84 / 159
オマケは御使い様になりました
【御使い様の下着事情2】
しおりを挟む
「やっと着いた……」
深海は疲れのあまり腹の底からのクソデカい溜息を吐いた。
何故ランチから下着屋迄の数百メートルの距離に1時間もかかるのか?
鳴海とルナト―が行く先々の店で「アレが可愛い」「これが素敵」とやたらとモノを見て回るからだ。
見る癖に買わない。
可愛いと言っていたのは何だったのか?
買わないのか聞くと「え~気に入ったのがあれば買うよ」と鳴海に笑顔で言われた。
「可愛い」と言っていたのは何だったのか?
気に入ったから可愛いじゃないのか?
深海の頭の中が?で埋め尽くされた。
それを繰り返す事多数。
下着を買いに行くだけなのに何店覗くつもりなのか…。
そして買わない…。
お店のおじさんおばさん御免なさい。
深海は心の中で謝った。
そして下着屋についた時にはすでに疲れ果てていた。
「ほら~ふ―ちゃん早く早く♪」
「フカミ君、行きましょう!」
元気で楽しそうな2人である。
あんなにはしゃいでいまだその元気。
分けれるなら分けて欲しい。
深海はすでに心身ともに疲れ果てている。
だがココには深海の下着を買いに来たのだ。
自分が居なくなるわけにはいかない。
「申し訳ありません、コチラは女性専門店でして…」
ドアマンが深海に静止をかける。
それはそうだ。
男を女性下着専門店に入れるのは他の女性客が嫌がるだろう。
「この子は女の子ですよ」
ニッコリ。
鳴海が笑顔でドアマンを威嚇した。
美少女の目が笑ってない笑顔怖い。
深海はドアマンを哀れに思った。
今の深海はユニセックスな服を着ている。
パッと見は男だが胸を押さえつけていないので、見る者が見れば女だとすぐに分かる。
鳴海の服装は貴族の令嬢が着る様なワンピース。
ルナト―も似た感じの服装だ。
これなら王宮関係者とは分からないだろう。
何より鳴海は聖女様として国民の前に出た事はない。
目立つ制服さえ来ていなければ聖女様・御使い様とは気付かれない。
実際、ここに来るまでよく街に降りてくる深海は御使い様と声をかけられそうになった。
だが制服で無い事と、胸がある事で別人判定を貰ったようだ。
本当に肝が冷えた体験だった…。
ドアマンが深海は全身見回す。
そして胸元で視線が止まる。
服を大きく押し上げる隆起。
ドアマンの頬が赤くなった。
「気にしないで下さい。男に間違われるのは慣れていますから」
鳴海に笑顔で凄まれた可哀想なドアマンに、出来るだけ優しい笑顔で声をかけてやった。
ポポポ、と瞬くまにドアマンの顔が真っ赤になる。
「い、いえ!貴方のようなお綺麗な女性を男に間違えるなどと!申し訳ありません、是非店内を案内させて下さい!」
ドアマンが深海の手を握った。
フィルドが居たら消し炭にされていた事だろう。
「え、あ…ありがとうございます?」
素直に深海は礼を述べる。
バンッ!
ドアが開いた。
「客を口説くんじゃなーいっ!!」
スパーンッ!
ドアマンがスリッパで中から出て来たゴージャス美女に頭を叩かれた。
「え?は?」
「申し訳ありません、ウチの従業員が失礼な真似を…オーナーより話を伺っております。貸し切り状態にしておりますので、ゆっくりと見て回って下さい」
ゴージャス美女の視線の先には鳴海の姿。
ソコで深海は鳴海がこの下着屋のオーナーである事を思い出した。
深海が鍼灸院やカフェを手掛けているように、鳴海も貴族向けの衣類品や装飾品などのデザインを手掛けて店を持っているのであった。
「安心して下着が選べるね、ふーちゃん♡」
「そだな……」
鳴海がオーナーをしている下着屋。
貸し切り状態。
今から何時間着せ替え人形になるんだろうと、深海は今日1番の大きな溜息を吐いた。
深海は疲れのあまり腹の底からのクソデカい溜息を吐いた。
何故ランチから下着屋迄の数百メートルの距離に1時間もかかるのか?
鳴海とルナト―が行く先々の店で「アレが可愛い」「これが素敵」とやたらとモノを見て回るからだ。
見る癖に買わない。
可愛いと言っていたのは何だったのか?
買わないのか聞くと「え~気に入ったのがあれば買うよ」と鳴海に笑顔で言われた。
「可愛い」と言っていたのは何だったのか?
気に入ったから可愛いじゃないのか?
