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そして全能神は愉快犯となった

【134話】

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「きゃぁ、本当に採用して下さるのですか!?」

 豊かなブロンドの髪に若葉色のメイド服を着た愛らしい少女が軽くジャンプした。
 相当嬉しかったらしい。

「あぁ、採用だ。今日からダイカーン伯爵家のメイドとして働いてくれ。暫くは先輩メイドに教えを受けて仕事をするように」

 でっぷりと肥えた壮年のおっさんである。
 きっと男性ホルモンが強いのだろう。
 頭はつるっぱげだ。
 眼鏡をかけているが鼻息が荒いので半分曇っている。
 そう、鼻息が荒い。
 いったいメイド採用でどんな想像をしたのやら…。

「では私ミカキシは今日から旦那様のメイドですので…何でもお仕事言いつけて下さいね………」

 新人メイド”ミカキシ”は潤んだ目でダイカーン伯爵を見つめた。
 頬が赤く染まっている。

 ゴクリ、とダイカーン伯爵が唾を飲む。

 だから何を想像したナニを………。

「じゃぁまずは浴場の掃除をたのもうかしら?しんどい仕事だけど、掃除をした者は1番にお風呂に入る権利が与えられるのよ。今日は西側の個人風呂のお掃除をお願いね。
掃除したらそのままお風呂にお湯を貯めて入っちゃって良いから、ゆっくりしなさい」

「はい、分かりました先輩!」

 ニッコリ

 笑顔がたまらなく可愛い。
 そしてダイカーン伯爵の鼻息が荒い。
 はぁはぁと他人に聞こえるくらい五月蠅い。
 魂胆が見え見えである。
 風呂掃除をさせて風呂に入らせる。
 1人目が入っている間は専用中の札がかけられているので、誰も入浴を邪魔するものは居ない。
 むしろその時は近づいてはいけないと言う暗黙の了解がある。
 何がしたいのかもうお気づきだろう。
 まぁそう言う事だ。
 古典的だが昔も今も男の欲望が考えるのはワンパターンなものらしい。

 :::

「ん、ふっふっ~お風呂そ~うじ~♪」

 鼻歌を歌いながらミカシキは風呂を掃除する。
 高そうな浴槽である。
 似合いもしない薔薇の模様迄描かれている。
 何と言うか、ピンクな空間だ。

「で、掃除が終わったらお湯溜めて~…入浴バンザーイ♡」

 チャポーン
 カッポーン

 入浴の擬音も何時の時代も変わらない。

 現在ミカシキは湯船に浸かっている。

「んん~気持ちイイ~♡」

 声が色っぽい。
 その声と、後ろ姿に隠し窓から覗いていたダイカーン伯爵が一物をビンビンにさせている。

「もう、我慢できん!ミカシキ、儂も入るぞーーーーって、アレ?」

 ダイカーン伯爵が風呂場に入るとソコには誰も居なかった。
 タオルを体に巻いたミカキシは天井に張り付いていたのだ。
 その姿、まさに往年の由美か〇る。
 もし最初から放送していたら、このシーンだけ視聴率が上がる事間違いないだろう。

(式神でも女の子だから無暗に肌は晒さないんですよーっだ)

 自立型式神。
 とんでもない技術であるのに、それが今一伝わらないのは書き手の文才のせいだ。
 申し訳ないと思う。

 こうして式神のミカキシは、見事アック・ダイカーン伯爵邸への侵入を果たしたのであった。
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