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真相

アルゲティ3

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この話の後半凄く短いですが、閑話アウラのトゥカーナ側の話になります。



アルゲティは眠そうな猫ちゃんを持ち上げると、猫っていい匂いがするの、と抱き寄せて頬ずりしようした。
猫はアルゲティの頬ずりに不服なのだろう、アルゲティの頬に前足を付け断固拒否の姿勢だ。
トゥカーナはとても羨ましかった。肉親は黒猫ちゃんの毛並みからは考えられない位柔らかそうなピンク色、今世で1度してみたかったプニプニしたい、私はアルゲティに物欲しそうにアルゲティに視線を投げかけ訴える。とてもとても羨ましい、

「猫ちゃんいいなぁ。」

じっと猫ちゃんを見ていたからか、アルゲティも私が物欲しそうな視線に気がついた。猫ちゃんを左右に揺らすと私の視線も優しく左右に揺れる。猫ちゃんは不服そうにアルゲティと私を睨んだ。

「この子の名前はラ...そう!ララ君男の子なの、ララ君お返事しましょうね。シャムちゃんですよ!」

「あっ...私の名前イプシロン・トゥカーナ、騙していてごめんなさいアルゲティ様、トゥカーナ呼びづらいならカーナとお呼びください、」

「あっ!そうなの?うんカーナちゃん宜しくね!」

「あっララ君を抱っこしたいんだよね?ちょっと待ってララ君おいで、大丈夫カーナちゃんは怖くないしとても優しいからおやつくれるよー、」

アルゲティは猫ちゃんをそっと私に渡そうとしたが、猫ちゃんは拒絶するように暴れ地面に下りた。私のテンションも下りた(折れた)為苦笑いしながらアルゲティを見ると、アルゲティは頬をポリポリかきながら苦笑いして私を見るが、視線は髪に固定されたままだ。

「シャム...あっ違ったカーナちゃんだったね久しぶり。元気してた?あなたの髪色なんだかまだらなんだけど大丈夫?まだ頭が動かないから後からお祈りをして髪色を直してあげる。もう少しだけ待って、」

「えっ?!髪色戻ったの?」

「あれ?元の髪色ってオーキッド私と同じ色じゃないの?」


アルゲティは自分の髪を手に取りあれ?トゥカーナちゃんの方がピンク色だね?と首を傾げている。トゥカーナは手鏡を空間ポッケから取り出すと、いそいそと自分の頭を見てみる。確かにパッと見は薄いピンク色に見えるが、アルゲティの髪色と比べると色が薄い、
今の髪色はオーキッド色とプラチナが混ざり合っているが、ここに来る前は白金等一本も無かったはずだ。
それでもまだまだオーキッド色の割合がまだ多く確かに近くで見ると斑だ。白金の髪色を懐かしく思い見て瞳の色はどうなったのかと、顔を手鏡に写し瞳の色を見る。瞳はまだ金色のまま、元の瞳の色はオーキッドだ。早く戻って欲しいのと同時に戻るのだろうかと不安になる。

「あれ?カーナちゃん空の人族の長シャムちゃんと同じ髪色だったけ?あれ?まさかシャムちゃんと双子?!もしかして2人は同一人物だったとか?えっと...どういう事?ミュー教えて!」

「アルゲティ少し落ち着くの、シャム様はちゃんと別で居らっしゃるわ、事情があって地の人族の街にいらっしゃいますの、アルゲティに話すと飛んで行きそうだからまた後から説明するのよ、」

アルゲティはトゥカーナの手を思わず握った。そこでアルゲティは、驚きの余り両目を大きく開き「えーなんでよー!」と大きな声を上げトゥカーナの肩を掴んだ。肩をユラユラと揺らされトゥカーナはアルゲティを見上げたまま固まってしまった。

