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第21話 入院中の出来事Ⅲ
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「あ、お父様!? 桜の病院食が何で冷え切ってたの!? 私の大切な友達なのよ! 即刻調査してよ!」
葵が電話していたのは、父親であり水瀬記念病院の院長であった。 葵は通話時間が長くなるにつれて、さらに口調が荒くなっていくが電話先の父親から諭されたのか次第に落ち着いていった。
「早く調査してよね!」
その言葉と共に通話を切って、桜にお願いしたから安心してねと言ってくる。 桜はそれに対してありがとうと言うと、花音がそろそろ時間よと話しかけてきた。
「もう時間なの!? まだ二人と話してたい……」
口をへの字にして寂しいと言う桜だが、二人はまた明日も入院してるのと聞いてきた。
「多分明日も入院してると思う……暇すぎて死にそうだけど」
目の前の机に突っ伏して暇すぎると呟くと、花音と葵が学校が終わったらまた来るよと言ってくれた。
「本当!? ありがとう!」
眩しい笑顔で感謝を言う桜に、花音と葵の二人は手を振って病室から出ていった。 二人が出ていった病室には静寂が流れ始めた。
桜がいる病室にはテレビの音声だけが流れ、外から車の音や人々の話し声が時折聞こえる程であった。
「もうあれほど攻撃を受けることはしないで、戦闘中に気絶なんてしないようにしないと……」
腕を組んで戦闘のことを思い返す桜は、自身の腕に付けているシュシュを見つめていた。
「あの一戦で気絶する程ダメージを受けて……入院までして……もっと強くならないと……」
自然と涙が頬を伝って下に零れ落ち始める。 零れ落ちる涙に気づかない桜は、その後も涙を流し続けて自然と眠りに落ちていた。
気づかないうちに寝ていた桜は、朝の定期健診に来た看護師に起こされた。 桜は瞼を重そうに開いて目の横にある涙の跡を拭くも、なかなか消えなかった。
「泣いていたのですか? 大丈夫ですか?」
その看護師は桜が悪夢を見たのかと思い、声をかけてくれた。 桜はちょっと悲しくなっただけですと言うと、ベットから起きておはようございますと挨拶をした。
朝に血圧や体温を計測して、その後にすぐ朝食が運びこまれた。 朝食はおかゆに切り身の焼き魚に味噌汁であった。
「量がやっぱり少ない……でも我慢しなきゃ……」
意を決して味が薄い料理を食べ進めると舌が病院食に慣れたのか、美味しく感じてきていた。
「意外と病院食ってイケるかもしれない……」
病院食の美味しさに気が付いた桜は、すぐに平らげると看護師が病室に入ってきた。
「天羽桜様は今日の正午で退院となります。 それまでに荷物の整理などをしてください」
桜は突然退院報告を受けて、風呂も入ってないのに外に出たくないと思っていた。
「まだ退院まで時間がある! 風呂入ろう!」
桜は備え付きの風呂に向かうと、流石個室は違うと桜は声が出た。 ホテルの風呂のように奇麗で思ったより広々としている空間が広がり、入口の正面に鏡があってその下に蛇口や風呂道具にボディーソープにシャンプーが備え付けられていた。
「はぁ……さっぱりするぅ……」
風呂の大きさは、上部が2.5mで、横幅が2m程ある位であった。 桜は髪から洗い、次に身体を洗い流していく。 桜は気持ちがいいと身体を洗い、ふぅと息をつくとお湯で泡を流して風呂から出た。
「やっぱりお風呂って最高! 毎日入らないと気が済まないわ!」
大声で身体をバスタオルで拭きながら風呂場から出ると、目の前に楓が椅子に座って本を読んでいた。
「やっとお風呂から出たのね、長かったわね」
本を閉じて立ち上がった楓の目を見た桜は、楓の目がどこか優し気に感じていた。
葵が電話していたのは、父親であり水瀬記念病院の院長であった。 葵は通話時間が長くなるにつれて、さらに口調が荒くなっていくが電話先の父親から諭されたのか次第に落ち着いていった。
「早く調査してよね!」
その言葉と共に通話を切って、桜にお願いしたから安心してねと言ってくる。 桜はそれに対してありがとうと言うと、花音がそろそろ時間よと話しかけてきた。
「もう時間なの!? まだ二人と話してたい……」
口をへの字にして寂しいと言う桜だが、二人はまた明日も入院してるのと聞いてきた。
「多分明日も入院してると思う……暇すぎて死にそうだけど」
目の前の机に突っ伏して暇すぎると呟くと、花音と葵が学校が終わったらまた来るよと言ってくれた。
「本当!? ありがとう!」
眩しい笑顔で感謝を言う桜に、花音と葵の二人は手を振って病室から出ていった。 二人が出ていった病室には静寂が流れ始めた。
桜がいる病室にはテレビの音声だけが流れ、外から車の音や人々の話し声が時折聞こえる程であった。
「もうあれほど攻撃を受けることはしないで、戦闘中に気絶なんてしないようにしないと……」
腕を組んで戦闘のことを思い返す桜は、自身の腕に付けているシュシュを見つめていた。
「あの一戦で気絶する程ダメージを受けて……入院までして……もっと強くならないと……」
自然と涙が頬を伝って下に零れ落ち始める。 零れ落ちる涙に気づかない桜は、その後も涙を流し続けて自然と眠りに落ちていた。
気づかないうちに寝ていた桜は、朝の定期健診に来た看護師に起こされた。 桜は瞼を重そうに開いて目の横にある涙の跡を拭くも、なかなか消えなかった。
「泣いていたのですか? 大丈夫ですか?」
その看護師は桜が悪夢を見たのかと思い、声をかけてくれた。 桜はちょっと悲しくなっただけですと言うと、ベットから起きておはようございますと挨拶をした。
朝に血圧や体温を計測して、その後にすぐ朝食が運びこまれた。 朝食はおかゆに切り身の焼き魚に味噌汁であった。
「量がやっぱり少ない……でも我慢しなきゃ……」
意を決して味が薄い料理を食べ進めると舌が病院食に慣れたのか、美味しく感じてきていた。
「意外と病院食ってイケるかもしれない……」
病院食の美味しさに気が付いた桜は、すぐに平らげると看護師が病室に入ってきた。
「天羽桜様は今日の正午で退院となります。 それまでに荷物の整理などをしてください」
桜は突然退院報告を受けて、風呂も入ってないのに外に出たくないと思っていた。
「まだ退院まで時間がある! 風呂入ろう!」
桜は備え付きの風呂に向かうと、流石個室は違うと桜は声が出た。 ホテルの風呂のように奇麗で思ったより広々としている空間が広がり、入口の正面に鏡があってその下に蛇口や風呂道具にボディーソープにシャンプーが備え付けられていた。
「はぁ……さっぱりするぅ……」
風呂の大きさは、上部が2.5mで、横幅が2m程ある位であった。 桜は髪から洗い、次に身体を洗い流していく。 桜は気持ちがいいと身体を洗い、ふぅと息をつくとお湯で泡を流して風呂から出た。
「やっぱりお風呂って最高! 毎日入らないと気が済まないわ!」
大声で身体をバスタオルで拭きながら風呂場から出ると、目の前に楓が椅子に座って本を読んでいた。
「やっとお風呂から出たのね、長かったわね」
本を閉じて立ち上がった楓の目を見た桜は、楓の目がどこか優し気に感じていた。
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