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Ⅳ 華月蝶
一章
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ジゼルはその赤子を目にしたとき、驚愕に目を見開いた。何故なら、その赤子は、間違えなく、自分と同じ存在であると言い切れたからだ。
「どうかしたのか」
ファジールはジゼルの態度に疑問を抱く。それは、周りに居た全ての者達の疑問でもあった。
「月華が月華に会ったことはあるのかしら」
ジゼルの言葉にファジールとアレンは顔を見合わせる。吸血族の長い歴史の中で、出会ったことがあるという記述は存在しない。何より、ファジールは父親から、そんな史実は聞いていない。当然、アレンも知らない。ジゼルは何を言いたいのだろうか。
柔らかい産毛のような白髪に触れる。触れることで、間違えないと、はっきり認識出来た。
「間違えないわ」
ジゼルは確信する。
「何が間違えないんだ」
ファジールは更に首を捻った。
「この子は私よ」
ジゼルは顔を上げ、産まれたばかりの赤子の両親へ視線を向けた。
「この子は月華だわ」
その言葉に空気が凍りつく。それは予想だにしない言葉だった。
†††
「莫迦にしないでっ」
床を踏み鳴らし、啖呵を切ったのは黒の巻き髪と赤茶の瞳のアーダ。そして、怒鳴られたのは癖のない白髪と灰色の瞳のファーダ。
「嫌だったり、怖かったりしたら、最初から近くに居たりしないわっ」
事の発端はファーダの一言だったのだ。生まれたときから、会う大人達から魔力の扉が開くのを遅らせるために、封印をされてきた。当然、誕生したときからなのだから、それに対して違和感はない。ファーダが恐れたのはそれに対してではなかった。
アーダが仮の婚約者となったのは、幼いときから懇意にし、幼馴染み達の中でも一際、仲が良かったからだ。そして、一番重要なのは、アーダがファーダより魔力が強いということだった。
黒薔薇でも屈指の魔力を有する一族に生まれ、祖母はファーダと同じ月華。何より、月華が血筋の中に多数存在していることも、選ばれた要因だった。
「軽はずみに、自分の命を天秤に掛けているわけじゃないのよ。これでも、月華の孫。祖父母からみっちり、それに関する知識を教え込まれているわ。ファーより私のほうが詳しいのよっ」
アーダは月華ではないが、幼い時分から父親と、何より当事者であった祖父母から、それに関する知識は教えられていた。それはアーダを守るためだ。
小さいときは正直に恐怖心があった。物心つく頃には、月華がどれほど特殊な存在であり、危険と隣り合っているかを、嫌というほど教えられた。
選ばれたということは、ファーダの命の全てに責任を持つということだ。だから、父親と祖父から、何度か問い掛けられたことがある。
本当に、責任を持って、全う出来るのか、と。
二つの命が掛かっているのだ。軽はずみな行動では、到底、成功するものも、成功しない。ましてや、鍵の受け渡しは命を掛ける行為だ。覚悟を促し、本当に後悔しないかを問われるのは当たり前だった。
だから、ファーダの言葉にアーダは怒りを顕わにしたのだ。
何も判っていない、小娘扱いをされたのだ。
アーダは唇を噛み締め、踵を返した。このまま言い合っていても、答えなど見付らない。頭に血が上ったままでは、もっと酷いことを言ってしまう。
ファーダはいきなり走り去ったアーダを追うことが出来なかった。何故なら、止めるだけの理由がなかったからだ。幼いときから何時も一緒だった。部族は違うが、幼子のときは、黒薔薇の主治医の館で幼馴染み達と過ごした。
ある程度成長し、家業の勉強を始めると、会う時間も、少しずつ減っていった。だが、他の吸血族の男性に比べれば、幸運であるといえるだろう。少なくとも、ファーダは多くの女児と、普通に遊べる環境にいたのだから。
自分が特殊な存在であることは判っている。成長するにつれ、体の奥底で何かが蠢いている。
アーダの祖母がいつも言っていた。
魔力の扉は意思とは関係なく開き続ける。外部から封印を施されても、結局は気休めでしかない。扉の向こうは、息も難しいほどの濃い瘴気のような魔力の住処だ。
もし、鍵を拒めば、待っているのは永遠の死でしかないことも、しっかり教わっていた。アーダは自分の方が知っていると言っていた。その言葉に嘘はないだろう。しかし、当事者はファーダであり、アーダではない。
自分を飲み込もうとしている、得体の知れない力が、魔族が尊んでいる魔力だと、どう説明したら良いのだろうか。アーダの祖母は言っていた。魔力など、尊くなどないのだと。
