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第2章 新たな日常

第13話 深手

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「どうして関係のない人を殺すの! あなたたちはいつもそう!」
「邪魔者を消して何が悪い? それにあの人間はお前を守るために前に出た。だから殺したまでだ」
「話にならないわ!」

 そう言うとミサは痛む体に鞭を打って立ち上がる。
 金髪の男性はミサを見ると、その体で何が出来るんだと金色の剣をミサの顔に向ける。

「そんな体で何が出来る? 弱体化をしているお前になら、今の俺でも殺せるぞ?」
「そうかもしれないわね……でも、私はその子を守らないといけないのよ」

 ミサは倒れている出雲を見ると、微笑した。

「今助けるから。死なないでね」

 ミサが出雲を見て言うと、金髪の男性がそれは無理だと真顔で金色の剣を構えて言った。

「いくら私が弱体化をしているからって、甘く見過ぎよ!」

 ミサはそう言いながら天の雷と声を発する。
 その声と共に、金髪の男性の頭上から突然数発の雷が降り注いだ。

「そんな魔法!」

 金髪の男性は金色の剣で雷を捌きながらミサとの距離を取る。

「まだそんな力が残っていたのか。流石に手強かったか……」

金髪の男性は雷を捌き終えると、一気にミサとの距離を詰める。ミサは金髪の男性が振るう剣を、どこからか出現させた銀色の剣で防いだ。

「まだその剣を持っていたのか? あんな下等な鍛冶師が作った剣など、意味はない!」
「そんなことはないわ! 意思や気持ちが込められているの! 人の想いが強くするのよ!」

 ミサは銀色の剣で金髪の男性の剣と鍔ぜり合うと、剣を握っている左手を話して先ほどの天の裁きを再度発動させた。

「小賢しい真似をするな!」
「それはどうかしら?」

 ミサは金髪の男性の腰に抱き着いて、動きを止めた。

「そんなことをしたら、お前も攻撃を受けるぞ!?」
「あら? 私の心配をしてくれるなんて優しいわね?」

 金髪の男性が焦っていると、天の裁きが発動をして雷が二人を襲った。しかしミサはダメージを負っていないようで、金髪の男性だけが苦しんでいた。

「ど、どうして……お前はダメージを負っていないんだ!」

 金髪の男性が抱き着いているミサを見て言うと、ミサはその魔法は使用者には効果がないのよと返す。

「そんな魔法だったのか!?」
「そうよ? 効果なんてそうほいほいという訳がないでしょ?」

 ミサの言葉を聞いた金髪の男性は天の裁きを耐えきると、金色の剣でミサを攻撃し始める。ミサは銀色の剣で金髪の男性の連続で行ってくる攻撃を防ぎきると、、金髪の男性の左腕を斬りつけることに成功をした。

「ぐぅ!? お前、怪我を負ってもそこまで動けるのか……」
「私を舐めすぎよ。とっととこの場から消えなさい!」

 ミサの攻撃を受けた金髪の男性は、覚えていろと捨てセリフを吐いてその場から掻き消えるように消えた。
 ミサは完全に金髪の男性が消えたことを確認すると、事切れそうな出雲に近寄った。

「私のせいでごめんなさい。私も深手を負っているし、これしか方法がないわ……嫌だったらごめんなさい……あなたに辛い運命を背負わせるかもしれないわ……」

 ミサは出雲の体を触りながら、ごめんなさいと言い続けていた。出雲は側にいるミサの言っている言葉が聞こえておらず、何かを喋っているとしか認識ができなかった。

「ミ……サ……さん?」

 出雲は霞む目でミサを見ると、ミサの体が淡い光を放っているのを見ると出雲は意識を失ってしまった。
 次に出雲の目が覚めると、空が夕焼けになっている時刻であった。

「お、俺は……あ! ミサさんはどこ!?」

 出雲は勢いよく立ち上がると、周囲を見渡してミサの姿を探した。どこにいるんだど言いながら数歩程度歩くと、自身が金色の剣で貫かれていることを思い出した。

「そうだ! 俺……金色の剣でお腹を貫かれて……」

 自身の腹部を触って傷がないか確認をしていると、頭の中でミサの大丈夫という声が聞こえてきた。

「え!? え!? どこからミサさんの声が!?」

 周囲を見渡してミサさんはどこだと出雲が言い続けていると、ミサが君の体の中にいるわと言葉を発する。

「体の中!? どうやって!?」
「驚くのも無理はないけど、物理的じゃなくて精神的によ? 君の治療と私の治療のために一時的にだから、治療が終われば分離するからね」

 治療が終わればと聞いた出雲は、それほどにヤバかったんですかと聞く。ミサは出雲が死ぬ寸前だったことや、自身の体も死に瀕していたことを伝えた。

「やっぱりそうなんですね……目の前が暗くなった時に死ぬんだなと思いました……」
「私自身を治療する力を君の治療にも当てているから、時間はかかってしまうけどね」
「それでも嬉しいです。死ぬところだった俺を助けてくれたんですから!」

 ありがとうございますという出雲だったが、ふとこの会話ってどう周囲に聞こえているのか気になっていた。
 そのことを出雲がミサに聞くと、小さく笑うミサの声が聞こえてくる。

「私と会話するときだけ、周囲に聞こえないようにしてあるから安心して話していいよ」

 そう言われた出雲は安堵をした。もし聞かれていたら独り言を言っている不思議な男に見えてしまうからであった。

「改めて助けてくれてありがとう。凄い助かりました!」
「出雲君も助けてくれたからお互い様よ。期間は決まってないけど、治療が終わるまでよろしくね」

 心地よい声が体の中から聞こえると、ミサが少し眠るねと言った。

「予想以上に重傷みたいで、治療に専念するために眠るね。あ、君が怪我を負うと私にもその怪我が反映されるからね。いわば一心同体よ」
「マジすか!? き、気を付けます……」

 その会話を最後にミサは眠りについてしまった。出雲は数分間その場に佇んでいたが、このことが家族にバレたら何を言われるか分からないと出雲は考えていた。

「とりあえず家に帰るか、母さんや琴音も心配しているだろうし」

 出雲はそう呟くと、家に向かって歩き始める。
 現在いた地点から30分程度で家に着くので、ゆっくりと歩いて帰宅をした。
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