209 / 244
相互-sougo-3
しおりを挟む
「……もう、好き!」
「……っあぁゔ!!」
勢いで樹矢は俺のモノを掴んでいると一瞬忘れていたのだろう。優しく包んでいたソレを力強く握り締められ激痛が走り全身が跳ねた。
「ぁわわ……!ご、ごめん!」
痛くて股間を抑え、樹矢を睨む。悪気が無いなんて分かりきっている。それでも……痛い。
「もう、知らない!」
部屋中に響き渡った声は、樹矢を更におどおど焦らせた。さっきまでの甘い空気は一変し、緊張が走る。樹矢に限り。
背を向けて身体を小さく丸める。
謝り続ける樹矢の表情を想像したら、プッと笑いが漏れそうになる。顔が見えてバレないよう、丸める身体を更にコンパクトにして、笑いを堪えるのに身体を震わせる。
「朱ちゃん……」
背中を擦る樹矢は、今の目一杯の慰めなんだろう。しょんぼりと何度も俺を呼んだ。
(こういうのも、幸せなんだろな)
一人で良いと意地を張っていた過去。求めていた訳では無いが知ってしまったこの、形にする事か出来ないとんでも無く幸せな感情。
二人で感じるこの幸福は、愛情になっていく。
愛は育む。なんて、良く言ったものだ。
まだ周りには気づけてないだけで、手に出来る幸せを探している人がいる。どうこうできるのは本人達次第。
「幸せ……」
気を許した瞬間に大きな独り言をしてしまう。
しまった。と気づいた時は手遅れで、嬉しそうなその手が俺に向かって伸びてくる。
「何が?」
くるりと背を向けていた方に身体を反転させられ、黒い笑顔が視界いっぱいに広がった。
「お仕置き。俺に心配させた罰」
意地悪を思いついた子供のような恋人は、その後俺の身体の隅から隅までを使い、快感を堪能した。
流れる甘い時は今日もまた変わらない二人を見届ける。
朝方、気絶した俺が目を覚ますと身体の汚れなんて微塵も無く寝間着をしっかりと着てベッドの上にいた。
隣に樹矢は、居ない。
「あれ…。樹矢……?」
誰も居ない黒い不安が押し寄せて、掛け布団を手で払い起き上がる。
「……っぅ!」
腰に激痛が走って起き上がったものの直ぐにまたベッドに吸い寄せられるよう倒れ込む。
腰に手を当てて、慰め程度に擦る。
ガチャ…
間もなくして扉から開けばそれは樹矢だった。
「おはよ。はい、これ」
差し出したのは、焼きたての食パンとスクランブルエッグ、それにブラックコーヒーがトレイの上に並んでいた。
「これ、樹矢が?」
「俺以外誰がいるの」
笑う樹矢はなんだか照れ臭そうだ。
「朱ちゃんみたいに凝ったの作れないけどね、今日は立てないだろうから俺がお世話するよ」
その原因はあんただろ。
腰の痛みすら嬉しいのは、可笑しいのかな?
きっとその幸せも樹矢は感じているんだろう。
―――
――
―
「……っあぁゔ!!」
勢いで樹矢は俺のモノを掴んでいると一瞬忘れていたのだろう。優しく包んでいたソレを力強く握り締められ激痛が走り全身が跳ねた。
「ぁわわ……!ご、ごめん!」
痛くて股間を抑え、樹矢を睨む。悪気が無いなんて分かりきっている。それでも……痛い。
「もう、知らない!」
部屋中に響き渡った声は、樹矢を更におどおど焦らせた。さっきまでの甘い空気は一変し、緊張が走る。樹矢に限り。
背を向けて身体を小さく丸める。
謝り続ける樹矢の表情を想像したら、プッと笑いが漏れそうになる。顔が見えてバレないよう、丸める身体を更にコンパクトにして、笑いを堪えるのに身体を震わせる。
「朱ちゃん……」
背中を擦る樹矢は、今の目一杯の慰めなんだろう。しょんぼりと何度も俺を呼んだ。
(こういうのも、幸せなんだろな)
一人で良いと意地を張っていた過去。求めていた訳では無いが知ってしまったこの、形にする事か出来ないとんでも無く幸せな感情。
二人で感じるこの幸福は、愛情になっていく。
愛は育む。なんて、良く言ったものだ。
まだ周りには気づけてないだけで、手に出来る幸せを探している人がいる。どうこうできるのは本人達次第。
「幸せ……」
気を許した瞬間に大きな独り言をしてしまう。
しまった。と気づいた時は手遅れで、嬉しそうなその手が俺に向かって伸びてくる。
「何が?」
くるりと背を向けていた方に身体を反転させられ、黒い笑顔が視界いっぱいに広がった。
「お仕置き。俺に心配させた罰」
意地悪を思いついた子供のような恋人は、その後俺の身体の隅から隅までを使い、快感を堪能した。
流れる甘い時は今日もまた変わらない二人を見届ける。
朝方、気絶した俺が目を覚ますと身体の汚れなんて微塵も無く寝間着をしっかりと着てベッドの上にいた。
隣に樹矢は、居ない。
「あれ…。樹矢……?」
誰も居ない黒い不安が押し寄せて、掛け布団を手で払い起き上がる。
「……っぅ!」
腰に激痛が走って起き上がったものの直ぐにまたベッドに吸い寄せられるよう倒れ込む。
腰に手を当てて、慰め程度に擦る。
ガチャ…
間もなくして扉から開けばそれは樹矢だった。
「おはよ。はい、これ」
差し出したのは、焼きたての食パンとスクランブルエッグ、それにブラックコーヒーがトレイの上に並んでいた。
「これ、樹矢が?」
「俺以外誰がいるの」
笑う樹矢はなんだか照れ臭そうだ。
「朱ちゃんみたいに凝ったの作れないけどね、今日は立てないだろうから俺がお世話するよ」
その原因はあんただろ。
腰の痛みすら嬉しいのは、可笑しいのかな?
きっとその幸せも樹矢は感じているんだろう。
―――
――
―
0
お気に入りに追加
135
あなたにおすすめの小説
校長室のソファの染みを知っていますか?
フルーツパフェ
大衆娯楽
校長室ならば必ず置かれている黒いソファ。
しかしそれが何のために置かれているのか、考えたことはあるだろうか。
座面にこびりついた幾つもの染みが、その真実を物語る
3人の弟に逆らえない
ポメ
BL
優秀な3つ子に調教される兄の話です。
主人公:高校2年生の瑠璃
長男の嵐は活発な性格で運動神経抜群のワイルド男子。
次男の健二は大人しい性格で勉学が得意の清楚系王子。
三男の翔斗は無口だが機械に強く、研究オタクっぽい。黒髪で少し地味だがメガネを取ると意外とかっこいい?
3人とも高身長でルックスが良いと学校ではモテまくっている。
しかし、同時に超がつくブラコンとも言われているとか?
そんな3つ子に溺愛される瑠璃の話。
調教・お仕置き・近親相姦が苦手な方はご注意くださいm(_ _)m
【R18】孕まぬΩは皆の玩具【完結】
海林檎
BL
子宮はあるのに卵巣が存在しない。
発情期はあるのに妊娠ができない。
番を作ることさえ叶わない。
そんなΩとして生まれた少年の生活は
荒んだものでした。
親には疎まれ味方なんて居ない。
「子供できないとか発散にはちょうどいいじゃん」
少年達はそう言って玩具にしました。
誰も救えない
誰も救ってくれない
いっそ消えてしまった方が楽だ。
旧校舎の屋上に行った時に出会ったのは
「噂の玩具君だろ?」
陽キャの三年生でした。
一宿一飯の恩義で竜伯爵様に抱かれたら、なぜか監禁されちゃいました!
当麻月菜
恋愛
宮坂 朱音(みやさか あかね)は、電車に跳ねられる寸前に異世界転移した。そして異世界人を保護する役目を担う竜伯爵の元でお世話になることになった。
しかしある日の晩、竜伯爵当主であり、朱音の保護者であり、ひそかに恋心を抱いているデュアロスが瀕死の状態で屋敷に戻ってきた。
彼は強い媚薬を盛られて苦しんでいたのだ。
このまま一晩ナニをしなければ、死んでしまうと知って、朱音は一宿一飯の恩義と、淡い恋心からデュアロスにその身を捧げた。
しかしそこから、なぜだかわからないけれど監禁生活が始まってしまい……。
好きだからこそ身を捧げた異世界女性と、強い覚悟を持って異世界女性を抱いた男が異世界婚をするまでの、しょーもないアレコレですれ違う二人の恋のおはなし。
※いつもコメントありがとうございます!現在、返信が遅れて申し訳ありません(o*。_。)oペコッ 甘口も辛口もどれもありがたく読ませていただいてます(*´ω`*)
※他のサイトにも重複投稿しています。
壁穴奴隷No.19 麻袋の男
猫丸
BL
壁穴奴隷シリーズ・第二弾、壁穴奴隷No.19の男の話。
麻袋で顔を隠して働いていた壁穴奴隷19番、レオが誘拐されてしまった。彼の正体は、実は新王国の第二王子。変態的な性癖を持つ王子を連れ去った犯人の目的は?
シンプルにドS(攻)✕ドM(受※ちょっとビッチ気味)の組合せ。
前編・後編+後日談の全3話
SM系で鞭多めです。ハッピーエンド。
※壁穴奴隷シリーズのNo.18で使えなかった特殊性癖を含む内容です。地雷のある方はキーワードを確認してからお読みください。
※No.18の話と世界観(設定)は一緒で、一部にNo.18の登場人物がでてきますが、No.19からお読みいただいても問題ありません。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる