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2章

【230話】

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「あ~暖かいシャワー気持ちイイ~♡」

「おん、清拭じゃどうしても汚れは落ちても気持ちイイまではいかんからなぁ」

 流石は総合病院。
 従業員用のシャワー室が完備されていた。
 水の節約のため大浴場は今は使っていない。
 シャワーも1人15分と制約はあるが、それでも温かい湯で身体を清めるのは心まで洗われる様だ。
 気持ちイイにも程がある。

「ご機嫌だな、ミヤハルにユラさん」

「はえっ?」

 甘いアルトの声が聞こえて、ユラは振り向いた。

「え、え、え、え、えっ!?」

 そこに居たのは長い黒髪に黒の瞳の美しい少女。
 女にしては背は高い方。
 胸は豊満で腰はしっかりと括れている。
 尻は競技選手のようにきゅっ、と上に上がって。
 体の半分が足かと思う位足が長い。
 はっきり言って芸術的で視覚の暴力である。
 同じ女でも見惚れずにはいられない。

「鈴蘭さんやん。うわぁ、むっちゃスタイルええなぁ」

「え、鈴蘭君!?」

「何だユラさんはすぐに気付いてくれなかったか。残念だ」

「しゃぁないよ、鈴蘭さん男装してへんかったら別人やで?」

「そんなに差があるとは自分手は思っていないのだがなぁ」

「はぁ~綺麗…目の保養だわ………」

 ユラがうっとりと鈴蘭を見つめる。
 と言うか凝視している。
 これはもう視姦ではないだろうか?

「私もシャワーを勧められてな。マオに警備の中心をまかせてこっちに来た。2人なら私が女とバレているみたいだから問題ないと思ってな」

「あれ、ウチらが鈴蘭さんの事女と気付いているのに気付いてたん?」

「あぁ私が女であることに気付いている事には気付いていたぞ。変に噂を広めないで居てくれて助かる。女だとバレると色々と問題が発生するのでな」

 ミヤハルとユラは成程、と思った。
 この美の化身を前に理性を保てる男が何人いるだろうか?
 鈴蘭の強さを知っているし、マオと言う恋人が居ることは分かっているが、鈴蘭が女なら男たちは他の女を阻害して鈴蘭の下に侍ろうとするだろう。
 それは鈴蘭やマオ、そして他の女であっても気分の良いものではない。

 因みに鈴蘭は未だに【認識阻害】の魔術を使っている。
 それでもこの存在感だ。
 魂と器の格が圧倒的すぎるにも程がある。

「ん、どうしたユラさん?」

 ユラが静かだった。
 鈴蘭とミヤハルを交互に見つめている。

「ミヤハルちゃん、お胸のサイズ幾つだったかしら?」

「この間測ったら84のFカップやったで。ちゃんと下着店からサイズ合う下着取って来たところやから間違いないと思うわ」

「鈴蘭君は?」

「95のIカップだな」

 _| ̄|○

 ユラが崩れ落ちた。
 裸で擦れ落ちるものだから何もかもが丸見えだ。
 ソレを見ない程度の優しさは鈴蘭とミヤハルにはある。

「何で1番年上の私がBカップなのよぉ――――っ!!」

 ユラが雄たけびを上げた。
 直前に【音声妨害】の結界を張った鈴蘭はグッジョブである。

「ユラさん、胸は大きさでは無くて形だと思うぞ?そのうちユラさん胸でないと駄目だと言う男が現れる」

「ホント?ホントに鈴蘭君!?」

「間違いないから心配しなくていいですよ」

(まぁ数億年先の話しなのだが…しかも私の息子なのだがな………)

 余計な事は言わないでおこうと鈴蘭はソコで口を閉じた。
 シャワーの時間には制限がある。
 早く浴びないと消灯されるだろう。

「では私も湯を楽しむとしよう。シャンプーにトリートメント、ボディソープか、これは気持ちも洗われるな」

「おん、良い匂いで気持ちええで鈴蘭さん」

「まぁ狩りに出る時は【防臭】の魔術を使うがな」

「え、何で?」

「自然の香りの中で人工の香りは目立ちすぎる。魔物がうようよ寄って来るぞ?」

「成程、皆にも伝えとくわ」

「それは助かる」

 鈴蘭とミヤハルは体を洗いながら可愛くない女子トークをする。
 そしてユラは消灯寸前まで立ち直れなかったとか。
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