無能の瞳 その者は世界の共犯者〜魔力なしで無能と蔑まれ、他力本願の力に依存する。【憑依召喚】で体を乗っ取られて、もうすぐ俺が最強だ〜

一章

第3話：封印解除と運命の支援者（3/3）

　蓮司の身に起こった異変は、一時的なもので終わり、彼自身、大きな問題や体調の変化を感じることはなかった。しかし、その目の変化は通常とは異なり、人間としてはあまり好ましくない、むしろ不気味に感じられるものだった。この現象について、ルナは何か特別な意味があるのではないかと示唆する。

「ねえ、その目からは特別な気配を感じるわ」ルナの言葉に、蓮司は興味を示す。

「目から放たれる気配なのか？」蓮司の問いに、ルナは頷きながら説明を続ける。

「そうね。でも、それが不快に感じるわけではないの。あの光が原因かもしれないけど、ただの魔法の影響ならこんな感じはしないはず。もしかすると、あの光の中に何かが混じっていたのかもしれないわね」

　蓮司は状況を把握しようと努力した。「それが何を意味しているのか、何か予想はあるか？」

「正確なことはまだわからないけれど、悪いことではないと感じているわ」ルナの言葉は、具体性に欠けるものの、ある種の安心感を蓮司に与える。

　彼らの会話は、目の変化が何か特別な力の開花の兆しである可能性を示唆する。しかし、ルナはその全貌をまだ把握できておらず、蓮司は未知の可能性に一抹の不安を感じながらも、それを受け入れるしかない。

　蓮司が後天的な体質変化について尋ねると、ルナは封印の破壊が原因で魔力の封印が起きることがあると説明する。「魔力がなければ心配ないわね？」ルナの言葉に対し、蓮司は安堵と同時に戸惑いを感じる。「報復の罠については、もっと早く知りたかったな……」

　魔力の封印が正常に機能しなかった場合、反転して無限の魔力を生み出す可能性があるとルナは付け加える。この説明により、蓮司は自分の未来に何が起こるのか、さらに不確かなものに感じる。

　最終的に二人は現状を観察し、時間をかけて変化を見守ることに決める。急激な変化がなければ、大きな心配は不要だという結論に至る。

　蓮司は心の中で冷静を保とうとしながらも、「本当に大丈夫なのか……」という不安を抱えつつ、未知の力とその影響に備える。彼らの前にはまだ多くの謎があり、それを解き明かすにはまだ多くの時間が必要だ。


　ルナは気楽に言葉を投げかける。「今、具合が悪くないなら、おそらく問題は起きないわ」その言葉には軽さが感じられるが、彼らにとっては現状が最善とも言える状態だ。

　その後、互いの名前をまだ交わしていないことに気づき、名乗り合う場面が訪れる。「ねね、あなたの名前は？　私はルナっていうの」蓮司も応じる。「俺は檜蓮司。レンでいいよ」ルナの快活な反応に、蓮司も和やかな気持ちで返す。「よろしく、ルナ」「うん！　よろしくね、レン！」

　そんな軽快な雰囲気の中、ルナはいたずらっぽく微笑みながら、未来のお願いを切り出す。「ねえ、ちょっと将来的なお願いがあるの」蓮司は興味深く耳を傾ける。「何を手伝ってほしいんだ？」ルナは自身の現状を明かす。「私の体を探してほしいの。魂と体が分離されてしまってるみたいなの……」

　ルナの状況に蓮司は同情しつつも、外の世界の危険を考えると力のなさを痛感する。そして蓮司は自身の目的を説明し、歩き回れるほどの力があればルナへの協力も惜しみなくするという。蓮司の魔力なしのことについて、ルナは前向きに対策を考えようと提案する。「大大丈夫、何とかなるわ。方法を一緒に考えましょう」

　このやり取りを通じて、ルナは蓮司の目指す目的に感動し、二人の絆は深まる。ルナは弱者が力を得ることの正当性を強く主張し、異世界での旅の貴重な味方となることを約束する。蓮司はルナの賛同に感謝し、彼女の人懐っこさと明るさに心を開く。

　しかし、実際の課題として、まだ力を持たない自分たちが直面する困難を考えると、ルナにはしばらくの辛抱をお願いすることになった。ルナは理解を示し、快く承諾する。こうして、二人は新たな絆を深めつつ、蓮司の住処である村へと戻るのだった。