍数や血圧の上昇、高血糖、アドレナリンの過剰分泌に責任はおえません。
※価値観や言葉使いなど現実世界とは異なります(似てるモノ、同じものもあります)
※誤字脱字結構多い作者です(ごめんなさい)コメント欄より教えて頂けると非常に助かります。
※話の基幹、伏線に関わる文言についてのご指摘は申し訳ないですが受けられません
隠れチート!異世界スローライフを謳歌する侯爵令嬢
(笑)
恋愛
侯爵家の令嬢として異世界に転生したアリシアは、静かなスローライフを夢見ている。しかし、彼女の中には秘められた強大な魔力が眠っており、その力が国の未来に深く関わる存在だと知らされる。彼女は自身の力に戸惑いながらも、平穏な日常を守るためにどう行動すべきかを模索していく。
王家や騎士団、そして謎の襲撃者たちに囲まれる中、アリシアはその力をどのように使うべきか、そして何を守るために戦うのかを選択しなければならない。彼女の静かな願いと、国の命運が交差する中で、アリシアは自分の道を切り開いていく。
いらないと言ったのはあなたの方なのに
水谷繭
恋愛
精霊師の名門に生まれたにも関わらず、精霊を操ることが出来ずに冷遇されていたセラフィーナ。
セラフィーナは、生家から救い出して王宮に連れてきてくれた婚約者のエリオット王子に深く感謝していた。
エリオットに尽くすセラフィーナだが、関係は歪つなままで、セラよりも能力の高いアメリアが現れると完全に捨て置かれるようになる。
ある日、エリオットにお前がいるせいでアメリアと婚約できないと言われたセラは、二人のために自分は死んだことにして隣国へ逃げようと思いつく。
しかし、セラがいなくなればいいと言っていたはずのエリオットは、実際にセラが消えると血相を変えて探しに来て……。
◆表紙画像はGirly drop様からお借りしました🍬
◇いいね、エールありがとうございます!
よくある婚約破棄なので
おのまとぺ
恋愛
ディアモンテ公爵家の令嬢ララが婚約を破棄された。
その噂は風に乗ってすぐにルーベ王国中に広がった。なんといっても相手は美男子と名高いフィルガルド王子。若い二人の結婚の日を国民は今か今かと夢見ていたのだ。
言葉数の少ない公爵令嬢が友人からの慰めに対して放った一言は、社交界に小さな波紋を呼ぶ。「災難だったわね」と声を掛けたアネット嬢にララが返した言葉は短かった。
「よくある婚約破棄なので」
・すれ違う二人をめぐる短い話
・前編は各自の証言になります
・後編は◆→ララ、◇→フィルガルド
・全25話完結
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる