あんたは俺のだから。

そらいろ

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葵斗-aoto-5

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実は葵斗と会ったのはそれが最後だった。
たまたま、俺と樹矢と葵斗で会ったあの日が。


___________________________


「あいつはね。今何してるか分からないんだ。」

本当の事を告げる。
今知っている葵斗の最大限の情報を。

「大切な人の為にしたい事がある。その人の為に生きるって、言ってた。住んでる土地は分かってるけど、実際何処で何をしてるかは話してくれないから分からない。」

「住んでるのってこないだロケで泊まりに行ったあそこら辺って言ってたよね?」

ソファに寝転がっていた樹矢は起き上がり、枕代わりにしていたクッションを抱いて胡座をかく。

「うん。でも場所が分からないんだ。教えたくない雰囲気が何時も伝わってくるから、俺も安易にそれ以上は踏み込まないでおこうって決めたんだ。」

現に俺達だって、付き合ってるのを公言してないし…。 

「お兄ちゃんとして気になるけれど、お兄ちゃんとして弟のプライベートを守ったんだね。」

おいで。と言わんばかりに手を広げてきた樹矢に近づいて、彼が座るソファの下に腰掛けた。
上から腕を回して、俺の頭を優しく撫でる。

「いずれ、話してくれる日が来るんじゃない?葵斗くん見てる限り、しゆちゃん溺愛だもん。」

俺のなのにー。と少し拗ねた声で言う。

「そうだったら安心するな。兄として…。」

「大丈夫だよ。俺が言うから安心して!」

「いや、あんたの何処にそんな根拠があるの。」

樹矢の手を握り、笑いながら返す。

「しゆちゃんの大切な弟だから、大丈夫。」

今度は甘く優しい声。
俺を後ろから抱きしめて伝わる樹矢の温もりが、背中をじんわりとぽかぽかさせる。

「お兄ちゃんなしゆちゃんも大好きだよ。」

きっと素直に思ったんだろう。
耳元で呟かれて擽ったく感じる。

「ありがと…。」

振り返って樹矢の頬を抱き寄せて、甘いキスを落とした。
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