魔力の強さは、魔族の中の魔力の扉と干渉力で決まる。干渉力は個人の能力だろうが、魔力の扉は血筋によるものだ。その血筋に刻まれた呪縛だ。干渉力が強くても、扉の大きさが小さければ魔力が弱いことになる。
血筋で決まらないのが月華と銀狼だ。突然変異で生まれてくるため、両親の血筋とは関係なく、大きな魔力の扉と干渉力をもって生まれくる。ただ、銀狼とは違い、月華は強い魔力に対する抵抗力がない。魔力の扉に本来掛けられている鍵がない。吸血族以外の種族で誕生した場合、判った時点で抹殺される。それは、扉に鍵を掛ける方法がないからだ。
吸血族も方法があったとしても、条件がある。絶対的条件。それは、月華本人より、強い魔力を有する異性の吸血族だ。今の吸血族はその条件を満たす存在を見付け出すことは、困難だと言われている。
ファーダは白薔薇を母に持つ。そのため、誕生時点で、幼馴染みの女児が側におり、早い段階でアーダと仮の婚約をした。ファーダにとって幸運であったと同時に、苦痛でもあったのだ。
月華はある程度、成長しなければ判らない。それは、月華が同時代に現れないからだ。だが、幸か不幸か、ファーダ以外の月華が居たのだ。アーダの祖母のジゼルだ。その存在を目にした瞬間、同じ存在だと判ったのだという。当然、そう然となったようだ。月華は危険な存在であり、管理されなくてはならない。
実際、ジゼルがそうだった。だが、意を唱えた者がいたのだ。黒薔薇の主治医でアーダの祖父のファジールだ。隔離されて育てば、本来、経験として培われる知識が身に付かない。それは月華として生まれると同様に、危険な事だ。何故なら、女児ならば、それでもなんとかなるだろう。
だが、ファーダは男児で、当然、父親の職業を継ぐ立場にある。他人との接触は必要不可欠だ。そのため、考え出されたのは、月華ならば誰もが処置を受ける、扉に仮の封印を施し続けることだった。
黒薔薇の主治医宅に、他の薔薇の子供達と預けられたのは、事情を知っており、尚且つ、ジゼルが居たからだ。
月華が、月華を監視する。
本来なら、精神に潜らなくては判らない扉の状態を、ジゼルならば察知出来た。それは、薔薇が薔薇のことを察知出来る現象と全く同じ原理だった。
月華は薔薇と同じ。同様の存在であれば感知可能だったのだ。
ジゼルの監視の元、月華ならば奪われていた経験を、ファーダは普通に奪われることなく成長出来た。その過程で、アーダとの婚約を、黒の長と白の長の許可の元、正式ではないにしても許されたのだ。
他部族間の婚姻は通常であれば許されないが、時代の流れなのか、薔薇の子同士だったためなのか、当然のように許された。
決定ではなく、仮の婚約だったのは、互いの気持ちの問題もあったようだ。無理矢理では、過去の二の舞になる。心を無視することは、出来よう筈がない。だから、成人し、互いの気持ちを確認した上で、鍵の受け渡しをすることに決まっていた。
何も知らなければ、躊躇いはなかっただろう。だが、幸か不幸か、月華の知識がファーダを躊躇わせたのだ。
鍵となる者は、命を危険に晒す。痛みも、何より、鍵を受け渡す間、意識が混濁する月華の代わりを、完了するまで務めなくてはいけない。
聞けば聞くだけ、鍵となる者の負担の大きさにファーダは恐れの気持ちを抱くようになった。自分が苦しむだけなら、いくらでも耐えられるだろう。何故なら、月華はファーダ本人で、逃げることなど出来ないのだ。
思い悩むファーダに、母親のトゥーイは表情を曇らせた。鍵を拒絶することは、太陽に散ることを意味しているからだ。しかし、ファーダの気持ちも理解出来た。
「後悔しないのか」
母親の言葉に、即答は出来なかった。鍵を拒絶することは、そのまま、アーダを諦めるということだからだ。
ファーダの迷い。それはアーダのことだけではない。母親はアルビノで、体が丈夫ではない。
「俺のことはいいんだ」
ファーダは母親を凝視した。ファーダが何に悩んでいるのか、判っているのだろう。
「まずは自分がどうしたいかだろう」
そうなのだが、生きたいと思っても、どうやっても、一人では解決出来ない。一人で唯一解決出来る方法。それが《太陽の審判》なのだ。
アーダを莫迦にしたつもりはない。ただ、大切なのだ。苦しめたくなかったし、誰よりも笑っていて欲しい。
幼い時から言われていた。鍵の受け渡しは、成人して直ぐがいいと。判っていても、他者に苦痛を強いるその行為に、疑問を持っていたのだ。
だから、ジゼルに訊いたことがある。どうやって、決断したのかと。すると、ジゼルは苦笑いを浮かべ、ただ一言、自分の意思ではなかったのだと言った。
