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ベアルダウン王国編

セシルさまのお悩み相談室【本日のお題 スローライフ】

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タクミ
 本日のお題は『スローライフ』です。僕も日本で働いていた頃は、そういう生活をしてみたいと思っていました。でもスローライフって、難しいですよね?

セシル
 スローライフとは、大量生産や大量消費ではなく、地産地消、自分が必要なものだけ揃えて生活しようという考えのことらしいが、明確な定義が無いものじゃったな。

タクミ
 日本では、毎年流行が変化して、若い子達はそれを買ってすぐ捨てるっていう生活をしてますよ。

セシル
 みんなが買ってるものは、自分も買わないとっていう心理じゃな。

タクミ
 僕も若い頃はそうでした。でも祖母の介護で家事をするようになって、ゴミを捨てるのも大変だということを経験したので、無駄な物は買わないようになりました。

セシル
 今はゴミも分別があって、気軽には捨てられないからのぅ。それで、ゴミが減るならいいことではないか?

タクミ
 そうなんですけど…。ある時、テレビで食品廃棄物の番組を見たんです。廃棄されてるのはほとんどが食べられる物。売れ残りや消費期限が近い物が大量に捨てられていました。

セシル
 そうじゃな。家庭でいくら気をつけていても、企業から捨てられるものは、家庭の何倍にもなるのじゃろう。

タクミ
 食べられる物を捨てるっているのは、なんだか悲しいですよ。

セシル
 消費期限が切れていても食べられる物は多くあるからのぅ。

タクミ
 食品を長く保存できるようなものを、もっと開発してほしいです。

セシル
 冷蔵庫があるではないか。これが開発された時は、とても画期的じゃったと思うぞ。

タクミ
 冷蔵庫以上のものはないですかね?
 この世界では、どうしているのです?

セシル
 時間の概念の無い空間に保管しておるのだよ。時間が経過しないから、腐らない。新鮮そのものだ。

タクミ
 そんなの、今のアースの科学では無理ですよ。

セシル
 この世界には科学技術はない。この世界の技術をアースで使おうとしても無理じゃよ。根本が違うからのぅ。

タクミ
 でも使えそうな技術はいっぱいありますよね?精霊球とか。

セシル
 そうじゃな。道具は人を幸せにするためにある。そういう道具をいっぱい作ってほしいのぅ。

タクミ
 今の日本では、売れる道具しか開発されないのも実情です。どんなに便利でも売れないものは、発売されない。

セシル
 確かにそれはあるのぅ。カネのある世界では、それが問題じゃ。売れるものが良いものというわけではないからのぅ。

タクミ
 どういう意味です?

セシル
 企業側は売れないと困るから、強度がソコソコの安価なものを開発するのじゃよ。消費者は安いものが欲しいから、それを買う。しかし、強度がないから、すぐに壊れてゴミじゃ。そしてまた、安価なものを買う。それで成り立っておるのじゃよ。

タクミ
 たしかに企業側は売れないと困りますからね。でもゴミが出るっていうのは、どうなんでしょう。それでいいのかな?

セシル
 本当にこの生活でいいのだろうか、と問題意識を持つことがスローライフじゃよ。

タクミ
 カネっていう仕組みがある限り、この負のループは無くならないのでしょうか…。

セシル
 それは、やり方次第。商品を売る側の意識の問題じゃ。例えば、売るのでは無く、レンタルという手もあるな。

タクミ
 レンタル?

セシル
 例えば、お掃除ロボットを毎月定額でレンタルする。消費者は、その製品に飽きたら、次の新しい製品に交換できるという仕組みはどうかのぅ。

タクミ
 古い方の製品と交換で、新しい製品をレンタルできるってことですか?たしかにそれなら、企業側は毎月お金は入ってきますし、消費者側は捨てなくてすみますよね。

セシル
 今のスマホは、似たような販売方法をしておるじゃろ?

タクミ
 たしかに!分割で買って、新しい機種に変更するときに下取りしますね。

セシル
 本当は強度をあげて長期間使い続けることがいいのだが、カネのある世界では、売れなくなると困るから、そういうことはしないじゃろう。

タクミ
 この世界では、どうしてるんです?

セシル
 必要な時に出すのが普通じゃよ。例えばホバーは常に最新のものが出てくるぞ。詳しいことは秘密だが、紋章システムからモノを出す時は、材料から組み立てたものを出す。だから常に必要な分だけ組み立てるから、ゴミは出ない。それに紋章システムに収納する時には、使ったホバーは分解されて、また次のホバーの材料になるのじゃ。

タクミ
 すごいな。究極のリサイクルですね。

セシル
 紋章システムは、モノを全世界の人で共有しようという考えから始まっておるからな。日本では車は各個人が所有しておるな。だが、使わない時間もある。そういう時に使ってもらえたら、車の数は少なくて済む。

タクミ
 道具を共有する…。なるほど!紋章システムは大きな道具箱ってことだ!

セシル
 ふふっ、そうじゃな。大きな道具箱から必要な時に必要な道具を取り出して使い、使い終わったらしまう、そんなイメージじゃ。

タクミ
 紋章システムなら常に新しい道具が出てくるから、先に誰かが使った道具はイヤだなって人も問題ないですね。

セシル
 アースでも、一人が一つ所有するっていう時代はもう終わるかもしれないな。使用頻度が低いモノは、共有でいいのじゃよ。

タクミ
 そうですね。大量生産、大量消費を見直そうって考えの日本人も増えてきましたからね。

セシル
 日本人はもう少し心に余裕があった方がいいのぅ。真面目で勤勉なのは美徳だが、『まぁいっか』くらいの気持ちも必要じゃよ。

タクミ
 気持ち次第でスローライフになるってことだね?

セシル
 うむ。何をスローライフとするのかは、個人によって違うからのぅ。とにかく自分がゆったりと満足できる暮らしがスローライフじゃと思うぞ。

タクミ
 そうですね。僕はタムの家での生活がとても良かったので、仕事を決めた後、暮らす場所を探すときは、野菜が育てられる自然が豊かなところにしたいです。そこで、野菜を育てて穏やかに暮らしたい。精霊球やミライがいたら、農業初心者でも困らないと思いますし。

セシル
 そうじゃな。何かを育てる生活は良いものだ。自分が納得できる生活をすることじゃ。そのために紋章システムがある。人々が幸せに暮らすための道具じゃからな。

タクミ
 紋章システムは、本当に人々を幸せにする道具だな、と僕も思います。では、これで本日の話は終わりです。
 セシルさま、ありがとうございました。

(やっぱり紋章システムは、この世界に必要なものだ。でも、セシルさまを犠牲にすることはできない。別の方法を必ず探さなくては…)

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