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4.5(おまけ)

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このお話は数年前に遡る。


リオンは物心ついた時から、国王と女王からなにも出来ない役立たず、お前は自分たちの子供じゃないと言われ続けていた。理由は不明だが、それを真に受けたリオンは一時期、部屋から出ずに引きこもることがあった。

でも、第1王女でもありリオンの姉“マリン”だけはリオンの味方でいてくれた。
マリンはリオンが大好きなため、国王や女王のリオンに対しての扱いが気に食わなかった。
「リオン。私はいつまでもあなたの味方だから、何かあったら私を頼るのよ。」
「わかりました。お姉様。」
2人は誓いを立てて、国王たちと一緒に住まなくてもいいように2人で別荘に住むようになりました。
2人での生活はとても幸せで、国王たちに会わなくていいと言われたリオンはうれしくて仕方なかったが、物心ついた時から植え付けられてきたものはそう簡単には消えなかった。
時折、トラウマがフラッシュバックして暴れるリオンに姉のメアリも頭を抱えていた。


そんなある日、マリンの友達のメアリがリオン専属の使用人になった。
メアリの仕事は家事全般とその他雑用をすること。そんな中でもメアリは何かとリオンを気にしていた。
マリンからある程度話は聞いていたが、想像以上に酷く頭を抱えたのは言うまでもない。
そんな中でも、人一倍リオンに話しかけるように努力した。そして努力の甲斐あってリオンは次第に心を開くようになっていき、トラウマがフラッシュバックすることは無くなっていった。
そして3人は楽しく幸せな生活を送っていた。



そんな時一通の知らせが届いた。


姉のマリンが遠い国に嫁ぐことになり、リオンの元を去ることになったとの知らせだった。
理由は国王によるものだった。
マリンもこの時初めて知ったらしく国王に抗議したが、軽くあしらわれてしまい、泣く泣く従うしかなかった。
マリンはリオンに1つ約束をした。
「リオン・・・私は王国を去ってしまうけれど、2度と会えないわけじゃない。必ずあなたに会いに来るわ。その時まで元気で生きているのよ。」
リオンはその言葉を胸に閉まって、マリンを見送った。
だけど味方のマリンがいなくなって、この先どうすればいいのか分からず不安が押し寄せてくる。
それが耐えられなくて、毎晩泣いていた。


そんなリオンを見かねたメアリの計らいで妹のミーヤが連れて来られた。

ミーヤとは年齢が一緒なこともあって、意気投合するには時間はかからなかった。
ミーヤと遊ぶようになってから、リオンは元気を取り戻し、次第に国王からの嫌味や姉が王国を去って毎日押し寄せていた不安などが気にならないくらいに回復した。


そして月日がたちリオン20歳の誕生日。
またしても国王によって大切な人とお別れすることになった。
「お姉様。あの時の約束は果たせないけれど、いつまでもお姉様を忘れないわ。」
心の中でそう決意して、リオンは魔王に連れていかれたのでした。

この先の苦労も知らずに・・・・・。

リオンの人生はまだまだ続く。
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