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12話 ストーカー、窮地に陥る。5
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ジュリアとリョウは、声を揃えて聞き返した。
吉崎 拓哉は、先程パソコン画面を前にして慌てて頭をフル回転させたことを素直にふたりに話した。
すると、リョウは呆れたように顔を歪ませ、ジュリアは弾けたように大きく爆笑した。
「あははははははは!! リョウ!! あんたヤミ金と間違われてるよぉ!!」
爆笑するジュリアに、リョウはなぜか恥ずかしそうに頭を抱えた。
吉崎 拓哉が、状況が分からずにきょとんとしていると、一頻り笑い終わったジュリアがもう一度「もうやだぁ、お兄さんたらぁ」と吉崎 拓哉に声をかけた。
「そっか、なるほどねぇ。知らない人が来たから、あたしのことを心配してくれたんだね」
「あ。いやぁ、なんか、あの、すみません……」
ごにょごにょ。吉崎 拓哉は蚊の鳴くような声で答えた。なにやら盛大な勘違いをしていたらしいことに気づき、ついでになんだか急に、自分がジュリアの目に触れていることが恥ずかしくなってきたのだ。
せめてもう少しまともな姿をしていたかった。
「ううん、いいの。おもしろかっ、あ、違う違う、あの~、
優しいんだね、お兄さん」
「いや、あの、とんでもないですぅ……」
ジュリアを直視できなくなって俯く吉崎 拓哉に、ジュリアはまた優しく微笑みかけた。
「あのね、リョウはね、あたしの弟だよ」
おとうと。
ジュリアから発せられた言葉を、吉崎 拓哉も口の中で反芻する。
おとうと。弟。
「あ、……、え? あ、お、おとうと?」
もう一度顔を上げた吉崎 拓哉のこめかみを、ジュリアは人差し指でつん、と優しく小突いた。
「そう、弟。大学生でね、久しぶりに会ったから、今から回転寿司にごはんを食べに行こうとしてたところだったの」
ジュリアがなにか言っている。
だがそれも聞き取れないほどに、吉崎 拓哉はまた固まった。
ジュリアに、こめかみを、つん、された。
ジュリアにこめかみをつんされた。
ジュリアに人差し指でこめかみを触られた……!!
吉崎 拓哉の皮膚はこめかみを中心に急激に熱を持ち始めた。
それは本人の意志とは関係なく、全身をその熱が血液に乗って駆け巡り、最終的に下半身に集約した。
「聞いてる? お兄さん」
ジュリアが目の前で手を振っているのに気づいて、吉崎 拓哉ははっと我に返った。
と同時に己の下半身が主張していることにも気づいて、そっと、少し体を前のめりにした。
「あ、すみません、聞いてません」
「おまえふざけんなよおっさん! 警察呼ぶからなって言ってんだよ!」
「えっ!!」
リョウの言葉に吉崎 拓哉は驚いて狼狽えた。
下半身の熱が急激に冷め、反対にきゅっと縮こまったような気さえする。
吉崎 拓哉が自身の時を止めてしばし興奮している間に、ことはごく当然の方向に流れようとしていた。
今の今まで、吉崎 拓哉の耳にリョウの声はさっぱり聞こえていなかった。
吉崎 拓哉は、先程パソコン画面を前にして慌てて頭をフル回転させたことを素直にふたりに話した。
すると、リョウは呆れたように顔を歪ませ、ジュリアは弾けたように大きく爆笑した。
「あははははははは!! リョウ!! あんたヤミ金と間違われてるよぉ!!」
爆笑するジュリアに、リョウはなぜか恥ずかしそうに頭を抱えた。
吉崎 拓哉が、状況が分からずにきょとんとしていると、一頻り笑い終わったジュリアがもう一度「もうやだぁ、お兄さんたらぁ」と吉崎 拓哉に声をかけた。
「そっか、なるほどねぇ。知らない人が来たから、あたしのことを心配してくれたんだね」
「あ。いやぁ、なんか、あの、すみません……」
ごにょごにょ。吉崎 拓哉は蚊の鳴くような声で答えた。なにやら盛大な勘違いをしていたらしいことに気づき、ついでになんだか急に、自分がジュリアの目に触れていることが恥ずかしくなってきたのだ。
せめてもう少しまともな姿をしていたかった。
「ううん、いいの。おもしろかっ、あ、違う違う、あの~、
優しいんだね、お兄さん」
「いや、あの、とんでもないですぅ……」
ジュリアを直視できなくなって俯く吉崎 拓哉に、ジュリアはまた優しく微笑みかけた。
「あのね、リョウはね、あたしの弟だよ」
おとうと。
ジュリアから発せられた言葉を、吉崎 拓哉も口の中で反芻する。
おとうと。弟。
「あ、……、え? あ、お、おとうと?」
もう一度顔を上げた吉崎 拓哉のこめかみを、ジュリアは人差し指でつん、と優しく小突いた。
「そう、弟。大学生でね、久しぶりに会ったから、今から回転寿司にごはんを食べに行こうとしてたところだったの」
ジュリアがなにか言っている。
だがそれも聞き取れないほどに、吉崎 拓哉はまた固まった。
ジュリアに、こめかみを、つん、された。
ジュリアにこめかみをつんされた。
ジュリアに人差し指でこめかみを触られた……!!
吉崎 拓哉の皮膚はこめかみを中心に急激に熱を持ち始めた。
それは本人の意志とは関係なく、全身をその熱が血液に乗って駆け巡り、最終的に下半身に集約した。
「聞いてる? お兄さん」
ジュリアが目の前で手を振っているのに気づいて、吉崎 拓哉ははっと我に返った。
と同時に己の下半身が主張していることにも気づいて、そっと、少し体を前のめりにした。
「あ、すみません、聞いてません」
「おまえふざけんなよおっさん! 警察呼ぶからなって言ってんだよ!」
「えっ!!」
リョウの言葉に吉崎 拓哉は驚いて狼狽えた。
下半身の熱が急激に冷め、反対にきゅっと縮こまったような気さえする。
吉崎 拓哉が自身の時を止めてしばし興奮している間に、ことはごく当然の方向に流れようとしていた。
今の今まで、吉崎 拓哉の耳にリョウの声はさっぱり聞こえていなかった。
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