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銀の鳥籠Ⅰ ルイ&サクヤ編
059 魔力の光
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他の奴等が授業のために教室を後にして、残ったのはオレとルイ。なぜか教師。
「この火の鳥の雛は普通の火の鳥と違うんじゃないか?」
教師が疑問を口にした。オレもそう思う。
「キュウキュウ!」
「普通だって言ってもよ。クレナイと確実に違うだろう。見た目が全く成長しねぇしさ」
水晶を両手に乗せたまま、そんなことを言えば、ベニは面白くなかったのか、オレの指を嘴攻撃してきた。地味に痛い。
「まあ、そこのところはいいでしょう。とりあえず、この水晶に魔力を込めてみようか?」
ルイってある意味、マイペースなんだよな。
「魔力を込めるって?」
「水晶に意識を向けて、自分の中の魔力を移す感じかな?」
「あのさ。魔力って体のどこにあるんだよ?」
魔力がどこにあるのかが分かんねぇんだから、認識しようがねぇだろう。
「もしかして、根本的なの?」
素直に頷いた。今までの生活で、魔力なんて必要なかったしさ。とりあえず、変な力があるって感覚だ。必要ないってことは、知る努力なんてしたことねぇし。
「体の中心。心臓なら分かるよね?」
「それくらいは」
「心臓は体を動かす動力源だよ。脳を使うにしても、心臓が酸素を送り出してくれないときちんと機能しない。体中に血液と共に酸素を供給し、魔力を持つ魔法使いは魔力も心臓の機能を利用してるんだよ。全身に魔力を送るのは心臓が担ってるんだ」
「じゃあさ。オレは魔力を常時放出してんだろう? どういうことだよ?」
ルイは笑みを浮かべたけど、教師は呆れ顔だ。仕方ねぇだろう! 人体くらいなら、普通の学校でも教わる。でもさ、普通の学校では、魔力を持ってる奴なんてほぼいねぇんだ! 稀に、微弱な魔力を持ってるのはいるけど、あくまで、微弱だから、なんの害もねぇんだよ!
「人は息をする。普通なら、魔力を外に出すようなことはしないんだけど、サクヤの場合、呼吸という動作と、心臓が体中に血液を媒介に酸素を送り出す動きに、なぜか魔力が同調して、呼吸するたびに魔力が吐き出されてるんだよ」
は?! そんなんありか?!
「暴走する最大の理由が、使おうとしている魔力と、自然と吐き出される魔力がぶつかるから。吐き出されるのは体の機能だからね。対策を考えたほうがいいかもしれないけど、意識して使う魔力は制御する必要があるから。まあ、吐き出した魔力はベニの餌って認識を持ったらいいんじゃない。気分的に楽になるでしょう」
確かに楽にはなるけどさ。ベニ、オレの魔力で見た目変わんないって。目に見えた成長がないからさ。いまいち分かんねぇんだよ。
「とりあえず、自分の中心あたり、心臓の付近にある魔力の塊から、手のひらに乗せている水晶に魔力を移動させるイメージを作って」
心臓の隣あたりにこの、暴走してる魔力の大元があるんだよな? 分かんねぇから、脈打ってる心臓に意識を向けて、血液じゃない別のものを思い浮かべて。そうしたら、スッと、なにかが入り込んできたような感覚があった。水晶に視線を向けたら、綺麗な光が水晶の中で燈る。淡い桜色の光だ。
「お? 初めて見る光の色だな」
教師が目を見開いてっし。
「ベニ、食べてくれる」
「キュウ!」
ベニが水晶を突くと、スッと光が消えた。ルイが水晶を持ち上げて、オレと同じように魔力を込める。淡くともる光はオレと同じ桜色。って、どういうことだよ?! 魔力は真逆だろう?!
