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水戸1
水戸1-1
しおりを挟むちょっと酒やタバコを持ち込んで、修学旅行の宿泊先の部屋でこっそり楽しむ。
俺と神崎は結構やんちゃしてるけど、でもそれだけのはずで……
――何でこんなことになっている?
神崎が珍しく神妙な顔付きで頼み込んでくるから何かと思ったら、俺とそういうことがしたいとかとんでもねえことを言い出した。せっかく気分良く飲んでたのに……
――なんでだよ。俺たち友達だろ。
そう伝えると、ややあって神崎は
「別に関係ないだろ」
と言った。……いやあるだろ。
神崎誠一郎という男は、頭もいいし運動神経も悪くないし、ちょっと目付きは悪いかもしれないが顔も良い。家が貧乏で困ってるとか、いじめられたりとか、そういうこともない。妙に人を惹き付ける力もあると思う。でも、同級生とはあまりつるもうとしなかった。クラスの中じゃ俺とはそれなりに話してるけど、それくらいだ。必要とあらば誰にでも声をかけることができる癖に、深く関わろうとはしなかった。
そういうところがたぶん、女たちに刺さるんだろう。
神崎と夜遊びをすると、二人とも必ず誰かしらを捕まえることができた。
俺は人よりかなり早く童貞を捨てたほうだと思っていたが、神崎も同じくらいらしい。詳しくは知らないけど。
だからもうそういうことにも、慣れたものだった。そのはずだった。別に男に走る必要はないだろう。ましてや俺とお前は友人なんだから。そうだよな?
「新学期の初めに彼氏出来たって言ったろ。俺は男もいける」
「俺はいけねえ。この話終わりな」
「待て水戸、聞いてくれよ。こういう話できるの、俺お前しかいないんだよ」
「………………」
神崎が、こういうふうに言えば俺は拒めないと知ってて言ってるのは分かっている。でもそれ以上に、狡さに隠さないと本音も言えないようなヤツだってことも、もう知ってんだよ。
俺はため息をついて、一度立ち上がった窓辺のソファに座り直し、飲みかけの缶ビールを煽った。
T高は二年の一学期、五月の半ば頃に修学旅行へ行く。月の後半には中間テストも控えてるんだけど……たしかに、うちの高校のカリキュラムを考えると今くらいしか行く暇はない気もする。二学期は毎年力を入れている体育祭と文化祭があるし、三年になるともう受験の追い込みで忙しくて、修学旅行なんて行ってる暇はない。
他の奴らが神崎にビビりまくるので、神崎と俺は当然のように修学旅行期間中は毎日同室に決まったが、二日目にして神崎は限界を訴え始めた。なんの限界かって……性欲だよ。おかしいだろ。
「なあ頼むよ水戸。じゃあせめて俺が抜け出すの見逃してくれ。朝までには帰るから」
「……事前に全部のホテル調べてそれは無理だって話したろ。この酒だってこっそり買ってようやく持ち込んでるのに」
「じゃあヤらして」
「神崎お前……本気で言ってんのか?」
俺が右手を握り締めてじろりと睨むと、神崎は握られた拳をチラッと窺ってから小さく頷いた。堪らずため息が漏れる。こっちがホモじゃないのも分かってて言ってるコイツに、なんて言えば理解してもらえるだろう。俺はお前にとって、セックスを望む存在でもないってことを。
「……俺はお前の友達でいたいよ、神崎。そういうことに関係のない存在も必要だろ」
「……分かんねえ~……何が変わんの、逆に……別に一回ヤッたって友達のままだろ。それとも水戸、俺と付き合ってくれんの?」
俺は今度は盛大にため息をついた。チッ……さっきからため息も酒臭え。完全に飲み過ぎた。そこを狙ってこういう話をしてるんだと分かるから、余計にムカつく。
こいつは頭がいい癖に、恋愛とか愛情とか……あとは性に関する事柄を考える器官だけはぶっ壊れてんだよな。
「マジでセックスしてえ。おかしくなりそう」
「もうおかしいだろお前は……」
「水戸~~……」
「付き合いきれねえよ……俺は寝る。これ以上は美味しく飲めそうにもないしな」
俺が缶を叩きつけるようにテーブルに置くと、神崎は口をへの字に曲げて、やがて俺に負けず劣らず大きなため息をついた。
「ハァ~分かったよ、諦めて寝ればいいんだろ。俺トイレ行ってから寝るけどお前は?」
「あーじゃあ俺も次行っとこうかな……」
「いーよ、先行けば」
「……わかった」
入れ替わりでトイレへ行く。これ以上余計な話はしたくなかったので、戻ってきてすぐにベッドへ潜り込んでしまうことにする。部屋の明かりはどれくらい残しておこうか。あーでも神崎、暗いほうが眠れるとか、前に言ってたっけ……? まあ、足元を照らす非常灯もあるし、ルームランプは全部消しておくか。
電気を消して布団を被ると、アルコールのおかげも相まって瞬く間に瞼が重くなってきた。
俺、寝付きは昔からいい方なんだよな。
神崎が人恋しいやつなのは分かってるから、明日あたりどっか抜け出せるように、なんとかしてやれねえかな。下調べでは、どこも修学旅行を受け入れるのに慣れたホテルばっかで警備や監視の目が行き届いてるから、抜け出すのは無理そうだなって話でまとまってたんだけど……俺も男として神崎の気持ちは分かるから。別に、毎日セックスするか抜くかしないと生きていけないわけじゃないって分かってても、人間というのは不思議な生き物で……できないって言われるとムラムラしてくるんだよな。それに加えて今は修学旅行っていう非日常の最中だし、神崎の性欲もいつも以上にバグってんのかも。
こういうとき、一緒にセックスにもつれ込むんじゃなくて、それをどうやって他で発散するかを考えるのが友達だと思う。な? 神崎。俺も一緒に考えるから、今日はもう寝ようぜ。
◆
あー……きもちい。こういう夢見るわけだし、やっぱ俺も神崎のこと言えないかもな。思ったより溜まってるってことか。
一回、こんなふうにすげー手コキ上手い女の人がいたなあ。何で女なのにそんなに力加減上手いんですか、どうして分かるんですかって聞いてみたら、「想像と経験」って言われて……っヤベ、マジで気持ちいい……あんときもすぐイきそうになったんだよ。俺は別に普段は早漏じゃないけど、後からその女の話をしたら神崎にすげー笑われたな……いやお前もあの人に手コキされてみたら分かるって。
「ううっ……ん……」
そうそう、こんな感じで焦らすのもめちゃくちゃ上手くて……
「あ……?」
背中に妙な体温を感じて目が覚めた。途端に体がビクリと震える。それで分かった。自分の急所を他人の手が掴んでいるんだってことが。待て待て待て、何が現実だ? まだ夢見てんのか? 今どこにいて何してんだっけ。ああそう、修学旅行中だよな、今は……ってことはつまり……?
