199 / 272
銀の鳥籠Ⅰ ルイ&サクヤ編
199 専業主夫?!
しおりを挟む
あの後、セイトとトウヤは寮の部屋から出て来なかった、らしい。らしいって言うのは、本当にそうなのか分からねぇからだ。元々、セイトはクラスそのものが違うし、トウヤにしても風紀委員の仕事なのか、そんなに姿を現さない。つまり、最近やたらと姿を見ていたのは、主に、ルイとライカが呼びつけていたから、らしい。あくまで、らしいだ。
「あのさ。もう、卒業まで数日だけど。それにさ。今更だけど、卒業式はないのかよ?」
「卒業式?」
ルイだけじゃなく、特A内全員が首を傾げた。
「卒業証書とか」
「そんなものないけど。って言うかね、そんなものが必要なの? 要は学校に行った事実があれば問題ないでしょう?」
……あのさ、魔力を持たない人間は肩書きが必要なんだよ。
「オレ、中学卒業した時に卒業証書貰ったけど」
周りが痛いほどの沈黙に包まれる、って、オレはおかしなことは言ってないぞ?!
「初等部は?」
ルイの言う初等部に一瞬、首を傾げた。初等部……、小学校のことか?
「貰ったけど」
「魔力を持たない人間の感覚が分からないね」
「簡単だろう? 要は学歴だよ。どれだけいい学校に行ったかで、将来の職業が決まるんだからさ。みんな必死なんだぞ」
小学校に入る時点で受験する子だっているんだ。まあ、オレは頭が残念だったから、普通の小学校だったけどさ。本来ならオレだって、高校の受験をしないといけなかったんだ。それがさ。どの学校にするか先生と個別の話をした時に、オレは既に決まってて受験をする必要はないって言われたんだ。
「そんなもの、魔力が全てだよ。学歴云々も魔力で学校が振り分けられるんだから、生まれた時の能力だよ」
「成長過程の努力は考慮されないのかよ」
「努力で魔力の強さはどうにもできないからね。後は魔力に見合った職業で努力すれば上は目指せるはずだよ」
つまり、魔力が全部の基準なのかよ。
「それに、魔力が強ければ大抵、家業を持ってる。これでたくさんの子供が授かる環境なら、また、違ったんだろうけど、ほとんどが一人っ子。稀に二人いる程度で、将来の話なんかできる環境じゃないんだよ」
そう言うことかよ。ん? 待てよ。これからオレとルイで卵を作るんだよな? そうなると今までのバランスが崩れるよな? つまりだ。今まで将来が決められてた魔力の強い魔法使いが自由に職業を決めることができるようになるのか?
「あのさ。今度から余程でない限り、子供は授かるだろう?」
「まあ、そうなるだろうね」
「じゃあさ。今と環境が変わるよな? 急激じゃないまでもさ」
ルイを見上げてオレが言った一言。それに反応したのは特Aの生徒。いきなりざわめいた室内。あ……、これ、言ったらマズかったのか?
「はあ。サクヤは不用意過ぎるよ。まあ、もう卒業だし、口止めしても徐々に知れ渡っては行くと思うけどね」
これに関しては面目無いと思うけどさ。今までみたいな感じではなくなるだろうって言いたいんだって。
「なにが言いたいのかは分かるけど。まず、回復するまでに数百年はかかるよ。それに、絶えた血筋もあるしね。それに関しても魔法省はどうにかしたいんだろうし。魔力の強い魔法使いは足りていないのが現状。多少増えても、職業に就けないって話にはならないよ」
そうなのか? で、疑問に思ったことが一つ。ユエって卒業した後の職業なんだよ? そう思って視線を向けた。
「なに?」
「ユエは卒業したらなにになるんだ?」
「専業主夫」
ユエの言葉に更に沈黙する特A教室。
「ユエが働くなんてとんでもないよ。俺の帰りを待っていてもらわないと」
ライカの言葉にガックリくる。確かに今回みたいなこともあるだろうし。が、ユエが納得したことが一番信じられねぇ?!
「あのさ。もう、卒業まで数日だけど。それにさ。今更だけど、卒業式はないのかよ?」
「卒業式?」
ルイだけじゃなく、特A内全員が首を傾げた。
「卒業証書とか」
「そんなものないけど。って言うかね、そんなものが必要なの? 要は学校に行った事実があれば問題ないでしょう?」
……あのさ、魔力を持たない人間は肩書きが必要なんだよ。
「オレ、中学卒業した時に卒業証書貰ったけど」
周りが痛いほどの沈黙に包まれる、って、オレはおかしなことは言ってないぞ?!
「初等部は?」
ルイの言う初等部に一瞬、首を傾げた。初等部……、小学校のことか?
「貰ったけど」
「魔力を持たない人間の感覚が分からないね」
「簡単だろう? 要は学歴だよ。どれだけいい学校に行ったかで、将来の職業が決まるんだからさ。みんな必死なんだぞ」
小学校に入る時点で受験する子だっているんだ。まあ、オレは頭が残念だったから、普通の小学校だったけどさ。本来ならオレだって、高校の受験をしないといけなかったんだ。それがさ。どの学校にするか先生と個別の話をした時に、オレは既に決まってて受験をする必要はないって言われたんだ。
「そんなもの、魔力が全てだよ。学歴云々も魔力で学校が振り分けられるんだから、生まれた時の能力だよ」
「成長過程の努力は考慮されないのかよ」
「努力で魔力の強さはどうにもできないからね。後は魔力に見合った職業で努力すれば上は目指せるはずだよ」
つまり、魔力が全部の基準なのかよ。
「それに、魔力が強ければ大抵、家業を持ってる。これでたくさんの子供が授かる環境なら、また、違ったんだろうけど、ほとんどが一人っ子。稀に二人いる程度で、将来の話なんかできる環境じゃないんだよ」
そう言うことかよ。ん? 待てよ。これからオレとルイで卵を作るんだよな? そうなると今までのバランスが崩れるよな? つまりだ。今まで将来が決められてた魔力の強い魔法使いが自由に職業を決めることができるようになるのか?
「あのさ。今度から余程でない限り、子供は授かるだろう?」
「まあ、そうなるだろうね」
「じゃあさ。今と環境が変わるよな? 急激じゃないまでもさ」
ルイを見上げてオレが言った一言。それに反応したのは特Aの生徒。いきなりざわめいた室内。あ……、これ、言ったらマズかったのか?
「はあ。サクヤは不用意過ぎるよ。まあ、もう卒業だし、口止めしても徐々に知れ渡っては行くと思うけどね」
これに関しては面目無いと思うけどさ。今までみたいな感じではなくなるだろうって言いたいんだって。
「なにが言いたいのかは分かるけど。まず、回復するまでに数百年はかかるよ。それに、絶えた血筋もあるしね。それに関しても魔法省はどうにかしたいんだろうし。魔力の強い魔法使いは足りていないのが現状。多少増えても、職業に就けないって話にはならないよ」
そうなのか? で、疑問に思ったことが一つ。ユエって卒業した後の職業なんだよ? そう思って視線を向けた。
「なに?」
「ユエは卒業したらなにになるんだ?」
「専業主夫」
ユエの言葉に更に沈黙する特A教室。
「ユエが働くなんてとんでもないよ。俺の帰りを待っていてもらわないと」
ライカの言葉にガックリくる。確かに今回みたいなこともあるだろうし。が、ユエが納得したことが一番信じられねぇ?!
0
お気に入りに追加
53
あなたにおすすめの小説
いっぱい命じて〜無自覚SubはヤンキーDomに甘えたい〜
きよひ
BL
無愛想な高一Domヤンキー×Subの自覚がない高三サッカー部員
Normalの諏訪大輝は近頃、謎の体調不良に悩まされていた。
そんな折に出会った金髪の一年生、甘井呂翔。
初めて会った瞬間から甘井呂に惹かれるものがあった諏訪は、Domである彼がPlayする様子を覗き見てしまう。
甘井呂に優しく支配されるSubに自分を重ねて胸を熱くしたことに戸惑う諏訪だが……。
第二性に振り回されながらも、互いだけを求め合うようになる青春の物語。
※現代ベースのDom/Subユニバースの世界観(独自解釈・オリジナル要素あり)
※不良の喧嘩描写、イジメ描写有り
初日は5話更新、翌日からは2話ずつ更新の予定です。
小さなことから〜露出〜えみ〜
サイコロ
恋愛
私の露出…
毎日更新していこうと思います
よろしくおねがいします
感想等お待ちしております
取り入れて欲しい内容なども
書いてくださいね
よりみなさんにお近く
考えやすく
イケメン彼氏は年上消防士!鍛え上げられた体は、夜の体力まで別物!?
すずなり。
恋愛
私が働く食堂にやってくる消防士さんたち。
翔馬「俺、チャーハン。」
宏斗「俺もー。」
航平「俺、から揚げつけてー。」
優弥「俺はスープ付き。」
みんなガタイがよく、男前。
ひなた「はーいっ。ちょっと待ってくださいねーっ。」
慌ただしい昼時を過ぎると、私の仕事は終わる。
終わった後、私は行かなきゃいけないところがある。
ひなた「すみませーん、子供のお迎えにきましたー。」
保育園に迎えに行かなきゃいけない子、『太陽』。
私は子供と一緒に・・・暮らしてる。
ーーーーーーーーーーーーーーーー
翔馬「おいおい嘘だろ?」
宏斗「子供・・・いたんだ・・。」
航平「いくつん時の子だよ・・・・。」
優弥「マジか・・・。」
消防署で開かれたお祭りに連れて行った太陽。
太陽の存在を知った一人の消防士さんが・・・私に言った。
「俺は太陽がいてもいい。・・・太陽の『パパ』になる。」
「俺はひなたが好きだ。・・・絶対振り向かせるから覚悟しとけよ?」
※お話に出てくる内容は、全て想像の世界です。現実世界とは何ら関係ありません。
※感想やコメントは受け付けることができません。
メンタルが薄氷なもので・・・すみません。
言葉も足りませんが読んでいただけたら幸いです。
楽しんでいただけたら嬉しく思います。
淫らな蜜に狂わされ
歌龍吟伶
恋愛
普段と変わらない日々は思わぬ形で終わりを迎える…突然の出会い、そして体も心も開かれた少女の人生録。
全体的に性的表現・性行為あり。
他所で知人限定公開していましたが、こちらに移しました。
全3話完結済みです。
【連載再開】絶対支配×快楽耐性ゼロすぎる受けの短編集
あかさたな!
BL
※全話おとな向けな内容です。
こちらの短編集は
絶対支配な攻めが、
快楽耐性ゼロな受けと楽しい一晩を過ごす
1話完結のハッピーエンドなお話の詰め合わせです。
不定期更新ですが、
1話ごと読切なので、サクッと楽しめるように作っていくつもりです。
ーーーーーーーーーーーーーーーーーー
書きかけの長編が止まってますが、
短編集から久々に、肩慣らししていく予定です。
よろしくお願いします!
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる