20 / 26
ⅩⅠⅩ
しおりを挟む
「そう。それは…上司としてとても嬉しいよ。ありがと。」
きっと俺の顔を横からちゃんと見て伝えているんだろうけど、俺は見なかった。
というより見れなかった。
嬉しくて恥ずかしくて、言われなくても顔が高揚しているから。
「小野井さん、珈琲…どうですか?」
佐竹君の淹れる珈琲…。
「淹れて…欲しいな。」
そう返事すると直ぐに立ち上がった佐竹君は、俺に向かって優しく言葉を降らす。
「分かりました。少し待っててくださいね。」
「うん…。」
それ位さ、待つに決まってるじゃん。
さっきは俺の事をここで待っててくれてたのに。
「まぁ、仕事の上司として、だけど…。」
椅子の背に体重を預けて、腕をぐーんと伸ばす。
窓の外はすっかり暗くなって、こんな時間まで研修中の新人と会社で仕事してるのバレたらやばいなぁと思いつつも、今日は許してくれと自分に甘く祈念する。
「はい、お待たせしました。」
会社に置いている俺のマグカップに入った淹れたての珈琲を机に置いてくれた。もちろんブラックで…。
「ありがとう。…あ…れ?」
彼の顔をふと見ると、見慣れない佐竹君の姿があった。
「眼鏡…。外したんだ。」
「あ…、少し疲れちゃって。」
実は普段は眼鏡して無いんですよ。と鞄から目薬を取り出し上を向いて両目にポト、ポトと点す。
「仕事の時だけって事?」
「そうですね。後、家でパソコンとか読書する時は眼鏡を掛ける程度で、軽い近視なので文字になるとどうしても見えなくて。」
と、表情を崩して笑う。
心臓が…。うるさい。
ドキドキドクドクと脈が打っている。
たかが、眼鏡を外しただけだろう。俺に笑ってくれただけだろう。けど、その行動や表情一つ一つが好きで身体全身で堪らなくなる…。
きっと俺の顔を横からちゃんと見て伝えているんだろうけど、俺は見なかった。
というより見れなかった。
嬉しくて恥ずかしくて、言われなくても顔が高揚しているから。
「小野井さん、珈琲…どうですか?」
佐竹君の淹れる珈琲…。
「淹れて…欲しいな。」
そう返事すると直ぐに立ち上がった佐竹君は、俺に向かって優しく言葉を降らす。
「分かりました。少し待っててくださいね。」
「うん…。」
それ位さ、待つに決まってるじゃん。
さっきは俺の事をここで待っててくれてたのに。
「まぁ、仕事の上司として、だけど…。」
椅子の背に体重を預けて、腕をぐーんと伸ばす。
窓の外はすっかり暗くなって、こんな時間まで研修中の新人と会社で仕事してるのバレたらやばいなぁと思いつつも、今日は許してくれと自分に甘く祈念する。
「はい、お待たせしました。」
会社に置いている俺のマグカップに入った淹れたての珈琲を机に置いてくれた。もちろんブラックで…。
「ありがとう。…あ…れ?」
彼の顔をふと見ると、見慣れない佐竹君の姿があった。
「眼鏡…。外したんだ。」
「あ…、少し疲れちゃって。」
実は普段は眼鏡して無いんですよ。と鞄から目薬を取り出し上を向いて両目にポト、ポトと点す。
「仕事の時だけって事?」
「そうですね。後、家でパソコンとか読書する時は眼鏡を掛ける程度で、軽い近視なので文字になるとどうしても見えなくて。」
と、表情を崩して笑う。
心臓が…。うるさい。
ドキドキドクドクと脈が打っている。
たかが、眼鏡を外しただけだろう。俺に笑ってくれただけだろう。けど、その行動や表情一つ一つが好きで身体全身で堪らなくなる…。
0
お気に入りに追加
13
あなたにおすすめの小説
馬鹿な先輩と後輩くん
ぽぽ
BL
美形新人×平凡上司
新人の教育係を任された主人公。しかし彼は自分が教える事も必要が無いほど完璧だった。だけど愛想は悪い。一方、主人公は愛想は良いがミスばかりをする。そんな凸凹な二人の話。
━━━━━━━━━━━━━━━
作者は飲み会を経験した事ないので誤った物を書いているかもしれませんがご了承ください。
本来は二次創作にて登場させたモブでしたが余りにもタイプだったのでモブルートを書いた所ただの創作BLになってました。
【完結】遍く、歪んだ花たちに。
古都まとい
BL
職場の部下 和泉周(いずみしゅう)は、はっきり言って根暗でオタクっぽい。目にかかる長い前髪に、覇気のない視線を隠す黒縁眼鏡。仕事ぶりは可もなく不可もなく。そう、凡人の中の凡人である。
和泉の直属の上司である村谷(むらや)はある日、ひょんなことから繁華街のホストクラブへと連れて行かれてしまう。そこで出会ったNo.1ホスト天音(あまね)には、どこか和泉の面影があって――。
「先輩、僕のこと何も知っちゃいないくせに」
No.1ホスト部下×堅物上司の現代BL。
告白ゲーム
茉莉花 香乃
BL
自転車にまたがり校門を抜け帰路に着く。最初の交差点で止まった時、教室の自分の机にぶら下がる空の弁当箱のイメージが頭に浮かぶ。「やばい。明日、弁当作ってもらえない」自転車を反転して、もう一度教室をめざす。教室の中には五人の男子がいた。入り辛い。扉の前で中を窺っていると、何やら悪巧みをしているのを聞いてしまった
他サイトにも公開しています
十七歳の心模様
須藤慎弥
BL
好きだからこそ、恋人の邪魔はしたくない…
ほんわか読者モデル×影の薄い平凡くん
柊一とは不釣り合いだと自覚しながらも、
葵は初めての恋に溺れていた。
付き合って一年が経ったある日、柊一が告白されている現場を目撃してしまう。
告白を断られてしまった女の子は泣き崩れ、
その瞬間…葵の胸に卑屈な思いが広がった。
※fujossy様にて行われた「梅雨のBLコンテスト」出品作です。
漢方薬局「泡影堂」調剤録
珈琲屋
BL
母子家庭苦労人真面目長男(17)× 生活力0放浪癖漢方医(32)の体格差&年の差恋愛(予定)。じりじり片恋。
キヨフミには最近悩みがあった。3歳児と5歳児を抱えての家事と諸々、加えて勉強。父はとうになく、母はいっさい頼りにならず、妹は受験真っ最中だ。この先俺が生き残るには…そうだ、「泡影堂」にいこう。
高校生×漢方医の先生の話をメインに、二人に関わる人々の話を閑話で書いていく予定です。
メイン2章、閑話1章の順で進めていきます。恋愛は非常にゆっくりです。
「短冊に秘めた願い事」
悠里
BL
何年も片思いしてきた幼馴染が、昨日可愛い女の子に告白されて、七夕の今日、多分、初デート中。
落ち込みながら空を見上げて、彦星と織姫をちょっと想像。
……いいなあ、一年に一日でも、好きな人と、恋人になれるなら。
残りの日はずっと、その一日を楽しみに生きるのに。
なんて思っていたら、片思いの相手が突然訪ねてきた。
あれ? デート中じゃないの?
高校生同士の可愛い七夕🎋話です(*'ω'*)♡
本編は4ページで完結。
その後、おまけの番外編があります♡
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる