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11話 ストーカー、窮地に陥る。4
しおりを挟むそれから30分後。吉崎 拓哉は、よく見知ったジュリアの部屋で正座をしていた。
脂汗が止まらない。
吉崎 拓哉の面前には、窓際に置かれたビビッドイエローのベッド。に腕を組んで吉崎 拓哉を睨みつけながら座るリョウ。
脇のテレビの前にちょこんと座っているのはジュリアだ。服は着ている。
吉崎 拓哉はリョウの尋問を受け、洗いざらいこれまでの行為を懺悔しているところだった。
「で? つまり。ジュリアの郵便物とかゴミとか漁って、勝手に部屋の中に入って物色して、挙げ句の果てにはカメラが仕込んである?」
「はい……。あの、6台ほど……」
「6台!?」
リョウが驚いてますます声を荒げる。
ジュリアも驚いて部屋の中をきょろきょろと見回した。
そうして自分の脇にあるテレビの配線の中に、仕込んであった隠しカメラのひとつを初めて発見した。
「あっ、ほんとだ、あったぁ。やばぁ!」
「おまえも気づけよジュリア!」
リョウがジュリアにも声を荒げると、吉崎 拓哉はビクッと肩を震わせ、ジュリアは呑気にあはは、と笑った。
「やだぁ、だってこんなところ、全然見ないんだもん。すごいねぇ」
「すごかねぇよ! いやある意味すごいけど……、おまえこれ、笑いごとじゃねぇかんな!」
さっきから幾度か繰り返されるこんな調子のやりとりを聞きながら、吉崎 拓哉は思う。
このチンピラ、ジュリアよりも常識人だ。
人は見かけによらない。
「ねぇねぇ、お兄さん」
声をかけられて吉崎 拓哉は振り返った。
ジュリアが、あのジュリアが、吉崎 拓哉に話しかけている。しかも微笑みながら。
吉崎 拓哉は、目を皿のように開いてジュリアを見た。
夢にまで見た姿が、現実にそこにあった。
いや、これももしかしたら夢かもしれない。
やはりジュリアは天使だ。
そんな夢見心地の吉崎 拓哉に、ジュリアは優しく尋ねた。
「お兄さんさぁ、どうしてさっき、あたしのために飛び出してきてくれたの? なんか勘違いしてるみたいだったけど、ちょっとカッコ良かったよね」
そうにこりと笑顔を向けられて、吉崎 拓哉は無言のまま舞い上がった。今にも天にまで昇れそうだ。
カッコ良かったよね。カッコ良かったよね。カッコ良かったよね。カッコ良かったよね。
ジュリアの言葉がエコーのように頭に響く。
やはりぼくの天使。ぼくのジュリア。
そこまで夢想して、吉崎 拓哉ははっ! と、ことの発端を思い出した。現実に戻ってくる。
「あっ、それは、ジュリア、……さん、が、拉致されてしまうと思いまして……」
「拉致ぃ?」
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