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管理局

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 侯爵からの要請を受けた俺は、近隣の村々に魔物が入れないよう結界を張っていった。一日中空を飛び回り仕事を片付けた俺は、15時前になってようやく自分の村に帰れた。

 俺が村に降りると、女達が嬉々として手を振ってくる。この村にいる女達は、一人残らず俺の嫁だ。女達は自分達で勝手にローテーションを組んでるみたいで、村を統括する管理局には、俺を貸し出すローテーションを組むことを仕事にしてる女までいる。そんなどうでもいいことに時間を割くなと言いたかったが、俺は賢いので黙っておくことにした。

 俺の経験上、パートナーが決めたことに逆らうとどこかでしっぺ返しを食らうことになる。自由にさせておくのが一番だろう。

「お帰り、兄さん」

(今日はポーラの番だな)

 ポニーテールのポーラは、俺を兄さんと慕う美少女だ。本当の兄は盗賊の襲撃で失くしてるらしく、俺のことを兄代わりに思っているらしい。

「今日は兄さんが好きなハンバーグを作ったわ」

(……俺の好物じゃない)

 時折、記憶が混濁してるなと思う。別にポーラに限った話じゃなくて、まだ立ち直れてなかったり、心に傷を負ってしまってる女は多い。俺はゴッド・ヒールで救う対象を選んだ。彼女の兄が今ここにいないのは、そっちの方がポーラを好きにできると思ったからだ。

 だから、俺はオママゴトに付き合う義務がある。

「嬉しいな。ポーラの手料理は最高だから」
「本当? いっぱい精をつけてね」

 エロいことを言ってるように聞こえるが、別に卑猥な意味じゃない。
 ポーラはその辺、あまり意識してない娘だからな。

 彼女の家に行って手料理を振る舞われた俺は、束の間の団らんの時間を過ごした。
 そして、交代で湯船に浸かったあと、俺は寝室で休んでいたポーラの元に向かった。

「兄さん、まだ寝ないの?」
「させてくれ」
「え……。でも、私達兄妹だし……」
「いいだろ? お前は俺の妻でもあるんだから」
「この部屋は……あっ」

 ポーラにキスをして胸を揉む。

「駄目、兄さんが見てるから……やっ」
「俺の言うことが聞けないのか? お前が嫌なら、別に無理に兄だと思わなくていいんだぞ」
「そんなこと言わないで……。ちゃんとするから」

 泣き出してしまったポーラを抱きしめる。

「ごめん。キツイ言い方になった」
「……ううん。私がワガママばかり言うからいけないの。兄さんの言うとおりにするから嫌いにならないで」

 ポーラとキスをする。下手くそで稚拙な、唇を押し当てるだけのキスだ。
 まあ、今はこれが限界だろう。舌を絡めたりしたらおかしくなりそうだから、我慢しておく。

「ポーラは綺麗だ」
「本当?」
「健康的な身体だ……。俺と一つになってくれるか? 離れ離れにならないように」
「うん。私はあまり詳しくないから、兄さんの好きにして?」

 寝巻を脱がせてポーラを四つん這いにする。
 後ろから彼女の腰を掴んで挿入した。
 まだ処女だったらしく、シーツが汚れてしまった。

「愛してる。ポーラ」
「わ、私も……。好きだよ」
「子供ができたら、今よりもっと一緒にいれるからな」
「うんっ。いっぱいして、子供作ろう? そうすれば、ずっと兄さんの傍に……」

 村の女達は全員嫁だが、子供ができたらこれから建築予定の豪邸で一緒に暮らせるようにするつもりだ。ポーラは精神的に脆くて一人にしておくと不安だから、早めに一緒に住めるようにしたいところだ。少し苛めてしまったが、素直だし顔もいい。胸は平均的だが、俺を兄と混合してる辺りが背徳的でいい。実の兄から寝取ってるみたいな気持ちにさせてくれるからな。

