27 / 134
入学編
ep26 ルームメイト②
しおりを挟む
*
「余はライマス・ループレイク。ここリュケイオン魔法学園の特別クラス一年生にして、この部屋の王である」
ルームメイトのライマスは偉そうに挨拶した。
「ヤソガミ氏には特別に親しみを込めて公爵ライマスと呼ぶことを許そう」
「さっきの態度とは百八十度変わったな。むしろ一番最初に戻ったのか」
ハァーッとため息が出た。
これから当面の間ひとつ屋根の下で暮らす同居人がこんな奴なのか......そう思うとマジで気が重くなる。
「どうした?ヤソガミ氏。やっぱりジェットレディ(巨乳)の下着を献上する気になったか?」
「なるか!ど変態が!」
「それはヤソガミ氏の主観だろう。余は何ひとつ変態行為はしておらぬ」
ライマスは悪びれないどころか泰然としていた。
「まったくヤソガミ氏はケチだな。余がプライドを投げ捨てて土下座までしてお願いしたのに」
「お前のプライドの基準が俺にはまったくわからない」
「余は純粋に美しい女性を愛しているだけなのだ」
「ああそうですか。ところで、他にルームメイトはいないのか?」
「いない。というより、出ていった」
「えっ、なんで」
「知らん。ここにいると評判が悪くなるとかなんとか言っていた気がするが」
「それ正解だ......」
まったくそのとおりだ。
コイツと同部屋だと、学校でなにか変態的な事件が起こった際、真っ先に疑われる対象になりかねない。
「俺も考えたほうがいいかな......」
一人言のようにつぶやいて肩を落とした時。
「コラァァ!オイラを出さんかい!」
俺の鞄から声が響いた。
あっ、となってすぐに鞄を開けると、ぴょーんと白兎が飛び出てくる。
「小僧!いつまでもオイラを閉じ込めおって!」
「いや寝てたんだろ!?」
「暑くなって目が覚めたわ!」
などと俺たちがやり取りをしていると、やにわに悲鳴が上がった。
「ひっ、ひぃぃぃ!」
ライマスが椅子から転げ落ちてササーッと後ずさる。
「なんじゃこの小太りの眼鏡は」
イナバがてくてくと近づいていく。
「小僧の友人か?」
「ルームメイトのライマスだよ」
「小僧の同居人か」
イナバがさらに近づいていくと、
「ひぃぃぃ!か、勘弁してくれぇ!」
ライマスは泣き叫んだ。
......コイツ、イナバを怖がっているのか。
しゃべるウサギが恐ろしいのか?
あるいは動物自体が苦手なのかもしれない。
ここは......ライマスには悪いが利用してやるか。
「おいライマス!」
「は、はいぃぃぃ!」
「その白兎に喰い殺されたくなかったら、変なことは一切せずに大人しくしろ!」
「わ、わわわわわかりましたぁぁぁ!!」
ライマス・ループレイクはあっさりと平伏した。
よし。一件落着だ。
イナバがじ~っと怪訝な目を向けてきたけど、あとできちんと説明すればいい。
平穏な生活を確保するためのやむを得ない防衛政策だと。
「余はライマス・ループレイク。ここリュケイオン魔法学園の特別クラス一年生にして、この部屋の王である」
ルームメイトのライマスは偉そうに挨拶した。
「ヤソガミ氏には特別に親しみを込めて公爵ライマスと呼ぶことを許そう」
「さっきの態度とは百八十度変わったな。むしろ一番最初に戻ったのか」
ハァーッとため息が出た。
これから当面の間ひとつ屋根の下で暮らす同居人がこんな奴なのか......そう思うとマジで気が重くなる。
「どうした?ヤソガミ氏。やっぱりジェットレディ(巨乳)の下着を献上する気になったか?」
「なるか!ど変態が!」
「それはヤソガミ氏の主観だろう。余は何ひとつ変態行為はしておらぬ」
ライマスは悪びれないどころか泰然としていた。
「まったくヤソガミ氏はケチだな。余がプライドを投げ捨てて土下座までしてお願いしたのに」
「お前のプライドの基準が俺にはまったくわからない」
「余は純粋に美しい女性を愛しているだけなのだ」
「ああそうですか。ところで、他にルームメイトはいないのか?」
「いない。というより、出ていった」
「えっ、なんで」
「知らん。ここにいると評判が悪くなるとかなんとか言っていた気がするが」
「それ正解だ......」
まったくそのとおりだ。
コイツと同部屋だと、学校でなにか変態的な事件が起こった際、真っ先に疑われる対象になりかねない。
「俺も考えたほうがいいかな......」
一人言のようにつぶやいて肩を落とした時。
「コラァァ!オイラを出さんかい!」
俺の鞄から声が響いた。
あっ、となってすぐに鞄を開けると、ぴょーんと白兎が飛び出てくる。
「小僧!いつまでもオイラを閉じ込めおって!」
「いや寝てたんだろ!?」
「暑くなって目が覚めたわ!」
などと俺たちがやり取りをしていると、やにわに悲鳴が上がった。
「ひっ、ひぃぃぃ!」
ライマスが椅子から転げ落ちてササーッと後ずさる。
「なんじゃこの小太りの眼鏡は」
イナバがてくてくと近づいていく。
「小僧の友人か?」
「ルームメイトのライマスだよ」
「小僧の同居人か」
イナバがさらに近づいていくと、
「ひぃぃぃ!か、勘弁してくれぇ!」
ライマスは泣き叫んだ。
......コイツ、イナバを怖がっているのか。
しゃべるウサギが恐ろしいのか?
