銀の鳥籠

善奈美

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銀の鳥籠Ⅰ ルイ&サクヤ編

005 とばっちり?

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 授業を受けて寮に帰ってきたオレ達だけど、ユエの表情が冴えねぇの。まあ、昨日のオレ状態だよな。
 
「あのよ。オレと同じ特殊って?」
 
 肩ビクつかせて。訊くけどな!
 
「……それは」
 
 何となくよ、誰にも循環相手? に指名されないとか思ってた感じだよな。だから、軽い感じでオレにあんなこと言ってたんだしさ。
 
「求愛って、循環相手のことだよな?」
「求愛は恋人って意味」
 
 なるほどね。
 
「オレのときは循環相手って言ってたけどな」
「それはサクヤが外部入学してきたからだよ」
 
 魔法使いの常識に疎くて悪かったな。仕方ねぇだろ。普通の学校に通ってたしよ。両親もこっちの知識に疎かったんだしさ。唯一、魔法使いの血筋だから気を付けろって言われてた程度だし。魔力にしてもさ、抑えるために、此処来るまで耳にピアスみたいなの付けられてたし。
 
「恋人って言われたんだろう?」
「まあな。嬉しくねぇけど」
 
 とりあえず、着替えよう。制服って堅苦しいしな。ユエもモソモソ着替え始めたし。部屋着に着替えて部屋の真ん中を陣取ってる長椅子に二人で腰掛ける。
 
「あれ、完璧に拒絶認めてなかったみたいだけど」
「知らなかったんだ。魔力が上の人には分かるって。サクヤは無反応だったし」
「オレの場合、魔力を使いこなせてねぇもん。分かんねぇんじゃねぇの?」
 
 黙り込んだな。
 
「どうするんだ」
「どうするも、こうするも、拒絶が認められなくて時間はあげるって。つまり、覚悟をする時間をあげるから早目に納得して落ちて来いってことだろう?」
 
 分かってるのか。あの副会長様に何が分かったのかね。見た感じユエは綺麗ではあるけどよ、変わった感じはしねぇしさ。
 
「何隠してるわけ?」
「サクヤは本来なら特Aだったって俺言っただろう?」
「言ってたな」
「俺も本来は特Aなんだけどさ。ちょっと理由があってAクラスなんだよ」
 
 待てよ。副会長の口振りとユエの動揺具合で、それって教師も知らないんじゃねぇか?!
 
「その、自力じゃ解放できなくてさ」
 
 解放ってなんだ?!
 
「サクヤは魔力がダダ漏れだろう。俺は逆なんだ」
 
 逆って。栓締まってるのにAクラスなのか。よく分かんねぇけど。
 
「絶対、バレないと思ってたのに。サクヤが会長に目を付けられたから、多分、副会長は好奇心で見に来たんだよ。とばっちりじゃん」
「オレのせいだっていうのかよ?!」
「だってさ、初等部のときから俺はこの学校にいるんだぞ。今更だろう」
 
 確かに。反論できねぇ。二人で顔を見合わせて、溜め息しか出なかった。
 
 
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