ジゼルの場合、月華であることを知らなかった。完全に吸血族から隔離され育てられた。吸血族が持つ、基本的な知識すら危うかった。ファジールと出会ったのが、丁度、魔力の扉が完全に開き切る直前だったのだ。
偶然だったのか。必然だったのか。今となっては判らないのだと、ジゼルは笑っていた。部族が違う者同士の婚姻。当然、風評もあっただろう。黒の長が関わっているため、表立って口さがなく言う者はいなかっただろう。
それでも、当初は罪悪感があったのだと、ジゼルは正直に話した。鍵の受け渡しは、命を懸ける。軽い気持ちで手を出せば、痛いだけでは済まない。
ファジールは医者の中でもかなり特殊な部類に入る。主治医というだけではなく、血筋に月華がいると言う、かなり特殊な存在だった。
つまり、月華について、誰よりも知っていたのだ。月華については、部族長達ですら詳しくは知らない。知っているのは当事者と、その血筋に連なるものだけだ。何故なら、月華の一般的認識と、実際ではかなりの違いがある。
一般的には魔力を育てる者だが、実際は魔力が溢れ出す者、だからだ。魔力の扉に鍵がないのは、あってはならないことなのだ。
だから、月華について、口外することは禁止されている。当然、当事者となりえるファーダとアーダには詳しく教えられているが、他の幼馴染み達はファーダが月華だとは知っていても、詳しくは知らないのである。
両親は詳しい説明を受けたようだが、それは、何か不測の事態に発展したときに、対処出来ないのでは都合が悪いからだ。ファーダの最も近くにいるのが両親だからだ。
「確かに、アーダが苦しむだろうけどさ、心について考えたことがあるか」
母親であるトゥーイが、ファーダの顔を覗き込み、そんなことを訊いてきた。ファーダは首を傾げる。おっちょこちょいを地でいくトゥーイだが、実は父親のフィネイより、頭がいい事は知っている。
「俺が言えた義理じゃないんだけどさ」
「どう言うこと」
トゥーイは愁いを帯びた表情を見せた。大切だから、困らせたくないから、目の前から消えようと考える。確かに、相手を思いやっているのかもしれない。だが、それはあくまで、そう考えている本人の考えで、相手の気持ちまで考えているわけではない。
所詮は違う存在なのだから、完全に個を判ったように考えるのは、傲慢なことだ。
「相手を思いやるのは大切なことだ。そう思っているし、ファーにも言い聞かせてきた」
ファーダは頷いた。両親は事あるごとに、他人を思いやる心を忘れるなと、ファーダに言っていた。
「でも、同じだけ、自分も思いやらないといけないんだ」
ファーダはトゥーイの言葉に首を傾げた。他人も思いやり、自分も思いやるとはどういうことなのか。
「自分を犠牲に他を助けようとする。確かに体は傷付いていないのかもしれない。じゃあ、心は」
ファーダはその言葉に目を見開いた。
「心は目に見えない。そして、言葉では表しきれない。口をついた言葉と、心の声は違う」
トゥーイは小さく息を吐き出した。
「自分が消えれば解決する。それは、愚かな考えだ」
ただ、諭すように言った。
「あと、忘れてるみたいだけどさ、アーダはシオンの娘なんだよな」
ファーダは首を傾げた。何の関係があるんだろうか。
「あそこって、ジゼルさんの血筋だけでもかなり特殊だと思うんだけど、シオンもある意味、普通じゃないしさ。覚悟は決めておいた方がいいと思うけど」
一体、何に対した覚悟なのだろうか。
「自分が思っているように、アーダが動くと考えているんだとしたら、考えを改めた方が、身のためってこと」
ファーダは目を見開いた。全く、理解出来ない。確かに、あの館で育ったが、変わっているとは思ったことなど、なかったのである。
†††
アーダは自宅に戻ると、迷いなく、ある場所に足を向けた。そして、確認もせずに、勢い良く扉を開いた。当然、其処に居た者達は驚きに動きが止まる。アーダが入って行った場所。其処は仕事場だったのだ。
「私、《永遠の眠り》に就くわっ」
開口一番、大声で叫んだアーダを凝視する。ただ事ではない。
「何があった」
アレンは娘達には仕事場に不用意に入らないように言い含めている。
そのアーダが、泣きながら入って来たのだから、咎めるのではなく、話を訊くことが必要だからだ。
アーダは普段、涙は見せない。姉妹の中で一番気が強く、負けん気は誰にも負けない。涙を隠すことなく見せているということは、余裕がないということだ。
「ファーは私が必要じゃないと言ったわっ」
その言葉に、あからさまに息を吐き出したのは祖父のファジールだった。アーダにもだが、ファーダにも鍵の受け渡し時の状況は話している。こうなるのではないかと、思っていたのだ。
