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25話 笑う生首が笑った
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ある日大学の食堂で坂本と偶然一緒になり、頼みたいことがあったのでタイミングがよかったと思った。
「今日クラスの飲み会があってさ、会場がお前んちに近いから泊めてくれない?」
タクシー代節約のためにそう切り出すと、坂本は私の質問には答えず「工学部の友達の家で怪奇現象が起きた」と、まったく関係ない話を始めた。
「何だよ急に」
「そいつ、変なやつでさ。工学部だから機械いじりが好きってのはわかるんだけど、変なものばっかり作るんだよ」
「例えば?」
私の質問への答えはどうなのか聞き返したかったが、内容的に興味をそそられたので大人しく付き合うことにした。
しかしそんな相槌を返しながらも「坂本に変なやつって思われてるその友達、可哀想だな。坂本こそ変なやつの最たる存在なのに」などと考えてしまった。後日坂本にそう伝えると「視世にだけは言われたくない」と返されたのは、完全に余談だ。
閑話休題。
「とある国民的なアニメを観ては全自動卵割り機を作ろうとしたり、7個集めれば願いが叶う球を集めるアニメを観ては戦闘力を計測する機械を作ろうとしたり」
※アニメ名は伏せておきますので察してください。
「戦闘力を計測する機械は心惹かれるものがあるな。で? その友達がどうした?」
「笑う生首を作ったっていうんだよ」
「笑う生首?」
「あぁ。美容師がカットの練習する頭部だけのマネキンあるだろ? あれに人感センサーとスピーカーを搭載して、人の動きを感知したら笑い声が流れるっていう生首」
「キモッ!!」
「しかも、しっかりとホラーメイクを施してるらしい。防犯対策で作ったってことだ」
「そんなのを作って置いてるやつの方が捕まるだろ!」
「空き巣に入られたりとかはさすがにないけど、友達が家に来たときとかは本気で嫌がられるらしい」
「だろうな」
防犯対策にもなるだろうが、どんどん友達を減らしそうな代物だし。
「でな? この前もその笑う生首が笑ったらしい」
ニヤニヤと笑いながら言う坂本。
意味がわからず、一瞬だけ場が静かになった。
「いやいやいや、笑う生首なんだろ? センサーで感知して笑うんだろ?」
私が突っ込むと、坂本はひどく満足そうな表情をした。
「そう思うだろ?」
「思うもなにも、そうだろ?」
「……切れてたんだよ」
「え?」
「だいぶ前に電池が切れてたらしいんだよ」
「えっ……?」
「友達いわく、試作だからそう本格的に作らず、乾電池で動くおもちゃぐらいな感覚で作ったらしいんだよ。家に余ってたいつ開封したかもわからない電池を入れてたにも関わらずずっと稼働するから、『えらい長持ちするな』って気になったんだと」
「それで?」
「電池を取り出して、電池チェッカー? 電池テスター?って言うのかな、それで電池残量を調べてみたらしいんだよ」
「……電池が切れてたってわけか。」
「そういうこと。完全に0だったらしい。考えてみれば24時間センサーはオンになってるから、それだけでも結構電池を喰うはずなんだよ。人が通れば音も出すからなおさらだ。例え電池が微量残っていたとしても、とてもはっきりとした音を出せる状態じゃなかったんだよ」
電池残量が減ってくると、音が出る製品だと音が小さくなる傾向にある。
「その笑う生首、今はどうなってんの?」
気になったので何の気なしに質問をすると、彼は別の質問への答えを返してきやがった。
「今日、俺んちに泊りにきていいぞ」
「は?」
いきなり話題が変わったので一瞬戸惑った。
戸惑う私に追い打ちをかけるように、彼はもう1つの質問にも暗に答えた。
「玄関で出迎えてくれるだろうさ」
もちろん宿泊はキャンセルさせてもらった。
「今日クラスの飲み会があってさ、会場がお前んちに近いから泊めてくれない?」
タクシー代節約のためにそう切り出すと、坂本は私の質問には答えず「工学部の友達の家で怪奇現象が起きた」と、まったく関係ない話を始めた。
「何だよ急に」
「そいつ、変なやつでさ。工学部だから機械いじりが好きってのはわかるんだけど、変なものばっかり作るんだよ」
「例えば?」
私の質問への答えはどうなのか聞き返したかったが、内容的に興味をそそられたので大人しく付き合うことにした。
しかしそんな相槌を返しながらも「坂本に変なやつって思われてるその友達、可哀想だな。坂本こそ変なやつの最たる存在なのに」などと考えてしまった。後日坂本にそう伝えると「視世にだけは言われたくない」と返されたのは、完全に余談だ。
閑話休題。
「とある国民的なアニメを観ては全自動卵割り機を作ろうとしたり、7個集めれば願いが叶う球を集めるアニメを観ては戦闘力を計測する機械を作ろうとしたり」
※アニメ名は伏せておきますので察してください。
「戦闘力を計測する機械は心惹かれるものがあるな。で? その友達がどうした?」
「笑う生首を作ったっていうんだよ」
「笑う生首?」
「あぁ。美容師がカットの練習する頭部だけのマネキンあるだろ? あれに人感センサーとスピーカーを搭載して、人の動きを感知したら笑い声が流れるっていう生首」
「キモッ!!」
「しかも、しっかりとホラーメイクを施してるらしい。防犯対策で作ったってことだ」
「そんなのを作って置いてるやつの方が捕まるだろ!」
「空き巣に入られたりとかはさすがにないけど、友達が家に来たときとかは本気で嫌がられるらしい」
「だろうな」
防犯対策にもなるだろうが、どんどん友達を減らしそうな代物だし。
「でな? この前もその笑う生首が笑ったらしい」
ニヤニヤと笑いながら言う坂本。
意味がわからず、一瞬だけ場が静かになった。
「いやいやいや、笑う生首なんだろ? センサーで感知して笑うんだろ?」
私が突っ込むと、坂本はひどく満足そうな表情をした。
「そう思うだろ?」
「思うもなにも、そうだろ?」
「……切れてたんだよ」
「え?」
「だいぶ前に電池が切れてたらしいんだよ」
「えっ……?」
「友達いわく、試作だからそう本格的に作らず、乾電池で動くおもちゃぐらいな感覚で作ったらしいんだよ。家に余ってたいつ開封したかもわからない電池を入れてたにも関わらずずっと稼働するから、『えらい長持ちするな』って気になったんだと」
「それで?」
「電池を取り出して、電池チェッカー? 電池テスター?って言うのかな、それで電池残量を調べてみたらしいんだよ」
「……電池が切れてたってわけか。」
「そういうこと。完全に0だったらしい。考えてみれば24時間センサーはオンになってるから、それだけでも結構電池を喰うはずなんだよ。人が通れば音も出すからなおさらだ。例え電池が微量残っていたとしても、とてもはっきりとした音を出せる状態じゃなかったんだよ」
電池残量が減ってくると、音が出る製品だと音が小さくなる傾向にある。
「その笑う生首、今はどうなってんの?」
気になったので何の気なしに質問をすると、彼は別の質問への答えを返してきやがった。
「今日、俺んちに泊りにきていいぞ」
「は?」
いきなり話題が変わったので一瞬戸惑った。
戸惑う私に追い打ちをかけるように、彼はもう1つの質問にも暗に答えた。
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