「なんでシャムちゃんが私の魂を持ってるの?!自分と同じ人形を作ってそこに魂を少し入れた筈よ!」

「私は確かにアルゲティ様にそっくりな人形を作れば大丈夫ですと言いましたが、魂を少し入れたってどう言う事ですか?」

「父様よ、父様は作り物の私をすぐに見抜くの過去に何度もイタズラをした結果なんだけど、人形を作るのは簡単でもなんか直ぐにバレそうって思ったんだ。なんだか違和感があったの、だから私は祈りを捧げ自分の魂少しだけ人形に入れたわ、ミュー今まで言えなくてごめんなさい、」

ミューはアルゲティの胸に飛び込みポカポカ叩く、アルゲティはそんなミューを悲しげに見て、優しく頭を撫でる。

「ミューはアルゲティとアウストの契約の糸が切れた時に、どんなにアルゲティ達を心配したかわかるかしら!遠く離れてる光の精霊王様の所に行けなんて、アルゲティなら言わないの、アウストもアウストなのよ、『アルゲティを絶対に守ってみせる。俺の可愛い嫁さんだからな、』なんて、結局2人とも空に帰ってしまった!なのにいきなりさよならなんて酷すぎるの!...アルゲティ達がいなくなってから...私のポッカリと空いた300年は長すぎるのよ、でも嬉しいの、空に帰ったと思ってたアルゲティだけでも帰ってきてくれて嬉しいの、」

「ミューごめんね。ミューは母様と手紙のやり取りをしているでしょ?それに精霊は嘘をつけない、騙したこと謝らないとねごめんなさい。ミューただいま。」

「アルゲティおかえりなさいなの、トゥカーナは今のミューの契約者でもあるの、後婚約者のアウラもそうなのよ、アルゲティはお姉さんになったのだから、しっかりしないとダメなのよ、」

ミューと再会を果たしたアルゲティは、謝りながら涙を流し時折はにかんで私を見る。ミューはいつものぬいぐるみサイズになると、私とアルゲティの間に座ると、ミューは私の事を簡単に説明すると、アルゲティはパァーと喜びの表情になる。顔の表現がとても豊かな人だ。私にとってとてもありがたい、裏表がないのは嬉しい、
帰ったらあれをやらなければならない面倒臭いぞ貴族シリーズだ。感情を表に出してはいけませんとか、女子は口元を出して笑わずセンスの良い扇子を使いましょう等だ。(ダジャレに聞こえるのだけが救いだね。)
あれはあれで面倒臭い、だからアルゲティの百面相を見てるとほっとする。

「私がお姉さん?やった!妹か弟が欲しかったんだ両方ゲットね。それよりトゥカーナは空の人族なのよね?」

「いいえ、私は...その...地の人族です。歳は13歳」

「若いわね、いいなぁ婚約者アウラって名前なの?えっ?少し待って、もしもし?あっうんちょっと待って聞いてみるね。」

「?…はい、」

アルゲティは上を見上げ少し固まってしまったが、瞬きを数回して私をじっと見るから、私は首を傾げ困った様に笑うしかできない、ようやく話す決心が付いたのだろう、アルゲティは私の両手をしっかりと握ると、おかしな事を言うけど本当の事だから聞いてくれる?と言うので、私は不思議に思いながらもちろんですと頷いた。

「私の中に昔からもう1人の私がいるの、その子がトゥカーナと少し話をしたいっていい?もう1人の私についてはその子に聞いて、けどあの子に頼まれる事は今までそんなに無かったんだ。でもねトゥカーナあの子は口は悪いけど悪い子じゃない、だからあの子の事を嫌わないで、あの子が凄い急かせてくるから変わるね、トゥカーナが了承すると変わるよ、」

「もう1人のアルゲティ様ですか?えぇ...分かりましたどうぞ、」

どうぞと言った途端変わったらしいが、私には分からない、

「アルゲティありがとう私は口が悪い訳じゃない、私はこれが素なの、そうあなたが…こんにちは私はあなたの事をよく知ってるわ、アルゲティの中からずっとあなたを見ていた。」

「見ていた?」

「そう、アルゲティの目は私の目でもある。私が見た事はアルゲティも知ってるし、アルゲティが見た事も私は知ってる。」

いつものアルゲティはライラさんと性格が似てる。なんと言っていいか分からないが素のアルゲティは天然だ。
見た目の雰囲気はなんら変わらない、だけど話し方が少し違う、本来のアルゲティはおっとりしてる、なんと表現していいか迷うけど、話をしてると所々ツッコミを入れたくなるほど抜けている時がある。