あるいは動物自体が苦手なのかもしれない。
ここは......ライマスには悪いが利用してやるか。
「おいライマス!」
「は、はいぃぃぃ!」
「その白兎に喰い殺されたくなかったら、変なことは一切せずに大人しくしろ!」
「わ、わわわわわかりましたぁぁぁ!!」
ライマス・ループレイクはあっさりと平伏した。
よし。一件落着だ。
イナバがじ~っと怪訝な目を向けてきたけど、あとできちんと説明すればいい。
平穏な生活を確保するためのやむを得ない防衛政策だと。
0
お気に入りに追加
8
あなたにおすすめの小説
美少女アンドロイドが色じかけをしてくるので困っています~思春期のセイなる苦悩は終わらない~
根上真気
キャラ文芸
4サイト10000PV達成!不登校の俺のもとに突然やって来たのは...未来から来た美少女アンドロイドだった!しかもコイツはある目的のため〔セクシープログラム〕と称して様々な色じかけを仕掛けてくる!だが俺はそれを我慢しなければならない!果たして俺は耐え続けられるのか?それとも手を出してしまうのか?これは思春期のセイなる戦い...!いざドタバタラブコメディの幕が切って落とされる!
異世界大日本帝国
暇人先生
ファンタジー
1959年1939年から始まった第二次世界大戦に勝利し大日本帝国は今ではナチス並ぶ超大国になりアジア、南アメリカ、北アメリカ大陸、ユーラシア大陸のほとんどを占領している、しかも技術も最先端で1948年には帝国主義を改めて国民が生活しやすいように民主化している、ある日、日本海の中心に巨大な霧が発生した、漁船や客船などが行方不明になった、そして霧の中は……
45歳のおっさん、異世界召喚に巻き込まれる
よっしぃ
ファンタジー
2月26日から29日現在まで4日間、アルファポリスのファンタジー部門1位達成!感謝です!
小説家になろうでも10位獲得しました!
そして、カクヨムでもランクイン中です!
●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●
スキルを強奪する為に異世界召喚を実行した欲望まみれの権力者から逃げるおっさん。
いつものように電車通勤をしていたわけだが、気が付けばまさかの異世界召喚に巻き込まれる。
欲望者から逃げ切って反撃をするか、隠れて地味に暮らすか・・・・
●●●●●●●●●●●●●●●
小説家になろうで執筆中の作品です。
アルファポリス、、カクヨムでも公開中です。
現在見直し作業中です。
変換ミス、打ちミス等が多い作品です。申し訳ありません。
異世界に射出された俺、『大地の力』で快適森暮らし始めます!
らもえ
ファンタジー
旧題:異世界に射出された俺、見知らぬ森の真中へ放り出される。周りには木しか生えていないけどお地蔵さんに貰ったレアスキルを使って何とか生き延びます。
俺こと杉浦耕平は、学校帰りのコンビニから家に帰る途中で自称神なるものに拉致される。いきなり攫って異世界へ行けとおっしゃる。しかも語り口が軽くどうにも怪しい。
向こうに行っても特に使命は無く、自由にしていいと言う。しかし、もらえたスキルは【異言語理解】と【簡易鑑定】のみ。いや、これだけでどうせいっちゅーに。そんな俺を見かねた地元の地蔵尊がレアスキルをくれると言うらしい。やっぱり持つべきものは地元の繋がりだよね!
それで早速異世界転移!と思いきや、異世界の高高度の上空に自称神の手違いで射出されちまう。紐なしバンジーもしくはパラシュート無しのスカイダイビングか?これ。
自称神様が何かしてくれたお陰で何とか着地に成功するも、辺りは一面木ばっかりの森のど真ん中。いやこれ遭難ですやん。
そこでお地蔵さんから貰ったスキルを思い出した。これが意外とチートスキルで何とか生活していくことに成功するのだった。
奴隷勇者の異世界譚~勇者の奴隷は勇者で魔王~
Takachiho
ファンタジー
*本編完結済み。不定期で番外編や後日談を更新しています。
中学生の羽月仁(はづきじん)は勇者として異世界に召喚され、大切なものたちを守れないまま元の世界に送還された。送還後、夢での出来事だったかのように思い出が薄れていく中、自らの無力さと、召喚者である王女にもらった指輪だけが残った。
3年後、高校生になった仁は、お気に入りのアニメのヒロインを演じた人気女子高生声優アーティスト、佐山玲奈(さやまれな)のニューシングル発売記念握手会に参加した。仁の手が玲奈に握られたとき、玲奈の足元を中心に魔法陣が広がり、2人は異世界に召喚されてしまう。
かつて勇者として召喚された少年は、再び同じ世界に召喚された。新たな勇者・玲奈の奴隷として――
*この作品は小説家になろうでも掲載しています。
*2017/08/10 サブタイトルを付けました。内容に変更はありません。
1×∞(ワンバイエイト) 経験値1でレベルアップする俺は、最速で異世界最強になりました!
マツヤマユタカ
ファンタジー
23年5月22日にアルファポリス様より、拙著が出版されました!そのため改題しました。
今後ともよろしくお願いいたします!
トラックに轢かれ、気づくと異世界の自然豊かな場所に一人いた少年、カズマ・ナカミチ。彼は事情がわからないまま、仕方なくそこでサバイバル生活を開始する。だが、未経験だった釣りや狩りは妙に上手くいった。その秘密は、レベル上げに必要な経験値にあった。実はカズマは、あらゆるスキルが経験値1でレベルアップするのだ。おかげで、何をやっても簡単にこなせて――。異世界爆速成長系ファンタジー、堂々開幕!
タイトルの『1×∞』は『ワンバイエイト』と読みます。
男性向けHOTランキング1位!ファンタジー1位を獲得しました!【22/7/22】
そして『第15回ファンタジー小説大賞』において、奨励賞を受賞いたしました!【22/10/31】
アルファポリス様より出版されました!現在第四巻まで発売中です!
コミカライズされました!公式漫画タブから見られます!【24/8/28】
よろしくお願いいたします。
マツヤマユタカ名義でTwitterやってます。
見てください。
平凡冒険者のスローライフ
上田なごむ
ファンタジー
26歳独身動物好きの主人公大和希は、神様によって魔物・魔法・獣人等ファンタジーな世界観の異世界に転移させられる。
平凡な能力値、野望など抱いていない彼は、冒険者としてスローライフを目標に日々を過ごしていく。
果たして、彼を待ち受ける出会いや試練は如何なるものか……
ファンタジー世界に向き合う、平凡な冒険者の物語。
キャンピングカーで往く異世界徒然紀行
タジリユウ
ファンタジー
《第4回次世代ファンタジーカップ 面白スキル賞》
【書籍化!】
コツコツとお金を貯めて念願のキャンピングカーを手に入れた主人公。
早速キャンピングカーで初めてのキャンプをしたのだが、次の日目が覚めるとそこは異世界であった。
そしていつの間にかキャンピングカーにはナビゲーション機能、自動修復機能、燃料補給機能など様々な機能を拡張できるようになっていた。
道中で出会ったもふもふの魔物やちょっと残念なエルフを仲間に加えて、キャンピングカーで異世界をのんびりと旅したいのだが…
※旧題)チートなキャンピングカーで旅する異世界徒然紀行〜もふもふと愉快な仲間を添えて〜
※カクヨム様でも投稿をしております
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる