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第1章
第7話 追い込み訓練
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「今日はこれで帰ります! ありがとうございました!」
頭を再度下げて家に帰ることにした。
これから試験の前日まで訓練をする内容が増えた。辛いというよりは嬉しいという感情の方が勝っていることに気が付いていない。真剣を扱うことはとても難しいと聞く。筋力トレーニングもしなければいけないと独自トレーニングをしようと考える。
「試験まで残り少ないから、出来ることはやらないと! 頑張るぞ!」
試験に合格をするために頑張ろうと決意をする。
そして、これからの数週間は大変であった。真剣を使っての天明流の技の出し方や、魔法を纏わせて神楽耶の重さに耐える訓練など想像をしていなかった訓練が多かったからである。
「ほら! また魔法が解除されているぞ! もっと気合を入れろ!」
「すみません!」
ある日には上手く出来なくて怒られる。
「もっと力を入れろ! 握力が弱っているぞ! 握り締めろ!」
「すみません!」
またある日には、源十郎も真剣を用いて教えてくれる訓練をした。
迫る真剣が恐ろしくて目を瞑ってしまうと、腹部に掌底を当ててくる。何度か咳き込んでしまうほどの威力を受けるので、腹筋も鍛えられる一石二鳥の訓練だと源十郎は言っていたのである。
「もっと気合を入れろ! お前はいつ真剣を思うように扱えるようになるんだ!」
「すみません!」
感謝の言葉ばかり言っていた日が過ぎると、今度は謝ってばかりの日々が続いてしまう。あの時は何だったのかと愚痴を漏らしていると、上の空だったのがバレてしまったのか神楽耶を飛ばされて腹部に蹴りを入れられてしまった。
「がっは!?」
腹筋に力を入れていなかったので、息ができないほどのダメージを受けてしまう。地面を何度も転がっていると、視線の先にローファーを履いている誰かの足が目に入った。
「ローファー? 誰だ?」
視線を上に向けると、頬を膨らませている麗奈の顔がそこにあった。
覗かないでと言いながら右足で勢いよく出雲の顔を踏みつけてくる。その際に白いパンツが見えたことは秘密だ。
「痛いよ! 覗いてなんかないよ!」
「本当なの? スカートの中に視線を感じたけど?」
確かに白色のパンツが見えたけど、そのことは言わない方がよさそうだ。
「み、見てないから!」
「嘘くさいけど、いいわ。ところでここに寝転がってどうしたの?」
麗奈は道場の入り口の前に寝転がっていた出雲を心配したのか、顔を踏みつけてから大丈夫なのと聞いてきた。
「ちょっと源十郎さんに吹き飛ばされてね。後は麗奈に踏まれた頬が痛いくらいかな」
ちょっと意地悪をしてみることにした。実際、踏まれた頬はかなり痛いので嘘ではない。痛いという言葉を聞いた麗奈は、慌てた顔をしながら屈んでごめんねと赤く腫れている頬を優しく触ってきた。
「つい踏んじゃって……ごめんね……」
「いや、もう大丈夫だからさ。落ち込まなくていいからね」
触られた頬に感じる手の熱を感じながら麗奈の方を向くと、短いスカートから覗く綺麗な足と白いパンツが見えた。数秒間見つめてしまっていると、どこを見ているのという声が耳に入る。
「あ、い、いや、はははは……」
「良い景色だったかしら? 何か言うことある?」
「ありがとうございます。そして、ごめんなさい」
自身でも良い笑顔だと思える顔で謝ると、麗奈は可愛らしい笑顔を浮かべる。
そして一瞬で笑顔から真顔に変えると、両手で出雲の頬を強く叩いてきた。
「ぶべえ! い、痛いよ……」
「良い思いをしたお返しよ。これで勘弁してあげるわ」
天使も時には悪魔になるということだろう。
麗奈は立ち上がると、ただいまーと言いながら母屋の方に歩いていった。
「良い思いをして元気が出ただろう? 付き合う前に孫の下着を覗くとは良い根性だ」
「不可抗力ですよ。見たくて見たわけじゃ……」
「でも嬉しいだろ? 麗奈は言い寄られたり、お見合いをさせてほしいってたくさん言われているんだ。だけど、その全てを断ってお前といる。その答えが分かるか?」
そこまで言われたら流石に分かる。
麗奈が自身のことを好きだということを。だけど好きになる要素がなかったと思うけど、いつ好きになってもらえたのか。
「分かってます……近いうちに答えを出します……」
「それでいい。あまり孫を悲しませないようにな」
孫を悲しませるなか。
麗奈を悲しませたくないけど、俺は夕凪美桜を忘れられない。俺の行動の柱は魔法騎士団に入って夕凪美桜に会うことだからな。この感情が憧れか、愛からかは分からないけど、もう一度会いたいんだ。
「……悲しませないようにします……」
即答は出来なかったが、悲しませないようにと返すことができた。
その場はそれで終わったが、訓練は再会される。既に書類は提出をしているので、後は受験票が届くのを待つのみであった。
「そういえば受験票は届いたか? それに試験当日の場所とかが書いてあるらしいぞ」
「まだ届いていないんです。二週間後に試験なんですけどね」
訓練に次ぐ訓練でいつの間にか試験が目前に迫っていた。
まだ時間があると余裕を持っていたのだが、近づくにつれて緊張をしてしまう。これで試験に合格を出来るのか、そもそもどのような試験が行われるのか分からないことも不安の一つである。
「そう緊張をし過ぎるな。お前以外も同じ条件だ」
「そ、そうですよね……」
確かにそうだ。俺以外に受験者も同じ条件で受けるんだからな。一人で緊張をしてて力を発揮できなかったら、源十郎さん達に合わせる顔が無いな。
「さて、訓練も今日で終わりだ。後は試験まで体を休めたり、この道場で教わったことを固めて自分の力に昇華させるんだ」
「一人でですか!?」
「そうだ。直前までして怪我をされたら意味がないし、まだここ数週間の訓練も自身の力に昇華をしてないだろ? それを固めるんだ。そうすればよりお前は強くなる」
肩に手を置かれてお前ならできると鼓舞をされる。
ここまでしてくれた人達に応えないといけない。魔法騎士団に合格をするという結果を出さないと恩を返せないと考えた出雲は、必ず応えますと返答をした。
「そう言ってくれるとありがたい。お前なら大丈夫さ」
「ありがとうございます!」
その会話をすると、源十郎は母屋に戻って行く。
少しづく遠くなる背中に頭を下げて、心の中で感謝の言葉を何度も繰り返す。源十郎には道場に入った時からお世話になっているので、合格通知書を必ず見せようと誓う。
「さて、これまでした訓練を思い出してやるか。絶対に合格をするぞー!」
神楽耶を手に取って素振りを始める。
筋力も付いてきたので軽々と振るうことが出来るようになったので、魔法を付与させたり天明流の技と合わせて型を次々に使っていく。
「まだ遅いな。源十郎さんはもっと素早く使っていたし、技と技を華麗に繋げていたな」
まだまだだと思いながら日が暮れるまで訓練を続けた。
そして三日後、ついに受験票が届いた。場所は魔法騎士団の本部なようで、どんな試験をするのかと不安が襲ってくる。自室にてベットに寝転がりながら受験票を見ていると、筆記用具などを持ってこいなどが一切書かれておらず、集合時刻と場所だけが記載されているのが目に入る。
「集合時刻と場所だけか。筆記試験はなくて、実技と面接だけとかなのかな? 結構受験者多そうだから面接とか時間かかるだろうなー」
どれだけ時間がかかるのだろうと思いながら、受験者を握って目を閉じた。試験が目と鼻の先なので、落ち着いて力を発揮するぞと何度も繰り返し口にすると、壁に立て掛けている神楽耶を掴んだ。
「頼むぞ。俺の力になってくれ」
そう言うと、神楽耶が淡い光を放つ。
「淡く光った? 俺を少しでも認めてくれたのかな。なら嬉しいな」
ほくそ笑みながら、神楽耶と受験票を掴みつつベットで寝てしまった。
どんな試験が待ち受けているのか、これからどのような運命に巻き込まれるのか分からないが、出雲は自身の目的を果たすために魔法騎士団に入団をすることだけを考えている。
