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2章
【222話】
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「こちらの子供がミヤハル、女性がユラさんだ」
鈴蘭が連れて来た2人の自己紹介をした。
何処かでまた人を拾ってきたらしい。
鈴蘭は抗う意思がある者は率先して拾ってくる。
逃げるだけ、隠れるだけの者は拾わない。
戦う覚悟が無い者は足手まといになる。
自分で生きようとする者だけに鈴蘭は手を貸してくれるのだ。
1度チームの1人がある家族をチームに保護した事がある。
その時に母親が言ったのだ。
「そんな力があるのに人を助けに行かないなんて冷酷です」
と。
それに対して鈴蘭の答えは、
「何故力ある者は他者を助けなければならない?お前に戦う力があるなら世界のために全てを犠牲にして己より強いモノとも戦うのか?
お前はそれが出来るのか?
家族も犠牲にしなければならないだろうな。私はマオが1番大事だ。だから自分の身を優先するし、マオを護るためなら他人の事は悪いが見捨てさせて貰う。
でもお前は家族を見捨ててでも戦えるのだな?なら私がお前に力をやろう。少々乱暴な方法になるが力を与える事は出来るのだよ。
乱暴すぎてチームの皆にはしていないがな。
力をやる、だからお前はこれから世界のために人類のために戦え。弱いものを護り続けろ。弱い逃げ出すことしかしない者のために家族を犠牲にしても戦い続けろ。それで良いな?」
と言うモノだった。
その時に皆は知った。
鈴蘭は正義の味方では無い。
力はあるが、1人の人間なのだと。
1人の人間が力があると言って世界を救うのは物語の中の話なのだと。
何故なら皆、鈴蘭の力を与えてくれると言う話しに挙手しなかったのだから。
己を護る力が欲しい。
復讐する力は欲しい。
だが全てを捨てて、正義の味方になる覚悟は誰にも無かった。
そしてその家族は連れて来たものが比較的安全なエリアに連れて行った。
食料と水を分けて貰えただけでも温情だろう。
鈴蘭が怒りで攻撃をする可能性だった無きにしも在らずだったのだから。
つまり今回鈴蘭が連れて来た2人は戦う意思があると言う事だ。
「ユラです。まだ何の能力も無いですけど、皆さんの足を引っ張らないよう頑張ります」
「ユラ姉ちゃんの姪のミヤハルや。はよう力手に入れて、神とか言うヤツ殺しますんで協力お願いするわ」
2人とも整った顔をしている。
戦いに向いているようには見えない。
だが言葉を聞いて、成程鈴蘭が連れてくるわけだと皆納得した。
”神とか言うヤツ殺しますんで協力お願いするわ”
そんな言葉を言ったものは今まで居なかった。
皆神に負けじと力を蓄えてきたが、神に殺意を向けて殺そうとするまでの力を求めるモノを初めて見た。
これからこの少女が鈴蘭のお気に入りになるだろう。
チームの皆はそれを確信したのだった。
鈴蘭が連れて来た2人の自己紹介をした。
何処かでまた人を拾ってきたらしい。
鈴蘭は抗う意思がある者は率先して拾ってくる。
逃げるだけ、隠れるだけの者は拾わない。
戦う覚悟が無い者は足手まといになる。
自分で生きようとする者だけに鈴蘭は手を貸してくれるのだ。
1度チームの1人がある家族をチームに保護した事がある。
その時に母親が言ったのだ。
「そんな力があるのに人を助けに行かないなんて冷酷です」
と。
それに対して鈴蘭の答えは、
「何故力ある者は他者を助けなければならない?お前に戦う力があるなら世界のために全てを犠牲にして己より強いモノとも戦うのか?
お前はそれが出来るのか?
家族も犠牲にしなければならないだろうな。私はマオが1番大事だ。だから自分の身を優先するし、マオを護るためなら他人の事は悪いが見捨てさせて貰う。
でもお前は家族を見捨ててでも戦えるのだな?なら私がお前に力をやろう。少々乱暴な方法になるが力を与える事は出来るのだよ。
乱暴すぎてチームの皆にはしていないがな。
力をやる、だからお前はこれから世界のために人類のために戦え。弱いものを護り続けろ。弱い逃げ出すことしかしない者のために家族を犠牲にしても戦い続けろ。それで良いな?」
と言うモノだった。
その時に皆は知った。
鈴蘭は正義の味方では無い。
力はあるが、1人の人間なのだと。
1人の人間が力があると言って世界を救うのは物語の中の話なのだと。
何故なら皆、鈴蘭の力を与えてくれると言う話しに挙手しなかったのだから。
己を護る力が欲しい。
復讐する力は欲しい。
だが全てを捨てて、正義の味方になる覚悟は誰にも無かった。
そしてその家族は連れて来たものが比較的安全なエリアに連れて行った。
食料と水を分けて貰えただけでも温情だろう。
鈴蘭が怒りで攻撃をする可能性だった無きにしも在らずだったのだから。
つまり今回鈴蘭が連れて来た2人は戦う意思があると言う事だ。
「ユラです。まだ何の能力も無いですけど、皆さんの足を引っ張らないよう頑張ります」
「ユラ姉ちゃんの姪のミヤハルや。はよう力手に入れて、神とか言うヤツ殺しますんで協力お願いするわ」
2人とも整った顔をしている。
戦いに向いているようには見えない。
だが言葉を聞いて、成程鈴蘭が連れてくるわけだと皆納得した。
”神とか言うヤツ殺しますんで協力お願いするわ”
そんな言葉を言ったものは今まで居なかった。
皆神に負けじと力を蓄えてきたが、神に殺意を向けて殺そうとするまでの力を求めるモノを初めて見た。
これからこの少女が鈴蘭のお気に入りになるだろう。
チームの皆はそれを確信したのだった。
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