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目指せ!魔法学園

ep2 ウサギ

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「俺、どうなるんだ」

 とりあえず生きてはいるけど......。

「本当になにがなんだかわからない」

 いきなり猟師に撃たれて、目が覚めたら牢屋の中。
 麻酔銃で撃たれたのかな。
 目立った怪我もしていないし殺されなくて良かった......て、そういう問題か!?
 そもそも現代の日本で、いきなり猟銃に撃たれるなんてことあるのか!?
 人権侵害にもほどがあるぞ!

「俺は人里におりてきた熊か!」

 なんて今さらツッコミを入れてもしょうがない。
 ......よし。いったん冷静になろう。
 冷静になって、現状とこれからどうするかをしっかり考えるんだ! 

「......んでね?」

 どう考えてもヤバいだろこれ!
 いや落ち着け!
 とにかく無実の罪だということを訴えるんだ!
 きっとわかってくれる!

「......わかってもらえなかったら?」

 そもそもいきなり撃たれている時点で普通じゃないんだ。
 話せばわかるとかそういう次元ではないのでは......。

「逃げるか......?」

 でもどうやって?
 ああクソッ!
 考えれば考えるほど絶望する!

「おい少年」

 ん?誰かの声?

「そこの少年」

 誰だ?誰もいないぞ?

「そこの中肉中背の黒髪の制服姿の少年。お主じゃ!」

 俺のこと?俺を呼んでいるのか?
 でも人の姿は見えないぞ?

「視線をさげろ!バカモノ!」

「視線をさげろ?......えっ?」

「オイラが見えたか?少年」

「う、ウサギがしゃべってる!?」

「なんじゃ。兎が喋っちゃ悪いのか」

 たしかに白兎しろうさぎが喋っている!
 なんだこれは?夢でも見ているのか?
 いや、すでに夢ではないってことはよくわかっているけど......。

「悩んでおるのぉ~若いってええのぉ~」

 白兎がニヤニヤとしている。
 え、なにこれ、ヤバい。

「キモっ!!」

「誰がキモイじゃ!失敬な!」

「兎が喋ってるとかマジできしょっ!」

「このタワケがぁ!!」

 白兎が、ウガーッ!と顔に飛びかかってきた。

「ちょっ!痛い痛い痛い!」

「こんなにラブリーでプリティーなオイラにむかってキショイとはなんじゃあ!謝罪して撤回せんかぁ!」

「わかったわかったわかったわかった!謝ります謝ります!撤回します撤回します!ゴメンなさいゴメンなさいゴメンなさいっ!」

「わかればよい」

 白兎はパッと俺から離れてスタッと床へ着地した。

「まったく最近の若いモンは」

「あ、あの、ええと」

「まあ今はまだ混乱しているじゃろうから大目に見てやるが」

「は、はあ」

「だがオイラが来たからにはもう安心せい!八十神神社やそがみじんじゃのせがれ、八十神天従やそがみたかつぐよ!」

「ええ!?俺のこと、知っているの!?」

「もちろんじゃ!いいか?今から簡単に今のお主の状況を教えてやる」

「お、教えてくれ!!」

「むっふっふ。よく聞け!お主はなぁ?」

「う、うん」

「転移したのじゃ!!」

「てんい?てんいって...転移!?」

「そして選ばれし八十神天従は、我が国〔オリエンス〕の救世主となるのじゃ!」

「救世主!?てゆーかここ日本じゃないの!?はあ!?」

「以上じゃ」

「なーるほど......てわかるかぁー!!簡単すぎだわ!!」



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※以下、作者メモ
設定イメージ(画像のみAI)

主人公:八十神天従
特徴的な見た目は想定せず。
ただし能力が派手。
普段は制服姿。
和装は主人公専用の戦闘服として考えています。
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