鍵の拒絶は即ち、完全なる死を意味する。それでも拒絶したということは、アーダの身を案じたのだろう。どうやっても、他人に頼らなくては月華は鍵を得ることが出来ないからだ。
「私はファー以外とは絶対に嫌っ」
アーダは父親を睨みつけた。もし、ファーダ以外を選べと言われたら、力の限り抵抗する気だったからだ。
「睨みつけなくても、無理強いをするつもりはない」
アレンはあからさまに、溜め息を吐いた。ファジールはアレンに視線を向ける。
「全く、どうしてこう、自分を犠牲にするんだか」
アレンの呟きは正に、ファジールの心の声そのものだった。
「とりあえず、みんなのところに行け」
アレンは有無を言わせない強い語尾でアーダに言った。
尚も言い募ろうとするアーダを、アレンは睨みつけることで黙らせた。ここで何かを言ったところで、解決などしないのだ。
「少し頭を冷やせ。判ったな」
アーダは不満を表情に見せたが、渋々頷いた。父親を怒らせることは得策とは言えない。特にアーダは何度も父親に怒られていたのだから、その恐ろしさは、姉妹の中で一番知っているのだ。
納得しないまでも部屋を出て行ったアーダを見送り、大人しく成り行きを見守っていたベンジャミンが口を開く。
「兄さんも大変だね」
その言葉にアレンは脱力する。
だが、困ったことになった。予想していなかったかと言われたらそうではないのだが、まさか、成人してから言ってこようとは。
「不味いことになったな」
ファジールは窓の外に視線を向け、ポツリと呟いた。拒絶したということは、覚悟はしている筈だ。ジゼルのように、最終段階まで放置することも、歓迎出来ない。経験者だからこそ、あそこまで放置したときの苦痛を、孫娘に経験させたくないのだ。
「彼奴は判ってる筈なんだ」
母親が普通の体でないことも、父親には後継者が必要なことも。それでも拒絶したのは、アーダを思ってのことだろう。説明を受けるたび、鍵となる者の負担が半端でない事実を、教えられたからだろう。
ファーダが拒絶したことで、まさか、アーダが《永遠の眠り》を選択するなど考えてもいないだろう。
アーダは良くも悪くもシオンの娘であり、ジゼルの孫娘なのだ。実は、アレンはこうなるのではないかと、危惧していたのだ。
ファジールは小さく息を吐き出し、調べ物をすると、隣の部屋へ消えていった。
「どうするの」
ベンジャミンの問いに、答える言葉はない。予想はしていても、対処法などある筈はない。
「兄さんでも、判らないの」
アレンは更に脱力した。誰も彼も、何故、アレンがなんでも知っていると思うのだろうか。
「俺は万能じゃないっ」
キッパリ否定したアレンに、ベンジャミンは苦笑いを見せた。なにも、万能だとは思っていない。シオンを相手にしている姿を見れば、そんなことは分かり切っている。
「視えてないの」
ベンジャミンは真顔で問い掛けた。アレンは探るようにベンジャミンを見詰める。からかっているわけではなさそうだ。
「どうして訊く」
「危険でなければ訊かないよ。月華は危険なだけじゃない。周りを巻き込むから」
だから、とベンジャミンは続けた。
「何かを視ているなら、話して欲しいんだ」
アレンは溜め息を吐いた。視ていると言いたいところだが、幸か不幸か全く視ていないのだ。
「期待に添えなくて申し訳ないが、視ていない」
「本当に」
ベンジャミンは疑わしげに、眉間に皺を寄せた。
「視えていたら、勝手に動いている」
セルジュとはわけが違う。ファーダは周りに危害を及ぼすのだ。事前に見えていれば、誰に言われるでもなく、行動を起こしている。
アレンの様子に、ベンジャミンは小さく首を振った。
兄が元々、行動的なのは知っている。時々、知っていても行動しないときがあるので、疑ってしまったのだ。
「フィネイに相談するしかないだろうな」
アレンは諦めたように、言葉を吐き出した。こればかりは、本人の意思が変わらない限り無理だ。
「アーダだったら、言ったことを実行しそうだね」
ベンジャミンの言葉に、アレンは突っ伏た。思い込みが激しいのは完全に血筋だろう。
「それも、ファー次第だ」
アレンは力なく呟くように言った。結局、本人ではないのだから、答えなど、出る筈もない。
そんなことを二人で話していると、レイスが慌てたように室内に入って来た。二人はそんなレイスの様子に、訝しむ。
「どうかしたのか」
アレンは不思議そうに問い掛けた。レイスは余程でなければ動揺しない。伊達に、黒薔薇の主治医の一族の執事兼、助手はしていない。
「エンヴィ様がっ」
アレンとベンジャミンは顔を見合わせた。エンヴィが訪れ、レイスが慌てる理由など判りきっている。