深海の頭の中が?で埋め尽くされた。
それを繰り返す事多数。
下着を買いに行くだけなのに何店覗くつもりなのか…。
そして買わない…。
お店のおじさんおばさん御免なさい。
深海は心の中で謝った。
そして下着屋についた時にはすでに疲れ果てていた。
「ほら~ふ―ちゃん早く早く♪」
「フカミ君、行きましょう!」
元気で楽しそうな2人である。
あんなにはしゃいでいまだその元気。
分けれるなら分けて欲しい。
深海はすでに心身ともに疲れ果てている。
だがココには深海の下着を買いに来たのだ。
自分が居なくなるわけにはいかない。
「申し訳ありません、コチラは女性専門店でして…」
ドアマンが深海に静止をかける。
それはそうだ。
男を女性下着専門店に入れるのは他の女性客が嫌がるだろう。
「この子は女の子ですよ」
ニッコリ。
鳴海が笑顔でドアマンを威嚇した。
美少女の目が笑ってない笑顔怖い。
深海はドアマンを哀れに思った。
今の深海はユニセックスな服を着ている。
パッと見は男だが胸を押さえつけていないので、見る者が見れば女だとすぐに分かる。
鳴海の服装は貴族の令嬢が着る様なワンピース。
ルナト―も似た感じの服装だ。
これなら王宮関係者とは分からないだろう。
何より鳴海は聖女様として国民の前に出た事はない。
目立つ制服さえ来ていなければ聖女様・御使い様とは気付かれない。
実際、ここに来るまでよく街に降りてくる深海は御使い様と声をかけられそうになった。
だが制服で無い事と、胸がある事で別人判定を貰ったようだ。
本当に肝が冷えた体験だった…。
ドアマンが深海は全身見回す。
そして胸元で視線が止まる。
服を大きく押し上げる隆起。
ドアマンの頬が赤くなった。
「気にしないで下さい。男に間違われるのは慣れていますから」
鳴海に笑顔で凄まれた可哀想なドアマンに、出来るだけ優しい笑顔で声をかけてやった。
ポポポ、と瞬くまにドアマンの顔が真っ赤になる。
「い、いえ!貴方のようなお綺麗な女性を男に間違えるなどと!申し訳ありません、是非店内を案内させて下さい!」
ドアマンが深海の手を握った。
フィルドが居たら消し炭にされていた事だろう。
「え、あ…ありがとうございます?」
素直に深海は礼を述べる。
バンッ!
ドアが開いた。
「客を口説くんじゃなーいっ!!」
スパーンッ!
ドアマンがスリッパで中から出て来たゴージャス美女に頭を叩かれた。
「え?は?」
「申し訳ありません、ウチの従業員が失礼な真似を…オーナーより話を伺っております。貸し切り状態にしておりますので、ゆっくりと見て回って下さい」
ゴージャス美女の視線の先には鳴海の姿。
ソコで深海は鳴海がこの下着屋のオーナーである事を思い出した。
深海が鍼灸院やカフェを手掛けているように、鳴海も貴族向けの衣類品や装飾品などのデザインを手掛けて店を持っているのであった。
「安心して下着が選べるね、ふーちゃん♡」
「そだな……」
鳴海がオーナーをしている下着屋。
貸し切り状態。
今から何時間着せ替え人形になるんだろうと、深海は今日1番の大きな溜息を吐いた。
0
お気に入りに追加
649
あなたにおすすめの小説
所詮は他人事と言われたので他人になります!婚約者も親友も見捨てることにした私は好きに生きます!
ユウ
恋愛
辺境伯爵令嬢のリーゼロッテは幼馴染と婚約者に悩まされてきた。
幼馴染で親友であるアグネスは侯爵令嬢であり王太子殿下の婚約者ということもあり幼少期から王命によりサポートを頼まれていた。
婚約者である伯爵家の令息は従妹であるアグネスを大事にするあまり、婚約者であるサリオンも優先するのはアグネスだった。
王太子妃になるアグネスを優先することを了承ていたし、大事な友人と婚約者を愛していたし、尊敬もしていた。
しかしその関係に亀裂が生じたのは一人の女子生徒によるものだった。
貴族でもない平民の少女が特待生としてに入り王太子殿下と懇意だったことでアグネスはきつく当たり、婚約者も同調したのだが、相手は平民の少女。
遠回しに二人を注意するも‥
「所詮あなたは他人だもの!」
「部外者がしゃしゃりでるな!」
十年以上も尽くしてきた二人の心のない言葉に愛想を尽かしたのだ。
「所詮私は他人でしかないので本当の赤の他人になりましょう」
関係を断ったリーゼロッテは国を出て隣国で生きていくことを決めたのだが…
一方リーゼロッテが学園から姿を消したことで二人は王家からも責められ、孤立してしまうのだった。
なんとか学園に連れ戻そうと試みるのだが…
俺から離れるな〜ボディガードの情愛
ラヴ KAZU
恋愛
まりえは十年前襲われそうになったところを亮に救われる。しかしまりえは事件の記憶がない。亮はまりえに一目惚れをして二度とこんな目に合わせないとまりえのボディーガードになる。まりえは恋愛経験がない。亮との距離感にドキドキが止まらない。はじめてを亮に依頼する。影ながら見守り続けると決心したはずなのに独占欲が目覚めまりえの依頼を受ける。「俺の側にずっといろ、生涯お前を守る」二人の恋の行方はどうなるのか
寵妃にすべてを奪われ下賜された先は毒薔薇の貴公子でしたが、何故か愛されてしまいました!
