あんたは俺のだから。

そらいろ

文字の大きさ
上 下
192 / 244

回転木馬-carousel-3

しおりを挟む
「なーんかさ、子供の頃に唯一学校の行事?イベント?かなんかで一回行ったその当時は楽しかったの」
「うん……」

聞きながらも樹矢に生返事で、俺は食べ進める。

「今日撮影する時にね。真っ暗の空の下で誰も居ないのにキラキラ輝かせて馬が回ってるの見て、夢みたいなでも現実で、このまま回り続ける馬は何も得ないのに、そこにいて……なんか切なくなっちゃった」
「まぁ……」

 口の中でもぐもぐと咀嚼して飲み込めば、樹矢に言葉を返す。

「子供の頃って、あんな夜の遊園地は見ない景色だもんな」
「よねぇー」

 と言いつつ、俺の着ているトレーナーの下に手を入れて胸元にその細くて長い指が伸びる。

「っ…ちょっと!」

 抵抗しようと箸を置いて、樹矢の腕を掴む。ぐいっと引っ張って手を上に上げる……予定だった。力の差は圧倒でそんな事出来るのは夢のまた夢だ。こいつに敵うはずは無い。

 近づく顔はもう数え切れない位見ているのに、何時も綺麗だ見惚れる。この先もずっと……

 ちゅ……ちゅ、ちゅ……

 軽いリップ音を立てて、俺の唇、頬、首元、目元、ランダムにフランクだけど心の内は深過ぎる程の愛情を落としていく。

「んー……大好き……」

 乳首を指先で転がして、耳元で鼓膜をわざと震わせるかの如く、低く低くぼそっと呟かれた。

 机の上が片付いていない事が気になって集中出来なかったのにいとも簡単に流されて、そんな事どうでもいいと、俺は素直に樹矢を求めていると呟かれた一言で自覚した。

「朱……ちゅ。して」

 鼻先が触れそうなすれすれの所に樹矢の顔があり、その表情は興奮気味。
 目だけを合わせて、すぐに口を口で塞ぐ。

 すると樹矢の暖かい舌が口内に入って、俺を犯し始めた。

「んんっ……。っ……」

 ソファに押し倒されて、肘置き場に頭を乗せる。樹矢からの愛撫は止まる事無くそれどころか激しくなった。

「朱……俺の、触って……」

 空いている手で俺の右手首を握って、股間へと導かれる。熱を持ってズボンをお仕上げているそれは、窮屈さを解放させて直に触れる。

「……んっ」

 樹矢は更に近づいて、空気を吸い込む呼吸の音さえどちらか分からくなっていた。
しおりを挟む
感想 1

あなたにおすすめの小説

サンタクロースが寝ている間にやってくる、本当の理由

フルーツパフェ
大衆娯楽
 クリスマスイブの聖夜、子供達が寝静まった頃。  トナカイに牽かせたそりと共に、サンタクロースは町中の子供達の家を訪れる。  いかなる家庭の子供も平等に、そしてプレゼントを無償で渡すこの老人はしかしなぜ、子供達が寝静まった頃に現れるのだろうか。  考えてみれば、サンタクロースが何者かを説明できる大人はどれだけいるだろう。  赤い服に白髭、トナカイのそり――知っていることと言えば、せいぜいその程度の外見的特徴だろう。  言い換えればそれに当てはまる存在は全て、サンタクロースということになる。  たとえ、その心の奥底に邪心を孕んでいたとしても。

ママと中学生の僕

キムラエス
大衆娯楽
「ママと僕」は、中学生編、高校生編、大学生編の3部作で、本編は中学生編になります。ママは子供の時に両親を事故で亡くしており、結婚後に夫を病気で失い、身内として残された僕に精神的に依存をするようになる。幼少期の「僕」はそのママの依存が嬉しく、素敵なママに甘える閉鎖的な生活を当たり前のことと考える。成長し、性に目覚め始めた中学生の「僕」は自分の性もママとの日常の中で処理すべきものと疑わず、ママも戸惑いながらもママに甘える「僕」に満足する。ママも僕もそうした行為が少なからず社会規範に反していることは理解しているが、ママとの甘美な繋がりは解消できずに戸惑いながらも続く「ママと中学生の僕」の営みを描いてみました。

小さなことから〜露出〜えみ〜

サイコロ
恋愛
私の露出… 毎日更新していこうと思います よろしくおねがいします 感想等お待ちしております 取り入れて欲しい内容なども 書いてくださいね よりみなさんにお近く 考えやすく

体育座りでスカートを汚してしまったあの日々

yoshieeesan
現代文学
学生時代にやたらとさせられた体育座りですが、女性からすると服が汚れた嫌な思い出が多いです。そういった短編小説を書いていきます。

ちょっと大人な体験談はこちらです

神崎未緒里
恋愛
本当にあった!?かもしれない ちょっと大人な体験談です。 日常に突然訪れる刺激的な体験。 少し非日常を覗いてみませんか? あなたにもこんな瞬間が訪れるかもしれませんよ? ※本作品ではPixai.artで作成した生成AI画像ならびに  Pixabay並びにUnsplshのロイヤリティフリーの画像を使用しています。 ※不定期更新です。 ※文章中の人物名・地名・年代・建物名・商品名・設定などはすべて架空のものです。

父親が再婚したことで地獄の日々が始まってしまいましたが……ある日その状況は一変しました。

四季
恋愛
父親が再婚したことで地獄の日々が始まってしまいましたが……ある日その状況は一変しました。

執着攻めと平凡受けの短編集

松本いさ
BL
執着攻めが平凡受けに執着し溺愛する、似たり寄ったりな話ばかり。 疲れたときに、さくっと読める安心安全のハッピーエンド設計です。 基本的に一話完結で、しばらくは毎週金曜の夜または土曜の朝に更新を予定しています(全20作)

10秒で読めるちょっと怖い話。

絢郷水沙
ホラー
 ほんのりと不条理な『ギャグ』が香るホラーテイスト・ショートショートです。意味怖的要素も含んでおりますので、意味怖好きならぜひ読んでみてください。(毎日昼頃1話更新中!)

処理中です...