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2章

【211話】

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 ガフティラベル帝国に滞在することになったリリィ・オブ・ザ・ヴァリーは己の部屋のバルコニーで小さな声で歌っていた。

「I hope that the days come easy and the moments pass slow,
日々が平穏に訪れ、時間がゆっくり過ぎればと願っています。

And each road leads you where you want to go.
そして道が、どれもあなたの行きたいところにつながっているようにと・・。

And if you're faced with a choice, and you have to choose,
そしてもし、分岐点に直面してどれか選ばなければならないときは、

I hope you choose the one that means the most to you.
あなたにとって最も適った選択をできれば・・と願っています。


And if one door opens to another door closed,
そしてもし、扉が開いていてもその先には閉じた扉しかないときは、

I hope you keep on walkin' till you find the window,
(代わりに)窓を見つけるまで歩き続けられるように・・と願っています。

If it's cold outside, show the world the warmth of your smile,
もし、外が寒くても、あなたの笑顔のあたたかさを世間に見せられるようにと・・。


But more than anything, more than anything,
しかし、何よりも、どんなことよりも、

My wish, for you, is that this life becomes all that you want it to,
あなたへのわたしの願いは、あなたが人生に求めるそのとおりにその人生がなることです。

Your dreams stay big, and your worries stay small,
あなたの夢は大きいままであって、思い悩むことは小さいままであるようにということです。

You never need to carry more than you can hold.
かかえきれる以上にかかえ込む必要はありません。

And while you're out there getting where you're getting to,
あなたが世の中にあって、たどり着こうとしている場所を目指しているときにも、

I hope you know somebody loves you, and wants the same things too,
誰かがあなたを愛していて、そして同じことを願っている、ということを分かっていてほしいです。

Yeah, this, is my wish.
そう、これがわたしの祈りです・・。」

 :::

 何処からか歌が聞こえる気がする。
 魔王はその歌声に耳を傾けた。
 とても愛おしい声。
 耳に甘く甘美で何時までも聞いていたくなる甘い甘い声。
 誰が歌っているのだろう?
 いや、誰かが歌っていたのを思い出しているのだろうか?
 今ここに居るのは己だけ。
 リリィ・オブ・ザ・ヴァリーの香りに包まれて眠っているのだ己は。
 では、この歌声は?

 :::

「サイヒの奴かなりきてるな」

「え?どういう事ルーシュ?」

「あいつ、ルーク様に向けて歌っているんだよ。こんな所から聞こえる筈もない愛の歌を」

 無造作に縛られた長い空色の髪をたなびかせて、翡翠の瞳を瞼で隠してリリィ・オブ・ザ・ヴァリーは歌う。
 どうかこの声が愛する者に届きますように。
 愛しい人。
 寂しいよ。
 貴方のの幸せが私の幸せ。
 切ない歌声がバルコニーに響く。

「凄く綺麗な歌だね。きっとルークに届いているよ」

「流石に魔界までは届かないでしょう?」

「ルークはサイヒに歌って貰う事が好きだったから、きっとこの歌も見つけているはずだよ。ルークは本当にサイヒの事が大好きだから、きっとこの歌をどこかで聞いてる、そう思うんだ」

「そう、ですね………」

 庭園から歌うリリィ・オブ・ザ・ヴァリーを見ながら、雷帝アンドュアイスとその妻ルーシュは、早く2人が元の関係に戻れることを願いながら己たちもその歌に耳を傾けるのだった。
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