「……同じか」
「そうですね。性質は真逆なんですけど」
「それに、こいつは魔力を制御することができなかったんじゃなくて、根本的なことを知らなかっただけなんだな」
「そうみたいですね」
認識したら、なんか、スッと魔力が分かるようになった。基礎知識って大切なんだな。
「この火の鳥の雛は普通の火の鳥と違うんじゃないか?」
教師が疑問を口にした。オレもそう思う。
「キュウキュウ!」
「普通だって言ってもよ。クレナイと確実に違うだろう。見た目が全く成長しねぇしさ」
水晶を両手に乗せたまま、そんなことを言えば、ベニは面白くなかったのか、オレの指を嘴攻撃してきた。地味に痛い。
「まあ、そこのところはいいでしょう。とりあえず、この水晶に魔力を込めてみようか?」
ルイってある意味、マイペースなんだよな。
「魔力を込めるって?」
「水晶に意識を向けて、自分の中の魔力を移す感じかな?」
「あのさ。魔力って体のどこにあるんだよ?」
魔力がどこにあるのかが分かんねぇんだから、認識しようがねぇだろう。
「もしかして、根本的なの?」
素直に頷いた。今までの生活で、魔力なんて必要なかったしさ。とりあえず、変な力があるって感覚だ。必要ないってことは、知る努力なんてしたことねぇし。
「体の中心。心臓なら分かるよね?」
「それくらいは」
「心臓は体を動かす動力源だよ。脳を使うにしても、心臓が酸素を送り出してくれないときちんと機能しない。体中に血液と共に酸素を供給し、魔力を持つ魔法使いは魔力も心臓の機能を利用してるんだよ。全身に魔力を送るのは心臓が担ってるんだ」
「じゃあさ。オレは魔力を常時放出してんだろう? どういうことだよ?」
ルイは笑みを浮かべたけど、教師は呆れ顔だ。仕方ねぇだろう! 人体くらいなら、普通の学校でも教わる。でもさ、普通の学校では、魔力を持ってる奴なんてほぼいねぇんだ! 稀に、微弱な魔力を持ってるのはいるけど、あくまで、微弱だから、なんの害もねぇんだよ!
「人は息をする。普通なら、魔力を外に出すようなことはしないんだけど、サクヤの場合、呼吸という動作と、心臓が体中に血液を媒介に酸素を送り出す動きに、なぜか魔力が同調して、呼吸するたびに魔力が吐き出されてるんだよ」
は?! そんなんありか?!
「暴走する最大の理由が、使おうとしている魔力と、自然と吐き出される魔力がぶつかるから。吐き出されるのは体の機能だからね。対策を考えたほうがいいかもしれないけど、意識して使う魔力は制御する必要があるから。まあ、吐き出した魔力はベニの餌って認識を持ったらいいんじゃない。気分的に楽になるでしょう」
確かに楽にはなるけどさ。ベニ、オレの魔力で見た目変わんないって。目に見えた成長がないからさ。いまいち分かんねぇんだよ。
「とりあえず、自分の中心あたり、心臓の付近にある魔力の塊から、手のひらに乗せている水晶に魔力を移動させるイメージを作って」
心臓の隣あたりにこの、暴走してる魔力の大元があるんだよな? 分かんねぇから、脈打ってる心臓に意識を向けて、血液じゃない別のものを思い浮かべて。そうしたら、スッと、なにかが入り込んできたような感覚があった。水晶に視線を向けたら、綺麗な光が水晶の中で燈る。淡い桜色の光だ。
「お? 初めて見る光の色だな」
教師が目を見開いてっし。
「ベニ、食べてくれる」
「キュウ!」
ベニが水晶を突くと、スッと光が消えた。ルイが水晶を持ち上げて、オレと同じように魔力を込める。淡くともる光はオレと同じ桜色。って、どういうことだよ?! 魔力は真逆だろう?!
「……同じか」
「そうですね。性質は真逆なんですけど」
「それに、こいつは魔力を制御することができなかったんじゃなくて、根本的なことを知らなかっただけなんだな」
「そうみたいですね」
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