世界樹を巡る旅

ゴロヒロ

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第108話

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 十一月中は寒冷耐性の取得とレベル上げを優先してある程度魔法で身体を温める程度で雪降る中の活動が出来る様になってきた

 十二月の二週目に俺とヒスイはこの雪が積もる中を歩いて魔境を目指している。脛まで積もった雪の中の移動は俺は兎も角ヒスイにはキツそうだった

 「大丈夫か?ヒスイ」

 『さむいけどまだだいじょうだよ!』

 『ヒスイの寒冷耐性の取得は思いのほか早かったですからね』

 ナビィの言う通りヒスイの寒冷耐性の取得はハルトの取得から三日後に取得していた。今のハルトとヒスイの寒冷耐性のレベルはハルトが8レベル、ヒスイが6レベルで順調にスキルレベルも上がっている

 魔境までの街道も雪が積もり分からなくなっているが真っ直ぐに魔境に進んでいると真っ白の毛皮のウサギが雪の中から飛び出して襲い掛かってきた

 「おっと……はっ!」

 いきなり襲ってきたウサギを世界樹の棒で頭を叩き倒すと手早く解体してアイテムボックスに仕舞う

 「雪の中だとあの白さでウサギは分かりにくいな」

 『この辺りのラビットは冬の間はラビットの毛皮があの様な色に変わるのでしょうね。冒険者ギルドの依頼でもラビットの毛皮を集める依頼がありましたからね』

 「確かにあったな。それでこの雪の中でも寒そうにして冒険者たちが居たわけか」

 温かい格好をしていたりしている冒険者たちが草原にはそれなりにいた。この雪の白さでよく冒険者たちが居るのが分かる

 それから数度白く変わった毛皮のラビットとの戦闘はあったがラットとの戦闘はなく歩いて魔境にたどり着いた

 魔境の中は魔境の外と比べて積もっている雪が少なく足首くらいまでしかなく更に少しだけ暖かかった

 「魔境の中は暖かいし雪が少ないんだな」

 『ハルト、あたたかいね。いどうしやすい』

 『魔境の中は外の影響を受けにくいですからね。中は少し暖かいですし雪の影響が少ないのでしょう』

 ナビィから魔境の新しい知識を聞きながら足首までしかない積もった雪の森の中を進んでいく

 現れるモンスターは寒さのせいか少なく回復草などの薬草は雪が積もっている様な状態でも元気そうに生えている

 魔境の崖の近くまでくるとゴブリンが住み着いている事がある洞窟の中からゴブリンの悲鳴が聞こえてきた

 「冒険者がゴブリンの討伐でもしているのか?」

 『ハルト、違うみたいですよ。洞窟の前で倒れているゴブリンを見てください』

 ナビィに言われた通りに洞窟の前に倒れているゴブリンを見るとゴブリンの顔が強い力で引き裂かれている。それだけではなく腹を見ると内臓や魔石だけを食べられている様だ

 「これは冒険者じゃないな」

 『肉食のモンスターでしょう。この魔境ならクマのモンスターでしょう。ハルト、倒しますか?』

 「まだ洞窟の中に居るみたいだし倒さなくてもいいんじゃないか?ヒスイ、崖の上に行くぞ」

 『うん!』

 魔境の外よりも暖かい魔境で寒冷耐性もあり元気があるヒスイを先に結界で作り出した階段を登っていると洞窟のゴブリンを食べ終わったのか洞窟の中からクマのモンスターが出てきたがその頃には結界の階段を登り切っていた

 『本当に倒さなくてよかったのですか?』

 「襲われたら倒すけど今は早く拠点にしている泉に向かいたい」

 ナビィと話しているとまだ消していない結界の階段を登ってブラウンベアがこちらに向かってきていた

 『ハルト、ナビィ。くまのぼってる』

 ヒスイに言われて階段を見るとブラウンベアが登ってきていた。ブラウンベアはハルトやヒスイを足しても更に重い。そのせいで結界の階段がピシピシと音を立てヒビが入っていく

 それでもブラウンベアが登り切るまでは結界の階段が耐えていた。そんな崖の上まできたブラウンベアが襲われる前に魔法の準備を終えたハルトはブラウンベアを拘束するとその首を氷の刃で切り裂き切断した
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