ユウ
恋愛
エリーゼは、王妃になる予定だった。
故郷を失い後ろ盾を失くし代わりに王妃として選ばれたのは後から妃候補となった侯爵令嬢だった。
聖女の資格を持ち国に貢献した暁に正妃となりエリーゼは側妃となったが夜の渡りもなく周りから冷遇される日々を送っていた。
日陰の日々を送る中、婚約者であり唯一の理解者にも忘れされる中。
長らく魔物の侵略を受けていた東の大陸を取り戻したことでとある騎士に妃を下賜することとなったのだが、選ばれたのはエリーゼだった。
下賜される相手は冷たく人をよせつけず、猛毒を持つ薔薇の貴公子と呼ばれる男だった。
用済みになったエリーゼは殺されるのかと思ったが…
「私は貴女以外に妻を持つ気はない」
愛されることはないと思っていたのに何故か甘い言葉に甘い笑顔を向けられてしまう。
その頃、すべてを手に入れた側妃から正妃となった聖女に不幸が訪れるのだった。
芋くさ聖女は捨てられた先で冷徹公爵に拾われました ~後になって私の力に気付いたってもう遅い! 私は新しい居場所を見つけました~
日之影ソラ
ファンタジー
アルカンティア王国の聖女として務めを果たしてたヘスティアは、突然国王から追放勧告を受けてしまう。ヘスティアの言葉は国王には届かず、王女が新しい聖女となってしまったことで用済みとされてしまった。
田舎生まれで地位や権力に関わらず平等に力を振るう彼女を快く思っておらず、民衆からの支持がこれ以上増える前に追い出してしまいたかったようだ。
成すすべなく追い出されることになったヘスティアは、荷物をまとめて大聖堂を出ようとする。そこへ現れたのは、冷徹で有名な公爵様だった。
「行くところがないならうちにこないか? 君の力が必要なんだ」
彼の一声に頷き、冷徹公爵の領地へ赴くことに。どんなことをされるのかと内心緊張していたが、実際に話してみると優しい人で……
一方王都では、真の聖女であるヘスティアがいなくなったことで、少しずつ歯車がズレ始めていた。
国王や王女は気づいていない。
自分たちが失った者の大きさと、手に入れてしまった力の正体に。
小説家になろうでも短編として投稿してます。
最強令嬢は恋愛戦も制圧します!~婿探しをしたら宰相子息に溺愛されました~
ミズメ
恋愛
旧題:婿探しをしていた夜会で、宰相子息が婚約破棄され私との結婚を命じられていた
十八歳になったクラウディア・シェーンハイトは家のため婿を探していた。
生家の辺境伯領からはるばる王都の夜会にまで繰り出し、初めての社交というものに目を白黒させていた。地元にはクラウディアのお眼鏡にかなう人物はひとりとしていないため、婚活は難航している。
『わたくしたち、婚約は破棄いたしましょう!』
そんな時、パーティーの中央から高らかな宣誓が聞こえたのだった。
○厄介払いのように辺境伯への婿入りを強いられた宰相子息ジルヴェスターと武闘派の辺境伯令嬢クラウディアのお話
○王都編はおまけとして読んでくださいね…!!
茶番には付き合っていられません
わらびもち
恋愛
私の婚約者の隣には何故かいつも同じ女性がいる。
婚約者の交流茶会にも彼女を同席させ仲睦まじく過ごす。
これではまるで私の方が邪魔者だ。
苦言を呈しようものなら彼は目を吊り上げて罵倒する。
どうして婚約者同士の交流にわざわざ部外者を連れてくるのか。
彼が何をしたいのかさっぱり分からない。
もうこんな茶番に付き合っていられない。
そんなにその女性を傍に置きたいのなら好きにすればいいわ。
突然現れた自称聖女によって、私の人生が狂わされ、婚約破棄され、追放処分されたと思っていましたが、今世だけではなかったようです
珠宮さくら
恋愛
デュドネという国に生まれたフェリシア・アルマニャックは、公爵家の長女であり、かつて世界を救ったとされる異世界から召喚された聖女の直系の子孫だが、彼女の生まれ育った国では、聖女のことをよく思っていない人たちばかりとなっていて、フェリシア自身も誰にそう教わったわけでもないのに聖女を毛嫌いしていた。
だが、彼女の幼なじみは頑なに聖女を信じていて悪く思うことすら、自分の側にいる時はしないでくれと言う子息で、病弱な彼の側にいる時だけは、その約束をフェリシアは守り続けた。
そんな彼が、隣国に行ってしまうことになり、フェリシアの心の拠り所は、婚約者だけとなったのだが、そこに自称聖女が現れたことでおかしなことになっていくとは思いもしなかった。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる