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目指せ!魔法学園
ep5 村長と神使
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「実はこの島...ヤソジマには古い伝承があってな。その伝承の中に神使の白兎が出てくるのだ。しかも、その神使の白兎は遙か東方におわす神の御先とされている」
「は、はあ」
「そして八十神殿。其方は東方の国の出身で、実家が宗教施設と言ったね」
「は、はい」
拘束を解かれた俺は、また別の部屋に通された。
もっと広い部屋だ。
さっきまでと対応が百八十度変わっている。
今度は明らかに客人対応だ。
目の前のテーブルには飲み物まで出されている。
イナバの言うとおりに従ったら本当にうまくいったぞ!
た、助かったぁ......。
「おいオッサンども!」
突然イナバがぴょんっと俺の肩に跳び乗って、切り口上で喋りだした。
「まずは八十神少年に謝らんかぁ!この失礼極まりない無礼者どもめぇ!」
ハッとした男たちはガタンと立ち上がると、平伏するように深く頭を下げた。
「ちょちょちょ!そんな!もういいですよ!」
「いや!本当に申し訳ない!麻酔弾とはいえ発砲までしたんだ!」
俺はあたふたとしてイナバに、
「そ、そこまで言わなくても」
と囁いたが、神使の白兎は断固たる態度。
「こういうことはちゃんとしておかないといかん!でないと舐められるぞ!舐められて損するのは結局お主じゃ!肝に銘じておけ!」
「そ、そう言われればそうだけど」
戸惑いながらも、とかく流されがちな自分にその言葉は妙に刺さった。
言ったのはウサギだけど......。
「そういうもんじゃ!これは自分自身の身を守るためでもあるんじゃ!」
「わ、わかったよ」
「ふんっ!さあオッサンども!しっかり謝罪せい!」
「このとおりだ!申し訳ない!ただ...」
ここで男のひとりが顔を上げた。
「あのような対応をしてしまったのには理由があるんだ!」
「理由じゃと?言い訳など聞きなくないわ!」
「ちょちょ!それは聞いてあげようよ!」
俺はイナバを制止して彼らの話を聞こうとした。
もし何かしらの事情があるなら、それを知っておくのは今後の自分の安全にとってもプラスになるはずだし。
「まあよいわ。ではオマエらの理由とやらを聞いてやるわ」
イナバはテーブルにスタッと飛びおりて偉そうにあぐらをかいた。
男たちは互いにうなずき合い、
「じ、実は...」
と男のひとりがおもむろに語りかけた時。
部屋のドアがガチャッと開いた。
「ワシが詳しく話そう」
「そ、村長!?」
入ってきたのは、男たちから村長と呼ばれる白髪に白髭を伸ばしたおじいさんだった。
彼は杖をついて近づいてくるなり、
「ワシがこの島の村長のテラダじゃ。まずは村民の非礼を詫びよう」
しっかりと自己紹介と謝罪をし、村民と代わって正面の席に腰をおろした。
「おお。貴方が神使の白兎...イナバ様ですな」
「ほう?オイラのことを知っておるか」
「おおお......本当に言い伝えどおりじゃ......」
「村長!?知っているんですか!?」
「ああ。子供の頃、祖父から聞かされたことがある。神使の白兎、イナバ様の話を」
村長の目には感動の光が宿っていた。
「まさかこんなタイミングでイナバ様が現れるとは。これは天佑かもしれぬ......」
「こんなタイミング...か。どうやら事情がありそうじゃな。それが八十神少年を銃で撃って捕らえた事と関係があるんじゃな?オイラに会えてさぞ感動に浸りたいところじゃろうが、まずはさっさとそれを話せ!」
「は、はい!イナバ様!」
「ふんっ。さっさと貴様が出てくれば話が早かったものを。まあよい。ではその事情とやらを、八十神少年を捕らえた理由を、聞かせてもらおう」
「実はこの島...ヤソジマには古い伝承があってな。その伝承の中に神使の白兎が出てくるのだ。しかも、その神使の白兎は遙か東方におわす神の御先とされている」
「は、はあ」
「そして八十神殿。其方は東方の国の出身で、実家が宗教施設と言ったね」
「は、はい」
拘束を解かれた俺は、また別の部屋に通された。
もっと広い部屋だ。
さっきまでと対応が百八十度変わっている。
今度は明らかに客人対応だ。
目の前のテーブルには飲み物まで出されている。
イナバの言うとおりに従ったら本当にうまくいったぞ!
た、助かったぁ......。
「おいオッサンども!」
突然イナバがぴょんっと俺の肩に跳び乗って、切り口上で喋りだした。
「まずは八十神少年に謝らんかぁ!この失礼極まりない無礼者どもめぇ!」
ハッとした男たちはガタンと立ち上がると、平伏するように深く頭を下げた。
「ちょちょちょ!そんな!もういいですよ!」
「いや!本当に申し訳ない!麻酔弾とはいえ発砲までしたんだ!」
俺はあたふたとしてイナバに、
「そ、そこまで言わなくても」
と囁いたが、神使の白兎は断固たる態度。
「こういうことはちゃんとしておかないといかん!でないと舐められるぞ!舐められて損するのは結局お主じゃ!肝に銘じておけ!」
「そ、そう言われればそうだけど」
戸惑いながらも、とかく流されがちな自分にその言葉は妙に刺さった。
言ったのはウサギだけど......。
「そういうもんじゃ!これは自分自身の身を守るためでもあるんじゃ!」
「わ、わかったよ」
「ふんっ!さあオッサンども!しっかり謝罪せい!」
「このとおりだ!申し訳ない!ただ...」
ここで男のひとりが顔を上げた。
「あのような対応をしてしまったのには理由があるんだ!」
「理由じゃと?言い訳など聞きなくないわ!」
「ちょちょ!それは聞いてあげようよ!」
俺はイナバを制止して彼らの話を聞こうとした。
もし何かしらの事情があるなら、それを知っておくのは今後の自分の安全にとってもプラスになるはずだし。
「まあよいわ。ではオマエらの理由とやらを聞いてやるわ」
イナバはテーブルにスタッと飛びおりて偉そうにあぐらをかいた。
男たちは互いにうなずき合い、
「じ、実は...」
と男のひとりがおもむろに語りかけた時。
部屋のドアがガチャッと開いた。
「ワシが詳しく話そう」
「そ、村長!?」
入ってきたのは、男たちから村長と呼ばれる白髪に白髭を伸ばしたおじいさんだった。
彼は杖をついて近づいてくるなり、
「ワシがこの島の村長のテラダじゃ。まずは村民の非礼を詫びよう」
しっかりと自己紹介と謝罪をし、村民と代わって正面の席に腰をおろした。
「おお。貴方が神使の白兎...イナバ様ですな」
「ほう?オイラのことを知っておるか」
「おおお......本当に言い伝えどおりじゃ......」
「村長!?知っているんですか!?」
「ああ。子供の頃、祖父から聞かされたことがある。神使の白兎、イナバ様の話を」
村長の目には感動の光が宿っていた。
「まさかこんなタイミングでイナバ様が現れるとは。これは天佑かもしれぬ......」
「こんなタイミング...か。どうやら事情がありそうじゃな。それが八十神少年を銃で撃って捕らえた事と関係があるんじゃな?オイラに会えてさぞ感動に浸りたいところじゃろうが、まずはさっさとそれを話せ!」
「は、はい!イナバ様!」
「ふんっ。さっさと貴様が出てくれば話が早かったものを。まあよい。ではその事情とやらを、八十神少年を捕らえた理由を、聞かせてもらおう」
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