世界樹を巡る旅

第243話

　商業ギルドで製作した装備アイテムの売却が終わったハルトは、昼食を商業ギルドの受け付けでオススメされた飲食店で食べると、もう一度上級ダンジョンに来ていた。

　上級ダンジョン一階層の入り口からだいぶ離れた場所に移動すると、幾つかの効果のある結界を張ってヒスイ、プルン、コッコロの昼食を用意する。

　「俺は先に食べたから俺のことは気にしないで食べていいぞ。」

　『わかった！いただきます』

　『いただきまーす！もう、おなかすいたよー！』

　「コッコッコッ！」

　従魔たちが昼食を食べている間に食事スペースと区切るように結界をもう一度張ると、アイテムボックスから二週間の間らダンジョンに篭っていた時に錬金術め製作したアイテムを取り出した。

　取り出したアイテムであるゴーレムコアをハルトは握り魔力を流していく。そして、ゴーレムコアを地面に落としてゴーレムを起動させた。

　ゴーレムコアは周囲の土を吸い寄せて始めて二メートルほどの体格の良い土の人形が作り出された。

　「作った初日に起動実験はしたけど動かしたことは無いからな。ナビィ、動かし方を教えてくれ。」

　『分かりました。』

　そうしてナビィのガイドの元、ゴーレムを操作をハルトは始めた。

　まずゴーレムの操作をするにはゴーレム操作というスキルが必要だ。

　だが、ゴーレム操作のスキルが無いとゴーレムを操作することが出来ない訳ではない。他のスキルでもゴーレム操作スキルの代わりにはなる。

　その内の一つである魔力糸スキルを使ってハルトはゴーレムを動かしていく。

　「かなり難しいな。」

　『頑張ってください。魔力糸をハルトは最近それほど使っていないのでスキルレベルを30まで上げないといけません。そうしないとゴーレム操作のスキルを取得することが出来ませんよ。』

　ナビィのそんな話を聞きながら、ハルトはぎこちなく動くゴーレムを見ながらゴーレムを必死に動かしていく。

　本来はゴーレムを動かす為のスキルでは無い為、かなり神経を使う作業だ。

　それにスムーズにゴーレムを動かせるようにならないと駄目だろう。

　戦闘ではナビィがゴーレムを操作するのだろうがゴーレムを操作する為のスキルは、ハルトの取得しているスキルで無いとそれほどすごい効果は発揮しないからだ。

　「あっ！」

　ドスーンと大きな音を立ててゴーレムは地面に倒れる。少し動かせるようになったと思い気を緩めた時にそれは起こった。

　『ここらで一度休憩をしましょうか。ヒスイたちも昼食を食べ終わったようですし。』

　ナビィにそう言われて確かに集中してゴーレムを動かしていたからか、身体は疲れていないが精神的に疲れている。

　倒れているゴーレムを操り、ゴーレムを立ち上がらせると、結界の一部を解いてヒスイたちの元に向かった。

　『ハルト、もうやらないの？』

　「少し休憩するよ。デザートは食べるか？」

　先ほどの昼食ではデザートになる料理は出していなかった為、デザートを食べるのかを聞く。

　すると、三匹共デザートを食べるそうで四人分のプリンを取り出した。

　このプリンはボムコッコの卵を使って作られたプリンでかなり濃厚だが少しだけ固いプリンだ。

　デザートを食べて一息ついたハルトはヒスイたちも各々のスキルを鍛え始めた中、ゴーレムの操作をするのを再開した。

　一度ナビィにお手本としてゴーレムを操って貰ったがかなりスムーズに動くゴーレムに驚き、ここまでゴーレムの操作が上手くならないと駄目なのかと思った。

　それからもナビィから何度かお手本を見せて貰いながら五の鐘が鳴る時間までダンジョンでゴーレムを操作する練習を続けていった。

　その結果、ハルトは最初に動かした頃と比べると、ぎこちなさが減って滑らかな動きをする時が偶にあるくらいには上達した。