その目的が果たされるのかは定かではないが、辛い運命にも立ち向かう覚悟だけは前々から持ち合わせている。そのため、不安と同時にどんな難関も必ず突破をしようと闘志を燃やしていたのであった。
頭を再度下げて家に帰ることにした。
これから試験の前日まで訓練をする内容が増えた。辛いというよりは嬉しいという感情の方が勝っていることに気が付いていない。真剣を扱うことはとても難しいと聞く。筋力トレーニングもしなければいけないと独自トレーニングをしようと考える。
「試験まで残り少ないから、出来ることはやらないと! 頑張るぞ!」
試験に合格をするために頑張ろうと決意をする。
そして、これからの数週間は大変であった。真剣を使っての天明流の技の出し方や、魔法を纏わせて神楽耶の重さに耐える訓練など想像をしていなかった訓練が多かったからである。
「ほら! また魔法が解除されているぞ! もっと気合を入れろ!」
「すみません!」
ある日には上手く出来なくて怒られる。
「もっと力を入れろ! 握力が弱っているぞ! 握り締めろ!」
「すみません!」
またある日には、源十郎も真剣を用いて教えてくれる訓練をした。
迫る真剣が恐ろしくて目を瞑ってしまうと、腹部に掌底を当ててくる。何度か咳き込んでしまうほどの威力を受けるので、腹筋も鍛えられる一石二鳥の訓練だと源十郎は言っていたのである。
「もっと気合を入れろ! お前はいつ真剣を思うように扱えるようになるんだ!」
「すみません!」
感謝の言葉ばかり言っていた日が過ぎると、今度は謝ってばかりの日々が続いてしまう。あの時は何だったのかと愚痴を漏らしていると、上の空だったのがバレてしまったのか神楽耶を飛ばされて腹部に蹴りを入れられてしまった。
「がっは!?」
腹筋に力を入れていなかったので、息ができないほどのダメージを受けてしまう。地面を何度も転がっていると、視線の先にローファーを履いている誰かの足が目に入った。
「ローファー? 誰だ?」
視線を上に向けると、頬を膨らませている麗奈の顔がそこにあった。
覗かないでと言いながら右足で勢いよく出雲の顔を踏みつけてくる。その際に白いパンツが見えたことは秘密だ。
「痛いよ! 覗いてなんかないよ!」
「本当なの? スカートの中に視線を感じたけど?」
確かに白色のパンツが見えたけど、そのことは言わない方がよさそうだ。
「み、見てないから!」
「嘘くさいけど、いいわ。ところでここに寝転がってどうしたの?」
麗奈は道場の入り口の前に寝転がっていた出雲を心配したのか、顔を踏みつけてから大丈夫なのと聞いてきた。
「ちょっと源十郎さんに吹き飛ばされてね。後は麗奈に踏まれた頬が痛いくらいかな」
ちょっと意地悪をしてみることにした。実際、踏まれた頬はかなり痛いので嘘ではない。痛いという言葉を聞いた麗奈は、慌てた顔をしながら屈んでごめんねと赤く腫れている頬を優しく触ってきた。
「つい踏んじゃって……ごめんね……」
「いや、もう大丈夫だからさ。落ち込まなくていいからね」
触られた頬に感じる手の熱を感じながら麗奈の方を向くと、短いスカートから覗く綺麗な足と白いパンツが見えた。数秒間見つめてしまっていると、どこを見ているのという声が耳に入る。
「あ、い、いや、はははは……」
「良い景色だったかしら? 何か言うことある?」
「ありがとうございます。そして、ごめんなさい」
自身でも良い笑顔だと思える顔で謝ると、麗奈は可愛らしい笑顔を浮かべる。
そして一瞬で笑顔から真顔に変えると、両手で出雲の頬を強く叩いてきた。
「ぶべえ! い、痛いよ……」
「良い思いをしたお返しよ。これで勘弁してあげるわ」
天使も時には悪魔になるということだろう。
麗奈は立ち上がると、ただいまーと言いながら母屋の方に歩いていった。
「良い思いをして元気が出ただろう? 付き合う前に孫の下着を覗くとは良い根性だ」
「不可抗力ですよ。見たくて見たわけじゃ……」
「でも嬉しいだろ? 麗奈は言い寄られたり、お見合いをさせてほしいってたくさん言われているんだ。だけど、その全てを断ってお前といる。その答えが分かるか?」
そこまで言われたら流石に分かる。
麗奈が自身のことを好きだということを。だけど好きになる要素がなかったと思うけど、いつ好きになってもらえたのか。
「分かってます……近いうちに答えを出します……」
「それでいい。あまり孫を悲しませないようにな」
孫を悲しませるなか。
麗奈を悲しませたくないけど、俺は夕凪美桜を忘れられない。俺の行動の柱は魔法騎士団に入って夕凪美桜に会うことだからな。この感情が憧れか、愛からかは分からないけど、もう一度会いたいんだ。
「……悲しませないようにします……」
即答は出来なかったが、悲しませないようにと返すことができた。
その場はそれで終わったが、訓練は再会される。既に書類は提出をしているので、後は受験票が届くのを待つのみであった。
「そういえば受験票は届いたか? それに試験当日の場所とかが書いてあるらしいぞ」
「まだ届いていないんです。二週間後に試験なんですけどね」
訓練に次ぐ訓練でいつの間にか試験が目前に迫っていた。
まだ時間があると余裕を持っていたのだが、近づくにつれて緊張をしてしまう。これで試験に合格を出来るのか、そもそもどのような試験が行われるのか分からないことも不安の一つである。
「そう緊張をし過ぎるな。お前以外も同じ条件だ」
「そ、そうですよね……」
確かにそうだ。俺以外に受験者も同じ条件で受けるんだからな。一人で緊張をしてて力を発揮できなかったら、源十郎さん達に合わせる顔が無いな。
「さて、訓練も今日で終わりだ。後は試験まで体を休めたり、この道場で教わったことを固めて自分の力に昇華させるんだ」
「一人でですか!?」
「そうだ。直前までして怪我をされたら意味がないし、まだここ数週間の訓練も自身の力に昇華をしてないだろ? それを固めるんだ。そうすればよりお前は強くなる」
肩に手を置かれてお前ならできると鼓舞をされる。
ここまでしてくれた人達に応えないといけない。魔法騎士団に合格をするという結果を出さないと恩を返せないと考えた出雲は、必ず応えますと返答をした。
「そう言ってくれるとありがたい。お前なら大丈夫さ」
「ありがとうございます!」
その会話をすると、源十郎は母屋に戻って行く。
少しづく遠くなる背中に頭を下げて、心の中で感謝の言葉を何度も繰り返す。源十郎には道場に入った時からお世話になっているので、合格通知書を必ず見せようと誓う。
「さて、これまでした訓練を思い出してやるか。絶対に合格をするぞー!」
神楽耶を手に取って素振りを始める。
筋力も付いてきたので軽々と振るうことが出来るようになったので、魔法を付与させたり天明流の技と合わせて型を次々に使っていく。
「まだ遅いな。源十郎さんはもっと素早く使っていたし、技と技を華麗に繋げていたな」
まだまだだと思いながら日が暮れるまで訓練を続けた。
そして三日後、ついに受験票が届いた。場所は魔法騎士団の本部なようで、どんな試験をするのかと不安が襲ってくる。自室にてベットに寝転がりながら受験票を見ていると、筆記用具などを持ってこいなどが一切書かれておらず、集合時刻と場所だけが記載されているのが目に入る。
「集合時刻と場所だけか。筆記試験はなくて、実技と面接だけとかなのかな? 結構受験者多そうだから面接とか時間かかるだろうなー」
どれだけ時間がかかるのだろうと思いながら、受験者を握って目を閉じた。試験が目と鼻の先なので、落ち着いて力を発揮するぞと何度も繰り返し口にすると、壁に立て掛けている神楽耶を掴んだ。
「頼むぞ。俺の力になってくれ」
そう言うと、神楽耶が淡い光を放つ。
「淡く光った? 俺を少しでも認めてくれたのかな。なら嬉しいな」
ほくそ笑みながら、神楽耶と受験票を掴みつつベットで寝てしまった。
どんな試験が待ち受けているのか、これからどのような運命に巻き込まれるのか分からないが、出雲は自身の目的を果たすために魔法騎士団に入団をすることだけを考えている。
その目的が果たされるのかは定かではないが、辛い運命にも立ち向かう覚悟だけは前々から持ち合わせている。そのため、不安と同時にどんな難関も必ず突破をしようと闘志を燃やしていたのであった。
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