レイスの背後にいたエンヴィの表情で、何が起こったのか知るのは容易だった。セルジュの変化が始まったのである。
「どうかしたのか」
ファジールはジゼルの態度に疑問を抱く。それは、周りに居た全ての者達の疑問でもあった。
「月華が月華に会ったことはあるのかしら」
ジゼルの言葉にファジールとアレンは顔を見合わせる。吸血族の長い歴史の中で、出会ったことがあるという記述は存在しない。何より、ファジールは父親から、そんな史実は聞いていない。当然、アレンも知らない。ジゼルは何を言いたいのだろうか。
柔らかい産毛のような白髪に触れる。触れることで、間違えないと、はっきり認識出来た。
「間違えないわ」
ジゼルは確信する。
「何が間違えないんだ」
ファジールは更に首を捻った。
「この子は私よ」
ジゼルは顔を上げ、産まれたばかりの赤子の両親へ視線を向けた。
「この子は月華だわ」
その言葉に空気が凍りつく。それは予想だにしない言葉だった。
†††
「莫迦にしないでっ」
床を踏み鳴らし、啖呵を切ったのは黒の巻き髪と赤茶の瞳のアーダ。そして、怒鳴られたのは癖のない白髪と灰色の瞳のファーダ。
「嫌だったり、怖かったりしたら、最初から近くに居たりしないわっ」
事の発端はファーダの一言だったのだ。生まれたときから、会う大人達から魔力の扉が開くのを遅らせるために、封印をされてきた。当然、誕生したときからなのだから、それに対して違和感はない。ファーダが恐れたのはそれに対してではなかった。
アーダが仮の婚約者となったのは、幼いときから懇意にし、幼馴染み達の中でも一際、仲が良かったからだ。そして、一番重要なのは、アーダがファーダより魔力が強いということだった。
黒薔薇でも屈指の魔力を有する一族に生まれ、祖母はファーダと同じ月華。何より、月華が血筋の中に多数存在していることも、選ばれた要因だった。
「軽はずみに、自分の命を天秤に掛けているわけじゃないのよ。これでも、月華の孫。祖父母からみっちり、それに関する知識を教え込まれているわ。ファーより私のほうが詳しいのよっ」
アーダは月華ではないが、幼い時分から父親と、何より当事者であった祖父母から、それに関する知識は教えられていた。それはアーダを守るためだ。
小さいときは正直に恐怖心があった。物心つく頃には、月華がどれほど特殊な存在であり、危険と隣り合っているかを、嫌というほど教えられた。
選ばれたということは、ファーダの命の全てに責任を持つということだ。だから、父親と祖父から、何度か問い掛けられたことがある。
本当に、責任を持って、全う出来るのか、と。
二つの命が掛かっているのだ。軽はずみな行動では、到底、成功するものも、成功しない。ましてや、鍵の受け渡しは命を掛ける行為だ。覚悟を促し、本当に後悔しないかを問われるのは当たり前だった。
だから、ファーダの言葉にアーダは怒りを顕わにしたのだ。
何も判っていない、小娘扱いをされたのだ。
アーダは唇を噛み締め、踵を返した。このまま言い合っていても、答えなど見付らない。頭に血が上ったままでは、もっと酷いことを言ってしまう。
ファーダはいきなり走り去ったアーダを追うことが出来なかった。何故なら、止めるだけの理由がなかったからだ。幼いときから何時も一緒だった。部族は違うが、幼子のときは、黒薔薇の主治医の館で幼馴染み達と過ごした。
ある程度成長し、家業の勉強を始めると、会う時間も、少しずつ減っていった。だが、他の吸血族の男性に比べれば、幸運であるといえるだろう。少なくとも、ファーダは多くの女児と、普通に遊べる環境にいたのだから。
自分が特殊な存在であることは判っている。成長するにつれ、体の奥底で何かが蠢いている。
アーダの祖母がいつも言っていた。
魔力の扉は意思とは関係なく開き続ける。外部から封印を施されても、結局は気休めでしかない。扉の向こうは、息も難しいほどの濃い瘴気のような魔力の住処だ。
もし、鍵を拒めば、待っているのは永遠の死でしかないことも、しっかり教わっていた。アーダは自分の方が知っていると言っていた。その言葉に嘘はないだろう。しかし、当事者はファーダであり、アーダではない。
自分を飲み込もうとしている、得体の知れない力が、魔族が尊んでいる魔力だと、どう説明したら良いのだろうか。アーダの祖母は言っていた。魔力など、尊くなどないのだと。
魔力の強さは、魔族の中の魔力の扉と干渉力で決まる。干渉力は個人の能力だろうが、魔力の扉は血筋によるものだ。その血筋に刻まれた呪縛だ。干渉力が強くても、扉の大きさが小さければ魔力が弱いことになる。
