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先輩は疲れ切っていた

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仕事量が減らない。
いや、減ってはいるのだ。少しずつ。
だが手が回らず後回しにした隠れ残作業があるがめ、完了したといえる物は全体の半分もいっていない。

上司は「何かあれば俺がやるよ」と言ってくれたが、実際にはやってもらっていないのだ。

訳のわからない仕事と格闘し、平日の残業は当たり前。休日も気が休まることがなく調べ物作業を続けている。


モチコは疲れていた。


自宅で独りになると「疲れた」「つらい」「やめたい」「もうやだ」「もう無理」「できないよう…」「無理だよう…」と泣き言を口にする日々。
通勤途中、ふとこのまま道路に前のめりに倒れ込んでみたい衝動に駆られる。

モチコは死にたいとは思うものの、死を選ぶつもりはない。



いつか死ねるのだから、今あせって死ぬことはないのだ。



それに、死ぬ勇気があるなら会社を辞める。
モチコは仕事を辞めるつもりだった。
会社を辞めることは生活を考えると出来そうにないが、部署を変えることは可能なのだ。
今すぐというわけじゃ無いが、異動願いというものを出して意思表示をすることで変わるチャンスはあるのだ。

これ以上辛くなるなら絶対に辞めてやる。
モチコはなんとか耐えていた。

「二度とやりたくない仕事」は2度目だが、「マジでやりたくない仕事」「辛い仕事』の経験は38歳にもなれば多数経験している。
それにより、若干態勢が付いていたのだろう。
ギリギリではあるが、モチコの精神はなんとか保たれていた。





そんなモチコの精神をさらに追い詰めるのが、後輩カズヨの存在だった。



モチコは基本的には指示待ちの人間である。
故に人に指示を出すのが苦手だ。

そんな彼女はスケジュール管理や作業の割り振りといったことが大の苦手だった。
また人との会話も苦手である。
他人に興味が無い――というより人間が嫌いということが原因かも知れないが、人が何をしていようとしったこっちゃないと言う考えが根底にあるからだろう。


「後輩に指示を出す」。
このタスクが増えたことが、モチコの精神を削った。

だがそれ以上に彼女の頭と胃を攻撃してきたのが、「後輩からの質問」だ。
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