 俺はポーラに覆いかぶさって腰を振り続け、彼女の中で達した。
 ドクドクと中に注がれてるポーラは、口の端から涎を垂らして放心してる。

「大丈夫か?」
「え? うん……。大丈夫」
「今日は一緒に休もう」
「……一回でいいの?」

 ポーラとの関係は慎重に進めるつもりだ。
 セックスはするし兄妹寄りの関係になりすぎないよう注意はするが、飴と鞭の使い分けも必要だと思う。ポーラが望むなら、兄としての面も見せていく。

「妹とゆっくりする時間も大事だからな。ポーラは嫌か?」
「ううん。兄さんが私のことを考えてくれて嬉しい」

 一緒のシーツにくるまって肩を抱く。

「毎日こうして寝たいなぁ……」

 朝まで一緒に寝たあと、俺はポーラと共に村長宅のネリーの元に顔を出した。
 村長の家は管理局という名称に変更され、管理局では村に関するあらゆる事務が行われている。その中に、エリク課と呼ばれる部署があった。

「ネリーさん、エリク様の返納にきました」
「時間厳守ですね。ご協力ありがとうございます」
「いえ、こちらこそ」

(道具じゃないんだけどなぁ)

「エリク様、お手数ですが貸出時間の確認をお願いします」
「ああ、問題ない。15時から10時まで一緒にいたからこの時間で構わない」

 俺を貸し出すシフトは15時から翌朝の8:30の平日で組まれることが多い。
 俺は一カ月のシフト表を受け取り、対象の嫁のところに顔を出す形だ。
 借りる時間は前後一時間だけ短くすることができ、レンタル時間を短くしておくと、その分次に借りられる日数を増やせる仕組みになってる。ちなみに、嫁同士の合意があれば、片方が申請したシフトにもう片方の嫁を呼ぶこともできる。そうすれば、嫁Aの予約した時間にBが同席して俺との時間を過ごせるし、そのまた逆も然りだ。独り占めはできなくなるが、俺に会える回数は増える。そういう形態を好む嫁もいる。

 ちなみに、妊娠するとシフト+シフトの入ってない日中と週末を一緒に過ごせるようになるので、子供を欲しがる嫁も多い。

「また会ってくれる?」
「俺からも会いに行くよ」
「はいっ。……前は兄さんともっと一緒に居れたのになぁ」

 空虚な目でまたそんなことを言ってる。
 俺はネリーに耳打ちした。

「悪いがポーラのシフトは優先的に入れてやってくれ。危うくて見てられない」
「分かりました。その代わり、私共のこともお忘れなく」

 ネリー、ドロテ、アリア、ジャネット、セレス、他数名の娘とは、幹部会という名目で日中と週末を共に過ごしている。実質、正妻扱いだ。ネリーとも濃密な時間を過ごしているが、釘を刺されるということはまだ足りないらしい。もっと抱かせてもらおう。

「朝の裏シフトの作成も頼むな」
「お疲れになりませんか?」

 朝の裏シフトというのは、空き時間を利用して俺が嫁に会いに行く時間のことを指している。最近はポーラの比率が多いけど、俺としては他の嫁も平等に愛しているつもりだ。

「疲れはないな。むしろ息抜きの時間になってる。俺から会いに行った方が喜ぶし、止める気はないよ。一部例外はいるが……」
「例外……ですか」

 実のところ、俺に対して拒絶反応を示す村娘もいなくはない。

「その件でご報告がありまして。マリーとリゼットが村を離れようとしているようです」
「あの二人は俺を呼ばないからな」
「それと、ルネは直接的にエリク様を害しようとしている可能性が……」
「毒でも使う気か?」
「今はまだそこまでの動きはありませんが、睡眠香を購入していると、妹の方から密告がありました」
「警戒はしておこう」

 スタンピードも起きようとしてる時に、まとまらないな……。
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