血筋で決まらないのが月華と銀狼だ。突然変異で生まれてくるため、両親の血筋とは関係なく、大きな魔力の扉と干渉力をもって生まれくる。ただ、銀狼とは違い、月華は強い魔力に対する抵抗力がない。魔力の扉に本来掛けられている鍵がない。吸血族以外の種族で誕生した場合、判った時点で抹殺される。それは、扉に鍵を掛ける方法がないからだ。
吸血族も方法があったとしても、条件がある。絶対的条件。それは、月華本人より、強い魔力を有する異性の吸血族だ。今の吸血族はその条件を満たす存在を見付け出すことは、困難だと言われている。
ファーダは白薔薇を母に持つ。そのため、誕生時点で、幼馴染みの女児が側におり、早い段階でアーダと仮の婚約をした。ファーダにとって幸運であったと同時に、苦痛でもあったのだ。
月華はある程度、成長しなければ判らない。それは、月華が同時代に現れないからだ。だが、幸か不幸か、ファーダ以外の月華が居たのだ。アーダの祖母のジゼルだ。その存在を目にした瞬間、同じ存在だと判ったのだという。当然、そう然となったようだ。月華は危険な存在であり、管理されなくてはならない。
実際、ジゼルがそうだった。だが、意を唱えた者がいたのだ。黒薔薇の主治医でアーダの祖父のファジールだ。隔離されて育てば、本来、経験として培われる知識が身に付かない。それは月華として生まれると同様に、危険な事だ。何故なら、女児ならば、それでもなんとかなるだろう。
だが、ファーダは男児で、当然、父親の職業を継ぐ立場にある。他人との接触は必要不可欠だ。そのため、考え出されたのは、月華ならば誰もが処置を受ける、扉に仮の封印を施し続けることだった。
黒薔薇の主治医宅に、他の薔薇の子供達と預けられたのは、事情を知っており、尚且つ、ジゼルが居たからだ。
月華が、月華を監視する。
本来なら、精神に潜らなくては判らない扉の状態を、ジゼルならば察知出来た。それは、薔薇が薔薇のことを察知出来る現象と全く同じ原理だった。
月華は薔薇と同じ。同様の存在であれば感知可能だったのだ。
ジゼルの監視の元、月華ならば奪われていた経験を、ファーダは普通に奪われることなく成長出来た。その過程で、アーダとの婚約を、黒の長と白の長の許可の元、正式ではないにしても許されたのだ。
他部族間の婚姻は通常であれば許されないが、時代の流れなのか、薔薇の子同士だったためなのか、当然のように許された。
決定ではなく、仮の婚約だったのは、互いの気持ちの問題もあったようだ。無理矢理では、過去の二の舞になる。心を無視することは、出来よう筈がない。だから、成人し、互いの気持ちを確認した上で、鍵の受け渡しをすることに決まっていた。
何も知らなければ、躊躇いはなかっただろう。だが、幸か不幸か、月華の知識がファーダを躊躇わせたのだ。
鍵となる者は、命を危険に晒す。痛みも、何より、鍵を受け渡す間、意識が混濁する月華の代わりを、完了するまで務めなくてはいけない。
聞けば聞くだけ、鍵となる者の負担の大きさにファーダは恐れの気持ちを抱くようになった。自分が苦しむだけなら、いくらでも耐えられるだろう。何故なら、月華はファーダ本人で、逃げることなど出来ないのだ。
思い悩むファーダに、母親のトゥーイは表情を曇らせた。鍵を拒絶することは、太陽に散ることを意味しているからだ。しかし、ファーダの気持ちも理解出来た。
「後悔しないのか」
母親の言葉に、即答は出来なかった。鍵を拒絶することは、そのまま、アーダを諦めるということだからだ。
ファーダの迷い。それはアーダのことだけではない。母親はアルビノで、体が丈夫ではない。
「俺のことはいいんだ」
ファーダは母親を凝視した。ファーダが何に悩んでいるのか、判っているのだろう。
「まずは自分がどうしたいかだろう」
そうなのだが、生きたいと思っても、どうやっても、一人では解決出来ない。一人で唯一解決出来る方法。それが《太陽の審判》なのだ。
アーダを莫迦にしたつもりはない。ただ、大切なのだ。苦しめたくなかったし、誰よりも笑っていて欲しい。
幼い時から言われていた。鍵の受け渡しは、成人して直ぐがいいと。判っていても、他者に苦痛を強いるその行為に、疑問を持っていたのだ。
だから、ジゼルに訊いたことがある。どうやって、決断したのかと。すると、ジゼルは苦笑いを浮かべ、ただ一言、自分の意思ではなかったのだと言った。
ジゼルの場合、月華であることを知らなかった。完全に吸血族から隔離され育てられた。吸血族が持つ、基本的な知識すら危うかった。ファジールと出会ったのが、丁度、魔力の扉が完全に開き切る直前だったのだ。