「ここじゃない所で話をしない?役割人のクァーリーに聞かれたくないし、この街で1番好きな場所があるの、ミューあの場所に連れて行って、」

「トゥカーナあの場所は見晴らしが良い所なの、トゥカーナも絶対好きな場所になるの、アルゲティと一緒に行くの久しぶりなのよ、またここに帰ってくるから、魔法はこのままにしておくの、あの変態が着いてこないように、」

「1番好きな場所…お気に入りの場所ですか、是非連れて行ってください。」

私達はミューの転移魔法で転移した。降り立った場所は芝の上高いビルが建ち並んだ場所、空の人族は翼がある為ベランダが玄関代わりをしてるらしい、そしてここは緑豊かな公園らしい、遠くには噴水があって水の精霊が噴水の周りで遊び、風の精霊が水を遠くに飛ばし草花に潤いを与え、光の精霊は火の精霊と駆け回り、土の精霊と闇の精霊は木陰で休んでいるようだ。

「綺麗な場所ですね。とても素敵な場所なのに人っ子一人いないのですね。」

「お気に入りの場所だって言ったでしょ、私は転生者なの気がついたらアルゲティの中にいた。この場所は昔姉さんと見た景色に似た公園だから、私はすぐに好きになった。」

皇居、と言いかけて口を噤んだ。転生は自分だけだと思っていた。けど今それを話していいかわからず曖昧に頷く、クルミからもう少し話を聞いてからが良さそうと思ったからである。

「転生者?!ミューはこの事を知ってたの?急に変わったら分からないわ、」

「ミューはもちろん知ってるの、契約して交わした時にクルミから色々教えてもらったの、でも小さな頃のクルミは泣いてばかりいたの、ミューは契約精霊、クルミとアルゲティを間違えないのよ、」

「クルミから?」

ミク時代の双子の妹と同じ名前だ。クルミはオタク気質だった。やると決めたら出来るまでやってしまう、次々思い出した事に懐かしむ、あの子に教えてもらった事はとても多い、特にゲーム関係だけど、あの子のノートがあれば何にも憂いはなかった。まさか妹のクルミだろうか?トゥカーナは内心ドキドキしながら、もう少し話を聞いてみることにした。

「前世から転生したらとてつもないチートだったわ、そりゃ最初気がついた時に思ったわ、もしかしたら神様が頑張った私へのプレゼントでだから最強なんだって、それに今の私は祈れば叶ってしまう、私が最初に祈った事はそれだった。でも叶わなかった...前世の家族が大好き、もちろん今の家族は私をとても大切にしてくれる。前世の家族がいない転生なんて虚しいだけ、」

「トゥカーナ私はこの世界を題材に小説を書いたの、きっかけは姉さんが死...あっ。こちらの世界では違うのよね。空に帰ってしまった事だった。姉さんは私達の世話をしてくれていた。姉さんに自由は無かった。あっちでは空に帰った人は天使になるって伝えられてるの、
その頃の天使といえば、流行りの乙女ゲームに登場する祈りの乙女アルゲティになぞり、姉さんをそのアルゲティとして小説の中で旅をさせた。お助け精霊ミューの言うことを聞かずに迷子になったり、自分の好きな食べ物を沢山作って食べて...、だけど結果を言えば、私が祈りの乙女だったんだけどね、姉さんが好きな人を思い出し失念していた。だから後半は流行りの小説に合わせて物語りを書いた。」

「物語りですか?」

迷子?私は子供ではないし迷子にはならないし、迷子になった経験は少ししかないから自分ではないわねと、トゥカーナはアルゲティが迷子属性だから、自分もそうなったんだと納得する。

「トゥカーナ何を納得してるのか分からないけど、あなたもアルゲティと一緒で迷子になる事を忘れてないわよね?」

「ミュー酷い、私迷子にならないよ?アウラ様の所に行こうとして、遠回りしただけです。それに私は公爵令嬢だもの、1人で歩く事がないから仕方がないの、」

私は口をとがらせてミューに抗議の声を上げた。

「忘れたのトゥカーナ、あなた忘れたのかしら?自分の家の中で迷子になったじゃない、それも3つ先の扉に行くだけ、まったくなのよ、」

「そ...そんな事あったかしら?」

ロッテが部屋にいない、だけど姉様の香水の種類を聞きたいだけだから、ロッテを呼ぶ程でも無かった。学園に行く準備をしていた事もあり1人で部屋を出たが、迷子になった。だがミューと会う前の事だ。なぜ知ってるのか聞くと、急にミューはソワソワしだした。

「言ってはダメと言われていたのを忘れていたの、迷子の話はライラに聞いたのよ、トゥカーナはアルゲティと同じだって、ちなみにライラはトゥカーナの幼少時に庭で迷子になった事も教えてくれたのよ、トゥカーナの庭は確かに大きいけど、お付の人もいるのに迷子になるのかしら?って思ったの、まぁトゥカーナだから仕方がないってライラと話して終わったのよ、」

「ちょっと!私それ知らない!ライラさんから私の情報ダダ漏れなんですけど?!ミューここで言うなんて酷くない?2人きりの時に教えてくれてもいいのに、」

「ムキー!酷いなんて聞き捨てならないのよ、それとトゥカーナの小さな頃の本当の話なのよ、変なこと言わないでくれるかしら、」

「フフ…あなた達面白いね、ねぇトゥカーナ、あなた婚約者は居るの?」

アルゲティは先程までクスクスと笑いながら私達の話を聞いていたのに、急に真面目な顔をしてトゥカーナを見る。

「はい、私はアウラ様に良くしてもらっております。私はアウラ様の事が大好きです。えっと…まだ婚約ですが、学園を卒業したら結婚式を挙げたいと、アウラ様が言っていて、わ…私も嬉しいです。」

結婚式のドレス作りはもう始まっているらしい、私は白く美しいドレスとマリアベールをつけ、アウラ様の横を歩きたい、
ピカっと白い光が公園に広がる。眩しいのは一瞬でだったけどまだ目がチカチカする。白い光は段々と人型を模していき段々と見覚えのある人物に変わっていく、ブロンドの髪はいつもきちんとしてるが、今は少し乱れそれが色っぽい、アイスブルーの瞳が私を見つけ大きく見開き歪んだ。気のせいだろうかアウラ目頭が赤い、

「ア...アウラ様?!なぜここに?」

「カーナ!会いたかったんだ。すぐに帰ろう、」

アウラは私の顔をじっと見ると、やっと会えたと泣き笑いをする。私だって自分の気持ちに気がついてからずっと会いたかった。息が出来ないほどギュと抱きしめられて私は涙を流した。間近で顔を見られドキドキする。エニフ王国に行く前にキスをされた事を思い出し顔が熱くなった。魔法だと思うが私にだけアルゲティの声が聞こえる。

『地の人族がここにいると他の人にバレると、デタラメな所に転移されてしまうし、アウラは私の血を引き継いでるから魔力も多いトゥカーナがいる場所に行きたいと願った。転移魔法が発動してこちらに来てしまった。ここは地の人族がいる場所よりも時間の流れが緩やかだから、1日居るだけで1年居る計算になる、せっかく会えた所悪いけど早く返すわよ、私トゥカーナにまだ言えてない事があるから、』

アルゲティはアウラの頭をポンポンと優しく撫で、子孫に会えた事を涙を流し再会を喜び、私に押し花を渡しアウラはここから消えてしまった。クルミはニヤニヤしながら私をからかっていたが、急に真面目な顔になった。不安になった私は、アウラから受け取った形が歪な押し花を胸に抱きしめた。

「イプシロン・トゥカーナあなた悪役令嬢だって、知ってるんでしょ?」

「悪役令嬢?それは何ですか?」

私はなぜか全力で知らんぷりをしていた。
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