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南国の海底神殿編
火山帯を抜けた先
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フレイディアを飛び立ってから約四時間。
三つの町を飛び越して今はちょうど火山帯を抜けたところである。最後の火山を抜けると、そこから先はちょっとした森があり、その先に村が二村と休憩地点として使われる町が一つある。まあ、今回はそこまで行かずにちょっと寄り道しながら野宿をするつもりだ。
「フィズ、あっちに向かってくれ」
『かしこまりました』
フィズに指示を出して方向を変える。
「この辺で方向変えるってことは温泉大滝?」
「そうそう。火山帯抜けたらあそこ行かないとな」
「だねぇ」
温泉大滝はその名の通り温泉成分を含む温かい滝だ。火山帯で暖められた地下水が地上に湧き出てて出来た川が火山帯を抜けた先で大きな滝となっているのだ。
それに、あそこは確か火の精霊王が出没する場所でもある。
前回風の精霊との会話を邪魔されたが、精霊は他にもいるのだ。詳しい話を聞くなら精霊出没スポットも回りながらがいいだろう。
「精霊さんはいるのかなー」
「いればいいけどな」
「精霊も出るときと出ないときがあるし」
「出てきてくれそうだけどな。風の精霊と話した限りだと、精霊王は俺とレグルスの味方みたいだから」
「また、邪魔されそうだけどね」
「邪魔されたら邪魔されたで退ければいいだけだ」
「そうだけど⋯⋯」
カプリスは言い淀む。前回逃げろって言われたのを気にしているのだろう。
「悪い。でもカプリスに死んで欲しくないから」
「うん。わかってるよ」
頷くカプリス。死んで欲しくないのはカプリスも同じなんだろうが、相手があのフリューゲルでは正直守りながらというのは厳しい。それに次エンカウントしたら確実にカプリスを狙ってくるだろうしな。
「お」
「着いたね」
弾まない会話の中、俺たちは目的地である温泉大滝に着いた。
大きな滝が飛沫を巻き散らしながら落ちる様は迫力がある。そして何より、滝壺となっている場所は湖かと思えるくらいに広い。
フィズに降りてもらい、俺たちは徒歩で滝壺に向かう。
「生で見ると凄いねー!」
先程までの暗い雰囲気は何処へやら。カプリスは楽しそうに笑いながら声を張る。
「ああ! 画面越しとは大違いだ!」
画面越しで見るのとは違い、流れ落ちる滝は激しく強く、そして何より音が凄い。近くにいるのに声を張り上げないと声が掻き消えてしまいそうだ。
『あ、主! ニオイがキツイ⋯⋯!』
まるで俺が臭いと言わんばかりの言い方だが、ここら辺には硫黄のニオイも漂っている。ギルには少しキツイかもしれないな。
「すまんがニオイ対策用のアイテムは無いから我慢してくれ!」
『ぬぅ……』
テイムモンスター用のガスマスクはないからしかたない。
滝つぼの方へと歩いていくと、温泉から出る熱によって汗ばむくらいには熱くなってきた。精霊王が出現する場所は決まっていて、滝の対岸にある岩場。その岩場は円形状になっていて隙間から温泉が入り込んでいるため天然の露天風呂みたいになっている。
俺たちはその場所へと向かった。
「……いないか」
そこには誰もいない露天風呂があるだけだった。
まあ、いないものはしょうがない。正面からの大滝をスクショしてその場から立ち去ろうとしたのだが、俺の袖をカプリスに引っ張られたので振り返る。
「どうした?」
「来てくれたみたい」
そう言って露天風呂のほうを指さすカプリス。ギルたちもそちらを見ていたが、警戒モードではないため敵ではないのだろう。
俺も露天風呂の方へと視線を移す。そこには炎のように真っ赤な髪を動きやすいようになのか短い髪をしている赤い鎧姿の女性。顔つきはヴィエントに似ている。そう、彼女こそ火の精霊王フォティアだ。
────────────────────────────────────────
お読みいただきありがとうございます。
魔法学校を無事卒業したのでのんびり更新再開です!
配信やら何やらしてると時間経つのが早いですね。
ってなわけで2023年書き初めでした。
三つの町を飛び越して今はちょうど火山帯を抜けたところである。最後の火山を抜けると、そこから先はちょっとした森があり、その先に村が二村と休憩地点として使われる町が一つある。まあ、今回はそこまで行かずにちょっと寄り道しながら野宿をするつもりだ。
「フィズ、あっちに向かってくれ」
『かしこまりました』
フィズに指示を出して方向を変える。
「この辺で方向変えるってことは温泉大滝?」
「そうそう。火山帯抜けたらあそこ行かないとな」
「だねぇ」
温泉大滝はその名の通り温泉成分を含む温かい滝だ。火山帯で暖められた地下水が地上に湧き出てて出来た川が火山帯を抜けた先で大きな滝となっているのだ。
それに、あそこは確か火の精霊王が出没する場所でもある。
前回風の精霊との会話を邪魔されたが、精霊は他にもいるのだ。詳しい話を聞くなら精霊出没スポットも回りながらがいいだろう。
「精霊さんはいるのかなー」
「いればいいけどな」
「精霊も出るときと出ないときがあるし」
「出てきてくれそうだけどな。風の精霊と話した限りだと、精霊王は俺とレグルスの味方みたいだから」
「また、邪魔されそうだけどね」
「邪魔されたら邪魔されたで退ければいいだけだ」
「そうだけど⋯⋯」
カプリスは言い淀む。前回逃げろって言われたのを気にしているのだろう。
「悪い。でもカプリスに死んで欲しくないから」
「うん。わかってるよ」
頷くカプリス。死んで欲しくないのはカプリスも同じなんだろうが、相手があのフリューゲルでは正直守りながらというのは厳しい。それに次エンカウントしたら確実にカプリスを狙ってくるだろうしな。
「お」
「着いたね」
弾まない会話の中、俺たちは目的地である温泉大滝に着いた。
大きな滝が飛沫を巻き散らしながら落ちる様は迫力がある。そして何より、滝壺となっている場所は湖かと思えるくらいに広い。
フィズに降りてもらい、俺たちは徒歩で滝壺に向かう。
「生で見ると凄いねー!」
先程までの暗い雰囲気は何処へやら。カプリスは楽しそうに笑いながら声を張る。
「ああ! 画面越しとは大違いだ!」
画面越しで見るのとは違い、流れ落ちる滝は激しく強く、そして何より音が凄い。近くにいるのに声を張り上げないと声が掻き消えてしまいそうだ。
『あ、主! ニオイがキツイ⋯⋯!』
まるで俺が臭いと言わんばかりの言い方だが、ここら辺には硫黄のニオイも漂っている。ギルには少しキツイかもしれないな。
「すまんがニオイ対策用のアイテムは無いから我慢してくれ!」
『ぬぅ……』
テイムモンスター用のガスマスクはないからしかたない。
滝つぼの方へと歩いていくと、温泉から出る熱によって汗ばむくらいには熱くなってきた。精霊王が出現する場所は決まっていて、滝の対岸にある岩場。その岩場は円形状になっていて隙間から温泉が入り込んでいるため天然の露天風呂みたいになっている。
俺たちはその場所へと向かった。
「……いないか」
そこには誰もいない露天風呂があるだけだった。
まあ、いないものはしょうがない。正面からの大滝をスクショしてその場から立ち去ろうとしたのだが、俺の袖をカプリスに引っ張られたので振り返る。
「どうした?」
「来てくれたみたい」
そう言って露天風呂のほうを指さすカプリス。ギルたちもそちらを見ていたが、警戒モードではないため敵ではないのだろう。
俺も露天風呂の方へと視線を移す。そこには炎のように真っ赤な髪を動きやすいようになのか短い髪をしている赤い鎧姿の女性。顔つきはヴィエントに似ている。そう、彼女こそ火の精霊王フォティアだ。
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お読みいただきありがとうございます。
魔法学校を無事卒業したのでのんびり更新再開です!
配信やら何やらしてると時間経つのが早いですね。
ってなわけで2023年書き初めでした。
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