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symphony 1
それは本当に突然で①
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symphony 1
それは本当に突然で
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「そこの式、あまりが出るだろ?」
「うん」
短い春休みも終わりに近づくと、私は健ちゃんの部屋に入り浸っていた。
音楽以外ちんぷんかんぷんな私は、健ちゃんに宿題を手伝ってもらう。
そんな毎日を送っている。
「なるほどー‼︎ 健ちゃんの教え方分かりやすいっ! ありがとう‼︎」
「おっおう」
私が笑顔でお礼を言うと照れ屋な健ちゃんはそう言う。
健ちゃんが「おっおう」って言う時は照れている時なんだってことは、付き合いの短い私でもすぐに分かった。
健ちゃんは知れば知るほど面白い。
良ちゃんに対する気持ちとは違うけど、私たちはこの短期間でかなり仲良くなっていた。
健ちゃんといる時間があまりにも楽しくて、家にいる時間より健ちゃんの家にいる時間の方が長いほどだ。
健ちゃんのご両親も私によくしてくれている。
特に健ちゃんには私と同い年の弟くんがいて、男兄弟だから、女の子の私が娘だったらいいのにって言われたくらい。
それを言われた時はものすごく嬉しかった。
まだ仲良くなって日が浅いのに、健ちゃん家族がいない生活は考えられないほど私の中に浸透している。
わたし、なんだか変なの。
でも、実際の家の居心地がとてもいいとは言えないわたしにとっては、嬉しくてたまらないんだ——。
そんな喜びもつかの間。
明日からは遂に新学年が始まる。
健ちゃんに若干スパルタ気味に教えてもらった甲斐があって、なんとか宿題は終わったものの、これからの 1年間——。
良ちゃんのいない 1年間がまた始まるのかと思うと、気が重くなった。
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「結くん何組?」
「俺? 1組」
「やった! また同じクラスだね‼︎」
わたしと健ちゃんの弟である藤本結斗くんは、クラス分けをながめながら、そんな会話をしていた。
当の健ちゃんはというと、ものすごく不機嫌そうに仏頂面で、わたしと結くんを眺めている。
「健ちゃん?」
それを見た結くんが、笑いながらひと言。
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