世界樹を巡る旅

第106話

　朝、寒さで目を覚ますと掛け布団の外に出ていた手足を布団の中に戻して冷えた手足を温めていくと掛け布団の中に入って来ていたぬくぬくしているヒスイに触れる

　『つめたい！』

　「ごめん、ヒスイ」

　暖かくなっていたヒスイに冷たい手が触れるとまだ眠っていたヒスイがいきなりの冷たさに起きて怒り出す

　『ハルト、いきなりつめたい！！』

　「ごめんって、ヒスイ……うっ、寒い」

　布団の中でヒスイはハルトのお腹の上に乗って飛び跳ねと布団の中に冷たい空気が入ってくる

　『おはようございます。二人とも魔法を使って身体を温めてはいかがですか？』

　「おはよう、ナビィ。そうするよ」

　『ナビィ、おはよう』

　アイテムボックスに仕舞っている世界樹の棒を取り出して部屋全体に結界を張り結界内の空気を暖めていく

　部屋が暖まると布団の中から出ると飲み物を取り出して乾いた喉を潤すと窓のカーテンを開けて外を見る

　「道理で寒い訳だ。雪が降っているよ」

　『初雪ですね。この地域では今ごろの時期に雪が降りますよ』

　『白いのがふってるの？』

　「雪が降ってるよ、ヒスイ」

　窓から外を見ているとヒスイが飛び跳ねて窓際までくるとヒスイも外の様子を見る

　「ナビィ、今日も訓練所で練習するのか？」

　『当たり前ですよ。普通の冒険者なら冬の時期はダンジョンで主な活動をしている冒険者やこの寒さでも活動が出来る者か宿にも泊まれない様な貧乏人くらいですがハルトはもっと寒い場所に行く可能性が高いのですから今のうちに慣れておきましょう。それにこの地域程度の寒さではスキル寒冷耐性の取得は難しいですからね』

　「やっぱりか。でもその寒冷耐性のスキルの取得は難しそうなのか？」

　ローブの力でローブの中は温度の調節が出来るけど出来ればその寒冷耐性のスキルは欲しいな

　『ハルトでも時間がかかりますが今年中には取得出来るでしょうけどスキルレベルは上げられてもそこまででしょうね』

　『ナビィ、ヒスイもおぼえられるの？』

　『ヒスイもハルトと契約しているお陰で覚えられますよ。でもハルトよりは遅いでしょうけどね』

　温かな部屋でナビィやヒスイと話しながらアイテムボックスから取り出した野菜や果物を魔法の種に変えながら朝食までの時間を過ごしていると外から鐘の音が聞こえて来た

　朝食を食べ終わると部屋に戻り防具を着込んでいくと部屋の鍵を預けて大熊亭を出て訓練所に向かう

　「寒いな……なあナビィ、本当にローブとか身体を温めちゃいけないのか？」

　『ナビィ、さむいよ』

　『ダメですよ。それじゃなくてもハルトは温度変化のローブをいつも着ていて温度変化に慣れていないのですからそれにこれも寒冷耐性のスキルの取得の為ですからね。身体活性はしてもいいですから頑張ってください』

　ハルトはいつも着ている温度変化のローブを着ておらず隣りで跳ねて移動しているヒスイも寒いのか身体の弾力が固くなって来ているがナビィからの返答はスキル身体活性をしてもいいから寒冷耐性スキルの為に頑張る様に言って来るだけだった

　身体活性をすると少しは寒さが軽減したが相変わらずの寒さで訓練所の中に入ると訓練所の中には少ないがテントを張って泊まっている冒険者たちが居るのが確認が出来た

　「この人たち寒くないのかな」

　『お金がないのか町の門が閉じるまでに帰れなかったのでしょう。ハルトも帰る時間は気を付けないといけませんね』

　「そうだな」

　訓練所でのいつもの位置に移動すると身体を動かしていくとヒスイとある程度の距離まで離れて世界樹の棒を構える

　『二人ともいいですか』

　「俺はいいぞ」

　『ヒスイもいいよ！』

　身体強化までいく様に魔脈に魔力を流して身体を強化していつでも魔法を使える様に世界樹の棒に魔力を流しておく

　『3、2、1……始めっ！』

　ナビィの合図で模擬戦が始まりヒスイが五つの通常の魔力弾と属性魔力弾を放ちそれの迎撃していった