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第49話 少年と馬

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前回のアルカディアより所変わって、


此処はアドラス。王国南部きっての商業都市、スフィールへと向かう商人や貴族が頻繁に通る土地である。そして、


「馬よ~はしぃ~れ~♪どこぉ~ま~でも~♪」


呑気に下手な歌を歌って御者台に乗っているこの少年も、そんな商人の1人だったりする。
少年の名はエド。ここ最近、親の後を継ぐために働き始めた新米商人である。


何やらおかしな歌をひたすら歌い続けていたエドであったが、ふと歌を止め、御者台から降りた。
そして自身の愛馬の背に手を乗せ、


「・・・いやもうホント、いい加減動いてくれませんかねプラムさんや。」
「ブルルルルッ!」

『嫌よ私は繊細なの。1日走ったら3日は休まなきゃ!』


そう、彼の馬は、馬車は、全くもって走っていなかったのである。嘆かわしいことに、歌とは正反対だ。
実を言うと、彼はここ3時間ほど一切の移動ができずに立ち往生しているのだ・・・彼の愛馬、プラムが動かないがために。


「嫌だなんて言ってんじゃねえよ!仕事しろやこの駄馬が!言うこと聞かないとおやつの人参やらないぞ!?」
「ブルッ!?ブルルウッ!!!」

『はぁ!?ちょっとふざけんじゃないわよこのクソガキ!!!』
「どわあ!?」


いななきとともに繰り出された彼女の脚が、エド少年を吹っ飛ばした・・・そこまで馬に蹴られれば、普通は大怪我確定である。


「ってえぇぇぇ!!!何しやがるこのアバズレ!あと誰がクソガキだ誰が!?」
「ブ、ブルルッ!?ブルルルルルウ?」

『ア、アバズレですって!?私はあなたを此処に置いてってスフィールまで行ったって別に問題ないのよ?』
「こちらをお納め下さいお嬢様。最高級の人参にございます。」


あっさり馬に敗北した飼い主。腰のバッグから、プラムのおやつにとストックしておいた人参を差し出して機嫌を取り始めた・・・何故会話が成立するのかは作者も知らない。(説明面倒くさいんだろうとか言ってはいけない。)


「ブルッ?」

『あら、3本?』
「もう1本持って参ります!」
「ブルウッ」

『5本で妥協してあげるわ。』
「んなっ!・・・へいへいわかりましたよ。あと2本持って来ますよ持って来ればいいんだろコンチクショウ!」


繊細だとかなんだとか言っておきながらプラム、なかなかにがめつい馬である。
とは言え、このまま此処で立ち往生していると盗賊に襲われる危険性が高まる。
そう考え、渋々ながらも追加分の人参を取り出すエド。だがしかし、


「ブルッ?」

『何を言っているの?』
「は?」
「ブルルウッ」
って言ってるのよ私は。』


まさかの追加5本であった。流石にこれには我慢しかねたのか、エドの顳顬こめかみに青筋が浮かぶ。と、


「いい加減にしろこのっ「ねえ、この人参いくら?」はいまいど!銅貨5枚になります!」


後ろからやや幼い声で人参の値段を訊かれたエド。
怒鳴りつけようとしていたのが一変、瞬時に営業スマイルへと見事な早変わりを遂げた。






_______________
中途半端ですが、作者の都合上今回はここまでで一旦切りますm(_ _)m
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