偶然だったのか。必然だったのか。今となっては判らないのだと、ジゼルは笑っていた。部族が違う者同士の婚姻。当然、風評もあっただろう。黒の長が関わっているため、表立って口さがなく言う者はいなかっただろう。
それでも、当初は罪悪感があったのだと、ジゼルは正直に話した。鍵の受け渡しは、命を懸ける。軽い気持ちで手を出せば、痛いだけでは済まない。
ファジールは医者の中でもかなり特殊な部類に入る。主治医というだけではなく、血筋に月華がいると言う、かなり特殊な存在だった。
つまり、月華について、誰よりも知っていたのだ。月華については、部族長達ですら詳しくは知らない。知っているのは当事者と、その血筋に連なるものだけだ。何故なら、月華の一般的認識と、実際ではかなりの違いがある。
一般的には魔力を育てる者だが、実際は魔力が溢れ出す者、だからだ。魔力の扉に鍵がないのは、あってはならないことなのだ。
だから、月華について、口外することは禁止されている。当然、当事者となりえるファーダとアーダには詳しく教えられているが、他の幼馴染み達はファーダが月華だとは知っていても、詳しくは知らないのである。
両親は詳しい説明を受けたようだが、それは、何か不測の事態に発展したときに、対処出来ないのでは都合が悪いからだ。ファーダの最も近くにいるのが両親だからだ。
「確かに、アーダが苦しむだろうけどさ、心について考えたことがあるか」
母親であるトゥーイが、ファーダの顔を覗き込み、そんなことを訊いてきた。ファーダは首を傾げる。おっちょこちょいを地でいくトゥーイだが、実は父親のフィネイより、頭がいい事は知っている。
「俺が言えた義理じゃないんだけどさ」
「どう言うこと」
トゥーイは愁いを帯びた表情を見せた。大切だから、困らせたくないから、目の前から消えようと考える。確かに、相手を思いやっているのかもしれない。だが、それはあくまで、そう考えている本人の考えで、相手の気持ちまで考えているわけではない。
所詮は違う存在なのだから、完全に個を判ったように考えるのは、傲慢なことだ。
「相手を思いやるのは大切なことだ。そう思っているし、ファーにも言い聞かせてきた」
ファーダは頷いた。両親は事あるごとに、他人を思いやる心を忘れるなと、ファーダに言っていた。
「でも、同じだけ、自分も思いやらないといけないんだ」
ファーダはトゥーイの言葉に首を傾げた。他人も思いやり、自分も思いやるとはどういうことなのか。
「自分を犠牲に他を助けようとする。確かに体は傷付いていないのかもしれない。じゃあ、心は」
ファーダはその言葉に目を見開いた。
「心は目に見えない。そして、言葉では表しきれない。口をついた言葉と、心の声は違う」
トゥーイは小さく息を吐き出した。
「自分が消えれば解決する。それは、愚かな考えだ」
ただ、諭すように言った。
「あと、忘れてるみたいだけどさ、アーダはシオンの娘なんだよな」
ファーダは首を傾げた。何の関係があるんだろうか。
「あそこって、ジゼルさんの血筋だけでもかなり特殊だと思うんだけど、シオンもある意味、普通じゃないしさ。覚悟は決めておいた方がいいと思うけど」
一体、何に対した覚悟なのだろうか。
「自分が思っているように、アーダが動くと考えているんだとしたら、考えを改めた方が、身のためってこと」
ファーダは目を見開いた。全く、理解出来ない。確かに、あの館で育ったが、変わっているとは思ったことなど、なかったのである。
†††
アーダは自宅に戻ると、迷いなく、ある場所に足を向けた。そして、確認もせずに、勢い良く扉を開いた。当然、其処に居た者達は驚きに動きが止まる。アーダが入って行った場所。其処は仕事場だったのだ。
「私、《永遠の眠り》に就くわっ」
開口一番、大声で叫んだアーダを凝視する。ただ事ではない。
「何があった」
アレンは娘達には仕事場に不用意に入らないように言い含めている。
そのアーダが、泣きながら入って来たのだから、咎めるのではなく、話を訊くことが必要だからだ。
アーダは普段、涙は見せない。姉妹の中で一番気が強く、負けん気は誰にも負けない。涙を隠すことなく見せているということは、余裕がないということだ。
「ファーは私が必要じゃないと言ったわっ」
その言葉に、あからさまに息を吐き出したのは祖父のファジールだった。アーダにもだが、ファーダにも鍵の受け渡し時の状況は話している。こうなるのではないかと、思っていたのだ。
鍵の拒絶は即ち、完全なる死を意味する。それでも拒絶したということは、アーダの身を案じたのだろう。どうやっても、他人に頼らなくては月華は鍵を得ることが出来ないからだ。
「私はファー以外とは絶対に嫌っ」
アーダは父親を睨みつけた。もし、ファーダ以外を選べと言われたら、力の限り抵抗する気だったからだ。
「睨みつけなくても、無理強いをするつもりはない」
アレンはあからさまに、溜め息を吐いた。ファジールはアレンに視線を向ける。
「全く、どうしてこう、自分を犠牲にするんだか」
アレンの呟きは正に、ファジールの心の声そのものだった。
「とりあえず、みんなのところに行け」
アレンは有無を言わせない強い語尾でアーダに言った。
尚も言い募ろうとするアーダを、アレンは睨みつけることで黙らせた。ここで何かを言ったところで、解決などしないのだ。
「少し頭を冷やせ。判ったな」
アーダは不満を表情に見せたが、渋々頷いた。父親を怒らせることは得策とは言えない。特にアーダは何度も父親に怒られていたのだから、その恐ろしさは、姉妹の中で一番知っているのだ。
納得しないまでも部屋を出て行ったアーダを見送り、大人しく成り行きを見守っていたベンジャミンが口を開く。
「兄さんも大変だね」
その言葉にアレンは脱力する。
だが、困ったことになった。予想していなかったかと言われたらそうではないのだが、まさか、成人してから言ってこようとは。
「不味いことになったな」
ファジールは窓の外に視線を向け、ポツリと呟いた。拒絶したということは、覚悟はしている筈だ。ジゼルのように、最終段階まで放置することも、歓迎出来ない。経験者だからこそ、あそこまで放置したときの苦痛を、孫娘に経験させたくないのだ。
「彼奴は判ってる筈なんだ」
母親が普通の体でないことも、父親には後継者が必要なことも。それでも拒絶したのは、アーダを思ってのことだろう。説明を受けるたび、鍵となる者の負担が半端でない事実を、教えられたからだろう。
ファーダが拒絶したことで、まさか、アーダが《永遠の眠り》を選択するなど考えてもいないだろう。
アーダは良くも悪くもシオンの娘であり、ジゼルの孫娘なのだ。実は、アレンはこうなるのではないかと、危惧していたのだ。
ファジールは小さく息を吐き出し、調べ物をすると、隣の部屋へ消えていった。
「どうするの」
ベンジャミンの問いに、答える言葉はない。予想はしていても、対処法などある筈はない。
「兄さんでも、判らないの」
アレンは更に脱力した。誰も彼も、何故、アレンがなんでも知っていると思うのだろうか。
「俺は万能じゃないっ」
キッパリ否定したアレンに、ベンジャミンは苦笑いを見せた。なにも、万能だとは思っていない。シオンを相手にしている姿を見れば、そんなことは分かり切っている。
「視えてないの」
ベンジャミンは真顔で問い掛けた。アレンは探るようにベンジャミンを見詰める。からかっているわけではなさそうだ。
「どうして訊く」
「危険でなければ訊かないよ。月華は危険なだけじゃない。周りを巻き込むから」
だから、とベンジャミンは続けた。
「何かを視ているなら、話して欲しいんだ」
アレンは溜め息を吐いた。視ていると言いたいところだが、幸か不幸か全く視ていないのだ。
「期待に添えなくて申し訳ないが、視ていない」
「本当に」
ベンジャミンは疑わしげに、眉間に皺を寄せた。
「視えていたら、勝手に動いている」
セルジュとはわけが違う。ファーダは周りに危害を及ぼすのだ。事前に見えていれば、誰に言われるでもなく、行動を起こしている。
アレンの様子に、ベンジャミンは小さく首を振った。
兄が元々、行動的なのは知っている。時々、知っていても行動しないときがあるので、疑ってしまったのだ。
「フィネイに相談するしかないだろうな」
アレンは諦めたように、言葉を吐き出した。こればかりは、本人の意思が変わらない限り無理だ。
「アーダだったら、言ったことを実行しそうだね」
ベンジャミンの言葉に、アレンは突っ伏た。思い込みが激しいのは完全に血筋だろう。
「それも、ファー次第だ」
アレンは力なく呟くように言った。結局、本人ではないのだから、答えなど、出る筈もない。
そんなことを二人で話していると、レイスが慌てたように室内に入って来た。二人はそんなレイスの様子に、訝しむ。
「どうかしたのか」
アレンは不思議そうに問い掛けた。レイスは余程でなければ動揺しない。伊達に、黒薔薇の主治医の一族の執事兼、助手はしていない。
「エンヴィ様がっ」
アレンとベンジャミンは顔を見合わせた。エンヴィが訪れ、レイスが慌てる理由など判りきっている。
レイスの背後にいたエンヴィの表情で、何が起こったのか知るのは容易だった。セルジュの変化が始まったのである。
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