「……神崎、てめぇ……何してんだよ」
「ん、起きた?」
「起きた? じゃねえんだよ! 何してんのかって聞いてんだよ」
「言わないと分かんねえの?」
「あっ違……待て、本当に……ッやめろって……っくそ……どういうつもりなんだ、マジで……ッ」
神崎の手付きが生温くなって、すぐそこまで迫っていた快感の波が急速に遠退いていく。思わず「なんでだよ」と思って歯噛みした。クソッ。別に神崎にイかされたいわけじゃねえはずなのに……
「どういうつもりかは、さっき言ったろ」
「……っじゃあ俺が、男友達相手に盛ってんじゃねーよって言ってたのも、分かってんだろ!」
「分かんねえんだよな、それが。言われてたのはもちろん伝わってるけどさあ、意味がな……」
「……っう、く……っもう、やめろ、神崎……」
「ほんとに? イきたくねえの?」
「い……ッイ、きてぇわけ、ねえだろ……ッ」
ベッドに潜り込み、後ろから抱き締める形で俺の前側へ手を伸ばす神崎を振り払おうにも、さっきからそういう動作を取ろうとする度に上手いことチンコを握られてしまって、上手く身動きが取れなかった。屈辱以外の何物でもない。
神崎はすっかり上機嫌で俺の項に吸い付いてくる。厚ぼったいあいつの唇、女達にも毎回大好評のふわりと柔らかい感触が首筋をなぞる。ゾクゾクする。決して感じてるわけじゃない。鳥肌立ってるし確実に寒気だ、これは。
「はぁ……っあ、も、やめろ……ッて!」
「水戸って感じてるとき、そういう声出すんだ。3Pしようって言っても乗ってこねえから、初めて聞いたわ」
……そりゃ、聞かせるつもりもなかったからな。俺は神崎誠一郎の友人であり続けたかったし……もし一緒にヤッちまったら、多分こいつの中の友人の定義が、ますます一般人と乖離してしまうと思ったから。
なのに、これだよ……
神崎は俺の裏筋をそーっとなぞる。背筋を快感が昇っていく瞬間、ちょうど項を通った時に、また唇を押し当てられた。視界が白く飛ぶ。イってねえのに、気持ち良くて思考能力が低下してくる。悔しいけどやっぱ上手えわ、こいつ……
「水戸……気持ちい? ビクビクしてる」
「あッい、言うな……ッ」
「イきたい?」
「……っきたく、ねーって、言ってんだろ……っ」
「ふーん。じゃあこのままな」
「っふ、うぅ……ッくそ……っ」
「あー……顔見てえ……なあ水戸、キスしていい?」
「だっ駄目に決まってんだろ!」
「……駄目って……嫌じゃねえの?」
「ッ嫌だよ! こんな、ときに……あげ足とってんじゃねえ……ッ」
俺が怒ると、神崎は一瞬黙りはしたが、またすぐに口を開いてこう言った。
「……やっぱ水戸ってチンコの形綺麗だよな、見えねえけど触ってて分かるわ」
「な、な、なに言ってんだ」
動揺したのと、快感を与えられるのとで、珍しく声が上擦る。神崎が改めて形を確かめるように触ってくる。きゅ、と握られたときに、自分が信じられないくらい硬く勃起してんのが分かってしまって、最悪だ。
「俺のと全然違う」
「……ええ……?」
「マジだって。ほら」
「あっおいッやめろ! 俺は触んねえって……は?」
神崎が俺の手を掴んで背後にある何かに触れさせる。それが神崎のチンコだと分かって慌てて引っ込めようとしたが…………なんだこれ……?
「…………え? お前これ……カリどうなってんだよ」
「ちょっと明かりつけるか」
「は?」
よりによって神崎側にランプがある。布団を跳ね除けた神崎に上向かされて、腕を引かれた。渋々体を起こして、ベッドに座り込む。
「ほら、全然違う」
「あ……? …………神崎、お前ほんとに日本人か?」
「知ってるだろ」
「………………」
太くて硬いのはもちろん、カリが見たことないくらいに張っていて、血管もすげー浮き出てて……こう言っちゃなんだが、同性からしてもちょっとグロいくらいだ。
そういや、いつか神崎と寝た女の人が聞いてもないのに教えてくれたっけ……
『神ちゃんはね、スゴいわよ。アレを挿れられると、もうみんな訳分かんなくなっちゃうんだから。たぶんああいうのも、才能なんでしょうね……』
あの時はどんだけすげえテクなんだよと思ったけど、もしかしてこういうことだったのか? まあ、コイツには実際テクもあるんだろうけども……
神崎は呆然とする俺をジッと見て、観察していたらしかった。ふと視線を上げたら目が合ったからわかった。何見てんだよ……
自慢の右ストレートは、普段ならいつだって反射的に出せた。でも今は酩酊していて、寝起きで、おまけに急所を神崎に握られている。
俺の右手は、シーツをぎゅっと掴んで震えることしかできなかった。情けねえ。
でも、正直、もうイきたい。焦らされまくってて、頭がどうにかなりそうだ。
神崎が距離を詰めてきて、二人で向かい合ってチンコを合わせるような体勢になる。普段だったら嫌悪感すら抱いたと思う。でも今は不思議と気持ちもソレも萎えなかった。こういうとき、男って本当にバカになるよな。
「水戸……」
「っくそ、やるなら早くしろよ……ッ」
投げやりにそう告げると、神崎は嬉しそうに笑って、二本を同時に握り込んだ。ああクソ、きもちい。なんなんだよ……なんで俺、お前とこんなことしてんだよ……
「こういうのなんて言うか知ってるか?」
「あ? ……俺が知るわけねえだろ……」
神崎がこうすることを「兜合わせ」というと教えてくれたが、本気でいらない知識だ。なるほどな……と納得する自分の脳も憎い。
神崎は相変わらず寸止めを繰り返してくる。もう振り切って自分でやってしまおうかとも思ったが、それこそ終わりな気がする。神崎の前で俺がオナニーする理由なんてあるわけないんだから。
神崎は俺の顔を食い入るように見つめてくる。畜生、ノーマルの人間が男の手で感じてるのがそんなに面白えかよ。熱っぽい神崎の瞳に腹が立つ。お前なんでよりによって今そんな顔すんだよ。普段は、何もかもに冷めきった目をしているくせに……
「あ……っか、神崎……ッもう、いいだろ」
「イきたくなってきた?」
「……っそういう、聞き方、すんな……ッ」
「大事なことじゃん」
ぴったり合わせて握られているから、向こうが興奮してんのも伝わってくる。
「ん、ぁ……はあ……っはやく、終われ……ッ」
「水戸……顔上げて」
「何……っあ、待っ」
堪え難い快感に、思わず神崎の肩口へ額を押し付けるような格好になってしまっていた。それなりに強い力をかけてしまっていたので、やや申し訳なく思って顔を上げたのに、神崎から唇を重ねられて瞠目する。
「ンーッ!?」
「ん……ッ」
「っぅ……ん……んんっ」
神崎の手の片方は俺たちの急所を握っているわけだが、もう片方の手はいつの間にか俺の後頭部に回っていて、逃げられないように頭を押さえてくる。
クソ、クソ……ッ! コイツ、後で絶対ぶん殴ってやる!
何とかしようと動いたものの、神崎の手が同時に動いてまた寸止めを喰らい、さらに項を撫で上げられる。おまけに柔らかい神崎の唇から、肉厚の舌が潜り込んでくる。俺の体からはたちまち力が抜けて、あとほんのすこしでイけたはずなのに……と、またそれしか考えられなくなる。
神崎の舌が、逃げる俺の舌を絡め取る。酒とタバコの味がする……
「……っふ、ぅ……ン……」
「ん……水戸……」
「はぁ……ッうぅ……」
神崎は俺の耳と項をさりさりと撫で続ける。それ止めろ、と言ったら、どれを止めてほしいか確認するためという名目で散々繰り返された。ふざけんな。
「でも気持ちよくない?」
「……よくねえ」
「ふーん」
嘘だった。本当は良いから嫌なんだ。こんなことで気持ち良くなりたくなんかない。
神崎は俺の様子を慎重に窺って、本気で嫌がることはしなかった。それならまあそもそもこういう行為をしないで欲しかったが……実際に俺が抵抗しなくなったのは事実だから、もう、それは責めるつもりはない。
許し難いのは、さっきから寸止めを繰り返していることだ。
「神崎、いい加減にしろよ……ッ」
「水戸がイきたいって言えば終わる」
「てめぇ……」
「分かるだろ」
「分かんねぇよ……」
神崎がまた見つめてくるが、ここで物分りが良くなるわけにはいかなかった。
神崎の言い訳に加担してやる気にもならない。
