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銀の鳥籠Ⅰ ルイ&サクヤ編
117 遠慮と警戒
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食事をして、ルイと二人でマッタリお茶をしていたら、クレハさんとカエデさんが姿を現した。なんだろうな。この、緊張感。ルイって、シロガネさんとクチバさんには懐いてるよな。で、カイトさんには少し壁はあるけど、自然なんだよな。なのに、血の繋がった親子でこの緊張はなんなんだ?!
親子三人で固まるな! ルイを無理やり立たせて、思いっきり二人に投げつけた。
「サクヤ?!」
オレは三人に向けて右手の人差し指を突き付ける。本当はしちゃいけないんだけどな。そんなこと言ってられるか!
「言ったよな? とりあえず、オレにしてるようにしろって」
「無理に決まってるでしょう?!」
「はっきり言ってやる! ぎこちないのは接触が少なすぎだからだ。シロガネさんやクチバさん、カイトさんとの接触時間と、本当の親との接触時間が違い過ぎんだって!」
三人で黙ったな。自覚はあるのか。あとはあれだ。ルイが持つ苦手意識だ。三人で並んだら、もう、血族関係がはっきり分かるな。見た目がいいってより、雰囲気? 今のルイは若干、オレの影響でネジが緩み気味だけどさ。物静かな感じ?
「並んでると親子だって分かるけど」
オレは椅子に腰掛けて、テーブルに左肘立てて頰杖つく。軽く目を見開いたのはルイで、クレハさんとカエデさんは顔を見合わせる。まあ、卵生まれって言わなきゃ、本当に親子。ただ、両親は父母共男だけどさ。
「いきなりは無理だって分かるけどさ。お互いに遠慮とか警戒解いたら?」
「警戒しているつもりはないよ?」
ルイはそう言うけどさ、それ、完全に無意識で警戒と遠慮してんだって。こうなったら、カエデさんだ。クレハさんはこう、父親って感じでドッシリ構えてるけど、カエデさんは違うからな。自然と役割分担しちゃってんだろうな。
「抱きついちゃえばいいんだよ」
オレはルイじゃなく、その後方。カエデさんにわざとらしく微笑んで言い切った。ルイはしきりに首を傾げてる。オレの視線が完全にルイから逸れてるからな。カエデさんといえば、明らかに瞳の輝きが変わった。ルイ、無防備すぎるぞ。
「うわっ」
カエデさんがルイにタックルかます。あれ、抱きつくじゃなくて、ラグビー級のタックルだ。ルイは身長あるし力強いし、倒れなかったけどさ。オレだったら確実に前のめりで倒れてるわ。しかもギュウギュウ抱き締めてるっていうか、抱き潰してっし。若干、クレハさんが引き気味。分かる! その気持ちが手に取るように!
「な、なに?!」
ルイが完全に困惑気。カエデさん、ただ抱き付いてるだけだもんな。なに? ってなるよな。
「……ルイぃ」
えっと。カエデさん、泣きが入ったな。今度はルイが慌て出す。そりゃ、慌てるよな。抱き付かれて泣き出されたらさ。
「どうして泣くの?!」
とても、壮年の男には見えない。身長もルイの方が高いし。
「カエデ、ルイが困ってるぞ」
クレハさんは慌て気味だな。見てる分には失礼かもしれないけど、面白い。チグハグで。
「だって、やっと触れたんだよ。感極まっちゃって。でも、抱き上げられないのが、不満なんだけど」
……抱き上げるのはさすがに無理だよな。できたとしても、横抱きが精一杯だろう。
「無茶なことを言うな……」
「だって、やっと帰ってきたんだよ。育っちゃったけど」
待てよ。この二人、孵化したルイを抱き上げたのって何回くらいなんだ?
「あのさ。赤子だったルイを抱き上げたのって何回くらいなんだ?」
固まってる。そうだよな。
「一回か?」
「私はもう少し抱き上げたけど」
……いつ、持って行かれたんだ?
親子三人で固まるな! ルイを無理やり立たせて、思いっきり二人に投げつけた。
「サクヤ?!」
オレは三人に向けて右手の人差し指を突き付ける。本当はしちゃいけないんだけどな。そんなこと言ってられるか!
「言ったよな? とりあえず、オレにしてるようにしろって」
「無理に決まってるでしょう?!」
「はっきり言ってやる! ぎこちないのは接触が少なすぎだからだ。シロガネさんやクチバさん、カイトさんとの接触時間と、本当の親との接触時間が違い過ぎんだって!」
三人で黙ったな。自覚はあるのか。あとはあれだ。ルイが持つ苦手意識だ。三人で並んだら、もう、血族関係がはっきり分かるな。見た目がいいってより、雰囲気? 今のルイは若干、オレの影響でネジが緩み気味だけどさ。物静かな感じ?
「並んでると親子だって分かるけど」
オレは椅子に腰掛けて、テーブルに左肘立てて頰杖つく。軽く目を見開いたのはルイで、クレハさんとカエデさんは顔を見合わせる。まあ、卵生まれって言わなきゃ、本当に親子。ただ、両親は父母共男だけどさ。
「いきなりは無理だって分かるけどさ。お互いに遠慮とか警戒解いたら?」
「警戒しているつもりはないよ?」
ルイはそう言うけどさ、それ、完全に無意識で警戒と遠慮してんだって。こうなったら、カエデさんだ。クレハさんはこう、父親って感じでドッシリ構えてるけど、カエデさんは違うからな。自然と役割分担しちゃってんだろうな。
「抱きついちゃえばいいんだよ」
オレはルイじゃなく、その後方。カエデさんにわざとらしく微笑んで言い切った。ルイはしきりに首を傾げてる。オレの視線が完全にルイから逸れてるからな。カエデさんといえば、明らかに瞳の輝きが変わった。ルイ、無防備すぎるぞ。
「うわっ」
カエデさんがルイにタックルかます。あれ、抱きつくじゃなくて、ラグビー級のタックルだ。ルイは身長あるし力強いし、倒れなかったけどさ。オレだったら確実に前のめりで倒れてるわ。しかもギュウギュウ抱き締めてるっていうか、抱き潰してっし。若干、クレハさんが引き気味。分かる! その気持ちが手に取るように!
「な、なに?!」
ルイが完全に困惑気。カエデさん、ただ抱き付いてるだけだもんな。なに? ってなるよな。
「……ルイぃ」
えっと。カエデさん、泣きが入ったな。今度はルイが慌て出す。そりゃ、慌てるよな。抱き付かれて泣き出されたらさ。
「どうして泣くの?!」
とても、壮年の男には見えない。身長もルイの方が高いし。
「カエデ、ルイが困ってるぞ」
クレハさんは慌て気味だな。見てる分には失礼かもしれないけど、面白い。チグハグで。
「だって、やっと触れたんだよ。感極まっちゃって。でも、抱き上げられないのが、不満なんだけど」
……抱き上げるのはさすがに無理だよな。できたとしても、横抱きが精一杯だろう。
「無茶なことを言うな……」
「だって、やっと帰ってきたんだよ。育っちゃったけど」
待てよ。この二人、孵化したルイを抱き上げたのって何回くらいなんだ?
「あのさ。赤子だったルイを抱き上げたのって何回くらいなんだ?」
固まってる。そうだよな。
「一回か?」
「私はもう少し抱き上げたけど」
……いつ、持って行かれたんだ?
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