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異世界生活の始まり

3 もらえるスキルを選びます

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女神ノエルの実技研修っていうのは、転生者に間違いなくスキルを授けられるかを確認することらしい。
「今までの転生者は、魔法とか身体強化のスキルを欲しがることが多かったのよね。だから、杏奈は別の系統にしてもらえるとありがたいんだけどね、分野が広ければ私の能力の査定ポイント高くなるし…、あ、でも、自由に欲しいスキルを考えもらえればいいわ。」

とはいえ、ちょっと読んだ程度のラノベの知識しかないから、スキルや魔法と言われても…。いや、そういえば弟がゲームでやってたRPG、ああいう感じなのだろうか。

それにしても、女神様の世界も厳しいんだな。この世界の担当って言ってたから、同じような神様ってたくさんいるのかなぁ。会社員みたい…。

夏休みに行ったインターンシップ先の会社でも、杏奈を担当してくれた社員さんが、年に2回評価シートを提出して上司と面談して…、とか話していたのを思い出す。

分からないことがあれば、曖昧に返事をしないで、何がわからないかしっかり聞くのも仕事のうちですよ、なんて言われたっけな。

とりとめのないことを考えてしまった、話を元に戻さなくては。

「そうですね、私はあまりスキルに詳しくないので、人気のあるものとか、役に立ちそうなものを教えてもらえると嬉しいです」

スキルについて分からないものは仕方ないので、女神ノエルに教えを請うことにする。どうせ貰えるなら、ちゃんと便利に使えるものがいいしね!

女神は『そっか、こんな風に知らないってパターンもあるわよね、スキル人気一覧でも作っておきましょうか』とメモをとっている。


…あなた、本当に女神ですよね?ホントに研修中の会社員にしかみえなくなってきましたよ?

◇◇
「無限収納っていうものは、みんな欲しがるわね、収納したものは時間が止まったままで置いておけるのよ。あとは、魔法適性や剣技適性を最大に、とか。ステータス成長(大)なんかもあったわね。それ以外だと、調合や料理スキルとか…。」

今まで与えたスキルだろうか。女神はなんだか呪文みたいにスキルを羅列していく。自分で教えてと言ってはみたものの、モンスターと戦いたいわけでもないし、何が必要なのか全くわからない…。あ、でも、魔法は使ってみたいかも。

「うーん、あまり想像がつかないんですよね。魔法は使ってみたいですけれど、どの程度必要かも分からなくて。なんかうまいこと見繕って満遍なくつけてください、はできないんですか?」
「そうねぇ、今回の実技研修では、考えてもらったものを間違いなくつけられるかどうかが重要だから私が選んじゃダメなのよね~」

そうですか…。

「スキルって、3つまでにするんでしたっけ?」
「チートなのじゃなければもっと増やしてもいいわよ、カスタムもできるし。前の子はね、なんて言うか、全部与えたら強すぎて魔王にでもなっちゃいそうだったから…」

またでた、チート。確か、英語だと騙す、とかそんな単語じゃなかったっけ?どうやらここでは、ありえないくらい強い、みたいな意味で使ってるみたい。

「じゃあ、みんな欲しがる無限収納はつけて欲しいです。そこにしまったものは時間が動かないって言いましたよね?なんでですか??」
「倒したモンスターを、そのまま収納して、素材を腐らせずにギルドに持って帰ったり、作った料理を温かいまま保管して、必要な時に食べられるようにする、とか言ってたかしら?」
きっと、前の転生者の人の情報だろう。知らない人だけど、そういう実用的な使用例の情報はありがたい。作ったまま暖かいとか、お弁当の保温ジャーみたい。
ああ、それにしても、こんなことならもっとリナに借りた本、もっとちゃんと読んでおけばよかった。私は基本的に、映画化されるようなよくある少女マンガや、弟が集めてた有名少年マンガとかそんなのばかり読んでいたから。

「それなら、収納内の時間変化を止めたり、早めたりとか自由に変化させることもできますか??あと、温度も変えられたりとか。」

ふと思いついて提案してみる。

「あら、面白いわね、今のところそんな効果はつけたことないけど、できると思うわ。やったことないものは評価が上がるから、私もありがたいのよ」
女神ノエルは機嫌よく答えてくれた。

「なにか利用目的でもあるの?」
「いえ、なんとなくです。」

他の人と、ちょっと違うことをしてみたかった。うん、ただ、それだけ。
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