向こうが俺に言わせることに拘ってるのは、言い訳が欲しいからだろう。後から、「でも水戸もイきたいって言ったじゃん」と、俺の怒りを逸らすために。知らん顔したけど分かってるし、俺の頭がそこまで回ることも、向こうにはバレてる。八方塞がりだ。
俺は悔しくなって神崎を睨んだが、それももう逆効果のようで、神崎は上機嫌で腰を押し付けてきた。
熱くて硬い。それを擦り合わせてるんだと、強く意識させられる。あとすこしのところで、また手が緩む。もう何度繰り返されているのか。お前だってもう限界なんじゃねーの……
「水戸……」
「……クソッお前、覚えとけよ」
「絶対忘れないから安心しろ」
「…………やっぱ忘れろ。全部」
「無理」
神崎はにんまり笑って、抱き締めてきた。お互い興奮した体を持て余していて、心臓もうるさい。これが……この行為が、俺が言わない所為で続いてるっていうのかよ。
もう肩が痛いだろうとかそんなの知らねえ。神崎のそこに顎を乗せて、俺は葛藤していた。神崎がこちらに頭を擦り寄せてきて、熱の籠もった声で名前を呼ぶから……俺はとうとう観念することになった。これ以上続けたら、いよいよ友人関係が終わる気がした。幸い、今なら顔も見られずに済むしな。
「か、神崎……」
「なに?」
「もう……い、イきてえ……」
「はぁ~……っ最高」
「クソ……最悪だ……」
神崎が身動いで、俺も体を起こさざるを得なくなった。真っ赤になった顔を満足気に覗き込まれて…………ああもうどうにでもなれ。いいから早く終われ。
「あ……っあ、神崎……ッ」
「水戸……っ」
「……っく、ぅう……っ」
「あ……ッはぁ……」
ふたり同時に、気持ち悪い声を出して、生温い液体の感触をソコに浴びる。見る気にはなれなかった。お互い脈打ってるのがわかる。それに興奮したくなかった。だから、視界にも入れなかった。しばらく眉根を寄せて目を閉じていたのを開けると、神崎がまたしてもこちらを見ていた。いや見過ぎだろ。そんなに面白いか?
「……これで満足かよ」
「…………正直言うと、物足りねえんだけど……」
「あ?」
「まあでも、眠れないことはないと思う」
「もう一回とか言われたら今度こそぶん殴ってた」
「怖……」
俺はお前が怖いよ。そう言おうと思ったけど、止めた。自分でもお人好しが過ぎるとは思うが、こんなことをされてもまだ神崎と縁を切ろうとは思っていなかった。実際、誰にも言えないようなやんちゃな遊びを一緒にできるのは、俺だって神崎くらいしかいない。会話していて一番頭のレベルが噛み合うのも神崎だと思う。打てば響く……とまではいかなくても、神崎の地頭の良さは日常の会話の端々から感じられる。
神崎がティッシュで丁寧に精液を拭って、俺はその後先にシャワーを使うことになった。なんで夜中にまた下半身洗わないといけねえんだよ。
あんなことが行われた自分のベッドに戻り辛く思っていたら、神崎が綺麗な方のベッドを使っていいと言ってきた。まあそりゃそうだよな。俺も黙って頷いて、シワひとつ無いシーツの方へ寝転ぶ。今度こそ寝るからな。
「……水戸、ごめん」
「なんだよ……もういいよ、べつに」
「あと……ありがとう」
「…………いーから寝ようぜ……」
「うん……おやすみ」
「……おやすみ」
一体何の御礼なのか考えようとして……止めた。可能性は一瞬でいくつも浮かんだけど、そのどれもに腹が立ったから、その思考ごと放棄した。
別に俺はあの行為を受け入れたわけじゃないし、あんなことをされても神崎と友達を止めないという選択をしたことも、感謝されたいものじゃない。俺は別にあいつをそこまで憐れんではいない。愛情がわからないことに、過度な同情を寄せる気もない。
ただ俺が神崎誠一郎という珍しい人間を、人生の中で得難く思ったように……神崎も俺のことをそう思ってくれていたら嬉しい。それで、もしもそれが続くなら、ずっと友達でいればいいと……そう思っているだけだ。
だから別に、御礼はいらない。
……いいからお前も早く寝ろ、神崎。
明日からまた、いつも通りの俺でいてやるから。
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